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コラム

2024年10月30日 コラム

技能実習や特定技能の監理団体や企業向け:技能実習生・特定技能外国人のトラブル事例とその対応マニュアル

・妊娠:技能実習生

2022,2023年に技能実習生が妊娠することで所属機関が帰国させるなどの問題が発生。外国人の意に反して技能実習を強制終了させることはあってはならない。

 

事例:休日に日本にいる彼氏(在留資格は様々)と交際

・宿舎の寮に部外者を入れないことの徹底

・妊娠した事実の報告がしやすい関係作り
  (強制帰国させられると思い、言わなかったり失踪に繋がるケースがある)

・妊娠によって発生する権利や手続きについて説明
  (妊婦検診や出産方法、母国へ帰国する際のタイミング、出産後に再入国する際の手続きについて 等)

・基本的には雇用契約を締結して3年実習をすることが「技能実習」として入国した目的との意識付けをする。

ただし、妊娠をすることも自然なことなので、必ず相談をしてもらって、産休の一時帰国などを皆で話し合う関係づくりが必要

 

・実習先の人間関係
宿舎の同部屋の実習生と気が合わない、日本人従業員と仲が悪い等

・当事者を集めて事情聴取と状況の把握。

・日本人従業員に問題が見受けられるようなら、企業の実習責任者を通じて事情説明

・「外国人を採用する」という意識を会社全体に持ってもらう努力

例:初めて、つまり1期生の実習生の受入の際は社員全員に対して趣旨説明や外国人への応対方法についてアドバイス(人前で怒らない、わかりやすく簡潔な物言いをする事等)

 

・失踪:技能実習生
失踪は様々なシチュエーションで起こる。
書置きを残すもの、SNSでメッセージを送って来るもの、突然いなくなる、問題を起こしたことが発覚して逃げるもの。
基本的には、

・本人に連絡(FBやメッセンジー等SNS経由で連絡)

・送出し機関に連絡、送り出しを通じて家族に連絡

・所属機関への意思確認(解雇か待つか。警察への届出はいつにするか)

・警察への届出

・機構への届出

・場合によっては入管への届出

これらを行って終了。
のちに警察から「不法滞在者を捕まえた」等で連絡が来ることがある。
失踪までの経緯やその当時の身分証明書(パスポート/在留カード)の写しを求められることがある。

 

失踪の防止についての取り組み

・面接時から動機となる借金がどの程度あるか、国の属性や人柄を見る。母国で面接を行う際は、家庭訪問も行う。

・信頼できる送出し機関との関係構築
 付き合いが古くしっかりした意識の送出し機関からの実習生は失踪が少ない。
 他社から転職等で受け入れた特定技能外国人は失踪が多い

・特定技能で、国内の外国人を採用する際は要注意
 前提の特定活動4か月で許可を受け取ってから「やっぱり辞めます」と言って連絡がつかず行方不明になる外国人の事案が発生

・実習生から違法な違約金の契約を結んでいたり、手数料を回収している場合は返金させたり、そのような契約を一切許容しないスタンスを貫く

 

失踪に繋がる要因

・ギャンブル
 オンラインカジノや闇カジノなどで借金を作る実習生が多発(ベトナム人は若い男性に多い)。在留カードやパスポートの再発行を依頼される際は注意。借金のカタに取り上げられているケースが多い。

・斡旋者の存在
 「もっと稼げる仕事がある」と言って違法な労働を行わせるブローカーによる。
不法滞在者が、国内で非常に不利なものであると説明が必要。

 

失踪後に想定されるトラブルと対策

・技能実習生が警察に捕まった際に、「人権侵害があった」と言うことがよくあるので、トラブルが起こった際は、経緯を時系列別にまとめておいたり、本人からサインを取っておいたりすることが必要。

外国人機構に駆けこまれると、機構も相談を受けた以上は調査を行う必要があるため、調査をスムーズに終えるために証拠や帳簿など資料が揃っていると良い。

・警察から連絡が来た際に在留期限が残っていれば、受け入れた監理団体の責任として帰国に立ち会うことになる。

釈放されたら身柄を引き取りに行き、本人が航空券チケットを購入のうえ、帰国まで見送る事実上の責任が生じることもある。

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この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザ専門。手続代理及びコンプライアンス顧問として、登録支援機関のほか弁護士等の専門家向け顧問の実績多数。

 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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