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コラム

2024年10月25日 コラム

特定技能受入れ規制と届出: 登録支援機関の支援と、行政書士の代行の違い

Q. 特定技能を安定して受け入れる企業になるために:行政書士の「法務」と、登録支援機関の支援委託の違いとは何でしょうか?

 

A. 支援委託は、あくまで生活支援等であり、行政書士が行う「法務」代理代行ではありません。したがって、入管や国土交通省等の行政への書類作成を行う登録支援機関は原則、行政書士法違反となります。

企業が安定的に特定技能の受け入れを継続していくチームとしてふさわしい行政書士や登録支援機関などの役割を以下の通り詳細に説明いたします。

 

内容

特定技能の複雑な規制とコンプライアンスとは… 1

行政書士・特定行政書士に求められるニーズ… 2

登録支援機関に本来求められるニーズ… 3

特定技能の受け入れが安定的となる理想の企業属性とは… 4

 

 

特定技能の複雑な規制とコンプライアンスとは

特定技能は、単にビザ申請を行って許可されて終わりではありません。許可後、更新許可申請もあるという意味でもありません。手続にとどまらない複雑な規制が多くあります。例えば、帳簿、届出その他により、手続の前も後も規制が多く複雑です。それらはコンプライアンスであり、おろそかにできません。

もし、欠格事由該当など重要な違反を生じさせると、受入停止処分を受けてしまいます。しかし、どの違反が致命的で、どの違反が許容されるものなのか、法令と事例つまり運用を理解している必要があります。例えば、支援の時間が短い場合、製造ラインや建築で可能な業務区分の判定の誤り、あるいは企業の債務超過があることの影響など、それらは専門家でないと予測不可能です。なぜなら、雇用後も100項目を超えるチェックがあります(特定技能基準省令と各分野の告示などの法令基準と運用を含む)。

 

行政書士・特定行政書士に求められるニーズ

 

それらを判定できるためには、行政書士、特に法令に精通している特定行政書士などの顧問が必要です。

それによって企業でも確実に適合させるオペレーションや仕組みの実現が可能となります。

 

谷島行政書士法人グループは、そのような全体を説明しつつ、個別の手続毎にご依頼を選定いただけるよう、顧客には、わかりやすい資料やヒアリングシートなどを使い、手続と顧問のサービス範囲と料金について丁寧に説明することを心がけております。

 

 

◆行政書士としてお役に立つニーズ

コンプライアンス等規制対応のコンサルティングを軸に以下の業務が求められることに対応します。

 

想定業務

 1、特定技能所属機関の顧問として、許可後も適法かつ現実的に対応させるサポート

 2、登録支援機関の顧問として、登録後も適法かつ現実的に対応させるサポート

 3、特定技能外国人の代理人として、申請や書類作成の代行サポート

 

□申請時および許可後のポイント

申請書類と実体法上の要件(許可時、許可後リスクなど)はリンクしているので、申請によって許可後の運営も煩雑ないし違法になってしまうことを防ぐ意義

例:事業所をどこにするかによって、異動が生じる度に変更届が必要となるかどうか等が変わる。それに気づかない例が多いため、別件で問題となったときに違反が併合した結果、処分対象となる。

 

◆特定行政書士としてお役に立つニーズ

特定行政書士は処分対応等の代理ができます。以下が求められることに対応します。

 

1. 特定技能においては、登録支援機関の登録申請や処分等において行政手続法が適用されている。

 

2. 特定技能所属機関や登録支援機関に対する受け入れ停止や改善命令などの行政処分について、行政不服審査法における代理人としても対応可能(これらは行政不服審査法が除外されていない)。

 

3. 欠格事由が特定技能において重大であり、技能実習まで波及を考えると責任が大きいが、相当ニーズがある。

例:税理士でいう税務署への用心棒的コストに相当

 

想定業務

例1: 登録支援機関への登録取り消し等の処分・指導対応

例2: 特定技能所属機関への受入停止処分・改善命令、指導対応

 

 

登録支援機関に本来求められるニーズ

登録支援機関は、「生活支援」等が中心の役割です。したがって、行政手続については専門家でありません。可能なことは入管への在留申請の提出代行のみであり、特定技能の届出や、建設特定技能に関する国土交通省・あるいは製造業に経済産業省協議会などへの代理代行もできません。

 

さらに外国人のキャリアアップや雇用の悩みなどにも寄り添っていき、所属機関に言えないことも共有して頂く関係を構築する支援担当者と仕組みが必要です。

例:特定技能外国人は、給与を上げてもらえず、その規制も店長などの現場サイドでは分からないので、企業が許容してくれないと思っているケースがあります。そのギャップを埋めるコミュニケーション能力も必要です。

 

単なる人材紹介会社の付随サービスとして存在しているものは今後、規制強化とともに淘汰されていくと考えられます。これは登録支援機関の要件強化とともに実施される見込みです(2024年改正入管法における特定技能制度改正が根拠)。

 

◆登録支援機関としての視点

 特定技能外国人に対する支援を漏れなく行うオペレーション構築を徹底

 

□検討

特定技能外国人への支援は、特定技能所属機関と全く別であり、企業への顧問をするなら、可能な限り、支援と顧問の実施主体を分離してサービス提供することが望ましい。利益相反になることもある。

 

特定技能の受け入れが安定的となる理想の企業属性とは

特定技能所属機関では、今後受入が安定的になる企業とそうでない企業は、人材獲得競争で明暗が分かれることになるとされます。それは上記のコンプライアンス対応などの違反があれば、立入検査の上、受入停止などの処分を受けるからです。

この点、以下のような企業が安定的に特定技能所属機関として拡大できると考えられます。

 

 □1.外食分野の例:複数店舗を出店し拡大している状況である。その他の特徴は以下の通り:

1 技能実習のしがらみがない業界であり、適法でない監理団体(組合)とかかわりがなく、関連して処分を受けることがない。

2 宿泊施設等にも出店など、他分野に展開したい。

 

 □2.総務部などの部署があり、労務などに対応できる担当者または社労士がいて、外国人雇用は行政書士と役割分担できる

  例:労働基準法(残業手当等)や、労働安全衛生法などの細かい規定を知っている。ただし、有給休暇は、外国人特有の帰国時休暇などを行政書士に相談・連携し、帳簿に記載できる体制

 

 □3.コンプライアンスの重要性を理解している。

  今まで、技術・人文知識・国際業務などにより現場で雇用している場合、仮に違法がありえるなら適法にさせたい考えをもっている。

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この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザ専門。手続代理及びコンプライアンス顧問として、登録支援機関のほか弁護士等の専門家向け顧問の実績多数。

 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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