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コラム
2024年09月19日 特定技能
登録支援機関から自社支援にする場合、行政書士に委託すればよい?アウトソーシングできる業務と切替時期とは?
Q. 登録支援機関から自社支援にする場合、行政書士に委託すればよい?アウトソーシングできる業務と切替時期とは?
A. 登録支援機関の支援業務とは、本来は「生活の支援等」のみです。したがって、行政書士に依頼すれば、アウトソーシングで可能な企業は多くあります。中堅企業以上であれば、そのような現状も多くあります。
しかし登録支援機関の業界は今玉石混交です。一般的に株式会社など営利企業が多く参入するなかで、良くも悪くも「行政手続書類作成もすべて任せてください」と人材紹介会社などが標ぼうしている現状があります。そのため、事実上の委託の機能と提供価値は、以下の通りと認識できます(2024年時点)。
- 特定技能外国人の、生活の支援業務そのもの
- 入管その他への申請取次
- 在留申請や定期届等の行政手続・書類作成(行政書士・弁護士以外は違反)
では、その2つの業務について、内製化ができるのでしょうか。内製化をすると、上記1の支援業務そのものは身近であり、日本人で真面目な性格なら普通はできそうなことがわかると思います。
支援の例:特定技能外国人の空港への送迎、定期面談など
2も提出するだけなら、講習を受けることで認定されれば可能となります。
しかし、上記3の行政手続・書類作成が内製化できるのかという疑問がでてきます。しかし、それらはほとんど行政書士にアウトソーシングできるため、自社支援でコストカットが実現できます。つまり手続や定期届だけをアウトソーシングすることができるからです。
それが適正に実現できれば、谷島行政書士法人グループのクライアント企業で10名以上雇用していたケースでは、月額300,000円が50,000円にできたこともあるほどです。
では、その詳細やタイミングも以下の通り説明してまいります。
登録支援機関の制度と、自社支援切替えの可能性とは
特定技能外国人を雇用する場合、登録支援機関と自社支援の二つの方法があります。
この点、特定技能2号の在留資格においては、支援の要件が外れます。つまり不要となります。
ただし、その他の要件や定期届が必要とされているため、特定技能2号になっても、依然として行政手続や基準不適合を避けるコンプライアンス対応は必要となります。
また、複数の特定技能1号の雇用をしていると、コストが多くなり、大変と思います。なぜなら、支援委託費は一人当たりいくらということが多いからです。
支援委託費の内訳と相場
支援費は以下に大きく区分できます。
a. 月額委託費:一人当たり
b. 初期費用:
1. 事前ガイダンス
2. オリエンテーション、
3. その他●●費:業者ごとにピンキリです。場合によっては、紹介費用を無料として、支援費で回収している事業者もいます。
その相場はおおよそ次の通りです。
a. 月額: 一人 30,000円前後
b. 初期費用(紹介費用が伴う場合、それも含む):一人300,000円から500,000円
支援委託から自社支援切替のタイミング①:コスト面
上記のコストがかさんでくると、自社支援を検討するころになります。
つまり、2人目から自社支援体制を構築していくことを徐々に進めていくことになります。切り替えにおいては、いままでの登録支援機関のやり方やつくっていた契約書、支援計画書、その他手続書類の妥当性チェックも必要で見直し準備期間を設けます。そこで、様々な届出なども生じます。
14日以内の届出義務などもあるため、間違いが起きないよう、およそ6か月前から予定しておけば安心です。
支援委託から自社支援切替のタイミング①:コンプライアンス面
登録支援機関に委託してもコンプライアンス対応をしてもらうことはできません。定期届の方法も適正ではなく、行政書士法違反を隠すために企業が作成したことにして、内容を知らされず提出されていることも多く散見されます。
当然、その内容は法令適合を期待することはできない登録支援機関も多く、これは玉石混交である現状であるため、ピンキリです。仮に実務経験が長くあっても、登録支援機関は特定技能の法令を研修で学ぶ機会は通常ありません。
行政手続が適正にできていない場合も、受入停止処分などのリスクが高まるため、検討する時期となります。
登録支援機関や自社支援で行う生活支援
まず、内製化する支援業務は「生活支援」なので、空港送迎、住宅の賃貸借契約の支援などであり、実は簡単です。
上述しているように、生活支援と行政手続は別です。支援は、行政手続や書類作成ではありません。
次に、時期については、原則、一人目は登録支援機関への支援からスタートすることがわかりやすいです。
なぜなら、最初は支援委託をしても、一人のみの場合、月額はさほど大きくないからです。
したがって、二人以上を雇用する場合、支援委託から自社支援に切り替える方法がおすすめです。ただし、初期費用がある場合には、その限りではありません。
支援の方法の基準
内製化する場合、谷島行政書士法人グループでは、オリエンテーションのリハーサルや、同席して教えることが可能です。
法令知識を暗記することもあまりありません。真面目に、外国人を中立的に支援できる立場なら大丈夫です。
なお、支援方法の基準や支援責任者・支援担当者、言語対応者の基準は、別の記事で解説しております。
●
登録支援機関に委託するメリットと限界
登録支援機関に生活支援を任せると、自社で支援担当者や言語対応者を用意しなくても任せられる点が便利です。
主な委託としては、三カ月に一回の定期面談を行うことが登録支援機関の義務となり、任せることができます。
毎月ではありません。この点、監理団体の毎月の技能実習1号に対する訪問指導と異なります(監査のペースと同じです)。
ただし、登録支援機関が適正に義務を果たさない場合は、問題です。また、そもそも法令の専門家ではありません。あくまで人材会社の営業担当者などが多いです。
つまり人材会社の登録支援機関は、職業紹介の成約を急ぐあまり、企業の受け入れ体制や要件適合を確認しないまま又はその知識がないまま、手続をしてしまうことも多くあります。下請けの行政書士がいても窓口が登録支援機関であれば同じです。
したがって、自社で行政書士に直接依頼することが重要です。まかせっきりになって後で指導や受入停止処分をうけそうになり苦労することも少なくありません。
登録支援機関における行政手続きや書類作成の価値とは
上述のように、登録支援機関は、書類作成まで行うとコンプライアンス違反となり、委託できません。改めて整理すると次の通りです。
1. 行政への提出書類作成は、登録支援機関も不可(違反)であり、提出つまり取次のみ可能。
2. 監理団体許可があっても同様に不可(違反)。
いままで登録支援機関が「行政手続の専門家」という価値を感じている企業にとっては、わかりにくいと思いますが、在留申請はもちろん、国土交通省への特定技能の受入計画申請、また各分野の協議会への書類も、登録支援機関が作成することはできません。
そうすると、生活支援の付加価値がほとんどなければ、自社で提供し外国人を昇給させることや、悩みに寄り添って、生活をもっと充実させて幸せに暮らさせてあげたいという考えもあります。そのために、自社支援がむしろ良いという考えもできます。
行政書士法違反となる入管手続を行う登録支援機関とは?
コンプライアンスがないと株価下落
ステークホルダー
もちろん、これは書類作成で報酬を得ていないと言っても違反となってしまう同様の結論です。「書類作成をして別費用(支援費)として「報酬」を得ている」とみなされることについて行政の解釈がされております。
参考:法務省出入国在留管理局の書類一覧
すべて行政書士法上の「官公署への提出書類」となり、行政書士と弁護士のみが可能という法律になっております(行政書士法)。
しかし、事実上、所属機関つまり企業はそうとは知らず、登録支援機関が作成する書類などによって手続きを会社名義で行うことになります。登録支援機関は行政書士でないと書類作成をすることができません。その法令違反を隠す場合、すべて会社の担当者や外国人の名義で書類を作成する建前となります。したがって、残念ながら、処分や指導を受ける場面で、書類が事実と異なることがありそれが虚偽申請とされる場合、登録支援機関はメールなどで証拠を残していないため、会社が作成しておらず勝手に作成された書類の内容について無実を証明することもなかなかできません。
登録支援機関は、また受け入れ企業の身代わりとして処分されることもありません。入管は間接コントロールといわれる手法を採用しており、出入国管理においては、外国人を受け入れる団体がサポートする権限をもたせることで、それらの団体や学校に対する指導を通して、所属機関である企業や外国人に対する網羅的、効率的な監督や処分を実行することができます。
したがって、登録支援機関には通報義務があります。定期面談等において、入管法令や労働法令違反をみつけた登録支援機関は、それらを行政に通報しなければなりません。顧客を通報するという、やや実効性が乏しい制度になっております。
ただし、その義務違反があれば、登録支援機関に対する取締を通して、企業や外国人を処分しやすくなります。行政処分においては証拠収集が大変です。しかし、警察的機能について、登録支援機関などから供述させることができるからです。
したがって、登録支援機関は身代わりになることはなく、また、登録支援機関がコンプライアンス対応ができていない場合は、かえって入管から登録支援機関は目を付けられます。結果、捜査や指導が企業におよび、危険性が高まります。もちろん企業が万全にコンプライアンス対応ができていれば安心です。しかし、専門家なくして、万全に義務や規制対応ができるほど、簡単な制度ではありません。非常に複雑です。
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この記事の監修者
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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザ専門。手続代理及びコンプライアンス顧問として、登録支援機関のほか弁護士等の専門家向け顧問の実績多数。
- 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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