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コラム

「技術・人文知識・国際業務ビザ」の関連性の緩和対象となる専門学校と、申請の要件とは何でしょうか?

2024年10月11日 コラム

「技術・人文知識・国際業務ビザ」の関連性の緩和対象となる専門学校と、申請の要件とは何でしょうか?

Q. 「技術・人文知識・国際業務ビザ」の関連性の緩和対象となる専門学校と、申請の要件とは何でしょうか?

 

A. 「技術・人文知識・国際業務ビザ」と呼ばれる在留資格は、幅広く活動できる就労ビザの一つです。しかし、専門学校卒業者は、履修科目との関連性を強く求められていました。幅広く業務が可能であるにもかかわらず、許可申請時のハードルとして、関連性が必要なのです。

 

「技術・人文知識・国際業務ビザ」の関連性

「技術・人文知識・国際業務」ビザに必要な要件は業務の面において、以下の通りのステップで備える必要があります。

1. 専門性を有する業務に従事すること

2. その専門的業務に対して、履修した科目の関連性が相当程度必要

つまり、関連性は専門性と別の概念です。

 

「技術・人文知識・国際業務ビザ」の前提知識

日本における「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、以下の「上陸基準省令」への適合が必要となっております。上陸の場面だけでなく在留資格変更許可申請においても同様です。

 

1. 学歴要件:

自然科学または人文科学の分野に属する技術や知識が必要な業務に従事する場合、関連する科目を専攻して大学や専修学校を卒業していることが必要です。

ただし、大学の場合、専攻科目と従事する業務が関連しているかどうかは、大学や高等専門学校、専修学校の教育内容や業務内容により柔軟に判断されます。

 

2. 実務経験要件:

業務に関連する実務経験がある場合、大学等の関連科目を専攻した卒業の学歴がなくても、基準適合します。

(1)技術分野の基準:10年

(2)人文知識分野の基準:10年

(3)国際業務分野の基準:3年

 

「技術・人文知識・国際業務ビザ」の緩和措置:令和6年2月改定

専修学校の専門課程を修了した者については、「外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定」を受けた学科修了を証する場合については、関連性において、柔軟な判断が行われます。

上記「技術・人文知識・国際業務」の上記「1. 専門性を有する業務に従事すること」が必要なことは変わりません。しかし、2の関連性が緩和されることになりました。それはすべての専門学校でなく「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の認定を受けた学科を修了し卒業した専門学校の外国人が対象となります。

根拠は、以下の行政文書の通りです。

 

専修学校の専門課程における外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定(「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」から抜粋)

 

「専修学校の専門課程における外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定に関する規程(令和5年文部科学省告示第53号)」第2条に定める文部科学大臣による認定を受けた専修学校の専門課程の学科を修了した者(以下「認定専修学校専門課程修了者」という。)については、企業等と連携して実習等の授業を行っていることや、日本社会に関する理解を促進する環境が整備されていることなどを認定要件とする専門課程を修了し、質の高い教育を受けたことにより、修得した知識を応用できると考えられることから、専攻科目と従事しようとする業務の関連性について、柔軟に判断することとしています。

(「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」から抜粋)

https://www.moj.go.jp/isa/content/001413895.pdf

 

「関連性の緩和」と「総合的判断」の違いについて

従来からの「関連性」の例外として、「専門学校」卒業であって、すでに「関連性」が認められた専門性を有する業務に3年以上従事した者については、別途の緩和措置があります。

その後、転職などがあっても、専門業務と科目の関連性について科目ごとに直接の関連性がなくても、「総合的」に判断されることになります。そのようにアピールすることで、不許可リスクの低減を見込むことができます。その根拠規定である行政文書は以下の通りです。

 

専修学校の専門課程を修了した者が、従事しようとする業務に相当程度関連する科目を直接「専攻」したとは認められないような場合でも、履修内容全体を見て、従事しようとする業務に係る知識を習得したと認められるような場合においては、総合的に判断した上で許否の判断を行っているほか、関連性が認められた業務に3年程度従事した者については、その後に従事しようとする業務との関連性については、柔軟に判断します。

(「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」から抜粋)

https://www.moj.go.jp/isa/content/001413895.pdf

 

「技術・人文知識・国際業務」の学校類型毎の基準の違い:大学と専門学校

上記から、以下の通りとなります。ただし、いずれも業務の「専門性」については立証が必要であることは変わりません。

 

大学の柔軟な関連性審査

大学や専修学校の教育内容と業務の関連性について、従来より柔軟な判断が行われています。

 

専門学校①:「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の緩和対象でない専門学校の場合

外国人留学生キャリア形成促進プログラムの対象ではない場合、「関連性」は緩和されず、通常の審査で関連性判断が必要とされます。

 

専門学校②:「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」対象科目修了の専門士の場合

専門学校の専門課程を修了した者については、修了した科目と従事する業務の関連性を総合的に判断されますが、上記の「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の認定書の提出によって関連性審査が緩和され、その基準適合を果たしやすくなります。

 

専門学校卒業から3年以上の従事者の在留期間更新許可申請等における「総合的関連性」

直接の科目の関連性がなくても、総合的に判断されることで、主に在留期間更新許可申請の場面で、転職があった際に活用することができます。

 

専門学校卒業者が「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」認定で在留資格変更許可申請をする際の注意点

外国人留学生キャリア形成促進プログラムとして認定を受けた学科を修了した外国人が「技術・人文知識・国際業務」で申請する場合、認定学科修了証明書を添付しないと関連性審査が緩和されません。下記の資料で専門学校に証明していただくことになります。したがって、十分な余裕をもって申請することが必要です。

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この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザ専門。手続代理及びコンプライアンス顧問として、登録支援機関のほか弁護士等の専門家向け顧問の実績多数。

 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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