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コラム

企業内転勤ビザとは:企業内転勤2号の創設と1号との違い

2024年10月11日 コラム

企業内転勤ビザとは:企業内転勤2号の創設と1号との違い

Q. 企業内転勤2号で、外国人が現場などで(技能実習でできていた)単純労働が可能になったというのは本当でしょうか?
また、企業内転勤1号との違いも教えてください。

 

 

A. 企業内転勤2号によって技能に関する業務が可能となりました。すなわちブルーカラーも可能となった点で革新的といえます。

企業内転勤1号との違いは、活動の内容つまり業務範囲と研修といえます。

 

 

人手不足の救世主となりうる「企業内転勤1号・2号」と「育成就労」など各ビザの理解

企業内転勤2号では、「技能等」の習得という研修要素があるため、「単純労働」も可能ですが、習得すべき技能が必須となります。

企業も外国人らも誤解がないようにしないと不法就労になるケースがあるため、行政書士に相談しながら、規模によっては数か月のプロジェクト的に進めていくことが必要です。これができる企業は人材難を解決する手段となります。

また、企業内転勤2号は、「企業単独型技能実習」廃止後の「単独型育成就労」とならない類型で、技能実習2号移行職種でない職種が対象となります。

 

一方で、「企業内転勤1号」は、「技術・人文知識・国際業務」に該当する専門的業務が対象である点で区別されます。企業内転勤1号は、永住まで目指すことができます。

 

ややわかりにくい制度と思われることが多いため、以下の通り丁寧に説明してまいります。

 

企業内転勤2号創設による1号との区別のまとめ

比較すると以下の通りです。このあとさらに詳細を説明いたします。

 

活動としての就労範囲

活動としての研修

期間の定めの要件

企業内転勤1号

「技術・人文知識・国際業務」に該当する専門的業務

無し

必要だが、緩和有り:永住も目指すことが可能

企業内転勤2号

1号を除き、技能等の業務であり、旧技能実習の企業単独型における移行職種でないもの

有り

緩和なし

 

「企業内転勤」の1号と2号の各要件

2024年入管法改正で創設された企業内転勤2号と併せて、条文をわかりやすく分解して解説します。

 

入管法別表第一の二 「企業内転勤」の項:

企業内転勤1号

一 本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動

 

1.共通要件「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員」

 ・日本国内に本店、支店、または他の事業所を持つ公的または私的機関であることが必要

a. 公的:地方公共団体、公社、JETRO、独立行政法人/国立大学その他

b. 私的:日本の株式会社等の各種会社の他、公益社団法人、外国法人まで含まれます。

 

 ・外国にある事業所の従業員

この要件は、外国にある事業所と親子関係、または関連会社であることが必要であり、取引先等も該当することがあります。

資本関係がある場合:主に40%以上の株式保有が該当

資本関係がない場合でも可能な関連会社:

c. 株式20%以上保有又は15%以上保有+人事等支配が可能な役員就任

d. 株式保有がなくても人事等の支配でも該当可能性あり

取引関係:関連会社の多数の類型の中で可能性あり

 

2.要件「本邦にある事業所に期間を定めて転勤して

 ・一定期間、日本国内の事業所に転勤していることが必要

つまり、正社員は不可能とされます。しかし、更新をしていくことで永住まで目指すことができる、ややわかりにくい制度です。なお、外国人も「雇止め法理」で保護されうる点で、事実上、期間の定めがない契約に近いことになります。

この要件は、転勤のほか、転籍・出向なども可能です。

 

3.要件「当該事業所において行う

 ・転勤先である当該事業所で行う活動である必要

他の事業所にさらなる転勤や異動をする場合は資格外活動となる場合があります。そのようないわゆる「再転勤」は認められる類型もありますが、慎重に個別判断が必要なので、ご相談ください。

 

4.要件「技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」

 ・専門的業務である「技術、人文知識、国際業務」の活動である必要

外国企業の職員が可能な業務は企業内転勤1号の場合、「技術、人文知識、国際業務」である必要があります

 

企業内転勤2号の要件

入管法別表第一の二 「企業内転勤」の項:

企業内転勤2号

二 本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が、技能等を修得するため、本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において講習を受け、及び技能等に係る業務に従事する活動(前号に掲げる活動及びこの表の育成就労の項の下欄に掲げる活動を除く。)

 

1.要件「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員」

 ・日本国内に本店、支店、または他の事業所を持つ公的または私的機関であることが必要

a. 公的:地方公共団体、公社、JETRO、独立行政法人/国立大学その他

b. 私的:日本の株式会社等の各種会社の他、公益社団法人、外国法人まで含まれます。

 

 ・外国にある事業所の従業員:

この要件は、外国にある事業所と親子関係、または関連会社であることが必要であり、取引先等も該当することがあります。

資本関係がある場合:主に40%以上の株式保有が該当

資本関係がない場合でも可能な関連会社:

c. 株式20%以上保有又は15%以上保有+人事等支配が可能な役員就任

d. 株式保有がなくても人事等の支配でも該当可能性あり

取引関係:関連会社の多数の類型の中で可能性あり

 

2.要件「技能等を修得するため、本邦にある事業所に期間を定めて転勤して」

 ・修得するための目的である必要

技能修得の趣旨に適合する就労範囲とされます。

 ・一定期間、日本国内の事業所に転勤していることが必要

つまり、正社員は不可能とされます。

この要件は、転勤のほか、転籍・出向なども可能です。

 

3.要件「当該事業所において講習を受け、及び技能等に係る業務に従事する

  • 当該事業所で講習を受けることが企業内転勤1号との違いです。
  • 技能等に関連する業務を行う点も、企業内転勤1号では「技術・人文知識・国際業務」であった点と異なります。

 

企業内転勤2号のメリット

技能実習制度では、移行職種とされていない職種・作業は計画認定及び在留申請により許可を得れば可能でした。

しかし、それが人手不足分野である「特定技能」の分野の中で、育成就労においては新たに列挙されることになりました。したがって、特定技能の分野の中で、さらに育成就労の分野が列挙されるということです。

 

さらに、単独型育成就労では、いままでの企業単独型技能実習と異なり、取引先などは不可能となりました。つまり、そのような「密接法人」類型は「監理型育成就労」に統合されました。

 

この点、「企業内転勤2号」では、可能となっております。

したがって、分野と、法人の関係性の観点で、従来可能だったものを企業内転勤で可能な類型について、取引先なども含めて、受入可能とした改正が今回の企業内転勤2号であるといえます。

 

企業の人事向け:親会社、子会社、関連会社等の判定方法

株式保有や支配の類型については、根拠法令である「昭和三十八年大蔵省令第五十九号」の8条における定義を使います。

「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」

a.「親会社」:

3 この規則において「親会社」とは、他の会社等の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。以下「意思決定機関」という。)を支配している会社等をいい、「子会社」とは、当該他の会社等をいう。親会社及び子会社又は子会社が、他の会社等の意思決定機関を支配している場合における当該他の会社等も、その親会社の子会社とみなす。

b.「支配」:

4 前項に規定する他の会社等の意思決定機関を支配している会社等

 

 

 

今後の横断的なビザ整理と外国人材転勤・転籍のコンプライアンス

企業内転勤2号ができたことで、育成就労と特定技能の改正を別のものでなく、横断的に「線」でとらえることが必要です。そうでなくては、類型ごとに異なる外国人ビザや規制を踏まえた適材適所の配置ができません。

それが成功すれば、谷島行政書士法人グループの外国人材紹介サービスと複合して、外国からご紹介することも人手不足を低コストで解決できる可能性を提示することができます。

 

 

企業内転勤の実績豊富な行政書士法人の選定

企業内転勤は、類型ごとに要件が多くのパターンに分岐します。例えば、株式の割合や、資本関係がない場合の役員の関与など、理論も多く用いられます。

 

そのため、行政書士法人では、企業内転勤の経験が少なく不得意な行政書士も多くおります。

谷島行政書士法人グループは、旧技能実習(企業単独型)から多くの経験と理論を用い、定期的に代表が勉強会を行い知識のブラッシュアップをしております。

 

外国人材紹介との連携や、育成就労/技能実習を含めたすべての在留資格に横断的に対応している行政書士は少ないため、谷島行政書士法人グループなら、通常の行政書士の枠におさまらない外国人雇用のアドバイザリー顧問や手続の面でお役に立てると存じます。ぜひご相談ください。

 

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この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザ専門。手続代理及びコンプライアンス顧問として、登録支援機関のほか弁護士等の専門家向け顧問の実績多数。

 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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