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2024年11月12日 成功事例
母国語の「国際業務」で不許可?ホテルのフロントで就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)
背景:フロント業務における「技術・人文知識・国際業務」ビザの特性
ホテルや旅館での就労ビザ申請は、「技術・人文知識・国際業務」ビザにおける法令基準を満たすことが重要です。この点、ホテルのフロント業務は一般的に専門性が低いと見なされる場合も多く、単なる受付やチェックイン・チェックアウト業務のみでは在留資格が認められにくいことがあります。
入管は、その業務内容と経歴が人文知識に該当するか、または通訳・翻訳といった国際業務に該当するかを審査します。そのため、このような事例では、専門の行政書士が個別のケースに応じた申請内容をチェックし、実態を反映した言語化及び書類作成を行って申請することが求められます。
フロント業務に関する入管公表の不許可事例の一例
フロント業務に関する入管の不許可事例は多くありますが、例えば、以下のものがあります。
② 本国で日本語学を専攻して大学を卒業した者が、本邦の旅館において、外国人 宿泊客の通訳業務を行うとして申請があったが、当該旅館の外国人宿泊客の大半が使用する言語は申請人の母国語と異なっており、申請人が母国語を用いて行う業務に十分な業務量があるとは認められないことから不許可となったもの |
フロント業務のうち専門的業務の量
さらに、フロント業務の専門性があっても業務量の立証書面が十分でない場合は、「安定性・継続性」がないとされます。そのような申請では不許可となるか、審査が長期化することもあります。
「国際業務」で母国語を使う業務でも不許可となる場合
上記の母国語と異なる国際業務の場合、活動面の要件でいうと不許可になることもありますが、母国語であっても不許可となることがあります。
これは専門学校卒業なのか大学卒業なのかという観点にもよります。また科目の関連性は緩和されている大学や一部の専門学校でも簡単に判断すると不許可となることがあります。
関連性が緩和されても、「専門性」自体は緩和されていないからです。
なお、関連性緩和の専門学校とは、「外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定」を受けた学科修了を証明する場合です。
「国際業務」でなく「人文知識」基準適合で申請する方が有利なケース
「人文知識」でフロント業務に専門性とその業務量があれば法律上そうはなりません。不許可や審査長期化を回避できます。
実際の事例を用いて、この解説は入管法令における「人文知識」の基準適合と、「国際業務」の基準適合が別であること、また、業務内容の他、言語能力、経歴や立地によって、どちらが適しているかを判定しやすくするポイントの理解に役立つものです。
申請人の学歴と法令基準
本件申請人である外国人は、専門学校卒業で「国際ビジネス」専攻ですが、「国際業務」ではありません。「国際業務」では学歴で適合することができないからです。科目が関連する場合は「人文知識」となります。したがって、翻訳通訳を重視するより、国際ビジネスでの科目の関連性を立証する事が必要です。母国語を使う業務であっても有利にならないことが法令基準です。ただし、補足として説明してもよいことはあります。
参照法令:上陸基準省令「技術・人文知識・国際業務」の項
本件変更申請では次の上陸基準省令適合が必要となります。
入管法上陸基準省令:「技術・人文知識・国際業務」
二 申請人が外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。 |
フロント業務「技術・人文知識・国際業務」ビザ申請の事例
以下の通り、事例のポイントを紹介します。
申請者の経歴と採用の経緯
本事例の申請人は、中国内モンゴル出身の方で、2009年に留学生として日本へ来日後、日本語学校と専門学校に通い日本語能力を高めました。さらに、アメリカの大学に進学して英語能力も磨き、言語面でのスキルを大きく向上させました。日本での就職を希望し、短期滞在ビザで来日し、あるホテルから正式に採用内定を得たことから「技術・人文知識・国際業務」ビザ申請に至りました。
所属機関と採用理由
所属先であるホテルは羽田空港近くに立地し、顧客の約30~40%が外国人観光客です。このため、語学に堪能な申請者のスキルは大変重視されました。採用理由として、申請者の日本語および英語能力、そして国際的な対応力が、外国人客の多いホテル業務において特に求められる能力であると認められました。特に、通訳や翻訳をはじめ、外国人顧客への対応を担わせることができる点が採用の決め手となりました。
しかし、行政書士に相談したところ、本件個別事情では「国際業務」では基準適合しにくいため、単なるフロント業務では難しいと考えられます。専門学校卒業では大学のように「国際業務」の経験年数が免除されないからです。
そこで「国際ビジネス」の専攻を活かすコンシェルジュ業務を追加する合意をしました。これは追加といっても、外国人顧客への対応という業務を具体化し、言語化したものにすぎません。実態が存在する、企業ニーズに沿った提案でした。
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・業務内容と在留資格適合性
・申請業務の詳細の立証
主に以下の業務を説明しました。
1. 通訳業務
2. 翻訳業務
3. 外国人顧客対応
4. コンシェルジュ業務
5. その他付随業務(フロント業務含む)
上記の通り、申請者の職務内容は外国人客対応が主となり、日本人に対するフロント業務の量は多くない付随であることを説明しました。
業務の多くが「人文知識」基準に該当する要件を満たしていることを立証しました。さらに、これら業務の安定性・継続性についても、同ホテルが年間計画において外国人客向けサービスを強化する意向があり、十分な業務量が見込まれていることを説明しました。
専門的知識と語学能力
申請者は、専門学校で「国際ビジネス&コミュニケーション学科」を専攻し、専門士の学位を取得しています。さらに、アメリカでの留学経験もあり、日英中三か国語に堪能であることが、特に国際的な業務において有利に働きました。このように、申請者の語学スキルと国際的な学習経験が、法令における「人文知識」の活動の蓋然性立証を有利にします。
報酬基準の立証
本申請では、業務の安定性・継続性を示すため、所属機関の事業計画や月額報酬207,000円が保証されていることが書面で明示されました。この報酬額もまた、法令に準じた条件をクリアしているため、問題なく審査を通過する要因の一つとなります。
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申請成功のポイント
本件における「技術・人文知識・国際業務」ビザの申請成功の理由は、以下の点にあります:
1. 業務内容の明確化:通訳・翻訳や外国人対応など、明確に「人文知識」に該当する職務内容を提示。
2. 語学・国際的対応力の証明:日本国内での学歴および米国留学による高度な語学力と国際経験が大きく評価されました。
3. 業務の安定性と継続性の立証:事業計画書と労働条件の明確化により、所属機関での雇用が継続されることを証明。
フロント業務の「技術・人文知識・国際業務ビザ」提出資料
本件では以下の資料提出による要件適合の立証を行いました。
基本資料・立証資料
1. 給与支払事務所等の開設届出書の写し(カテゴリー4)
〇立証趣旨:給与支払いに関する届出書により、所属機関が適切な給与支払手続きを行っていることを示し、事業の法的信頼性と安定性を立証します。カテゴリー4では必須です。
2. 直近の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書の写し(カテゴリー4)
〇立証趣旨:所属機関が税務関連の手続きを適切に行っていることを証明する書類で、申請人の報酬が安定して支払われることや所属機関の継続的な事業運営を裏付けます。カテゴリー4では必須です。
3. 雇用予定書の写し
〇立証趣旨:申請人の雇用条件や職務内容を具体的に示すもので、申請人が従事する予定の業務内容や待遇が明確に提示され、活動内容や報酬基準の安定性を示します。
4. 申請人の学歴および職歴を証明する文書
〇立証趣旨:申請人の専門性や職務遂行に必要な学術的素養を証明するための資料です。「技術・人文知識・国際業務ビザ」の基準において、フロント業務などにおける該当分野の知識・経験が十分であることを示します。
〇内訳:
履歴書:申請人の過去の職歴・業務経験により、必要とされる知識と経験を有していることを明示します。
学歴証明書・修了証書・成績証明書(専門学校等):学術的な基礎と関連分野での修了歴を示し、業務に必要な知識を裏付けます。
在籍証明書(アメリカ語学スクール):アメリカでの語学学習に関する資料は、国際業務における語学スキルの安定性を証明し、語学力に基づく申請の説得力を高めます。
5. 事業内容を明らかにする資料
〇立証趣旨:所属機関の事業内容や事業規模を明確にし、申請人の業務が所属機関内で必要とされるものであることを立証します。
〇内訳:
履歴事項全部証明書
事業案内:会社の沿革、役員、組織、事業内容(特に主要取引先や取引実績)を含む資料で、事業の規模と信頼性を証明し、申請人の活動の「安定性・継続性」を裏付けます。
6. 事業計画書の写し
〇立証趣旨:今後の事業展開における収益見込みや計画を明示することで、申請人が従事する業務の継続的な需要と事業の安定性を証明します。
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その他立証資料
1. 申請理由書
〇立証趣旨:申請者が日本で働く目的やその背景、申請に至る経緯を説明し、法令要件に係る事実を立証し証拠も含めて説明しております。
2. 事業所の写真
〇立証趣旨:フロント業務の活動に係る法令要件に係る事実を立証しております。
3. 業務資料
〇立証趣旨:フロント業務の活動に係る法令要件に係る事実を立証しております。主に専門性を立証します。
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まとめ:ビザ申請は行政書士の事例経験が鍵
本事例は、ホテル業務における「技術・人文知識・国際業務」ビザの成功事例として、他のホテル業務従事者にも役立つ内容です。しかし、入管法令の基準に適合するかどうかは個別の事例により異なり、同様のビザ申請を目指す方は、専門の行政書士に相談することが不可欠です。特に、フロント業務における「人文知識」や「国際業務」の要件適合については、業務内容や申請者の経歴、勤務地などを考慮した上で判断すべきです。
この点、本件は「国際ビジネス」専攻で「国際業務」でなく、「人文知識」の法令基準適合事実を立証しました。
専門的な知識と経験を持つ行政書士にサポートを依頼することで、成功確率を高めることができます。
谷島行政書士グループでは、申請代行の年間定額プランや、申請書類のチェックサービスも対応しております。「技術・人文知識・国際業務」ビザ申請をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザ専門。手続代理及びコンプライアンス顧問として、登録支援機関のほか弁護士等の専門家向け顧問の実績多数。
- 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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