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2024年12月24日 成功事例

キャリアアップ義務化対応と、同時に外食特定技能2号を目指す事例: 要件適合と資格外活動違反の回避

 

コンテンツ

キャリアアップ計画の作成、説明の義務が追加(2024年入管法令告示で改正)

協議会誓約事項と、資格外活動違反の関係

キャリアアップの説明及び交付のタイミング

キャリアアップ関係の業務は登録支援機関でなく特定技能所属機関の義務

行政書士法人への委任

キャリアアッププランの要素

キャリアアッププランの内容と、特定技能2号の連結

 各レベルの業務内容の例:

 レベルアップするときに必要な経験・実績、資格・ 検定の例:

キャリアアッププランの策定の順序

サブマネジャーの業務内容の実現性と選定のアプローチ

出来上がったキャリアアッププラン例の一部

参照:HACCP

参照法令:特定技能外食分野の農林水産大臣告示

参照:特定技能運用要領 外食業分野

参照:外食特定技能2号試験の科目とテキスト

 

キャリアアップ計画の作成、説明の義務が追加(2024年入管法令告示で改正)

入管法を始めとした特定技能関係法令が2024年に大きく改正されました。それに伴い、下記の(特定技能基準省令委任の)「外食業分野」の告示が改正で追記されました。
この告示2条は、基本的に、特定技能外国人を受け入れる企業が守るべき義務となるため、企業がこれから行うべきことに「キャリアアッププランの作成、交付、説明」が義務となります。

協議会誓約事項と、資格外活動違反の関係

この外食業分野告示改正を受けて、特定技能受入協議会加入の要件として、以下の誓約事項が追加されました。

11.特定技能外国人に対するキャリアアッププランのイメージを予め設定し、雇用契約を締結する前に書面を交付して説明すること

したがって、キャリアアッププラン義務の実施が不足ないし無視した場合、資格外活動違反を構成しえます(活動の該当性の一部である特定技能基準省令が委任する告示であるため)。

以上の通り、重要な改正といえるので、その作成方法と事例を解説してまいります。

 

キャリアアップの説明及び交付のタイミング

申請前に雇用契約をすることが多いことから、キャリアアッププランを事前に策定し、雇用契約締結前に、その説明及び交付が必要です。

つまり、特定技能外国人の支援として最初に行う「事前ガイダンス」の前に行うことになります。

 

キャリアアップ関係の業務は登録支援機関でなく特定技能所属機関の義務

キャリアアッププランの作成や説明、交付などは特定技能所属機関の義務であって、支援ではありません。したがって、登録支援機関に委託させて免れることはできません。

 

行政書士法人への委任

登録支援機関と異なり、行政書士は特定技能所属機関つまり企業の代理代行として、ほとんどすべての入管手続書類を作成することができ、これは行政書士と弁護士のみが可能とされております。
谷島行政書士グループは15年以上にわたり、外国人ビザを専門とする行政書士法人です。
このような書類作成や特定技能外国人への説明のサポートも可能です。必要があればご遠慮なくお申し付けください。

キャリアアッププランの要素

任意様式でよいとされます。ただ、以下の内容が想定されております。
 想定されるキャリアルート
 各レベルの業務内容
 習熟の目安となる年数
 レベルアップするときに必要な経験・実績、資格・ 検定

 

キャリアアッププランの内容と、特定技能2号の連結

各レベルの業務内容の例:

指導監督を行い、2名以上の部下を持てるポジションであれば、特定技能2号外食の要件でもあるため、それを組み込むことは趣旨も統合でき一石二鳥となりえます。

 

レベルアップするときに必要な経験・実績、資格・ 検定の例:

日本語検定N3は外食の特定技能で必要であることから、それを組み込むことは趣旨も統合でき一石二鳥となりえます。

参照:特定技能運用要領 外食業

特定技能2号(外食)の2年の実務経験の要件規定

2年間の実務経験(ただし、当該経験を終えてから、別途農林水産大臣が定める期間を経過していないものに限る。以下「指導等実務経験」という。)を要件とする(注)。当該試験は、熟練した技能を要する飲食物調理、接客、店舗管理の業務を行うのに必要な能力を測るものである。また、実務経験を確認することで、その者が、飲食店において複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督しながら作業に従事し、店舗管理を補助する能力も有すると認められる。

 

外食特定技能の業務区分とのバランス

特定技能1号の外食は3つの職務を遂行する必要がある。

(1)特定技能外国人が従事する業務 特定技能外国人が従事する業務区分は、上記3(1)ア及び(2)アに定める試験区分に対応し、それぞれ以下のとおりとする。
ア 試験区分(3(1)ア関係)(1号特定技能外国人) 外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)
イ 試験区分(3(2)ア関係)(2号特定技能外国人) 外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)及び店舗経営

 

外食全般をしない場合の不法就労との問題への対応

特定技能の外食の「業務区分」は「外食業全般」である。上記の通り、したがって外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理の3つ)の全てを行う必要がある。

つまり、ずっとキッチンはできない。一時的には可能とされる。
ただし、一時的又は季節的なキッチンへの集中期間があっても入管はそれを禁止しないとされている。
それを踏まえてキャリアアッププランを考える必要がある。

サブマネジャーとしてフォーカスする3つ全般の業務区分を整理する。
店舗で全般をみるマネジャーのような業務は最初からできず、それを補佐するサブマネジャーになることも成長や社内システムで時間がかかる業態がある。

例えば、イタリアンなどで専門的な技能が必要な業態の場合、キッチンに集中する期間は、まずキッチンのサブマネジャーとなれるかどうか

そのように、店長の協力を得て、基本的にサブマネジャーの定義を入れていただくとよい。
サブマネジャーを目指す外食特定技能のキャリアアッププランの作成例

 

キャリアアッププランの策定の順序

特定技能外国人を受け入れる事業所は、特定技能2号を目指す外国人が多い店舗である。
したがって、キャリアアッププランで2号の実現をかなえ、家族を呼べることや永住許可を目指すことをモチベーションとして、長く育てていきたい、それが企業や店舗の方針であるとする。

日本語の学習と、サブマネジャーの経験を積ませることを含めることである。

まずは、店舗におけるサブマネジャーの定義があいまいである場合、まず現状の分析からサブマネジャーの定義を定める。
もしなければ、マネジャーの最低限の定義を上司から教えていただく。つまり、マネジャーの最低限の定義を明確化することで、そのマネジャーの業務を補佐できることがサブマネジャーの定義を決めるアプローチとする。

ヒアリングした結果、マネジャーである店長は、主にホールを統括している。

この場合、外食特定技能外国人が入社して経験が浅いため、マネジャーが行うホール業務は出来ない又は二人は不要であるため、キッチンだけでも任せる。上記の特定技能2号の観点から、まず部下を2名もてるかどうかを実現する方法である。

このように、現実的には、最低でも、キッチンなどの部署ごとの指導者経験をスタートできる可能性がある。

サブマネジャーの業務内容の実現性と選定のアプローチ

次に、マネジャーの定義からそれをカバーするサブマネジャーの定義が定まり、とりあえず調理だけでも部下2名をつけられるなら、そのポジションの業務が特定技能外国人の技能レベルで可能かどうかを検討する。

 例えば、特定技能外国人は、調理に関してはHACCPの担当となることもサブマネジャーとして実行出来得るポジションと考えられる。なぜなら、特定技能評価試験でHACCPを勉強しているからである。さらに特定技能2号でも勉強するため、一石二鳥である。

 

出来上がったキャリアアッププラン例の一部

1.  6カ月目:
N3の受験勉強を開始。現在は特定技能2号の場合、JLPTのN3以上の合格証明書の写しが必要となっているが、今後は特定技能1号のようにJFTその他、JLPTの他の試験でも特定技能2号が可能な試験を確認し、受験スケジュール決定の上、変動させること。

2. 1年目から2年目:
N3合格
サブマネージャー経験開始。大きい店舗なら、キッチンや仕入れなど可能な部署から。

それで評価されない人は定期面談で、技術・人文知識・国際業務も検討する。
仕入などのキャリアルートなら、技術・人文知識・国際業務を目指して、永住をとれるかなど可能なキャリアプランを提示するときに、行政書士が同席する。

参照:HACCP

HACCPによる衛生管理は、各原料の受入から製造、製品の出荷までのすべての工程において、食中毒などの健康被害を引き起こす可能性のある危害要因(ハザード)を科学的根拠に基づき管理する方法です。

https://www.n-shokuei.jp/eisei/haccp_a.html

 

参照法令:特定技能外食分野の農林水産大臣告示

(特定技能:外食業分野)告示第2条
外食業分野に係る特定技能雇用契約及び1号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令第2条第1項第13号及び第2項第7号に規定する告示で定める基準は、特定技能雇用契約の相手方となる本邦の公私の機関が次のいずれにも該当することとする。

 略
七 特定技能外国人と特定技能雇用契約を締結するときは、あらかじめ、当該特定技能外国人に対し、当該特定技能外国人のキャリアアップ(職務経験又は職業訓練等の職業能力の開発の機会を通じ、職業能力の向上並びにこれによる将来の職務上の地位及び賃金をはじめとする処遇の向上が図られることをいう。)を図るための計画について書面(その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録を含む。)を交付し、又は提供して説明をすること。
 略

 

参照:特定技能運用要領 外食業分野

【確認対象の書類】
<特定技能1号の場合>
〇試験合格者の場合 ・外食業特定技能1号技能測定試験の合格証明書の写し ・日本語能力を証するものとして次のいずれか
国際交流基金日本語基礎テストの合格証明書の写し
日本語能力試験(N4以上)の合格証明書の写し
*ただし、修了した技能実習2号の職種・作業の種類にかかわらず、技能実習2号を良好に修了した者は、国際交流基金日本語基礎テスト及び日本語能力試験(N4以上)のいずれの試験も免除されます。

〇本要領別表に記載された職種・作業の技能実習2号修了者の場合
・技能実習2号修了時の技能実習評価試験に合格している場合 医療・福祉施設給食製造技能実習評価試験(専門級)の実技試験の合格証明書の写し
・技能実習2号修了時の技能実習評価試験に合格していない場合 技能実習生に関する評価調書(参考様式第1-2号)
*詳細は「特定技能外国人受入れに関する運用要領」の「第4章第1節(3)技能水準に関するもの」を御参照ください。

<特定技能2号の場合>
〇外食業特定技能2号技能測定試験の合格証明書の写し
〇日本語能力試験(N3以上)の合格証明書の写し
https://www.moj.go.jp/isa/content/930004953.pdf

 

参照:外食特定技能2号試験の科目とテキスト

<特定技能2号の場合>
 〇外食業特定技能2号技能測定試験の合格証明書の写し

(引用ここから)引用元:(一社)日本フードサービス協会、https://www.jfnet.or.jp/contents/gaikokujinzai/

外食業技能測定試験学習用テキストについて

(一社)日本フードサービス協会では、外食企業、学識経験者にご協力を頂き、外食業技能測定試験の受験に必要な学習用テキストを作成いたしました。

科目:
 ●接客全般
 ● 飲食物調理
 ●衛生管理
 ●店舗運営

テキスト:
https://www.jfnet.or.jp/contents/gaikokujinzai/

 

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この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人ビザ専門。「手続代理」と、企業や弁護士等専門家向けに「外国人雇用の顧問」実績多数。

 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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