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コラム

製造業特定技能の標準産業分類に修理業が含まれるか

2024年09月13日 コラム

製造業特定技能の標準産業分類に修理業が含まれるか

 

課題: 特定技能外国人雇用にあたって、製造3分野他工業製品製造業における、標準産業分類その他要件の適合性把握をしたい。

その結果、経産省協議会への入会届出を行い、審査をクリアし、出入国在留管理局で在留申請の受理を目指したい。

 

Q. 特定技能の標準産業分類における工業製品製造業に修理業も含まれるか?

含まれる場合、経産省協議会にはどのように提出すればよいのか?

 

 

A. 製造業が全くない修理業と、関連して存在する修理業に分かれます。いずれの場合でも、例外的に認められる場合があります。

つまり例外であるため、原則の考え方をおさえつつ、応用として対応する必要があります。

以下は谷島行政書士法人グループの方法の例です。

 

 

標準産業分類の判定の考え方と、絞り込みの効率的な方法はどのように行うか

 

最初に、総務省の標準産業分類を参照する。企業の該当性を複数でも良いので判断する。ただし、膨大になることがあるため、特定技能の目的のみであればこれは省略可能。

 

次に、「直近で一定の出荷資料がある」標準産業分類の番号を複数ピックアップする。

ただし、これは膨大になることがあることと、特定技能の在留申請で別の要件とかかわるため、少し工夫する。

すなわち、その分類は、特定技能外国人の試験合格や技能実習修了ならびに業務として予定する「業務区分」(例:機械金属加工など)が存在する産業分類について仮説を立てて絞り込むアプローチが理想。協議会に入会できても、働くことができないことを防ぎ、複数あっても、それが「主たる業務区分」となる。

 

三番目に、特定技能の製造3分野その他工業製品製造業の中で存在しているかを特定する。

https://www.sswm.go.jp/entry/classification.html

 

四番目に、製品出荷資料等と機械設備の写真をそろえる。そのように協議会への提出資料を整える。

 

最後に、各資料をレビューし、標準産業分類の番号が合っているか、総合的に確認することが必要。

 

しかし、判定方法にそもそも誤りがあると、数か月の審査の末、認められないこととなる。

また製造業といっても多様であり、判断が難しい。例えば、修理業は製造業に近い場合にどこまで認められるのか?

 

標準産業分類で、修理業は製造業となる場合があるか?

 

原則、修理業のみでは該当しないとされる。

 

総務省 標準産業分類から抜粋

 

専ら機械の修理を行う事業所は大分類R-サービス業(他に分類されないもの)[90]に分類される。

 

 

一部にでも製造といえる工程があるか?

 

部品製造が修理に伴ってあるなら、修理+部品製造なので、製造業となりうる。この標準産業分類では、「修理を専業とするもの」は不可とされる。

 

 2599 各種機械・同部分品製造修理業(注文製造・修理)

 

主として自己又は他人の所有する材料を機械処理して,多種類の機械及び部分品の製造加工及び修理を行う事業所をいう。

これらの事業所は一般に賃加工又は請負加工などを行うものであり,金属工作機械及び他の動力付金属加工機械をすえ付け,多種多様の機械及び部分品の製造加工と修理とを行うものである。

これらの事業所はその業態に特徴があって,製造と修理とを分離しえないので,製品によって分類する一般の分類方法とは別に,修理活動をも含めて本項目を設け,これらの事業所をここに分類する。

 

ただし,専ら機械の修理を行う事業所は大分類R-サービス業(他に分類されないもの)[90]に分類される。

 

可能: 機械・部分品製造修理業(主な製品が定まらないもの);取付具製造請負業(主な製品が定まらないもの);各種機械製造修理業(各種機械の製造と修理を行うもの)

 

不可: 一般機械修理業(修理を専業とするもの)[9011];電気機械器具修理業(修理を専業とするもの)[9021]

 

 

 

 

付随工程で製造業ともいえない。修理業のみでも製造業となり得る場合もあるか:製造業の定義と範囲

 

修理業は原則として、「大分類R-サービス業(他に分類されないもの)[90]」に該当します。ただし、機械や部品の製造業として、修理業はいくつか例外的に認められております。

そもそも標準産業分類の定義は、総務省において、通則が定められております(総務省 標準産業分類 大分類E-製造業 総説)。下記の通り、修理業の例外規定があります。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000290724.pdf

 

(ア) 修理業

 修理を専業としている事業所は製造業とせず,修理業に分類される。また,修理のために同一事業所で補修品を製造している場合も修理業とする。

 

1.  ただし,船舶の修理,鉄道車両の修理又は改造(自家用を除く),航空機及び航空機用原動機のオーバーホールを行う事業所は,過去1年間に製造行為を行っていなくても製造業とする。

 

2. また,機械修理工場といわれるものであっても金属工作機械又は金属加工機械をすえ付け,多種多様な機械及び部分品の製造加工と修理とを行っている場合は製造業とする。

 

これらは,その工場設備からみても製造能力がなければできないことから,特例として製造業とする。

 

 (イ) 賃加工業

 他の業者の所有に属する原材料に加工処理を加えて加工賃を受け取る賃加工業も製造業に分類される。 ただし,直接個々の家庭消費者からの委託による賃加工業は製造業としない。

 略

 

 

 

特定技能の標準産業分類に該当する標準産業分類の特定

次に、どの修理製品の出荷資料があるのかを、業務区分から、特定技能の標準産業分類の中で特定する。

修理であっても、例えば、「25-はん用機械器具製造業(2591を除く)」における「機械刃物2422」として該当するのであれば、前述の機械設備などによって、製造業とされる例外に認められる可能性がある。

「製造である」と考えるならそれで資料作成の上、提出してよい。ただし、中分類「25-はん用機械器具製造業(2591を除く)」であることを確認すべき。

 

 

さらなる方法としての技能実習や特定技能の競合調査

業務区分からのアプローチをしようにも業務区分が不明確な場合も多くあります。この点、工業製品製造業では、競合他社で同一類型の商品を製造している企業があることが通常と思います。その場合、その事業者が技能実習生を雇っているかどうかの調査を行うことも有益です。ただし、これは関係性があれば直接聞くことや、また請負関係から特定していくことが必要となります。

 

さらに、特定技能の観点です。やはり工業製品製造業では、競合他社で同一類型の商品を製造している企業があることが通常と思います。その場合、その事業者が特定技能外国人を雇っているかどうかの調査を行うことも有益です。これは行政文書で調査可能です。

方法がわからない場合、谷島行政書士法人グループにお問い合わせください。

 

 

 

参考:電気用品の例外

 

経済産業省の協議会関係ポータルサイトから抜粋

 

(10) 該当性判断の個別相談ケース⑤(修理業における塗装、溶接等)

 

(質問2-13)当社は中古の機械類を仕入れて、修理及び塗装を行っています。業務区分「機械金属加工」で受入れ可能ですか。

(回答2-13)修理のための塗装や溶接、機械加工等での売上は修理料収入となり、修理業であるため対象外となります。ただし 、届出事業者がPSEマーク(電気用品安全法)を取得している場合は、対象となる可能性がありますので、証明書類に記載をしてください。

 

 

ただし、電気用品安全法はすべての用品を対象にしておりません。「電気用品安全法は、電気用品による危険及び障害の発生の防止を目的とする法律であり、約450品目の電気用品を対象として指定」とされております。

https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/file/06_guide/denan_guide_ver502.pdf

 

電気用品安全法(参考)

 

対象の定義(法第2条)

1 一般用電気工作物(電気事業法 (昭和39年法律第170号)第38条第1項に規定する一般用電気工作物をいう。) の部分となり、又はこれに接続して用いられる機械、器具又は材料であって、政令で定めるもの

2 携帯発電機であって、政令で定めるもの

3 蓄電池であって、政令で定めるもの

 

1.1.3  流通前規制について

 製品流通前のフローを「図2 電気用品安全法の業務手続きフロー(製品流通前)」に示します。次のような法律に基づく手続きと罰則が規定されています。 

事業の届出 (法第3条~第6条) 電気用品に該当する製品の製造又は輸入を行う事業者は、事業の開始の日から30日以内に必要事項を経済産業大臣に届け出なければなりません。事業を承継したとき、事業内容を変更したとき、事業を廃止したときも届出が必要です。[3.事業の届出等(P.28)参照]

 技術基準適合義務等 (法第8条) 次に、届出事業者が、電気用品を製造・輸入する場合は、事業者の責任3で ①設計等が技術基準に適合すること(法第8条第1項) ②製品に対して省令で定める項目の検査の実施、検査結果の記録・保存(法第8条第2項)を義務付けています。[4.技術基準適合義務等(法第8条)(P.60)参照]

 

PSEマーク表示について

PSEマーク表示 (法第10条) 以上の流通前規制に関する義務を届出事業者が果たした証として、届出事業者が電気用品に、 (又は<PS>E)や (又は(PS)E)の表示等を付すことができます。[6.表示(P.74)参照] なお、PSEマークは、このように義務を果たした証として表示できるものであって、「国から取得」したり、「PSE認証取得」するようなものではありません。広告等におけるこれらの記載は、景品表示法に抵触するおそれがあります。  販売の制限 (法第27条) 法第10条によるPSEマーク表示4が付されている電気用品でなければ、原則として、販売、及び販売のための陳列を行うことが禁止されています。

 

 

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この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザ専門。手続代理及びコンプライアンス顧問として、登録支援機関のほか弁護士等の専門家向け顧問の実績多数。

 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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