【東京都創業特区スタートアップビザ】創業計画書で不許可を防ぐポイント
2025年03月07日
経営・管理ビザ会社設立、投資
【東京都創業特区スタートアップビザ】創業計画書で不許可を防ぐポイント

内容
東京都の創業活動特区は、会社設立と事務所賃借前に経営・管理ビザ取得可能 1
経営・管理ビザ6か月が取得できる東京都特区の創業活動確認で不許可はあるのか? 2
不許可になるのは、経営・管理ビザの要件充足の蓋然性がない場合 3
通常の事業計画書と異なる、外国人創業人材受入促進事業特有のポイント 3
通常の事業計画書と同様の「根拠」と「現実的な計画」がポイント 4
創業計画書でよくある誤りと東京都(経営・管理ビザ)創業特区の基準の比較 4
1. 事業内容が曖昧で、収支計画の数字や根拠との不整合 5
2. 東京で事業を行う必然性の説明が不十分 5
3. 資金計画・資金繰りの根拠が弱い 6
4. 事務所や設備など「事業運営体制」が曖昧 6
5. 工程表(スケジュール)や進捗管理の記述が不足 7
6. 事業拡大戦略が不足で、チャネルやプロモーションの言及と費用がない。 7
7. 書類の整合性・文書形式や会計形式の不備 8
8. 事業内容が東京都の政策に合致していない 9
まとめ:東京都創業活動特区における事業計画書のポイント 9
創業活動確認特区の経験豊富な谷島行政書士法人のサービス 9
東京都の創業活動特区は、会社設立と事務所賃借前に経営・管理ビザ取得可能
経営・管理ビザは、通常、以下の要件を満たして申請し、許可されます。
1. 500万円の資本金計上をした会社設立
2. 事業所の賃貸借契約又は購入
しかし例外があります。それは、東京都で創業活動を確認され、その後入管申請をすれば、経営・管理ビザが6か月で許可され、これによって会社設立や事務所賃借前に、経営・管理ビザが許可され、入国ができます。
しかし、その申請では創業計画書(事業計画書)が妥当である必要があります。ここでは、その誤りを防ぐポイントを解説します。
経営・管理ビザ6か月が取得できる東京都特区の創業活動確認で不許可はあるのか?
この答えには、以下のQ&Aがあります。
18.「創業活動」のどのような点を確認するのですか? 創業活動確認がもらえない場合もあるのですか? A. 申請された創業活動計画書等は、6か月の準備期間(創業活動期間)を経て、通常の在留資格「経営・管理」の認定を受ける可能性が高いかという視点から評価を行い、十分な蓋然性があるものについて「創業活動確認」を行います。そのためには、提出する創業活動計画書、あるいは、添付書類には以下のような内容を分かりやすく、盛り込んでいただく必要があります。提出書類等から蓋然性が十分であると認められない場合は、「創業活動確認」を行うことはできません。 どのような事業を行うか?【事業内容】どこで事業を行うか?【事業実施地域】東京のどこに事業所を開設するか?【開設場所】どのような準備、活動を経て事業を始めるか?【事業開始までの具体的計画】事業を始めるまで(創業活動)にどの程度の資金を要するか?その資金をどうやって調達するか?【創業活動資金】(会社を設立する場合は)だれが法人の役員となり、どのような役割を担うか?【法人役員】どの程度の規模の事業を行うか?【事業規模】事業を始めるまで(創業活動)の期間の住居は確保されているか?生活するための資金は足りているか?【居住地、生活資金】 |
東京都HP、創業活動計画書の記入ポイント、https://www.investtokyo.metro.tokyo.lg.jp/jp/oursupports/bdc-tokyo/fhr-points.html
これによると、通常の在留資格「経営・管理」、つまり1年の経営・管理ビザの認定を受ける可能性が高いと評価されれば創業活動確認を受けることができるとされております。
逆に言うと、経営・管理ビザ1年の許可見込みが高くない場合は、東京都の創業活動確認も不許可になるということになります。
不許可になるのは、経営・管理ビザの要件充足の蓋然性がない場合
上記の行政による回答から、経営・管理の要件について、蓋然性が重要となります。
それでは、具体的に「蓋然性」とは何でしょうか。それは、確実性より低く、可能性より高い、「可能の程度」が蓋然性と思って頂ければわかりやすいと思います。
簡単に言えば、この蓋然性が必要なのは、在留資格「経営・管理」の要件等となります。
通常の事業計画書と異なる、外国人創業人材受入促進事業特有のポイント
「経営・管理」要件に係る蓋然性には、「500万円の資本金」要件や、「常勤職員2名」の要件で足りると思っている方もいらっしゃいます。
あるいは事業所の確保ということもその一つです。
しかし、在留資格該当性という要件で、その経営活動の「安定性・継続性」が求められます。
さらには事業の「安定性・継続性」が必要となります(在留審査要領第12編)。
その蓋然性が認められない場合、東京都による確認がされずに終わった事例も一定数あります。不確認、つまり不許可です。
それを防ぐためには、上記の通り、最低でも以下の要件を満たす「蓋然性」が必要です。
1. 在留資格該当性
a. その経営活動の「安定性・継続性」
b. その事業の「安定性・継続性」
2. 基準省令適合性
a. 「500万円の資本金」又は「常勤職員2名」
b. 事業所の確保
独立区画
使用権原の適切性
表示
その他
上記の基準に関して、事業の安定性などの蓋然性は、計画で判断されます。
それらが要件として不許可を防ぐポイントです。では、具体的にどのように事業計画するのでしょうか。
通常の事業計画書と同様の「根拠」と「現実的な計画」がポイント
具体的に、一定の根拠に基づく創業計画書であることが必要です。
この点、通常の事業計画書に近い点が事業の安定性・継続性の蓋然性につながります。それは債務超過や赤字の基準があるからです。
通常の事業計画書は、資金調達に使われることが多いです。その目的は、外部の者に事業の有望性をアピールすることです。ステークホルダーはそれを加味して、投資や融資を行います。
本件東京都の創業特区でも、創業計画書の基準として、利益計画等に以下の基準があります。
ある程度の根拠を踏まえて、想定している事業や顧客の性質(例えば、平均単価、顧客数)に即した数字を入れてください。 |
上記のような経営数値などに根拠をもって計画書とすることが必要です。
さらに、通常の事業計画書と同様に、経営者の素養を活かした事業であることや、工程、資金繰りなどが現実的であることも重要です。
創業計画書でよくある誤りと東京都(経営・管理ビザ)創業特区の基準の比較
以下に、よくある誤りと、その対応する基準低所、さらには修正方法も提示していきます。
1. 事業内容が曖昧で、収支計画の数字や根拠との不整合
よくある誤り
「将来日本で事業を大きくしたい」「世界に展開したい」といった抽象的な文言のみで、具体的な販売方法・収益モデル・取引先などの記載が乏しい
単に「ネット販売を行う」だけの記述になり、仕入元や集客・販売戦略の詳細が示されていない
東京都基準のどこに抵触?
[東京都の基準] ポイントA(事業の具体性・計画の実現可能性)
事業の内容・モデルが具体的で、かつ収支計画における収益獲得の見通しを合理的に示すことが求められています。
どう修正すべき?
取扱商品やサービスの特徴、仕入先、主要顧客・販売チャネル、単価設定などを明確に記載し、事業が成立する根拠を数字やエビデンスを交えて示しましょう。
「ネット販売」を行う場合には、具体的にどのECサイトを利用するのか、SNSでの広告戦略はどうするか、といったプロセスを書くと説得力が高まります。
さらにその収支計画とリンクしていることが重要です。
2. 東京で事業を行う必然性の説明が不十分
よくある誤り
「日本の首都だから」「ビジネスチャンスが多いから」など一般論のみで、なぜ自分の事業にとって東京が最適か分からない。
大阪や名古屋、福岡でもよさそうな内容なのに、東京を選んだ具体的な理由がない。
東京都基準のどこに抵触?
[東京都の基準] ポイント(東京で事業を営む必然性・優位性)
なぜ東京都を拠点にする必要があるのか、東京特有の市場規模・拠点性・ネットワークなどを踏まえて説明することが求められます。
どう修正すべき?
東京にある取引先・サプライヤー・専門家ネットワークとの連携や、展示会・国際見本市が集中している利点などを挙げ、自社の事業と関連付けて記載しましょう。
例:「都内の大手卸業者と既に商談が進んでいる」「海外バイヤーが集まる展示会がある」など。
3. 資金計画・資金繰りの根拠が弱い
よくある誤り
開業資金の出所が曖昧で、「両親から援助を受ける予定」などと記載しているものの、実際の送金計画や銀行口座の準備が説明されていない。
利益計画が大きくプラスの数字で書かれているが、初期コストや販路開拓費用などが考慮されていない。
資金繰り表が単なる形式的な記載にとどまり、売上回収サイト・仕入支払サイトの計画性がない。
東京都基準のどこに抵触?
[東京都の基準] ポイント(資金計画の妥当性・十分性)
開業資金や運転資金の額・出所が明確であること、資金不足に陥らない根拠が示されていることが求められます。
どう修正すべき?
「開業時に日本の銀行口座へ〇〇円送金済」「〇〇銀行に融資申し込み予定」といった形で、自己資金の所在や融資の見通しを具体的に示しましょう。
売上の根拠(既存取引先との取引見込み、1件あたりの平均注文額など)や、物流・広告費といった具体的コストを記載して、収支のバランスを現実的に設定する必要があります。
4. 事務所や設備など「事業運営体制」が曖昧
よくある誤り
事務所として自宅を使う予定としか書かれておらず、専用の事業所として認められるか不明確。
貿易業を行うのに、必要な倉庫・物流拠点をどう確保するか不明。
従業員を雇うと記載しているが、採用計画や雇用条件が全く書かれていない。
東京都基準のどこに抵触?
[東京都の基準] ポイント(事業運営体制の整備)
創業にあたってライセンス・従業員等が適切に確保される見込みかどうか、具体的に示す必要があります。
どう修正すべき?
「202X年〇月に東京都〇〇区の事務所を賃貸契約し、専用オフィスとして使用予定」など、物理的に事業所を確保する計画を明示しましょう。
従業員の採用時期・人数・予算を大まかに記載し、将来的に拡大する見込みを示すのも有効です。
5. 工程表(スケジュール)や進捗管理の記述が不足
よくある誤り
6か月間の計画を書くよう求められているのに、「年内に準備する」「来年以降始める」などざっくりとしか書かれていない。
行政のフォローアップ(3回の面談など)への対応が書かれていないため、進捗管理の方法が不明。
東京都基準のどこに抵触?
[東京都の基準] ポイント(進捗管理(工程表)の妥当性)
申請から半年間の具体的な活動内容を月ごとなどで示し、どのように事業を軌道に乗せるかの計画を提出する必要があります。
どう修正すべき?
「202X年〇月:事務所契約」「〇月:法人登記」「〇月:初回の在留資格チェック」など、具体的な月単位の行動目標を明記します。
東京都の進捗確認(フォローアップ)のタイミングに合わせて、事務所開設や営業活動の進捗を報告する旨も書いておくと良いでしょう。
6. 事業拡大戦略が不足で、チャネルやプロモーションの言及と費用がない。
よくある誤り
「インバウンドで国内の顧客をターゲットに売上を伸ばす」と書いてある一方で、具体的に都内でどの業種を狙うのか、また他地域との差別化が書かれていない。
外国人向け観光サービスや輸出入に注力すると言いながら、肝心の国際ネットワークやターゲット市場の情報が不足している。
東京都基準のどこに抵触?
[東京都の基準] ポイント(事業の具体性) と ポイント(東京で事業を営む必然性)
東京を拠点にする意義として、海外と繋がりやすい市場特性をどう活かすかが重視されます。
どう修正すべき?
実際にターゲットとする業界(例:都内のホテル・飲食店・小売チェーン)や海外バイヤーとの商談ルートなどを具体的に示しましょう。
海外顧客を対象とする場合は、言語対応やSNS広告戦略などを記載し、「東京から世界へ」という展開シナリオを明示します。
その類型に応じた費用を売上計画の数字としても記載が必要です。
7. 書類の整合性・文書形式や会計形式の不備
よくある誤り
創業計画書の表記ゆれや誤字脱字が多い、売上計画と資金繰り表の数値が矛盾している。
Wordテンプレートに正しく入力されていない、行間・章立てが乱れていて読みにくい。
会計の項目も「その他」などで包括的に可能です。したがって、「漏れなくダブりなく」までは不要です。
しかし勘定科目またはそれに近い名称があった方がよいです。なぜなら最終的に入管で判断する決算書や売り上げ計画における科目は通常の会計を取り入れているからです。
東京都基準のどこに抵触?
直接的には基準のどこに違反というわけではありませんが、提出書類としての「可読性」「整合性」が低いと、審査官が内容を理解しづらくなります。
どう修正すべき?
必ず最終チェックを行い、誤字脱字や数値整合性(売上・コスト・利益)が合っているかを確認してください。
公的機関への提出書類ですので、形式面でも整った文書に仕上げることが望ましいです。
8. 事業内容が東京都の政策に合致していない
2025年2月現在、東京都は、国際的な金融都市となる政策を採っております。
その他、力を入れる出生・子育てや情報系通信等の事業にも力を入れております。これらは、東京都の他の特区としてのビザの政策でも色濃く反映されている点で一般人でも把握できます。
これに沿っていれば積極的に創業活動確認をされることが多くなると経験則で感じます。弊社の事例では、AIや教育などが挙げられます。
一方で、経営・管理ビザで典型的な貿易などでも、趣旨に沿っていれば可能です。
しかし、逆に沿っていないものは難しくなりえます。例えば、「アダルトグッズ」などの貿易は不許可事例があります。
まとめ:東京都創業活動特区における事業計画書のポイント
外国人の方が東京都で創業(経営管理ビザ)を取得するには、経営・管理ビザ要件である事業の安定性・継続性などに関して、蓋然性が問われます。
その際、以下が特に重視されます。
1.事業計画の明確さ
2.経験などの裏付け
3.東京拠点の必然性
4.具体的な売上計画
5.進捗管理の適切さ
不明確や誤りとされやすいポイントをチェックしながら、具体的な根拠や数値で裏付けることが大切です。今回挙げた事例以外にも、各事業の特性や規制の違いに応じて必要な対策が異なりますので、行政書士に相談し、最新の要件を満たした計画書を作成するようにしてください。
創業活動確認特区の経験豊富な谷島行政書士法人のサービス
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この記事の監修者

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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人ビザ専門。「手続代理」と、企業や弁護士等専門家向けに「外国人雇用の顧問」実績多数。
- 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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