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コラム
2024年09月13日 コラム
新設会社で外国人経営者を高度専門職1号ハで招へいする場合
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新設会社で外国人経営者を高度専門職1号ハで招へいした事例 |
事例解説 |
#経営者 #人事 #行政書士 |
#人事向け #経営者向け #コンプライアンス #経営・管理 #高度専門職1号ハ |
ケーススタディ:
中国で大学を卒業後、アメリカで大学院を修了し、アメリカのメディア業界で長く活動されている中国人の経営者の方が、日本に会社を設立して、日本で出版や動画配信をしたい。そのため、会社を設立後、高度専門職1号ハの在留資格認定証明書交付申請をすることになりました。 |
Q. 経営者に関するビザには「経営・管理」もあります。「高度専門職1号ハ」ビザは「経営・管理」ビザと違うのでしょうか。
会社設立は別の機会に譲ることにし、今回は高度専門職1号ハの認定申請で問題になったことに焦点を当てて述べます。
問題:
1.高度専門職1号ハの要件は?
2.経営・管理の要件、特に新設会社の事業の安定性・継続性の立証方法
3.高度専門職特有の問題は?
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高度専門職1号ハの要件は?-その考え方-
「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(平成2年5月24日法務省令第16号)」(以下「基準省令」という)の「高度専門職」には、「経営・管理」の項の下欄に掲げる活動に該当し、かつ、この表の当該活動の項の下欄に掲げる基準に適合することを定めています。
したがって、「経営・管理」の要件に該当し、かつ「高度専門職1号ハ」の要件に該当する必要があります。
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経営・管理の要件、特に新設会社の事業の安定性・継続性の立証方法
経営者の場合、「経営・管理」の主要な要件として、次のものがあります。
- 事業所が日本国内に確保されていること
- 一定以上の事業規模(常勤職員2名以上又は資本金500万円以上)を満たすこと
- 事業の適正性・安定性・継続性
- 日本で安定的に生活を送れるだけの収入見込があること
このような事案では、1と2は特に問題が無く、問題になった3と4について述べます。
(1)事業の適正性・安定性・継続性
新設会社は実績がありませんので、事業計画や収支予測により自社の事業の適正性・安定性・継続性を主張します。その際、自社に有利な諸般の事情を主張し、裏付けとなる資料を示します。
入管庁も「「経営・管理」の在留資格の明確化等について」において、事業の継続性について、「総合的に判断することが必要である」と述べており、諸般の事情を総合的に審査して、事業の継続性が判断されると思料します。
このような事案では事業計画と収支予測を作り、その中で以下の有利な事情を主張し、その裏付け資料も提出いたしました。
本件での有利な事情
・過去20年以上の出版放送や動画配信の実績
・人脈の広さ、資金的な余力
・過去のコンテンツの量
・SNSのフォロワーや「いいね」の数の多さ
・住所とは別に、専用設備を備えたスタジオを確保
・申請人は大学で日本語学を専攻して卒業し、日本語を使用して取材、出版、放送、動画配信ができること。アメリカの大学院を修了。英語、中国語、日本語の使用を想定。
・日本で出版放送や動画配信を行う動機や理由(決意の強さ)
(2)日本で安定的に生活を送れるだけの収入見込があること
「経営・管理」は就労ビザの一つとして、日本で安定的に生活を送れるだけの収入見込があることが求められます。
経営者としての平均的な報酬額以上であることが望ましく、そして同時に高度専門職1号ハの要件の予想年収額300万円以上を満たす必要があります。本件では月額報酬をそれより多めにして適合させました。
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高度専門職特有の問題は?
高度専門職1号ハの特有の問題としまして、「出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令(平成26年法務省令第37号)」(以下「高度専門職省令」という)の基準にも適合し、これで基準となる70点以上を取得していることが必要です。
そして、各基準について定められた資料、例えば、在職証明書や卒業証明書等の資料を提出します。
このような事案では、各証明書の名宛人が同一であることを証明することが問題になります。どういうことかと言いますと、長年月の間に各証明書が発行されたため、その間に以下のような証明書上の姓名に変化が生じます。
本件で姓名に変化が生じる例
・中国語表記と英語表記の表記方法の違い
・欧米人に理解し易いニックネームの使用
・婚姻による英語表記のfamily nameの変更
・他国への帰化による姓名の変更
このような事案では時系列に従って、各証明書で使用された名宛人の姓名を示しつつ、説明を加える方法により、各証明書の名宛人の同一人性を証明します。
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結論
近年、日本で会社を設立して事業を経営したいと考える外国人経営者は多くなっています。そして、5年ビザの特典がある高度専門職1号ハのビザを希望される外国人経営者も多くなっています。将来の高度専門職2号や永住者を考えますと、高度専門職1号ハのビザを取るニーズがあります。
様々な事情に基づき、いつ、どのような内容で高度専門職1号ハの申請をするかを決める方針決定が重要です。
弊社谷島行政書士法人グループには、そのようなニーズから御依頼を考えられる外国人経営者のクライアント様も多くいらっしゃいます。ぜひご相談ください。
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この記事の監修者
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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザ専門。手続代理及びコンプライアンス顧問として、登録支援機関のほか弁護士等の専門家向け顧問の実績多数。
- 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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