スタートアップビザと経営・管理ビザ:外国人起業活動(特定活動44号)のメリット・デメリット徹底解説
2025年03月04日
技術・人文知識・国際業務
スタートアップビザと経営・管理ビザ:外国人起業活動(特定活動44号)のメリット・デメリット徹底解説

スタートアップビザと経営・管理ビザ:外国人起業活動(特定活動44号)のメリット・デメリット徹底解説
内容
起業活動スタートアップビザ制度による特定活動44号のメリット… 4
創業特区スタートアップビザ制度による経営・管理ビザ6か月のメリット… 5
外国人起業活動のスタートアップビザが全国展開
外国人起業活動は、これまで東京都の創業特区など一定の区域や、一定の範囲、さらには6か月などの上限期間として可能でした。
今回、スタートアップビザであるそれら創業特区は、経済産業省による外国人起業活動管理支援計画による「特定活動44号」が統合され、全国で可能となりました。
外国人起業活動管理支援計画による「特定活動44号ビザ」で可能な活動
特定活動44号とは、日本で会社設立や事務所確保するなどの起業活動を行う間、滞在可能な在留資格です。
さらに経営開始後の活動も可能であり、活動に付随して報酬を得ることもできます。
この期間は、2年上限となっております。
各自治体は、経済産業大臣から認定を受けた外国人企業活動管理支援計画に基づき、起業家を支援します。
起業家は、起業準備活動の確認という許認可を受けて、本制度の適用を受けることになります。ここでは、主に東京都を想定して解説します。
東京都のスタートアップビザとしての特定活動44号
2025年3月3日に経産省の事業に、東京都等の創業特区が統合された新制度が開始しました。
伴って、2025年3月31日以降は、従来の方法が使えなくなります。最近の弊社での申請時もアナウンスがなかったため、外国人起業家と行政書士は、経産省事業(特定活動告示44号)への移行により従来の創業特区が使えなくなることに注意が必要です。
経営・管理ビザに変更可能
特定活動44号の上限期間内に経営・管理ビザを申請し、変更許可されることで、本来の経営・管理ビザが取得できます。
その後、永住や帰化も可能となります。
法令根拠
特定活動告示
四十四 経済産業大臣が認定した外国人起業活動管理支援計画(外国人起業活動促進事業に関する告示(平成三十年経済産業省告示第二百五十六号)にいう外国人起業活動管理支援計画をいう。)に基づき、起業準備活動計画(同告示にいう起業準備活動計画をいう。)の確認を受けた者が、二年を超えない期間で、本邦において当該起業準備活動計画に係る貿易その他の事業の経営を開始するために必要な事業所の確保その他の準備行為を行う活動及び当該活動に附随して行う報酬を受ける活動又は本邦において当該起業準備活動計画に係る貿易その他の事業の経営を開始した後引き続き当該事業の経営を行う活動(風俗営業活動を除く。) |
経営・管理ビザとは
経営・管理ビザは、外国人が日本で事業を経営または管理する際に必要となる在留資格です。このビザを取得することで、日本国内で新たに事業を開始し、又は既存の事業に参画して経営・管理に従事することが可能となります。
経営・管理ビザの取得条件
- 事業所の確保:日本国内に独立した事務所を用意する必要があります。
- 資本金:最低500万円以上の資本金が求められます。
- 事業計画の具体性:実現可能性の高い詳細な事業計画書を作成し、提出する必要があります。
これらの条件を満たした上で申請を行い、審査期間は通常4ヶ月から6ヶ月程度かかります。審査では、事業計画の具体性や資金の出所、事務所の実態などが厳しくチェックされ、不許可となるケースも少なくありません。
東京創業特区スタートアップビザとは
東京創業特区スタートアップビザは、東京都が国家戦略特区という国の許認可を受けて提供している特別な経営・管理ビザの緩和制度です。外国人起業家が日本で事業を開始しやすくするために設けられたもので、通常の経営・管理ビザとは異なる特徴を持っています。
東京都全域は外国人創業特区となっており、特別な「経営・管理ビザ6か月」が取得可能でしたが、2025年3月31日で終了することになりました。
起業活動スタートアップビザの特徴と取得条件
- 初回の在留期間:6ヶ月間の特定活動ビザが付与されます。
- 更新:その後更新して、1年の起業準備が可能です。
- 進捗確認、面談:東京都が事業計画の進捗報告や事務所視察、出頭面談を求めることがありますが、いずれも行政書士がサポート可能です。
- 経営経験、学歴:申請者には、過去の経営経験が求められる場合がありますが、大学卒業などや実務経験でも可能です。
- 家族滞在:可能です。配偶者に限らず子どもも可能です。
創業スタートアップビザの特徴と取得条件
- 初回の在留期間:6ヶ月間の経営・管理ビザが付与されます。
- 進捗確認、面談:東京都が事業計画の進捗報告や事務所視察、出頭面談を求めます。しかし、いずれも行政書士がサポート可能です。
- 経営経験:申請者には、過去の経営経験が求められる場合があります。
- 家族滞在:可能です。配偶者に限らず子どもも可能で、通常の家族滞在と期間以外は同じです。
起業活動スタートアップビザ制度による特定活動44号のメリット
通常の経営・管理ビザと比べて、以下のメリットがあります。
審査期間
通常の経営・管理ビザより、早く許可を見込むことができます。審査期間が早いということは、審査中に事業開始できない期間の事務所家賃などのコストなども抑えることができます。
具体的には、スタートアップビザの審査期間は合計で約2ヶ月から4ヶ月と、通常の経営・管理ビザよりも短縮されています。
事業開始スピード
特定活動ビザでは、すぐに事業ができませんが、変更許可申請で可能となります。指定書に従うことになります。そうすることで機会損失を減らすことができます。
銀行口座開設
経営・管理ビザがあれば入国ができるため、銀行口座開設もできます。
会社設立
在留カードがあれば、日本に住所があり、かつ印鑑証明書が取得できる、つまり印鑑登録できるため、すぐに会社設立ができます。
更新
初回の6ヶ月間のビザ取得後、要件充足ができれば、1年の経営・管理ビザへの更新が可能で、その後も3年、5年といった長期のビザが可能です。
ただし、最初の更新許可申請は、実質の変更許可申請に近い程度の手間が必要です。
永住・帰化
最終的には永住許可も帰化も可能です。
創業特区スタートアップビザ制度による経営・管理ビザ6か月のメリット
通常の経営・管理ビザと比べて、以下のメリットがあります。
審査期間
通常の経営・管理ビザより、早く許可を見込むことができます。審査期間が早いということは、審査中に事業開始できない期間の事務所家賃などのコストなども抑えることができます。
具体的には、スタートアップビザの審査期間は合計で約2ヶ月から4ヶ月と、通常の経営・管理ビザよりも短縮されています。
事業開始スピード
経営・管理ビザ6か月許可でも、すぐに事業開始できます。そうすることで機会損失を減らすことができます。
銀行口座開設
経営・管理ビザがあれば入国ができるため、銀行口座開設もできます。
会社設立
在留カードがあれば、日本に住所があり、かつ印鑑証明書が取得できる、つまり印鑑登録できるため、すぐに会社設立ができます。
更新
初回の6ヶ月間のビザ取得後、要件充足ができれば、1年の経営・管理ビザへの更新が可能で、その後も3年、5年といった長期のビザが可能です。
ただし、最初の更新許可申請は、実質の変更許可申請に近い程度の手間が必要です。
永住・帰化
最終的には永住許可も帰化も可能です。
以上のように、日本で起業を考える外国人の方にとって、適切なビザの選択は事業の成功に直結する重要なポイントです。しかし、それぞれが向いているかどうかを判断しないと、不許可や長期審査のリスクがあります。
したがって、以下に「通常の経営・管理ビザ」と「東京創業特区スタートアップビザ」について、各メリット・デメリットを詳しく解説し、それぞれの特徴や取得条件を整理します。
メリット・デメリットの比較
以下に、通常の経営・管理ビザと東京創業特区スタートアップビザのメリット・デメリットをまとめた比較表を示します。
項目 |
通常の経営・管理ビザ |
告示44号スタートアップ特定活動ビザ |
東京創業特区のスタートアップ経営・管理ビザ |
初回在留期間 |
1年、3年、5年 |
6ヶ月 その後「経営・管理ビザ」変更可能 |
6ヶ月 |
審査期間 |
約4ヶ月~6ヶ月 |
約2ヶ月~4ヶ月 |
約2ヶ月~4ヶ月 |
資本金要件 |
事実上、申請前に会社設立し、資本金500万円以上 |
入国後又は変更許可後でも可能: |
入国後又は変更許可後でも可能: |
事務所の確保 |
事実上、申請前に必須 |
入国後又は変更許可後の賃貸借でも可能 |
入国後又は変更許可後の賃貸借でも可能 |
経営経験 |
必須ではないが、あると有利 |
・大学等卒業や実務経験でも可能 ・過去の東京都では、事実上、必須(ない場合に不許可事例が多い) |
事実上、必須(ない場合に不許可事例が多い) |
更新 |
事業の実績により可能: |
6ヶ月後、経営・管理ビザに変更要件を満たさない場合、更新可能。 その後、1年、3年、5年許可 |
6ヶ月後に1年ビザへの更新し、その後、1年、3年、5年許可 |
永住 |
1年から10年で永住許可も可能 |
経営・管理ビザ許可後、1年から10年で永住許可も可能 |
1年許可後、1年から10年で永住許可も可能 |
帰化 |
3年から5年で帰化も可能 |
経営・管理ビザ1年許可後、3年から5年で帰化も可能 |
1年許可後、3年から5年で帰化も可能 |
CATEGORY
この記事の監修者

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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人ビザ専門。「手続代理」と、企業や弁護士等専門家向けに「外国人雇用の顧問」実績多数。
- 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他