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2024年11月28日 コラム
「技術・人文知識・国際業務」の「翻訳、通訳」:どのような学歴・経験、どの程度の専門性で許可されるか
「技術・人文知識・国際業務」の在留申請時、「翻訳、通訳」で許可される基準と事例
「技術・人文知識・国際業務」は就労ビザの中で最もポピュラーな在留資格の一つです。中でも「国際業務」における「翻訳、通訳」はどの程度で国際業務と評価され許可されるかというわかりにくさがあります。
これは受け入れる会社も外国人も、転職前後にそのまま活動が可能か、あるいは手続が生じるかを自社または行政書士に相談し判断するため、長年悩ましいポイントです。谷島行政書士グループでも、このような事例は多く存在することから行政書士への依頼や顧問相談のニーズも多くあります。
そのため、本記事では、「国際業務」、「翻訳、通訳」とは何かを明らかにして、そのうえで許可や不許可の事例を判断できる基準を示します。
「技術・人文知識・国際業務」における国際業務
「技術・人文知識・国際業務」における「国際業務」はどこまで認められるか、またその根拠、頻発事例を網羅して解説してまいります。
「技術・人文知識・国際業務」における国際業務の定義規定
国際業務とはなにか。この答えは法令上明らかです。まず、入管法別表第一の二では以下の通りです。
原則:「外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務」
例外:「技術・人文知識・国際業務」の活動から教授、芸術、報道、経営・管理、医療、研究、教育、企業内転勤、介護、興行の活動は除かれる(選択的ではない)。
ただし、企業内転勤の場合は選択的に申請ができる運用が可能となっている現状にあります(2024年11月時点)
入管法では活動の要件が定められていますが、さらに外国人の許可要件を定めるのは、入管法から委任された、いわゆる「上陸基準省令」であり、それにも定義規定があります。上陸基準省令では、「申請人が外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務」とされており、「若しくは」を除き同じ規定です。
なお、上陸基準省令とは、上陸時以外の基準でも使われるため、基本的に必須の基準を定めた法令です。行政書士にとっては毎日参照し、記憶している法令です。
国際業務の頻発類型「翻訳、通訳、語学指導」とその他の「類する」範囲
国際業務の範囲は広いです。例えば、翻訳、通訳、語学指導が代表的な業務です。その他、広報や海外取引業務、服飾なども明示されております。
しかし、これらは入管法上「又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発」その他として「類する業務」も該当性範囲となるため、限定列挙された業務のみ可能というものではなく、「類する」ものとして国際業務の定義に当てはまれば十分可能とされます。
ただし、広い範囲となるかどうかについて、「翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝」を除くことに注意するべきです。入管法上は「又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発」に類するものが法令上明示された業務範囲です(入管関係法大全第2巻(第2版))。したがって、業務内容の説明を「外国語対応業務」とする場合は、「翻訳、通訳」に類するものであっても除外され、許可率が高い申請とならない解釈がされることに注意が必要です。
なお、翻訳と通訳は業務の類似性から、多くの場面でワンセットとして使われます。ワンセットで使われるメリットは専門性を有する業務が少ないと不許可になることが理由とも考えられます。
専攻科目との関連性が不要な「国際業務」
「技術・人文知識・国際業務」申請をする外国人は、「国際業務」の場合、専攻科目との関連性が不要とされております。「技術・人文知識・国際業務」のうち、「技術」「人文知識」では必要な、専攻科目との関連性と比較すると、要件が緩和的である「国際業務」が使われやすいという特徴があります。ただし、国際業務の場合は実務経験3年以上が必要なのですが、それも緩和される例外があります。
大卒は実務経験3年も免除可能な「翻訳、通訳、又は語学の指導」
「技術・人文知識・国際業務」申請時、大学卒業の外国人は、「翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務」の場合、その業務に関連する実務経験3年が不要とされております。「技術・人文知識・国際業務」のうち、「技術」「人文知識」類型は関連した実務経験は不要であるものの、それらと異なり、また専攻科目の要件も不要であるため、「翻訳」「通訳」が申請時の業務内容として多く使われます。
これらが国際業務における翻訳・通訳の特徴です。
参照条文:
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)
技術・人文知識・国際業務 |
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで及び企業内転勤の項から興行の項までの下欄に掲げる活動を除く。) |
「上陸基準省令」(出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(平成二年法務省令第十六号))
法別表第一の二の表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動 | ~略~ 二 申請人が外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。 イ 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。 ロ 従事しようとする業務に関連する業務について三年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りでない。 |
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この記事の監修者
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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人ビザ専門。「手続代理」と、企業や弁護士等専門家向けに「外国人雇用の顧問」実績多数。
- 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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