コラム
2024年12月26日 高度専門職ビザ
「高度専門職」の複合的な就労とその配偶者の就労ビザ「特定活動33号・34号」
コンテンツ
このページでわかることは以下の通りです。
1. 「高度専門職」とは 2. 高度専門職の配偶者の就労と「技術・人文知識・国際業務ビザ」の比較 |
外国人の就労ビザ「高度人材」と「高度専門職」とは
2012年5月7日から高度外国人材の受入れを促進するため,高度外国人材に対しポイント制を活用した出入国在留管理上の優遇措置を講ずる制度を導入しました。これが「高度人材」と呼ばれる就労ビザであり、これらは「特定活動」の在留資格で許可されていました。
その後、在留資格として「高度専門職1号」と「高度専門職2号」の在留資格が創設されました。
したがって「高度専門職1号・2号」と当時の「高度人材」としての「特定活動」を含めて「高度人材」と呼ばれております。
さらに「技術・人文知識・国際業務ビザ」でも高度専門職のポイント計算を満たす者についても、「高度人材」と呼ぶことがあります。
概要として、これらの高度専門職の在留資格は、通常の「技術・人文知識・国際業務」在留資格とは異なり、より高い専門性を求めるため、求められる学歴や職歴の基準が厳しく、ポイント計算により70点以上であることと、それらの疎明資料が必要です。
高度人材ポイント制は、日本の経済成長等に貢献することが期待されている高度な能力や資質を持つ外国人を対象に、「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」及び「高度経営・管理活動」の3つの活動類型を設定し、それぞれの活動の特性に応じて、「学歴」、「職歴」、「年収」といった項目ごとにポイントを設け、その合計が70点以上に達し、かつ、年収が一定額以上であること等の要件に該当した外国人を「高度外国人材」と認定し、認定した者には、複合的な在留活動を許容するなどの出入国管理上の優遇措置を認めるものとなっている。 |
総務省「政策効果等の把握の結果」:https://www.soumu.go.jp/main_content/000627729.pdf
「高度専門職」の優遇措置
さらに在留期間「5年」の付与、在留歴に係る永住許可要件の緩和、配偶者の就労、一定の条件の下での親の帯同、 一定の条件の下での家事使用人の帯同などがあり、以下の通りです。
3 出入国在留管理上の優遇措置の内容 「高度専門職1号」の場合 「高度専門職2号」の場合 |
入管庁HP: https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/newimmiact_3_system_index.html
高度専門職1号イ、ロ、ハで可能な複合的な就労・経営活動の違い
高度専門職1号の場合、 複合的な在留活動が可能です。ただし、主たる活動に「併せて」という規定であり、「関連する事業」であることも必要です。
さらに所属機関について指定書が出ることに注意が必要です。したがって転職は自由ではありません。
そのうえ、イ、ロ、ハのそれぞれによって可能な業務が異なります。それは、関連活動についても異なります。
例えば、イ以外は、経営活動しかできません。
高度専門職1号イ:高度研究の関連事業と関連研究・教育 高度専門職1号ロ:高度専門技術の関連事業 高度専門職1号ハ:高度経営の関連事業 |
「高度専門職2号」の複合的な就労活動
「高度専門職2号」は「高度専門職1号」で3年以上活動を行っていたことが必要です。
高度専門職2号の場合、 高度専門職2号二の類型では「高度専門職1号」の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動を行うことができます。さらに在留期間が無期限となります。活動内容の法令規定は以下の通りです。
高度専門職2号イ 高度専門職2号ロ 高度専門職2号ハ 高度専門職2号ニ |
高度専門職の配偶者の活動(特定活動告示33号)
特定活動告示三十三条によると、高度専門職外国人の配偶者は、当該外国人と同居している場合に、一定の条件を満たせば、日本の公私の機関との契約に基づき、就労が認められます。この場合、配偶者が従事する業務に対して、日本人と同等の報酬を受け取ることが求められます。さらに、この活動は別表第五に掲げられた特定の業務に該当する必要があります。これにより、高度専門職の配偶者は、日本で一定の業務に従事し、安定した収入を得ることが可能となります。
特別高度人材の配偶者(特定活動告示33号の2)
より高度な専門性を持つ「特別高度人材」の配偶者については、特定活動告示三十三の二が適用されます。この場合、特別高度人材に該当する高度専門職外国人の配偶者が、同じく公私の機関との契約に基づき、日本人と同等の報酬を受けて就労することができます。
ただし、これも別表第五の二に掲げられた特定の活動に従事することが必要です。この規定は、特別高度人材の配偶者は、さらに広範な業務範囲で日本での就労が可能でその活動の幅も広がります。
高度専門職を持つ外国人の配偶者は、「技術・人文知識・国際業務ビザ」在留資格の配偶者と比較しても、いくつかの面で優遇されています。例えば、「技術・人文知識・国際業務ビザ」の在留資格の場合、配偶者が週28時間を超えて日本で働くためには、一定の学歴や職歴要件を満たす必要がありますが、高度専門職の場合、これらの要件が不要になります。
そのため、高度専門職の配偶者は、よりスムーズに日本で就労することができるようになります。
結論
高度専門職は外国人本人にとってだけでなく、その配偶者にも多くのメリットがあります。配偶者の就労が容易になり、生活面でも安定しやすく、家族は日本での生活をより充実させることができます。
高度専門職である外国人は永住許可が早く可能となりますが、さらにその配偶者も広くかつ多く就労しながら付随して永住許可要件を満たすことができます。
参照法令:高度専門職および特別高度人材配偶者の告示
(高度専門職の配偶者)特定活動告示: 三十三 高度専門職外国人の配偶者(当該高度専門職外国人と同居する者に限る。)が、本邦の公私の機関との契約に基づいて、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けて行う別表第五に掲げるいずれかの活動 別表第五
(特別高度人材の配偶者)特定活動告示: (特別高度人材) 別表第五の二 一 本邦の大学若しくはこれに準ずる機関又は高等専門学校において研究、研究の指導又は教育をする活動 |
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この記事の監修者
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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人ビザ専門。「手続代理」と、企業や弁護士等専門家向けに「外国人雇用の顧問」実績多数。
- 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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