【その2】高度専門職1号の転職や会社設立のための問題と、永住その他の在留資格変更による解決の模索
2025年05月31日
永住企業内転勤会社設立、投資
【その2】高度専門職1号の転職や会社設立のための問題と、永住その他の在留資格変更による解決の模索

【Q3】新しい就職先が見つかり内定をいただき、変更手続をして新しい在留資格を取得すること以外に日本に滞在する方法はありませんか?
3、新しい就職先が見つかり内定をいただき、変更手続をして新しい在留資格を取得すること以外に日本に滞在する方法はありませんか?
回答: 現在の状況において、日本に継続して長期滞在し、活動を行うことを前提とする場合、新しい就職先を見つけて在留資格(引き続き「高度専門職」または他の就労資格)の手続きを行うことが最も一般的かつ現実的な方法となります。
他の滞在方法としては以下のようなものが考えられますが、いずれも現在の状況(高度専門職として就労を続けることを前提としていた)から直接移行できるとは限らず、それぞれに要件があります。
- 現在の「高度専門職」から他の就労系在留資格(就労ビザ)への変更
- 次の勤務先での活動が「高度専門職」の要件(ポイント制など)を満たさない場合は、その活動内容に応じた別の在留資格(例:「技術・人文知識・国際業務」など)への変更が必要になります。他の在留資格の要件を満たす場合は、その在留資格への変更許可申請を行うことができます。
- 身分系在留資格への変更
- 例えば、日本人や永住者と結婚されている場合は「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」を許可され、ご自身で事業を立ち上げて経営される場合は「経営・管理」でなくても経営活動が可能です。
- 短期滞在への変更
- 一時的に日本に短期滞在する目的であれば、「短期滞在」への在留資格変更許可申請を行うことは可能です。しかし、これは90日以内の観光や親族訪問などが目的であり、就職活動を継続するためや、ましてやその後長期にわたって日本に滞在し働くための方法としては不向きです。通常、短期滞在から他の就労資格への変更は原則として認められていません。
結論として、日本の公私の機関で働きながら長期滞在を続けるには、副業の経営にとどめ現在の「高度専門職」の在留資格を維持するか、あるいはその活動内容に応じた他の就労資格へ変更することが不可欠となります。退職後、3ヶ月以内に次の活動を開始できるよう、早めに就職活動をされることが重要です。
4、今回取得した高度専門職の在留資格(75点)では3年後に永住権を申請することができると伺いましたが、私がすでに日本に25年住んでいる点は考慮されませんか?あえていま永住権を申請してもやはり受付られませんか?
回答: 永住許可の要件には、「高度専門職」その他高度人材としての特別ルートと、通常のルートの2種類があります。すでに日本に25年居住されているのであれば、通常のルートの居住要件は満たしています。しかし、その居住は法令上、「国益要件」と表現されており、通常、連続している就労資格とその活動が前提です。
- 高度専門職その他高度人材特別ルートの国益要件:居住年数
- 高度専門職のポイントが70点以上の方は3年間、80点以上の方は1年間、継続して高度専門職の活動を行っていた場合に、永住許可の居住要件が緩和されます。75点の場合、3年間継続して高度専門職の活動を行えば、この緩和された居住要件を満たすことになります。
- 根拠法及び関連情報: 入管法第22条(永住許可)、永住許可に関するガイドライン
- 通常の永住許可ルートの国益要件:居住年数
- 通常の永住許可の居住要件は、「引き続き10年以上日本に在留していること」です。この10年のうち、就労資格または「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の在留資格をもって、原則として引き続き5年以上在留していることが求められます。
- すでに日本に25年居住されているとのことですが、外国在住があるなどで連続していない場合、この「引き続き10年以上日本に在留」の要件はすでに満たしているとはされないことがあります。
- 25年の居住歴の考慮と現在の申請について
- 上記から、「高度専門職」として3年間待つ方が良いのですが、急ぎのご事情があれば、現時点でも永住許可を申請することが可能です。ただし、「引き続き」を満たすための高度な申請が必要であり、不許可になるリスクを飲み込む難解事案となります。
- 永住許可には居住要件の他に、素行が善良であること(法令遵守、納税義務履行など)や、独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること(安定した収入や資産)などの要件を満たす必要があります。
- 退職を検討されているとのことですが、永住許可申請においては、今後の安定した生計の見込みが重要な審査要素となります。申請時に無職である場合、生計維持能力を証明することが困難となる可能性があります。安定した職業に就かれている間に申請されるか、次の就職先が決まってから申請されるのが望ましいでしょう。
結論として、通常の10年かつ5年の在留を立証する場合、引き続きの在留でない場合は簡単ではありません。例えば、過去に単純出国し、日本に在留資格認定証明書交付を受けて上陸し、居住している場合、連続しているものとはされません。
もっとも、考慮されたと考えられる許可事例はあります。
▶その3(高度専門職で会社設立できると聞いたが、一般の設立条件と同じ経営・管理と違ってどのような制限がある?など) へ続きます。
CATEGORY
この記事の監修者

-
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。
- 講師実績
▶ ご依頼、セミナー、取材等のお問合せはこちら
行政書士会、建設やホテル人材等の企業、在留資格研究会等の団体、大手士業事務所、その他外国人の講義なら幅広く依頼を受ける。
- 対応サービス
- 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他