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【経営・管理ビザ】2名以上の雇用要件で多額の資本金不要?間違えやすいポイントを行政書士が徹底解説

2025年08月28日

行政法実務経営・管理ビザ

【経営・管理ビザ】2名以上の雇用要件で多額の資本金不要?間違えやすいポイントを行政書士が徹底解説

内容

ポイント1:「誰を」雇用するかが重要で、日本人や永住者等に限られる

ポイント2:「常勤」の定義は?パート・アルバイトは含まれない

ポイント3:「社会保険加入」は必要か?

ポイント4:労働契約書がないなら、雇用予定書面で足りるか

ポイント5:事業計画書との人件費などの整合性が審査の鍵

その他、見落としがちな注意点

「経営・管理」の2名雇用要件のまとめ

専門行政書士への依頼が、早く確実な「経営・管理」への解決策



外国人経営者の皆様、そして日本での起業を目指す皆様へ。

「経営・管理」ビザの取得を検討する際、多くの方が「資本金500万円」という要件に注目されます。
しかし、もう一つの選択肢である「2名以上の常勤職員の雇用」という要件については、誤解されているケースが少なくありません。また、1名で済むケースもあります。

資本金の準備が難しい場合などに有効なこの要件ですが、単に「2人雇えば良い」という単純な話ではないのです。要件を満たしているつもりでも、実は細かい規定を見落としており、申請が不許可になってしまうリスクも潜んでいます。

今回は、「経営・管理」ビザの専門家である谷島行政書士法人が、この「2名以上の雇用」要件について、特に間違えやすいポイントを分かりやすく解説します。

ポイント1:「誰を」雇用するかが重要で、日本人や永住者等に限られる

これが最も重要なポイントです。経営・管理ビザの要件における「常勤職員」は、日本に安定した基盤を持つ人材であることが求められます。具体的には、以下のいずれかに該当する方でなければなりません。

  • 日本人
  • 特別永住者
  • 永住者
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者

ここが間違いやすい!

(NG) 技術・人文知識・国際業務などの就労ビザで働く外国人を2名雇用した。
(NG) これから海外から呼び寄せる外国人を2名雇用する計画だ。

これらのケースは、通常、要件を満たしません。なぜなら、この要件の趣旨は「日本に資する安定的な雇用等に投下できる規模の事業であること」を示すことと考えられております。

他の就労ビザを持つ外国人を雇用しても、その方自身の在留資格が不安定であるため、事業の安定性を示す根拠とは見なされにくいのです。

ポイント2:「常勤」の定義は?パート・アルバイトは含まれない

次に注意すべきは「常勤」という言葉の定義です。これは、いわゆる「正社員」と同等の働き方を指します。

  • 勤務日数・時間: その会社の就業規則で定められた正規の労働時間(例:週5日、1日8時間など)を満たしていること。
  • 雇用形態: 期間の定めのない直接雇用であること。
  • 社会保険の加入: 健康保険・厚生年金保険への加入が必須です。

ここが間違いやすい!

(NG) 時給制のアルバイトを複数人雇用し、合計労働時間が常勤2名分を超えている。
(NG) 業務委託契約のスタッフが2名いる。
(NG) 雇用はしているが、社会保険には未加入だ。

パートタイマーやアルバイト、派遣社員、業務委託契約のフリーランスなどは「常勤職員」には含まれません。

ポイント3:「社会保険加入」は必要か?

「特定技能」等と違い、「経営・管理」で社会保険加入は直接の要件ではありません。

しかし、社会保険加入されていることが適法な雇用契約という意味で、不適合ではないと評価されることがあります。

すなわち、「更新・変更ガイドライン」が適用されるような在留資格変更許可申請等の場面では、社会保険加入手続を怠っていると、要件を満たさないと判断される可能性があります。

雇用保険や労災保険はもちろんのこと、健康保険・厚生年金保険への加入は、それはそれで必要です。なお、常勤であることの客観的な証明にもなります。

ポイント4:労働契約書がないなら、雇用予定書面で足りるか

従業員の労働契約書を締結しても、経営・管理ビザが下りていない場合、雇用を開始できない事実上の経営的問題が生じることもあります。したがって、そのまま申請してしまうことがあり、受理もされえます。しかし、ほぼ確実に追加資料通知が来るか、来なくても不許可にもなります。追加資料通知が来ても慎重審査による長期化の原因となります。

ここが間違いやすい!

(NG) 申請では「スタッフ2名を雇用して店舗を運営する」と記載しているのに、申請時点では労働契約を口約束でしていても、書面がない。

この点、労働契約書を締結していない場合、資料提出ができないことになります。しかし、このような場合、労働契約書でなくても、雇用予定を証する文書を作成し提出可能です。

また、雇用契約がすぐに効力発生しないように、停止条件付契約とすることも有益です。

ポイント5:事業計画書との人件費などの整合性が審査の鍵

経営・管理ビザの申請では、事業の実現可能性や継続性を示す「事業計画書」の提出がカテゴリー3,4にとっては不可欠です。この事業計画書の内容と、実際の雇用状況が一致しているかどうかが厳しく審査されます。

経営・管理ビザの申請では、事業の実現可能性や継続性を示す「事業計画書」の提出が不可欠です。この事業計画書の内容と、実際の雇用状況が一致しているかどうかが厳しく審査されます。

ここが間違いやすい!

(NG) 雇用要件を満たした類型の申請で、また事業計画書では「スタッフ2名を雇用」としているのに、人件費2名分が計上されていない。

事業計画書で2名以上の雇用を要件として申請する場合、原則としてビザの申請時点までに、対象となる職員との雇用契約が締結されている必要があります。これから採用活動を始める、という段階では認められません。

また、例えば事業内容が貿易であるにもかかわらず、職務内容が貿易に直接関係ない記載であるなどで大きく異なると、事業計画の信憑性が疑われ、不許可の原因となることがあります。

全体的に、「経営・管理」では齟齬がない一貫性が重要です。

その他、見落としがちな注意点

上記3つのポイントに加え、以下のような点も見落としがちです。

  • 雇用契約書の不備: 労働条件(給与、労働時間、業務内容など法令上の記載事項)が明記された正式な雇用契約書または予定書面を必ず作成・締結してください。これは適正な雇用関係を証明する基本書類です。
  • 親族の雇用: 経営者の親族を雇用すること自体は問題ありません。ただし、疑念をもたれることはあります。名義だけの雇用(ゴースト社員)ではなく、実際に常勤職員として勤務し、相当の給与が支払われている実態が必要です。
  • 役員の扱い: 代表以外の役員も、もちろん「常勤」の「雇用」に含まれません。工夫が必要な場合は個別の判断となるため専門家への相談をお勧めします。

「経営・管理」の2名雇用要件のまとめ

「2名以上の常勤職員の雇用」という要件は、数字の上ではシンプルに見えますが、その背景には「事業の安定性・継続性」を証明するという重要な目的があります。今回解説したように、雇用する人材の国籍、在留資格、勤務形態、社会保険加入、そして事業計画との整合性など、クリアすべきポイントは多岐にわたります。

これらの要件を一つでも見落としてしまうと、時間と労力をかけた申請が水の泡になりかねません。

専門行政書士への依頼が、早く確実な「経営・管理」への解決策

谷島行政書士法人では、経営・管理ビザの申請を数多く手掛けてきた専門家が、依頼者様一人ひとりの事業内容に合わせて、最適な申請方法をご提案いたします。「自分のケースは要件を満たしているだろうか?」「事業計画書の書き方が分からない」といったご不安やお悩みがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

確実なビザ取得に向けて、私たちが全力でサポートいたします。

この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士

谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。


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特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他


- 略歴等

・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。


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