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【経営・管理ビザ大改正のすべて】法令要件と書類を徹底解説

2025年09月03日

経営・管理ビザ

【経営・管理ビザ大改正のすべて】法令要件と書類を徹底解説

内容

はじめに:立証責任の重要性の高まり

改正要件と、それを立証するための主要な書類

1. 「事業の規模」を証明する書類(資本金3,000万円・常勤職員1名以上)

2. 専門的知識をもって評価された事業計画書があること

3. 「申請人の適格性」を証明する書類(経営経験3年以上又は経営学修士・関連の修士等)

4. 報酬要件について

5. 事業所の要件

6.【更新申請】「事業の安定性・継続性」を証明する書類

まとめ:複雑化する書類と申請は、行政書士にお任せください


先般ご案内いたしました2025年の「経営・管理」ビザの大改正に伴い、申請時に提出すべき「立証書類」も、より厳格なものとなります。単に書類を揃えるだけでなく、一つひとつの書類で「新要件をいかに満たしているか」を明確に証明することが、許可の鍵を握ります。

本ページでは、出入国在留管理庁が公表した「経営・管理」の上陸基準省令案の概要に基づき、具体的にどのような書類が必要になるのか、そのポイントを解説いたします。

なお、「上陸基準」と言っても、変更許可申請の場面も含め、「相当性」という要件で、基本的に必要とされる基準です。ご注意ください。


はじめに:立証責任の重要性の高まり

今回の改正は、申請者側が「事業の規模、安定性、継続性」そして「経営者としての適格性」を、客観的な証拠、すなわち立証書類をもって示す責任が、これまで以上に重くなることを意味します。これからご説明する書類は、新制度における審査の土台となる極めて重要なものです。

改正要件と、それを立証するための主要な書類

1. 「事業の規模」を証明する書類(資本金3,000万円・常勤職員1名以上)

新たな事業規模の要件は以下の通りです。

出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(上陸基準省令)「経営・管理」の項 二 申請に係る事業の規模が次のいずれにも該当していること。 イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する常勤の職員(法別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。 ロ 資本金の額又は出資の総額が三千万円以上であること。

従来のように資本金又は雇用2名以上を満たすものでなく、資本金も雇用も必要となりました。

さらに、「準ずる規模」という例外はなくなりました。したがって3000万円は必須です。

上記を満たしていることを証明するため、以下の書類の提出が求められます。

【提出資料について】

したがって規模について、以下のいずれも必要な提出資料となります。

入管法施行規則「経営・管理」の項 二 次のイ及びロに掲げる資料二 次のいずれかに掲げる資料 イ 当該外国人を除く常勤の職員の総数を明らかにする職員の総数を明らかにする資料並びに当該職員に係る資料並びに当該職員に係る賃金支払に関する文書及び住民票、在留カード又は特別永住者証明書の写し ロ 資本金又は出資の総額を明らかにする資料

上記ロは、通常、登記事項証明書などが必須です。

そのうえで、資金調達などの方法で、各種契約書等も必要となります。

これらの書類で証明すべきポイントは以下の通りです。

  • 登記事項証明書
    • 目的: 資本金の額が3,000万円以上であることを客観的に証明します 2。会社設立後に法務局で取得する、最も基本的な立証書類です。
    • ポイント: 登記簿上の資本金の額が、新要件を満たしていることが一目でわかるようにします。
  • 常勤職員の雇用を証明する書類
    • 目的: 申請者(経営者)以外に、日本に居住する常勤職員を1名以上雇用している事実を証明します。
    • 具体的な書類例:
      • 雇用契約書、労働条件通知書
      • 当該職員の住民票
      • 社会保険・労働保険への加入を証明する書類(健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書 等)
      • 賃金台帳

2. 専門的知識をもって評価された事業計画書があること

事業計画書は、その専門的知見がある者からの評価が要件となりました。主に、中小企業診断士が想定されております。

二重のチェックとなり、また、事実上申請までに時間がかかった上で、審査されるようになります。

入管法施行規則「経営・管理」の項 イ 経営に関する専門的な知識を有する者による評価を受けた事業計画書の写し

【提出資料について】

  • 事業計画書について、経営に関する専門的な知識を有する者による評価を受けたもの

(引用元:同上) 3

  • 経営の専門家による評価書
    • 目的: 事業計画の収益性や実現可能性について、中小企業診断士といった、経営評価をできる専門家から客観的な「評価」を得ることで、計画の問題の所在把握や、信頼性を担保します 4
    • ポイント:単に評価を受けるだけでなく、審査官を納得させられる質の高い事業計画を作成することが依然として重要と考えられます。
    • 谷島行政書士法人グループの強み:

作成・修正においてMBAを持つ行政書士が経営評価の観点からもアドバイス可能です。

ご要望があれば、信頼できる専門家と連携し、事業計画のブラッシュアップから一貫してサポートいたします。

3. 「申請人の適格性」を証明する書類(経営経験3年以上又は経営学修士・関連の修士等)

申請人自身が、経営者としてふさわしい経験や能力を有していることを証明する必要があります。

経営学修士・関連の修士・博士の学位が必要です。もしなければ経営・管理のどちらかの経験が3年以上あればよいとされます。

これは告示による特定活動の準備活動を含むことができ、そのうえで3年以上あれば足ります。

上陸基準省令「経営・管理」の項 三 次のいずれかに該当していること。 イ 経営管理に関する分野又は申請に係る事業の業務に必要な技術又は知識に係る分野において博士の学位、修士の学位又は専門職学位(学位規則(昭和二十八年文部省令第九号)第五条の二に規定する専門職学位をいい、外国において授与されたこれに相当する学位を含む。)を有していること。 ロ 事業の経営又は管理について三年以上の経験(特定活動の在留資格(法第七条第一項第二号の告示で定める活動のうち本邦において貿易その他の事業の経営を開始するために必要な事業所の確保その他の準備行為を行う活動を含む活動を指定されたものに限る。)をもって本邦に在留していた期間がある場合には、当該期間を含む。)を有していること。

【提出資料について】

入管法施行規則「経営・管理」の項 五 学位を有することを証する文書又は職歴その他の経歴を証する文書

つまり、学位証明書又は申請人の経歴を証明する資料となります。経歴については、履歴書で疎明することもできますが、客観性が足りないことが想定されます。したがって、3年以上の経営・管理経験を証明する場合に想定される上乗せ・追加資料としては次のものがありえます。

  • 具体的な書類例:
    • 過去に所属していた企業からの在職証明書(役職、担当業務、在籍期間が明記されたもの)
    • 役員であったことを示す登記事項証明書株主総会議事録
    • ご自身が事業主であった場合は、その事業許可証確定申告書など

4. 報酬要件について

報酬要件は従前と基本的に変わりませんが、「管理」の類型を気を付ければよいわけではありません。

「経営」であっても、審査要領等行政文書において、従業員と変わらない報酬の場合、不許可になり得ることが示唆されております。

今後、更新も厳しくなることを見据え、安すぎる役員報酬で節税をしているなどの場合は是正が必要です。

上陸基準省令「経営・管理」の項 四 申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

【提出資料について】

入管法施行規則「経営・管理」の項 四 年間の収入及び納税額に関する証明書
  • 日本人と同等額以上の報酬を受けることを証明する場合
    • 具体的な書類例:
      • 経営:株主総会や取締役会で決定された役員報酬議事録
      • 管理:申請者本人との雇用契約書または役員就任承諾書
      • 同一産業・同規模の企業の賃金や役員報酬に関する客観的なデータ(賃金構造基本統計調査など)

5. 事業所の要件

事業所の確保等の要件は、従前と変わりません。

上陸基準省令「経営・管理」の項 一 申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。

6. 【更新申請】「事業の安定性・継続性」を証明する書類

在留期間の更新を申請する際には、事業が実際に安定し、継続していることを証明する必要があります。

さらに最近の経営活動を説明する書面も必要です。

更新もご不安がある場合、谷島行政書士法人グループにご相談ください。

まとめ:複雑化する書類と申請は、行政書士にお任せください

ご覧いただいた通り、2025年の改正後は、求められる要件ごとに入念な書類準備が必要となります。特に、専門家による事業計画の評価や、過去の経営経験の証明などは、独力での準備が難しいケースも少なくありません。

書類の不備や説明不足は、不許可に直結するリスクを増大させます。谷島行政書士法人では、お客様の状況を丁寧にヒアリングし、新たな審査基準をクリアするための最適な立証書類の作成・収集をサポートいたします。

「経営・管理」ビザの申請・更新に少しでもご不安があれば、お早めに谷島行政書士法人までご相談ください。

この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士

谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。


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・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。


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