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コラム

2025年01月08日 技術・人文知識・国際業務

フィリピン人雇用のMWO手続:「技術・人文知識・国際業務」等就労ビザ申請時

PRAとの契約締結、MWO申請の流れと注意点

フィリピン人材を雇用するために日本に招へいし、あるいは転職する場合、日本側の入管手続(在留資格認定証明書交付申請など) に加え、フィリピン政府側の手続として、Job order認証等のMWO申請、OEC発行等が通常必要となります。この手続きは特定技能を含む就労系在留資格で原則必要となります。

「技術・人文知識・国際業務」は就労ビザの代表例で、このMWO手続が原則必要であり、フィリピン人の雇用で気を付けるべき「特定技能」と並んでMWOで代表的な在留資格です。

そのため、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格認定証明書交付申請(CoE)を行う場合の原則的な手続きの流れを中心にご紹介します。

 

 

1. MWOでPRA(フィリピン・リクルートメント・エージェンシー)が必要な理由

フィリピン政府(DMW:Department of Migrant Workers、旧POEA)は、海外で働くフィリピン人を保護するため、適正な雇用契約を確保できるかなどの確認の役割をPRAに求めています。これは給与水準や勤務条件がフィリピン政府基準を満たしているか確認し、労働者を不当な搾取から守ることが趣旨とされます。

このような背景から、原則はPRAを通じた就労」 がフィリピン政府の基本ルールとなっています。

このMWO手続は一定要件に該当することで免除できる方法もありますが、フィリピン政府は海外就労のフィリピン人保護のため、PRA(フィリピン・リクルートメント・エージェンシー) を原則利用する方式をとっております。つまり彼らと契約締結することになります。その毎月等のコストが発生することは許容できるかを最初に決定します。

 

2. 「技術・人文知識・国際業務」ビザで採用する際の基本的なMWO手続きの流れ

STEP 1. 日本側:在留資格認定証明書(Coe)の取得

求人・内定

まず日本企業がフィリピン人材を採用し、雇用契約を結ぶ意思決定を行います。
この段階で、PRAの協力を得て人選・契約内容の調整をするケースが多いです。

 

 

在留資格認定証明書(CoE)の申請

「技術・人文知識・国際業務」ビザをフィリピンの日本大使館で取得するためには、入管局からCoE を発行してもらいます。
行政書士法人などの専門家に依頼すると、手続きがスムーズになるでしょう。

 

STEP 2.日本MWO申請(Job Order Verificationなど)、書類作成とフィリピン側連携

日本で英訳資料をつくり、それをPRAと連携し、必要書類を準備

フィリピン人材を採用する企業は、PRA(フィリピン・リクルートメント・エージェンシー) と連携し、自社で又は行政書士サポートなどを通じてすべて英語で、以下の書類を準備します。
 □ 雇用契約書
 □ 会社情報(登記簿、定款など)
 □ Job Order(求人票)
 □ MWO申請の他の添付資料(Verification of Employment Documents)

なお、「PRAとの締結済契約書」など一部の書類は、外国向け認証(公証役場、外務省等)が求められることがあります。この点、フィリピンはハーグ条約締結国であるため、アポスティーユ認証を利用します。その手続きも行政書士が扱っていれば、ワンストップで任せることができます。

過去、フィリピンはアポスティーユでなくレッドリボンというものを使っていました。出生証明書などに添付されている赤いリボンです。

 

STEP 3. DMW(旧POEA)でのOEC発行

海外就労証明書(OEC)の取得

MWO申請で検証済みの書類 を受け取り、フィリピンのDMW に提出し、OEC を申請します。
OEC(Overseas Employment Certificate) は、フィリピン人が空港を出国する際に必ず提示が求められる重要書類です。

 

フィリピン国内での手続完了後、渡航へ

OECが発行されると、60日以内に労働者はフィリピンを正式に出国し、日本へ入国できます。

 

STEP 4. 日本入国・就労開始

取得した在留資格認定証明書(CoE)をもとに、日本大使館・総領事館 でビザを発給(在外申請の場合)

日本に到着後、在留カードの交付・住民登録などを済ませ、晴れて「技術・人文知識・国際業務」での就労がスタートします。

 

3. 手続き上のポイント&注意点

PRAをきちんと選定する

ライセンスを取得している正規のPRA かどうかを確認してください。DMW(旧POEA)の公式サイトなどでライセンスの有無を検索可能です。

 

MWO Tokyo / MWO Osaka のルールを事前にチェック

申請の提出窓口は、MWO Tokyo もしくはMWO Osakaであり、提出書類を審査・検証してもらいます。関東、東北、北海道を含めた東日本や沖縄県などはMWO Tokyoになります。MWO Tokyoの場合は東京都港区六本木のフィリピン大使館の敷地内にあります。

MWOは複数拠点があり、それぞれ必要書類や手数料が微妙に異なる場合があります。必ずご相談ください。

書類に不備があると再提出を求められますが、一度で承認されることは少なく、何度も条件の確認や、賃金の増額などを求められます。

 

書類は英語+日本語のセットで準備

雇用契約書や会社概要など、日本語書類には英訳 が必要です。提出書類の不備がないよう、専門家と連携して進めると安心です。

 

OEC取得スケジュールを念頭に

フィリピン人材が渡航前に必ず取得すべきOEC は、PRAとの契約締結、アポスティーユ認証、MWO書類提出など複数ステップを要します。最低でも4か月程の準備期間をもってください。採用開始日から逆算して、余裕を持った計画を立てましょう。

提出後も、補正対応が多くあります。この意味でも期間に余裕をもつ必要があります。なぜなら労働条件など実体変更から書面まで直しながら、英語で書面対応をしていきます。

なお、承認後の更新は最長5年とされております。

 

4. 行政書士法人が提供できるサポート

当事務所では、以下の点でサポートが可能です。

a. すべての在留資格申請対応(CoE申請代行と取得、在留資格変更):

 「技術・人文知識・国際業務」に必要な書類準備や入管対応を一括サポート

 専門の行政書士なので、在留申請の入管手続と同時に進めることで矛盾やタイムラグをなくします。

 

b. MWO手続のプロジェクト的ワンストップ対応

 各手続のコンサルティングやPRAとの連携をサポートし、書類作成、アポスティーユ認証代行などを行い、Job Order Verification に必要な書類を整えます。

 

c. 英文資料の作成および提出

就労条件がフィリピン政府基準を満たす形になっているか確認し、トラブルを未然に防ぎます。

 

e. 公証、認証などの手続代行(アポスティーユ認証代行も含む)

外国向けに提出する文書は原則、認証が必要です。公証役場や外務省などに認証手続を行う代行が可能です。

 

5. MWO手続における「技術・人文知識・国際業務」まとめ

フィリピン人を「技術・人文知識・国際業務」 ビザで採用する場合、日本のCoE手続だけでなく、MWO申請 や OEC 発行といったフィリピン政府側のステップが不可欠です。
PRA(フィリピン・リクルートメント・エージェンシー)を通じ、雇用契約の検証を行うのが原則の方法となります。
不備があると、フィリピンから出国できない(新規入国と再入国時)、ビザが発給されないといった問題が発生するため、最新のルールを把握しながら適切に準備を進めることが重要です。

当事務所(行政書士法人)では、こうしたフィリピン政府の手続きに関して、在留資格申請など手続と別に、あるいは同時に顧問アドバイザリーなどを数多く提供しております。

ぜひお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人ビザ専門。「手続代理」と、企業や弁護士等専門家向けに「外国人雇用の顧問」実績多数。

 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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