外部監査人・外部役員の欠格事由、行政書士への委託メリット・デメリット
2025年04月19日
技能実習サービス
外部監査人・外部役員の欠格事由、行政書士への委託メリット・デメリット

質問:
現在、監理団体許可のために、要件である外部監査人または外部役員になれる人は、新設組合のグループの役職員でも就任可能でしょうか。
また、専門の行政書士法人へ外部委託するメリット、デメリットはどのようなことでしょうか。
内容
外部監査人・外部役員における技能実習法令及び運用要領における解釈の例示
回答:
ご質問を整理すると、以下の2つと存じます。
- 新設組合のグループの役職員が就任する外部監査人などは問題ないか
- 外部監査人に関する谷島行政書士法人グループのメリット・デメリットは何か
これらを以下の章立てで回答およびその説明をいたします。
外部監査人と外部役員の技能実習法令と上乗せ
回答は、下記の通り、技能実習法令では外部監査人は、実習実施者の役職員などが除外されるところです。
この点、御社が実習実施者になるのであれば除外されると理解しております。
下記施行規則の「社会生活において密接な関係を有する者であって」「確認の公正が害される」の部分は広範です。結局、外部の第三者でない場合は難解になります。
したがって以下の結論になります。「社会生活において密接な関係を有する者であって」「確認の公正が害される」についての先例と具体例も載せました。
外部監査人・外部役員における技能実習法令及び運用要領における解釈の例示
1.外部監査人の欠格
外部監査人が「社会生活において密接な関係を有する者であって」「確認の公正が害される」者(以下、「密接関係及び公正阻害者」とします。)として、欠格ないし拒否されるのは以下の通りです。
① 実習監理を行う対象の実習実施者又はその現役若しくは過去5年以内の役職員
② 過去5年以内に実習監理を行った実習実施者の現役又は過去5年以内の役職員
③ ①②の者の配偶者又は二親等以内の親族
④ 申請者(監理団体)の現役又は過去5年以内の役職員
⑤ 申請者(監理団体)の構成員(申請者が実習監理する団体監理型技能実習の職種に係る事業を営む構成員に限る。)又はその現役又は過去5年以内の役職員
⑥ 傘下以外の実習実施者又はその役職員
⑦ 他の監理団体の役職員
⑧ 申請者(監理団体)に取次ぎを行う外国の送出機関の現役又は過去5年以内の役職員
⑨ 法人であって監理団体の許可の欠格事由(法第26条)に該当する者、個人であって監理団体の許可に係る役員関係の欠格事由(法第26条第5号)に該当する者
⑩ 過去に技能実習に関して不正等を行った者など、外部監査の公正が害されるおそれがあると認められる者
2.外部役員
外部役員が「密接関係及び公正阻害者」として、欠格ないし拒否されるのは以下の通りです。
➀ 実習監理を行う対象の実習実施者又はその現役若しくは過去5年以内の役職員
② 過去5年以内に実習監理を行った実習実施者の現役又は過去5年以内の役職員
③ ①②の者の配偶者又は二親等以内の親族
④ 申請者(監理団体)の現役又は過去5年以内の役職員(監理事業に係る業務の適正な執行の指導監督に関する専門的な知識と経験を有する役員及び指定外部役員に指定されている役員を除く。)
⑤ 申請者(監理団体)の構成員(申請者が実習監理する団体監理型技能実習の職種に係る事業を営む構成員に限る。)又はその現役又は過去5年以内の役職員
⑥ 傘下以外の実習実施者又はその役職員
⑦ 他の監理団体の役職員(監理事業に係る業務の適正な執行の指導監督に関する専門的な知識と経験を有する役員及び指定外部役員に指定されている役員を除く。)
⑧ 申請者(監理団体)に取次ぎを行う外国の送出機関の現役又は過去5年以内の役職員
⑨ 過去に技能実習に関して不正等を行った者など、外部役員による確認の公正が害されるおそれがあると認められる者
外部監査人と外部役員の比較と、欠格・不許可おそれの解説
共通として、上記⑥および⑦は、その監理団体と関係がない、他の実習実施者や他の監理団体も排除することになっております。したがって、技能実習関係者は広く不適切とされるといってよいでしょう。
外部監査人と外部役員の違いは、⑨に法人が該当するかどうかです。
また、⑦の監理団体職員が一律に拒否されるか、外部役員は専門的経験と知識、又は指定外部役員は可能かの違いです。
なお、上記の5年以内の役職員などの法令以外の具体的事由は「密接関係及び公正阻害者」の具体化運用にすぎません。
つまり、法令上の解釈が成り立つ限り、別の事由で拒否することも可能です。行政には公定力(無効とされない限り、不許可などの行為が有効となる、国民側より有利な行政の力)があるからです。
関連企業の役職員と行政書士法人への外部監査人委託のメリット・デメリット
技能実習法令専門の行政書士は外部監査人を引き受けているところもあります。例えば、谷島行政書士法人グループの外部監査人によるメリットは以下の通りです。
1. 新設組合関係者は5年等の間、不適当とされ、審査が長引くことが年々増えていること。
先例:事務所の賃貸人が外部監査人に就任することすら、利害関係があるとされた。その結果、諮問機関等に上げられず、審査遅延が1年前後にわたった。
2. 外部監査人だけでなく監査経験と理論を備えている適切な外部監査人選任によって、監査の多数の項目漏れなどについて、臨時と定期の同行監査や事務所監査等においてダブルチェックができること。
3. 現行法以外では、今年度から告示が出てくる育成就労で、法律職が必須となる外部監査人の改正予定であること。
4. 前号の育成就労法により、外部役員は不適当とされ、外部監査人が必須となる改正予定であること。
5. 新設組合グループで、技能実習機構及び厚労省・法務省の審査を通過したとして仮に出来る人がいたとしても、年5回以上の外部監査実施そのものと、年5回以上のバックオフィスも含めた人件費や注意義務を負わずにすむこと。
6. 費用によっては人件費に対するコストパフォーマンスが良いこと。
谷島行政書士法人グループを含めた全ての外部監査人によるデメリット:
・ 費用によっては人件費に対するコストパフォーマンスが悪くなること。
技能実習法令の外部監査人等の参考法令
- 技能実習法
(許可の基準等)第二十五条 主務大臣は、第二十三条第一項の許可の申請があった場合において、その申請者が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときでなければ、その許可をしてはならない。 略五 監理事業を適切に運営するための次のいずれかの措置を講じていること。イ 役員が団体監理型実習実施者と主務省令で定める密接な関係を有する者のみにより構成されていないことその他役員の構成が監理事業の適切な運営の確保に支障を及ぼすおそれがないものとすること。ロ 監事その他法人の業務を監査する者による監査のほか、団体監理型実習実施者と主務省令で定める密接な関係を有しない者であって主務省令で定める要件に適合するものに、主務省令で定めるところにより、役員の監理事業に係る職務の執行の監査を行わせるものとすること。 |
- 技能実習法施行規則
(外部役員及び外部監査人)第三十条 法第二十五条第一項第五号イ(法第三十二条第二項において準用する場合を含む。)の主務省令で定める密接な関係を有する者は、次の各号のいずれかに該当する者とする。一 申請者が実習監理を行う団体監理型実習実施者若しくはその役員若しくは職員であり、又は過去五年以内にこれらの者であった者二 過去五年以内に申請者が実習監理を行った団体監理型実習実施者の役員若しくは職員であり、又は過去五年以内にこれらの者であった者三 前二号に規定する者の配偶者又は二親等以内の親族四 社会生活において密接な関係を有する者であって、指定外部役員による次項に規定する確認の公正が害されるおそれがあると認められるもの |
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この記事の監修者

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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万以上。
- 講師実績
行政書士会、建設やホテル人材等の企業、在留資格研究会等の団体、大手士業事務所、その他外国人の講義なら幅広く依頼を受ける。
- 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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