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コラム

2024年10月25日 コラム

建設特定技能の要件と区分のまとめ保存版:業務、実務経験や試験、建設特定技能受入計画の関係等

内容

1. 特定技能建設分野の背景と目的

2. 建設分野の特定技能上限数と人手不足の現状

3. 特定技能外国人本人の要件(上陸基準省令・変更許可相当性)

4. 建設特定技能受入計画申請と届出

 a. 建設特定技能受入計画と主な認定要件の要約

 b. 建設分野の受入企業要件の詳細

上記の告示の重要箇所をさらに解釈し、かつ要約して説明すると以下の通りです。

5. 特定技能外国人の雇用形態と元請企業の義務

6. 特定技能1号の業務区分、技能実習や試験区分との関係まとめ

特定技能1号のまとめ表:業務区分、試験区分(新旧対応)、技能実習2号修了職種

7. 特定技能2号の業務区分、技能実習や試験区分との関係まとめ

特定技能2号のまとめ表:業務区分、試験区分、CCUSの技能や実務経験就業日数

特定技能建設分野の業務区分、試験、実務経験のまとめ

 

 

特定技能建設分野の受け入れ運用方針の概略

 

建設特定技能は、通常の特定技能のように支援体制や企業の要件を満たして在留申請を行いますが、その他、様々な上乗せや異なる点があります。この点、以下の通り、詳しく説明してまいります。

 1.特定技能建設分野の背景と目的

  • 2018年の経済財政運営と改革の基本方針に基づき、建設分野における深刻な人手不足に対応するため、外国人労働者を受け入れる制度が導入されました。
  • この制度の目的は、専門性と技能を持つ外国人を受け入れることで、日本の建設業界の持続可能性を確保し、経済や社会基盤の安定に貢献することです。
  1. 建設分野の特定技能上限数と人手不足の現状
  • 国内の建設業界では、2024年には建設技能者が約24万人不足すると予測されています。そのため、外国人労働者の受け入れが必要不可欠です。
  • 今後5年間で、最大8万人の1号特定技能外国人を受け入れる計画です。

建設特定技能は、建設分野においてなくてはならない人手不足対策として活用が年々増えております。

 

  1. 特定技能外国人本人の要件(上陸基準省令・変更許可相当性)
  • 1号特定技能外国人:
    技能実習修了者(試験免除)、または建設分野の評価試験に合格し日本語能力試験(N4以上)や国際交流基金日本語基礎テストに合格した者が対象です。
    この点、外国人向けは「特定技能1号評価試験」を中心に考えます。なぜなら、日本人が受ける「技能検定3級」等より、ふりがななどが易しい日本語となっております。

ただし、行政書士や建設業許可の観点では、技能検定であれば、「専任技術者」や「主任技術者・監理技術者」になれる点が一石二鳥であり、なくてはならない基盤人材になることができます。

  • 2号特定技能外国人:
    1号からさらに進んだ熟練技能者として、実務経験があり、特定の試験に合格した者が対象です。
    この点、外国人向けは「特定技能2号評価試験」を中心に考えます。なぜなら、日本人が受ける「技能検定1級」等より、受験しやすい想定がされております。

ただし、行政書士としての建設業許可の観点では、技能検定であれば、「専任技術者」や「主任技術者・監理技術者」になれる点が一石二鳥であり、なくてはならない基盤人材になることができます。

 

4.建設特定技能受入計画申請と届出

a. 建設特定技能受入計画と主な認定要件の要約

オンライン申請で、管轄の地方整備局に提出します。

国土交通大臣告示における受け入れ企業の要件は主に以下の通りです。

1.  受入企業は建設業法第3条の許可を受けていること

2.  受入企業及び1号特定技能外国人の建設キャリアアップシステムへの登録

3.  JACへの加入及びJACが策定した行動規範(資料7参照)の遵守

4.  特定技能外国人の報酬額が同等の技能を有する日本人と同等額以上、安定的な賃金支払い(月給制)、技能習熟等に応じた昇給

5.  賃金等の契約上の重要事項を書面で事前説明(外国人が十分に理解できる言語)

6.  1号特定技能外国人に対し、受入れ後、国土交通大臣が指定する講習・研修を受講させること

7.  国又は適正就労監理機関((一財)国際建設技能振興機構(FITS))による受入計画の適正な履行に係る巡回指導の受入れ

 

 

b. 建設分野の受入企業要件の詳細

上記の告示の重要箇所をさらに解釈し、かつ要約して説明すると以下の通りです。

  • 受け入れる企業は、特定技能外国人に対し日本人と同等以上の報酬を支払い、月給制とし、技能習熟に応じて昇給すること。
  • 労働条件などを理解できる言語で重要事項説明書を用いて行うこと
  • 企業は「建設キャリアアップシステム」に企業登録および技能者登録で外国人を登録し、キャリアアップの確実性と報酬の安定化を図ることが求められています。
  • 建設業法に基づく建設業許可が必須。許可業種は適法な限り、要件ではありません。
  • ハローワーク求人内容の要件があります。
  • JACに加入し、受け入れ負担金を支払う必要があります。
  • 許可後、受け入れてから、FITSの講習や巡回があれば指導を受けます。
  • 受入計画申請は二人目以降不要です。ただし、1人目以降、稼働の時に受け入れ報告が必要です。
  • 企業として受入計画に変更がある場合、変更届が必要です。
  • その他要件があり国土交通大臣告示などが法令基準で、入管法とともに順守が必要です。

例えば、1号特定技能外国人の受け入れ人数は、(「特定活動:外国人建設就労者」を含めて、)技能実習生を除いた日本人などの常勤人数以内

 

国土交通省、建設特定技能:https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_tk3_000001_00002.html

 

5. 特定技能外国人の雇用形態と元請企業の義務

  • 特定技能外国人の雇用は、直接雇用に限られます。
  • 下請でも元請でも可能です。
  • 現場に外国人がいる場合、元請け企業はその管理・監督をする義務があります。

 

6. 特定技能1号の業務区分、技能実習や試験区分との関係まとめ

特定技能1号の業務区分

1 土木:特定技能1号

指導者の指示・監督を受けながら、土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業等に従事

 

2 建築:特定技能1号

指導者の指示・監督を受けながら、建築物の新築、増築、改築若しくは移転又は修繕若しくは模様替に係る作業等に従事

 

3 ライフライン・設備:特定技能1号

指導者の指示・監督を受けながら、電気通信、ガス、水道、電気その他のライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業等に従事

 

特定技能1号のまとめ表:業務区分、試験区分(新旧対応)、技能実習2号修了職種

以下に、特定技能1号および特定技能2号の業務区分、試験区分(新旧対応)、および技能実習2号修了職種との関連性をまとめた表を作成しました。

 

業務区分

新試験区分

旧試験区分

技能実習2号修了職種・作業

土木

建設分野特定技能1号評価試験(土木)

型枠施工、鉄筋施工、とび、造園、塗装(技能検定3級)

さく井、型枠施工、鉄筋施工、建設機械施工、鉄工、塗装、コンクリート圧送施工、ウェルポイント施工

建築

建設分野特定技能1号評価試験(建築)

型枠施工、左官、かわらぶき、鉄筋施工、内装仕上げ、建築大工、建築板金、塗装、ブロック建築、広告美術仕上げ(技能検定3級)

建築板金、建具製作、建築大工、石材施工、タイル張り、かわらぶき、左官、内装仕上げ

ライフライン・設備

建設分野特定技能1号評価試験(ライフライン・設備)

配管、建築板金、冷凍空気調和機器施工(技能検定3級)

配管、建築板金、冷凍空気調和機器施工、熱絶縁施工(保温保冷)

 

 

7. 特定技能2号の業務区分、技能実習や試験区分との関係まとめ

特定技能2号の業務区分

1 土木:特定技能2号

複数の建設技能者を指導しながら、土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業等に従事し、工程を管理

 

2 建築:特定技能2号

複数の建設技能者を指導しながら、建築物の新築、増築、改築若しくは移転又は修繕若しくは模様替に係る作業等に従事し、工程を管理

 

3 ライフライン・設備:特定技能2号

複数の建設技能者を指導しながら、電気通信、ガス、水道、電気その他のライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理の作業等に従事し、工程を管理

 

 

特定技能2号の試験と実務経験の要件

特定技能2号の申請人要件は、実務経験と試験が業務区分の中でさらに分岐しており、大変複雑です。
まず、3つの業務区分ごとに受験申込など準備と勉強をしながら、職長・班長等の就業日数を重ねてキャリアアップシステムでレベル3にしていくことが必要です。キャリアアップシステムで能力評価結果通知書や、それがない場合は実務経験申告書を使い、さらに技能者情報の画面のコピーを提出することが必要です。

したがって、業務区分、試験区分、建設キャリアアップシステム(CCUS)の技能者基準(小分類も含む)、および職長及び班長の就業日数の関係性を、以下の年数ごとに分類して、代表的な技能評価基準呼称を入れてまとめました(ブレストレストコンクリートなどは入っておりません)。以下は国土交通省の行政規則です。

 

建設分野の2号特定技能外国人に求める「建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験」について:令和5年8月31日 一部改正

 

国土交通省建設分野の2号特定技能外国人に求める「建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験」及びその確認書類は、以下のとおりとします。

 

1.CCUS による能力評価基準の設定のある職種

(1)実務経験

建設分野運用要領別冊(ガイドライン)別表6-8 の「土木」、「建築」、「ライフライン・設備」業務区分に対応する建設キャリアアップシステムの能力評価基準のある職種に係る能力評価基準のレベル3相当の「就業日数(職長+班長)」とする。

(2)確認書類

実務経験を確認する書類は、原則として、CCUS におけるレベル3の能力評価(レベル判定)結果通知書の写し又は2号特定技能外国人に求められる実務経験に係る申告書(分野参考様式第6-3号。以下「申告書」)及びCCUS における技能者情報の表示画面の写し(就業日数(職長及び班長)の分かる画面及び職種ごとの就業履歴数(職長及び班長)が分かる画面に限る。)とする。

建設キャリアアップシステムに蓄積されていない就業日数及び就業履歴数の証明方法については、分野参考様式第6-3号別紙の経歴証明書により確認することとする。なお、経歴証明書については誓約欄まで正確に記入する必要がある。

 

実務経験年数の区分

0.5年(108日)以上
1年(215日)以上
2年(430日)以上
3年(645日)以上

 

特定技能2号のまとめ表:業務区分、試験区分、CCUSの技能や実務経験就業日数

 

1.就業日数0.5年(108日)以上が必要な職種

業務区分

試験区分

技能評価基準呼称

職長及び班長の就業日数

建築

建設分野特定技能2号評価試験(建築)

建築大工(大工、宮大工、造作大工、組立大工、営繕大工、

木工、ツーバイフォー工法の大工、外装大工、丸太組み工法の大工)

0.5年(108日)以上

 

2.就業日数1年(215日)以上が必要な職種

業務区分

試験区分

技能評価基準呼称

職長及び班長の就業日数

土木

建設分野特定技能2号評価試験(土木)

型枠、

とび、

塗装、

ウェルポイント施工、

さく井、

構造物鉄工

1年(215日)以上

建築

建設分野特定技能2号評価試験(建築)

型枠、

左官、

かわらぶき、

建築板金、

塗装、

防水、

サッシ施工

1年(215日)以上

ライフライン・設備

建設分野特定技能2号評価試験(ライフライン・設備)

配管、

冷凍空調、

保温保冷

1年(215日)以上

 

3.就業日数2年(430日)以上が必要な職種

業務区分

試験区分

技能評価基準呼称

職長及び班長の就業日数

土木

建設分野特定技能2号評価試験(土木)

とび

2年(430日)以上

建築

建設分野特定技能2号評価試験(建築)

とび

2年(430日)以上

 

4.就業日数3年(645日)以上が必要な職種

業務区分

試験区分

技能評価基準呼称

職長及び班長の就業日数

土木

建設分野特定技能2号評価試験(土木)

鉄筋施工

3年(645日)以上

建築

建設分野特定技能2号評価試験(建築)

内装仕上げ、

タイル張り、

表装、

ボード仕上げ、

軽鉄工、

フローリング工

3年(645日)以上

ライフライン・設備

建設分野特定技能2号評価試験(ライフライン・設備)

なし

3年(645日)以上

 

 

特定技能建設分野の業務区分、試験、実務経験のまとめ

以上の通り、建設特定技能は、1号と2号で異なる制度です。

まずは1号からスタートしますが、技能実習と大きく異なり、大変複雑な制度です。

しかも定期的に法令順守チェックをしないと不法就労になる点も特徴です。もちろん基準として外国人・企業の要件や雇用契約や支援体制の要件は他の特定技能分野と共通ですが、建設特定技能特有の上乗せが多いからです。

 

特定技能2号の要件であるキャリアアップのためには、業務区分ごとに受験や実務経験が必要であり、段取りよく,しかも正確にプロジェクトのように進めていくことが必要です。そうでないと、当初の予定や業務ができない、又は大幅に遅れることになります。

 

この点、谷島行政書士法人グループでは顧問プランで進捗管理をしながら、在留申請と建設特定技能受入計画申請の2つの手続を遅滞なく行うチーム体制と定期的チェック体制があります。

雇用後の手続は定期届と随時届を、入管と国土交通省に提出し、何か指導があれば対応するプランもございます。

 

ぜひお声掛けください。

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この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザ専門。手続代理及びコンプライアンス顧問として、登録支援機関のほか弁護士等の専門家向け顧問の実績多数。

 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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