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コラム

特定技能の転職:技能実習の転籍要件との違い

2024年10月09日 コラム

特定技能の転職:技能実習の転籍要件との違い

Q. 技能実習から特定技能に在留資格を変更しましたが、技能実習と異なり転職可能ですか?なお、同じ会社の前提です。

 

A. 特定技能は転職が可能です。この点、技能実習との異同においては転職できるといえますが、在留資格変更許可申請が事前に必要な点が大きいポイントです。その他、届出等について下記の通り気を付けたほうがよいポイントなどありますのでご相談ください。

なお、転職は自由のために必要であり、同時に引継ぎ等の責任も必要です。いきなり転籍を主張され、連絡がつかないとなる前に、トラブルを避けるために会社との話し合いも行うことをお勧めします。中立的な立場の方を挟んで、冷静に客観的になることも重要です。

まずは法的なポイントを下記の通り、例示させていただきます。

 

転職する際、気をつける届出の全体像

1. 在留資格変更許可申請およびその業務区分の範囲

  転職前、つまり事前に在留資格変更許可申請を行うことが必須です。

働くことができる範囲は、それぞれ条件で範囲が決まります。

  建設業の例:

   (1) 建築

   (2) 土木

   (3) ライフライン・設備

 

2. 入管法に基づく届出

  a.  外国人本人

   所属機関(が変わること)に関する届出

 

  b.  受入れている所属機関・企業の随時届出

  • 所属機関による届出
  • 受入困難届出
  • 雇用契約変更の届出
  • 登録支援機関との契約変更の届出

 

3. 労働法に基づくが入管法の不許可や不利益につながる届出例

ハローワークへの外国人雇用届

 

 

所属機関の届出:随時届出

以下、登録支援機関も含めて、所属機関の義務とされます。つまり所属機関が義務不履行について罰せられることに注意が必要です。

いずれも14日以内であるため、予定がわかり次第、必ず行政書士等の専門家に事前に相談した方が安全です。

 

 

1. 受入困難届出

 正式名称「受入れ困難に係る届出」とされます。

 

2. 雇用契約変更の届出

 解除の場合も届出が必要

 

3. 登録支援機関との契約変更の届出

 一定の場合のみ都度変更事由の確認

登録支援機関との契約が解除となる場合や、人数が変わる等の文言が変わる場合

 

 

技能実習の転籍の改正点

技能実習においても本来は転籍も限定的に可能とされておりますが、不明瞭な基準でした。この点、パワーハラスメント(パワハラ)やセクシャルハラスメント(セクハラ)などがあったときなどは転籍を可能とする基準が運用要領に示されました(2024年9月時点)。

 

育成就労法における転籍の費用負担

技能実習では、最初に受入時に費用負担を多く行っている企業が転籍されることに関して費用を投下しているので手放しにくい実情があります。通常、いわゆるサンクコストになります。

これを解決するために育成就労創設の技能実習法改正が成立しました。それによって費用負担を転籍元と転籍先でバランスをとることが期待されます。

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この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザ専門。手続代理及びコンプライアンス顧問として、登録支援機関のほか弁護士等の専門家向け顧問の実績多数。

 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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