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コラム

2024年12月12日 在留資格一般

短期商用で就労ビザをとらずに日本出張をする外国人が不法就労となる基準

Q. 短期商用類型で「短期滞在ビザ」をとって台湾の企業から日本に出張を繰り返すことは不法就労になるのか?

 

A. 短期商用での出張で行う役務提供があって、報酬を受ける場合は違法となり、外国人が資格外活動違反罪、さらに企業が不法就労助長罪になりえます。

この点、主たる活動に対して報酬を受けることが違反であることの重要な観点となります。

しかし、従たる活動であっても資格外活動違反になることがあります。

なお、短期商用の資格外活動違反でない場合、例えば、留学生などは「専従資格外活動違反」となり退去強制を受けることもありえます。

上記のように刑事処分と行政処分の両面に注意することが必要です。

 

 

役務提供となる活動と報酬の関係が重要

その外国人の日本での役務提供に対して、企業から報酬を支払うことが資格外活動違反罪を構成します。その結果、不法就労になることになります。

つまり、短期滞在で明らかにやってはいけないこととして、収入や報酬を受ける活動が「資格外活動違反」を構成する条文上の要素となります。

この点、入管法は日本の法律であるから、外国の企業から支払いを受ける場合は該当しないと考えられることがあります。これは属地主義と呼ばれるものですが、果たしてそうでしょうか。

 

日本の企業から報酬支払をしないことの是非

これは日本法人から払うか、外国法人から払うということより、外国人の役務提供に関する活動の「主従」のどちらから報酬が発生しているかが重要です。これは在留審査要領が根拠です。すなわち本国法人の主たる業務の一環として「短期間で完了」する「従たる業務」については、主たる活動に対する対価としての報酬を得ることは可能とされます。つまり就労活動においては、相当限定的な基準であることは間違いありません。

したがって、これに気を付けて、あくまで主たる活動の一環として、適法に短期活動を完了させるとともに、日本での活動について基本的に報酬を受けないことです。

上陸拒否などを受ける場面でも、入管の審査官はこれに従う義務があるため、誤った判定をされるときは、有益な主張や説明資料となります。

 

対価が従たる活動に対するものかどうか

従たる活動について、包括的に報酬を支払うことは可能とされております。

例えば本国の経営活動に付随して出張をしている場合、特にその活動に対価として給与が払われていない場合は不法就労になりにくいことになります。

 

従たる活動に対する対価を支払う場合

もし日本出張が従たる活動である場合、それに対して、別途報酬を支払う場合は、不法就労になる可能性が高いです。

なお、主たる活動であれば、そもそも就労ビザが必要となることは言うまでもありません。

 

よくある誤解:本国から支払う報酬なら就労ビザは不要?

本国から報酬を支払うかどうかは違反を回避する方法ではありません。「興行」の在留資格を得て、日本でコンサートを繰り返した韓国の有名グループも、結局違反が発覚したとされます。

 

入管法の専門的判断は専門行政書士に相談

資格外活動違反や不法就労助長は刑事処分にならなくても行政処分としてその後の申請不許可や退去強制など、不利益が大きいです。

その活動の判定から適切な在留申請をするかどうかのリスクとリターンの比較は難しい面がありますが、谷島行政書士グループは適法にコンサルティングを提供しております。

そのようなケースが多い場合の外国人雇用総合顧問プランもあるので、ぜひお声掛けください。

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この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人ビザ専門。「手続代理」と、企業や弁護士等専門家向けに「外国人雇用の顧問」実績多数。

 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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