訪問介護の特定技能雇用が解禁!改正と要件等徹底解説
2025年03月15日
介護特定技能
訪問介護の特定技能雇用が解禁!改正と要件等徹底解説

目次
3. 業務範囲の拡大:訪問介護サービスの追加(2025年4月より)… 3
3.3 他の訪問系サービス(予防介護、看護、入浴その他)… 4
4. 外国人介護士の要件:訪問介護と一般の特定技能介護の比較… 4
4.1. 介護分野における特定技能外国人介護士の一般的要件:. 4
4.2. 訪問介護に従事する特定技能外国人介護士の特有要件: 5
5. 訪問介護サービスにおける特定技能外国人介護士の受け入れ企業の要件… 7
5.1. 介護分野における特定技能外国人介護士の受け入れ企業の一般的要件: 7
7. 訪問介護分野における特定技能外国人介護士への支援体制… 9
9. 介護や障がい福祉に強い行政書士法人によるサポート… 10
1. 特定技能介護の導入背景
日本社会における高齢化の進展に伴い、介護分野における労働力不足は深刻な課題となっています。この状況に対処するため、日本政府は特定技能(SSW)ビザ制度を導入し、一定の専門性と技能を有する外国人材の受け入れを推進してきました。特に介護分野は、人手不足が顕著であるため、特定技能ビザは重要な役割を果たしています。このような背景の中、2025年4月より、特定技能外国人介護士が介護保険の訪問系サービス、すなわち訪問介護に従事することが新たに認められるという重要な決定がなされました。本稿では、この新たな規制緩和について、外国人介護士と受け入れ企業双方の要件、業務範囲、可能な職務、支援体制、その他関連する重要な側面について詳細に解説します。本稿の目的は、この新たな制度変更に関する包括的な情報を提供し、関係者が適切な理解と準備を進める一助とすることにあります。
2. 介護分野における特定技能ビザ制度の概要
2-1. 特定技能ビザ制度の概要:
- 特定技能ビザ制度の概要:特定技能ビザは、日本国内における深刻な労働力不足に対応するため、特定の産業分野において一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的として創設されました。このビザには、特定技能1号と特定技能2号の2つの区分がありますが、現在のところ介護分野に適用されているのは特定技能1号のみです。
なぜなら、介護福祉士になれれば在留資格「介護」になることができ、それによって、特定技能2号以上に自由かつメリットが同じ程度以上となるからです。
2-2. 外国人の一般的な資格要件:
- 特定技能1号の在留期間は、通常、1年、6ヶ月、または4ヶ月ごとの更新が可能で、通算で最長5年までと定められています。原則として、特定技能1号ビザを持つ外国人の家族は、日本に帯同することは認められていません。この制度は、日本の労働力不足を補完するためのものであり、受け入れ期間や家族帯同の制限はその性質を反映しています。
2-3. 現在の業務範囲(2025年4月以前):
- 外国人の一般的な資格要件: 特定技能ビザを申請するためには、外国人申請者は一般的に、特定の技能試験と日本語能力試験に合格する必要があります。介護分野においては、介護技能評価試験、日本語能力試験(JLPT N4以上またはJFT-Basic A2)、および介護日本語評価試験の3つの試験への合格が求められます。ただし、特定のプログラムを修了した者、例えば日本の介護福祉士養成施設を卒業した者や、介護分野における技能実習2号を良好に修了した者などは、これらの試験が免除される場合があります。これらの免除措置は、日本での学習や実習を通じて既に一定の技能と日本語能力が認められていることを考慮したものです。
- 現在の業務範囲(2025年4月以前): 現在、介護分野における特定技能外国人介護士は、主に介護施設における施設介護に従事しています。彼らの業務範囲には、入浴、食事、排泄の介助といった身体介護や、レクリエーションの実施、機能訓練の補助などの付随業務が含まれます。
重要な点として、訪問介護サービス(利用者の居宅において行われる介護サービス)は、2025年3月以前は特定技能ビザを持つ外国人介護士の業務範囲には含まれていませんでした。この制限は、訪問介護の特性や、利用者とのコミュニケーションの重要性などを考慮したものでした。
3. 業務範囲の拡大:訪問介護サービスの追加(2025年4月より)
3-1. 規制変更の詳細:
- 政府は、2025年4月から、特定技能および技能実習の枠組みで働く外国人介護士が、介護保険の訪問系サービスに従事することを新たに認める決定をしました。この規制緩和は、訪問介護分野における深刻な労働力不足に対応することを目的としています。この決定に関する具体的な政府発表や政策変更については、厚生労働省や出入国在留管理庁からの情報が今後さらに詳細に示されることが予想されます。
3–2. 実施時期:
- 訪問介護サービスの提供が特定技能外国人介護士に認められるのは、2025年4月からとされております。
しかも、これは分野別運用方針における業務区分が「身体介護等」と「付随する支援業務」であることのほか、制約条件である「訪問系サービスにおける業務は対象としない」が解除されることによって可能となります。
3-3. 他の訪問系サービス(予防介護、看護、入浴その他)
他の訪問系サービス介護予防訪問介護、訪問看護、入浴その他が、上記運用方針改正により可能となることが十分解釈されます。
3-4. 技能実習生
技能実習でも2025年4月1日にも解禁される予定です。すなわち育成就労になっても可能となる道筋が見えております。
3-5. EPA介護福祉士候補者
EPAに基づく介護福祉士の候補者も2025年4月1日にも解禁される予定です。
4. 外国人介護士の要件:訪問介護と一般の特定技能介護の比較
4-1. 介護分野における特定技能外国人介護士の一般的要件:
- 介護分野における特定技能外国人介護士の一般的要件: 介護分野で特定技能外国人として働くための一般的な要件として、介護技能評価試験、日本語能力試験(JLPT N4以上またはJFT-Basic A2)、および介護日本語評価試験の3つの試験に合格する必要があります。年齢要件としては、一般的に17歳以上(インドネシア国籍の場合は18歳以上)であることが求められます。これらの試験は、コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式で実施され、試験時間や合格基準などが定められています。
4-2. 訪問介護に従事する特定技能外国人介護士の特有要件:
- 訪問介護サービスに従事する特定技能外国人介護士には、上記の一般的な要件に加えて、さらにいくつかの特有の要件が課される見込みです。その一つとして、介護職員初任者研修の修了が義務付けられる可能性が高いです。この研修は、介護の基本的な知識と技術、コミュニケーション、安全管理、記録作成などを学ぶためのものです。また、利用者宅での細やかなコミュニケーションが求められるため、より高いレベルの日本語能力、具体的にはJLPT N3相当以上が必要となる可能性も指摘されています。
さらに、訪問介護に従事する前に、施設介護での一定期間の実務経験(1年以上)が要件となることも検討されています。
加えて、日本の生活様式、緊急時の対応、利用者宅における倫理的配慮など、訪問介護特有の研修を受けることも求められるでしょう。
4-3. 要件比較表:
上乗せ要件をわかりやすく表にしました。
要件類型 | 一般の特定技能介護(施設) | 訪問介護の特定技能 |
必須介護資格 | なし(特定技能評価試験等に合格) | 介護職員初任者研修修了(見込み) |
日本語能力 | JLPT N4以上またはJFT-Basic A2、介護日本語評価試験 | JLPT N3相当以上(見込み)、介護日本語評価試験 |
実務経験 | なし | 施設介護での1年以上の実務経験 |
特有研修 | なし | 訪問介護の基本 |
4-4. その他要件
その他多数の要件がありますが、特定技能評価試験受験年齢などの事項は同じです。原則は、17歳以上、ただしインドネシア国籍は18歳以上です。
4-5. 訪問介護特定技能の要件に係る法令等根拠
特定技能介護における訪問介護は、法令になる前の段階として、下記の通り、閣議決定がされました。
令和7年3月11日閣議決定 ~略~特定技能外国人の訪問系サービスへの従事を認める。その上で、受入れ事業所は、介護職員初任者研修課程等を修了し、介護事業所等での実務経験(※)等を有する特定技能外国人のみを訪問介護等の業務に従事させることとし、その場合にあっては、以下の事項を遵守することとする。※介護事業所等での実務経験が1年以上あることを原則とする① 特定技能外国人に対し、訪問介護等の業務の基本事項等に関する研修を行うこと② 特定技能外国人が訪問介護等の業務に従事する際、一定期間、責任者等が同行する等により必要な訓練を行うこと③ 特定技能外国人に対し、訪問介護等における業務の内容等について丁寧に説明を行いその意向等を確認しつつ、キャリアアップ計画を作成すること④ ハラスメント防止のために相談窓口の設置等の必要な措置を講ずること⑤ 特定技能外国人が訪問介護等の業務に従事する現場において不測の事態が発生した場合等に適切な対応を行うことができるよう、情報通信技術の活用を含めた必要な環境整備を行うこと |
出典:令和7年3月11日閣議決定、https://www.moj.go.jp/isa/content/001434993.pdf
閣議決定が運用方針に明記されたことで、行政規則改正を経て実施が確実となりました。
これにより、間違いなく、以下の訪問介護を除外した対象施設の表は今後変更され、介護事業のみならず、障害福祉サービス事業で大幅に拡大されることになります。
出典:厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html
5. 訪問介護サービスにおける特定技能外国人介護士の受け入れ企業の要件
5-1. 介護分野における特定技能外国人介護士の受け入れ企業の一般的要件:
- 介護分野で特定技能外国人を受け入れる企業は、外国人労働者と適切な雇用契約を結び、日本人の同等の労働者以上の賃金と労働条件を提供する必要があります。雇用形態は直接雇用のみであり、派遣は認められていません。受け入れられる特定技能外国人の数は、事業所に所属する常勤の日本人介護職員の総数を超えることはできません。
また、初めて特定技能外国人を受け入れる場合は、介護分野特定技能協議会への加入が義務付けられています。
さらに、労働関連法規、社会保険、税法などを遵守していることも重要な要件です。
5-2. 訪問介護サービスにおける特有の要件:
- 訪問介護サービスで特定技能外国人を受け入れる企業には、上記の一般的要件に加えて、さらに特有の要件が課されます。まず、訪問介護に従事する外国人介護士に対して、以下の内容を含む特定の研修プログラムを実施することが求められます。
- 訪問介護サービスの基本事項。
- 日常生活支援に関する重要なスキル。
- 日本の生活様式や文化に関する理解。 また、一定期間、責任者などが同行する形でのOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を実施し、外国人介護士が訪問介護業務に慣れるまで必要な訓練を行う義務があります。
- さらに、外国人介護士のキャリアアップを支援するための計画を作成することも求められます。
- ハラスメントを防止するための相談窓口を設置するなど、必要な措置を講じることも義務付けられます。
- 不測の事態が発生した場合に適切に対応できるよう、情報通信技術(ICT)を活用した環境整備(連絡手段の確保、記録システムの導入など)も必要となります。
- その他:場合によっては、訪問介護事業を開始する前に、行政から追加すべき資料通知を受け、上記要件について適切な受け入れ体制が整っていることを確認される可能性もあります。
6. 訪問介護における業務範囲と可能な職務
訪問介護における業務範囲は、「身体介護」と「生活支援」つまり日常生活を送る上で必要な支援が中心です。具体的な職務内容としては、以下の通りです。
- 入浴、更衣、排泄、食事、移動などの身体介護。
- 調理、掃除、洗濯などの家事援助。
- 買い物や散歩などの外出支援。
- 利用者やその家族とのコミュニケーション。
- 介護記録の作成などの基本的な記録業務。
ただし、医療行為など、医師や看護師といった資格を持つ専門職にしか認められていない業務は、特定技能外国人介護士が行うことはできません。
7. 訪問介護分野における特定技能外国人介護士への支援体制
特定技能外国人介護士を受け入れる企業は、出入国在留管理庁が定める基準に基づき、彼らが日本で安心して生活し、就労できるよう、多岐にわたる支援を提供する必要があります。これには、入国前のガイダンス、入国時の送迎、住居の確保や生活に必要な契約支援、日本での生活に関するオリエンテーション、行政手続きへの同行などが含まれます。また、日本語学習の機会の提供、相談や苦情への対応、日本人同僚や地域住民との交流促進、自己都合退職以外の理由による転職支援、定期的な面談の実施と行政機関への通報なども義務付けられています。
訪問介護においては、特に以下の点に配慮した支援が重要となります。
- 利用者との円滑なコミュニケーションを確保するための日本語学習支援。
- 日本の生活習慣やマナーに関する研修。
- 緊急時における適切な対応のための訓練と情報提供。
- 訪問時の移動手段の確保(運転免許取得支援や代替交通手段の提供など)。
これらの支援業務は、登録支援機関に委託することも可能です。
8. 特定技能資格と介護福祉士資格の関係
特定技能ビザで日本に滞在する外国人介護士は、国家資格である介護福祉士の取得を目指すことができます。介護福祉士の資格を取得するための主なルートは以下の通りです。
- 特定技能ビザで3年以上介護施設で働き、実務者研修を修了する。
- 日本の介護福祉士養成施設を卒業する。
- EPA(経済連携協定)に基づくプログラムを修了する。
介護福祉士資格を取得することには、以下のようなメリットがあります。
- 在留資格を「介護」に変更することができ、在留期間が無期限となり、家族の帯同も可能になります。
- より広い範囲の介護業務に従事できるようになり、訪問介護サービスも提供できるようになる可能性があります。
- キャリアアップの機会が増え、給与水準の向上も期待できます。
9. 介護や障がい福祉に強い行政書士法人によるサポート
介護特定技能は、基準の上乗せが通常の特定技能より多い分野です。
そのうえで、訪問介護その他訪問系サービスは、さらなる要件が上乗せされ、気づかないうちに違反になりやすい業務です。これは申請時はもとより、許可後の運用や届出でも同じです。
したがって、定期的にコンプライアンスチェックを行うことができる行政書士法人が申請から許可後相談、定期届、随時届までサポートすることが望ましいでしょう。
谷島行政書士法人グループは、居宅介護、重度訪問介護など障がい福祉サービスの指定申請や処遇改善加算などの手続や相談も10年以上行ってきた行政書士法人グループです。介護業界でお困りの方はぜひご相談ください。
10. 結論
2025年4月から始まる特定技能外国人介護士による訪問介護サービスの提供は、日本の介護分野における労働力不足の解消に大きく貢献することが期待されます。この新たな制度の下で外国人介護士が活躍するためには、適切な資格取得と研修、そして受け入れ企業による手厚いサポート体制が不可欠です。訪問介護と施設介護とでは求められる要件に差異があることを理解し、それぞれの役割に応じた準備を進めることが重要です。この規制緩和が、高齢化が進む日本において、質の高い在宅介護サービスの提供を支える力となることが期待されます。
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この記事の監修者

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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人ビザ専門。「手続代理」と、企業や弁護士等専門家向けに「外国人雇用の顧問」実績多数。
- 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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