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コラム

2024年12月25日 技術・人文知識・国際業務

高度人材80点で永住許可申請時の注意点:「高度専門職」と「技術・人文知識・国際業務」からのメリット/デメリット

 

 

高度人材ポイント計算は予定であること

現時点:2つの時点の計算結果を提出する
 永住許可申請時点の計算と疎明資料を提出
 1年又は3年前の時点:ポイント計算結果又はポイント計算結果通知書を提出

 

永住許可を「技術・人文知識・国際業務」期間のポイント計算で申請する場合の対応

ポイント計算結果通知書はないため立証が必要、つまり疎明資料を提出することになります。
つまり、通常の永住許可申請より書類が多くなり、申請が大変になります。

 

参考:

高度専門職ポイント計算結果通知書の写し(別記第27号の2様式)
※ 「高度人材外国人」と認められて在留資格認定証明書の交付又は在留資格変更の許可等を受けた場合に通知されるもの

法務省出入国在留管理局:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00130.html

 

永住の実績と申請時点での関係による問題

 高度人材であった時の資料でなく、永住の場合、収入は今までの在留でポイント計算による高度人材であった時期の課税証明書を出すことになる。
 一方で、1年や3年で永住許可をとる高度専門職や技術・人文知識・国際業務の高度人材は当時つまり過去1年間の予定を立証して提出する。しかしその齟齬が問題になる。
つまり、最初の1年間を高度人材として在留している期間は、その課税証明を出す必要はなかった。しかし、永住許可申請では、課税証明書を提出する。それが高度専門職や永住で申請する年間の収入と異なることがある。

収入でポイント計算結果が変わる場合

 暦年と今後一年の違い
  暦年で年収のポイントとならない場合でも、年の途中で計算すればポイント計算ができる場合がある。
  例:3月にボーナスが出る企業の場合、1年で永住申請する場合は、昨年1月から12月における課税証明書などでその実績が計上されていない

年齢及び経験年数によってポイント計算結果が変わる事例

29歳の「技術・人文知識・国際業務」で1年在留していた中国人は、28歳当時にさかのぼりポイント計算したところ80点だった。
最近、永住許可申請を行おうとして、30歳時点で申請しようと思った。しかし、その時点で80点を満たさなくなる(年齢が若いほど加算があるため)。
その後、年収実績書面が出てくる時点は31歳となっている。その時点で経験年数と年収のいずれかにより80点になる見込みだ。
したがって、やむなく1年ほど待つことになった。
本件では、そのため、30歳時点のポイント計算では75点となり、不許可率が高まる。

 

「技術・人文知識・国際業務」のデメリット

「高度専門職」(計算結果80点)であった場合は、計算結果を提出したため、当該外国人は31歳で申請することで29歳時点のポイント計算を使える。
一方で、「技術・人文知識・国際業務」であった場合は、1年前またはそれ以上前にポイント計算を提出していない。当該外国人は31歳で申請する時、1年前時点は30歳になってしまい、29歳のポイント計算は使えない。
 

「高度専門職」のポイント計算結果通知書のメリット

上記の例では、29歳で高度専門職の許可を得れば、31歳の永住許可申請時点でも、29歳時点の「高度専門職」が許可され、その許可時に交付されるポイント計算結果通知書を使えるのである。
この事例のまとめとして、29歳時点での高度専門職としての1年前に計算結果通知書がなければ、31歳時点の永住許可申請をする場合、1年前は30歳になってしまい75点になる。そうすると、永住許可申請は不許可になりやすい。70点以上であれば、3年間経過しないと永住許可はされないことになり、さらに2年待つ必要がある。

なぜ、直近の収入と、年収が違って見えるか:暦年とは

 80点を満たせるかどうかで1年で永住許可がされるかの結論が変わる。しかし、前述の例で年収との関係は複雑になる。
1年前時点の29歳での年収では80ポイントになると思っていたが、実際はその次の年の4月が誕生日とする。30歳になってからでないと3月のボーナスは受け取ることができないとする。その結果、29歳時点で申請時点では暦年でない時点では収入ポイントを満たしていると評価できるが、1月から12月の期間として出てくる「暦年」の年収の実績を証する書面では加算となる年収額を満たしていないとみえることがある。この点は運用でカバーされるものであり、法務省令では明らかにされていないことが要件を評価する裁量となってしまう。

収入(実績)証明書とは以下の資料である。
 □前年分の課税証明書
 □前年分の源泉徴収票等
 □前年分の給与明細コピー

永住は実績を判断することが基本であって、高度専門職または技術・人文知識・国際業務や特定活動の高度人材では当時の予定を提出するため、実績と当時の予定で齟齬が生じることが問題である。
ボーナスの場合、大きい額である場合は、それをもらえてから1年を評価することになると、その時はすでに年齢が30歳になっていることがある。前述の年齢加算との関連で、年収面で加算できないまま、「1年前」を経過していることがあり、そうすると、1年で永住許可されない可能性があるため、注意が必要である。

法令上の要件適合基準時点とは

以上の議論は、高度専門職1号の要件適合時点としては、「申請の時点」となっていることが根拠である。そのポイント計算等の要件適合が許可時点も「みなす」とされているのである。
特別高度人材の年収要件適合などについても同じである。
その根拠は次の条文である。

参考:高度専門職省令

2 法第六条第二項、第二十条第二項、第二十一条第二項、第二十二条の二第二項(法第二十二条の三において準用する場合を含む。)又は第五十条第二項の規定による申請の時点において特別高度人材である者又は前項各号のいずれかに該当する者は、当該申請に係る第一号許可等を受ける時点においてそれぞれ特別高度人材である者又は当該各号に該当する者とみなす。

 

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この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人ビザ専門。「手続代理」と、企業や弁護士等専門家向けに「外国人雇用の顧問」実績多数。

 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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