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「経営・管理」ビザの資本金及び雇用要件厳格化!中国人が旅館業(民泊・ホテル業)を始める際のリスク

2025年08月15日

経営・管理ビザ会社設立、投資

「経営・管理」ビザの資本金及び雇用要件厳格化!中国人が旅館業(民泊・ホテル業)を始める際のリスク

内容

■「経営・管理」ビザの要件改正の方向

■中国人経営者が宿泊ビジネスで直面する3つの重大リスク

■結論:専門家への相談なくして成功はあり得ない

近年、インバウンド需要の回復を見込み、日本の宿泊施設(旅館、ホテル、民泊)への投資・経営を考える中国人経営者の方からのお問い合わせが多くあります。

しかし、その根幹となる在留資格「経営・管理」の要件が、近く大幅に厳格化される見込みであることが報じられました。

これまで「資本金500万円」で取得の道があったため、比較的容易と考えられていた経営・管理ビザですが、この改正はまさに「ゲームチェンジ」と言えるほどの衝撃です。安易な計画で事業を始めると、「ビザが取得できない」「投資資金を回収できない」といった深刻な事態に陥る可能性があります。

本ページでは、この重要な改正内容を解説し、特に中国人経営者が宿泊事業を始める際に直面する新たなリスク、そして万博もあいまって大阪府等で増加の報道をされている「特区民泊」の問題点について、専門家の視点から詳しく解説します。


「経営・管理」ビザの要件改正の方向

今回の改正で最も重要なポイントは、資本金雇用に関する要件の変更です。報道によると、政府は安易なビザ取得を防ぐため、以下の通り要件を厳格化する方針です。

項目現行(改正前)改正後の見込み変更点のポイント
資本金500万円以上3,000万円以上6の大幅引き上げ
雇用(資本金要件を満たせば必須ではない)常勤職員1名以上の雇用が必須日本人または永住者等の雇用が追加

【解説】

これまでの制度では、「500万円の資本金を準備する」または「常勤職員を2名以上雇用する」のいずれかを満たせば、申請の土台に乗ることができました。しかし改正後は、「3,000万円以上の資本金」と「常勤職員1名以上の雇用」の両方を満たすことが必須となる見込みです。

これは、単に初期投資額が増えるだけではありません。事業計画そのものに、従業員1名の給与や社会保険料を継続的に支払い、かつ3,000万円の投資に見合うだけの収益性・安定性・持続可能性を、説得力をもって証明する必要があることを意味します。


中国人経営者が宿泊ビジネスで直面する3つの重大リスク

このビザ要件の厳格化に伴い、特に人気の高い宿泊事業においては、これまで以上に慎重な判断が求められます。

リスク1:ビザ取得のハードルが絶望的に高まる

新しい要件下では、小規模な民泊施設やゲストハウスを1軒運営する程度の事業規模では、経営・管理ビザの許可を得るのは極めて困難になります。

出入国在留管理局の審査では、「その事業で、本当に3,000万円の投資が必要なのか?」「従業員を雇い続けられるだけの安定した利益は見込めるのか?」という点が厳しく問われます。例えば、年間売上が数百万円程度の小規模民泊では、これらの要件を満たす事業計画を立てることは現実的ではありません。最低でも小規模なホテルや、複数の物件を運営するレベルの事業規模が求められるようになるでしょう。

リスク2:「特区民泊」の制度的な落とし穴

住宅宿泊事業法における「民泊事業」ではより、年間180日制限等があります。「特区民泊なら制限がなく、毎日運営できるから事業の経営としてビザが取りやすい」という話を聞いたことがあるかもしれません。これは大きな誤解です。

特区民泊(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業)の問題点:

  • 限定的なエリア: 大田区、大阪市など、ごく一部の特区でしか実施できません。
  • ビザ審査上の評価: 最も重要な点として、たとえ特区民泊の認定を受けても、それ単体では「安定した事業」とは見なされにくい傾向があります。出入国在留管理局は、単なる「不動産投資」と「事業経営」を明確に区別して見ており、特区民泊の運営だけでは事業の実体性が乏しいと判断される可能性が高いのです。

なお、谷島行政書士法人グループでは、旅館業法の許可を受けた宿泊事業で、「経営・管理」の実績はあります。

今回の改正により、この傾向はさらに強まります。特区民泊を足がかりにビザを取得するという安易な計画は、もはや通用しないと考えるべきです。

リスク3:地域社会との摩擦と運営の複雑さ

無事に許認可を得て開業できたとしても、運営上のリスクは常に存在します。

  • 複雑な法規制: 旅館業法、住宅宿泊事業法(民泊新法)、消防法、そして各自治体の条例など、遵守すべき法律は多岐にわたります。外国人経営者が独力で全てをクリアするのは非常に困難です。
  • 近隣トラブル: 騒音、ゴミ出しのルール違反、文化的な習慣の違いから、近隣住民とのトラブルに発展するケースが後を絶ちません。一度関係が悪化すると、事業の継続自体が困難になることもあります。最近では、富士山周辺で中国人経営のホテル関係者が無断で樹木を伐採し逮捕されるという事件も起きており、外国人経営者に対する視線が厳しくなっている側面も無視できません。

結論:専門家への相談なくして成功はあり得ない

在留資格「経営・管理」の要件厳格化は、日本政府が「本気で日本経済に貢献する、安定した事業を行う経営者」を求めているという明確なメッセージです。

「とりあえず物件を買ってからビザを考えよう」という順序で進めるのは、極めて危険です。多額の投資をしたにもかかわらず、ビザが不許可になれば、その損害は計り知れません。

当法人にご相談いただくメリット

  • 最新の法改正・審査動向の把握: 常に最新の情報を収集し、許可の可能性を正確に判断します。
  • 実現可能な事業計画の立案サポート: 新しいビザ要件をクリアできる、説得力のある事業計画書の作成を強力にサポートします。
  • 各種許認可申請の代行: 会社設立から旅館業許可、民泊の届出・認定まで、複雑な手続きをワンストップで代行します。
  • リスクの事前回避: 想定されるトラブルを未然に防ぐための具体的なアドバイスを提供します。

日本の宿泊事業への投資は、正しい知識と戦略があれば、依然として魅力的な選択肢です。しかし、その第一歩は、信頼できる専門家へ相談することから始まります。

安易な情報に惑わされ、取り返しのつかない事態に陥る前に、ぜひ一度、当法人までお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士

谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。


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特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他


- 略歴等

・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。


- 取引先、業務対応実績一部

・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他

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