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【監理支援機関2026年施行】育成就労の関連許認可まとめ・体制チェック表付き徹底解説

2025年08月15日

特定技能育成就労

【監理支援機関2026年施行】育成就労の関連許認可まとめ・体制チェック表付き徹底解説

内容

監理支援機関の関連許認可まとめ表

職業紹介事業許可|「無料」と「有料」の判断が重要

人的要件と講習受講の義務

法令を遵守する「組織体制」の構築

監理支援機関等における人的要件 管理体制まとめ表

参照法令

2026年からの新制度「育成就労制度」の施行に伴い、現行の「監理団体」は「監理支援機関」へと移行します。外国人材の受け入れと支援を継続・開始するためには、制度の変更点を正確に理解し、求められる許認可の取得と適切な組織体制の構築が不可欠です。

本ページでは、監理支援機関として事業を行う上で必要となる許認可の種類と、その維持・管理に求められる組織体制について、専門家の視点から分かりやすく解説します。


監理支援機関の関連許認可まとめ表

監理支援機関が外国人材の受け入れを行うにあたり、関連する主な事業と必要となる許認可は以下の通りです。特に更新申請時期は許認可ごとに異なるため、厳格な管理が求められます。

許認可が必要な想定事業許認可名期間更新申請時期
育成就労外国人の紹介及び監理・監理支援機関許可3年(非優良)〜5年(優良)有効期間満了の6ヶ月前から3ヶ月前まで
特定技能1号外国人の生活等支援・登録支援機関登録5年有効期間満了の6ヶ月前の月の初日から4ヶ月前の月の月末まで
特定技能2号外国人の生活等支援不要--
外国人を含めた職業紹介事業・無料職業紹介事業許可/届出 ・有料職業紹介事業有料職業紹介事業は3年、次回以降5年有効期間満了の3ヶ月前まで
外国人を含めた労働者派遣事業労働者派遣事業許可3年、次回以降5年有効期間満了の3ヶ月前まで


職業紹介事業許可|「無料」と「有料」の判断が重要

監理支援機関が育成就労や特定技能の外国人材を企業に紹介する行為は「職業紹介」に該当します。この職業紹介事業には「無料」と「有料」の2種類があり、事業の実態に合わせて適切な許可・届出が必要です。

無料職業紹介事業

組合などが、その組合員企業(構成員)に対してのみ、いかなる名義でも手数料や報酬を受け取らずに行う職業紹介です。多くの場合、監理支援業務を行う組合はこちらに該当し、厚生労働大臣への「届出」で事業を行うことができます。

有料職業紹介事業

組合員以外の一般企業にも紹介する場合や、紹介手数料(コンサルティング料など実質的な対価を含む)を徴収する場合は「有料職業紹介事業」となり、資産要件などを満たした上で「許可」を取得する必要があります。

実態が有料であるにもかかわらず無料の届出しかしていない場合は法令違反となります。自組織の事業実態を正確に把握し、適切な許認可を維持することが不可欠です。


人的要件と講習受講の義務

許認可の取得・維持と並行して、事業を適正に運営するために特定の役職者が定期的に講習を受講する義務があります。これらは組織が保有する「ライセンス」ではなく、職員個人が満たすべき「資格要件」である点を理解しておくことが重要です。

  • 監理支援責任者: 旧制度の「監理責任者」に相当します。3年ごとに監理支援責任者講習を受講し、知識をアップデートし続ける必要があります。
  • 外部監査人: 外部監査を行う行政書士なども、3年ごとに外部監査人講習を受講する必要があります。
  • 職業紹介責任者: 有料・無料を問わず、職業紹介事業を行う事業所では必ず「職業紹介責任者」を選任しなければなりません。この責任者は、5年ごとに職業紹介責任者講習を受講する義務があります。

これらの講習受講履歴は、監査や行政庁への提出資料で必ず確認される項目です。計画的な受講管理体制を構築しましょう。


法令を遵守する「組織体制」の構築

許認可を取得するだけでなく、法令を遵守した強固な「組織体制」を構築し、それを維持していくことが監理支援機関には求められます。特に、以下の4つの要素は、外部に対して事業の健全性を示す上で極めて重要です。

  1. 組織図の整備

 組織全体の構造と、その中で監理支援事業や登録支援事業がどのように位置づけられているかを明確に図示します。指揮命令系統や責任の所在を可視化することが目的です。

  1. 責任者その他人的要件適合者の適正な配置

 育成就労制度や出入国管理及び難民認定法に基づき、必要な責任者(監理支援責任者、支援責任者、支援担当者等)を明確に配置する必要があります。特に、監理支援責任者は常勤の役職員であることが求められます。

  1. 機能する監査体制
    • 外部監査: 行政書士など、独立した立場の第三者による定期的な監査を受け、客観的な視点で事業運営のチェックを受ける体制を構築します。
    • 内部監査: 組織内部でも、規程通りに業務が行われているかをチェックし、行政書士に相談する仕組みを整えることも重要です。
  2. コンプライアンス体制の確立 法令遵守のための業務マニュアルを整備し、全職員がその内容を理解・実践できるよう、定期的な研修を実施することが求められます。

これらの体制を適切に構築・運用していくことが、優良な監理支援機関としての信頼獲得に繋がります。


監理支援機関等における人的要件 管理体制まとめ表

監理支援機関、登録支援機関、職業紹介事業、労働者派遣事業を運営する上で、事業所ごとに配置・選任が必要となる主な人的要件の一覧です。

役職名根拠法令等講習要件常勤性主な役割・選任要件等
監理支援責任者育成就労法
(旧:技能実習法)
3年ごとに受講義務あり必須(常勤の役職員)・事業所ごとに1名以上選任
・育成就労計画の作成指導、監査、相談対応など監理支援事業全般を統括
・欠格事由に該当しないこと
外部監査人育成就労法
(旧:技能実習法)
3年ごとに受講義務あり不要(外部の行政書士等)・3ヶ月に1回以上の頻度で監査を実施
・法違反の有無などをチェック、監理支援機関の業務を客観的に監査
・当該機関の役職員でない、独立した立場であること(行政書士等の専門家)
支援責任者
(特定技能)
出入国管理及び難民認定法(及び関連省令)受講義務化へ改正方向必須(事業所ごとに1名以上)・登録支援機関の事業所ごとに1名以上選任
・特定技能外国人支援計画全体の管理・監督
・支援担当者を監督する立場にあり、中立性が求められる
支援担当者
(特定技能)
出入国管理及び難民認定法(及び関連省令)受講義務化へ改正方向常勤が望ましい・事業所ごとに1名以上選任(担当する外国人の数に応じ十分な人数が必要)
・支援計画に基づき、外国人の生活支援等を直接実施
・支援対象者と定期的面談を実施する義務あり
職業紹介責任者職業安定法(第32条の14)5年ごとに受講義務あり必須(常勤の役職員)・有料・無料を問わず、職業紹介を行う事業所ごとに1名以上選任
・求人・求職の管理、個人情報管理、業務指導などを担当
・雇用管理経験3年以上等の要件あり
派遣元責任者労働者派遣法(第36条)3年ごとに受講義務あり必須(専ら当該事業所に勤務する役職員)・労働者派遣事業を行う事業所ごとに1名以上選任
・派遣労働者の雇用管理、キャリアアップ、苦情処理等を担当
・雇用管理経験3年以上等の要件あり
・派遣労働者100人あたり1名以上の選任が必要

それぞれの役割、根拠法令、講習義務、常勤性の要件を正確に把握し、計画的な管理体制を構築することが重要です。


参照法令

職業安定法  略 (定義) 第四条 この法律において「職業紹介」とは、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあつせんすることをいう。 ② この法律において「無料の職業紹介」とは、職業紹介に関し、いかなる名義でも、その手数料又は報酬を受けないで行う職業紹介をいう。  略 (特別の法人の行う無料職業紹介事業) 第三十三条の三 特別の法律により設立された法人であつて厚生労働省令で定めるものは、厚生労働大臣に届け出て、当該法人の直接若しくは間接の構成員(以下この項において「構成員」という。)を求人者とし、又は当該法人の構成員若しくは構成員に雇用されている者を求職者とする無料の職業紹介事業を行うことができる。   職業安定法施行規則 (法第三十三条の三に関する事項) 第二十五条の三 法第三十三条の三第一項の厚生労働省令で定めるものは、次に掲げる法人であつて、その直接又は間接の構成員の数が厚生労働大臣の定める数以上のものとする。 一 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)の規定により設立された農業協同組合 二 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)の規定により設立された漁業協同組合又は水産加工業協同組合 三 中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)の規定により設立された事業協同組合又は中小企業団体中央会 四 商工会議所法(昭和二十八年法律第百四十三号)の規定により設立された商工会議所 五 中小企業団体の組織に関する法律(昭和三十二年法律第百八十五号)の規定により設立された商工組合 六 商工会法(昭和三十五年法律第八十九号)の規定により設立された商工会 七 森林組合法(昭和五十三年法律第三十六号)の規定により設立された森林組合 八 その他前各号に準ずるものとして厚生労働大臣が定めるもの

出典(許認可)

リンク▶監理団体

リンク▶登録支援機関

リンク▶職業紹介

この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士

谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。


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- 資格等

特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他


- 略歴等

・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。


- 取引先、業務対応実績一部

・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他

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