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ホテルの外国人就労チェックポイント?必要な在留資格一覧と業務内容を解説

2025年06月04日

宿泊

ホテルの外国人就労チェックポイント?必要な在留資格一覧と業務内容を解説

近年、インバウンド(訪日外国人旅行者)は増加しており、 2025年4月の訪日外客数は390万8900人となり過去最高を記録しています。

出典:独立行政法人 国際観光振興機構

https://www.jnto.go.jp/news/_files/20250521_1615.pdf

一方、日本のホテル業界では深刻な人手不足を背景に、外国人人材の採用ニーズが年々高まっています。外国人をホテルで雇用する場合、必ず適切な在留資格が必要です。それを正しく理解していないと、企業側が知らないうちに法令違反に問われる可能性があります。

この記事では、ホテル業界で外国人が働くために必要な在留資格と、認められる業務内容をわかりやすく解説します。


内容

1. 外国人がホテルで働けるのはどんな業務?

2. ホテル業界で活用できる在留資格の一覧と特徴

3. 在留資格ごとの受入基準、メリット・デメリット

4. 資格外活動のアルバイトについて

5. 採用担当者が注意すべき法的ポイント

6. まとめ


1. 外国人がホテルで働けるのはどんな業務?

外国人が日本のホテルで働く場合、すべての業務が対象となるわけではありません。
在留資格ごとに認められる業務内容が決まっているため、採用側はそれを正確に理解する必要があります。

■ 認められる業務例

  • フロント業務(受付、予約管理、会計)
  • 外国語対応(通訳、翻訳、海外顧客対応)
  • マーケティング業務(外国市場向けプロモーション)
  • 企画・広報業務
  • 外国料理専門の調理業務
  • 宿泊業務全般(特定技能1号の場合のみ)

注意!
単純労働(ベッドメイキング、清掃、荷物運び、皿洗いなど)は、
通常の就労系在留資格では認められません。

ただし、現場系が可能な「技能実習」、「育成就労」、「特定技能」、または就労制限のない身分系在留資格であれば可能です。


2. ホテル業界で活用できる在留資格の一覧と特徴

ここでは、ホテル業界で外国人が働ける主な在留資格を一覧にまとめます。
採用担当者が現場で必要な比較情報として、ぜひご活用ください。

在留資格名定義・対象業務主な採用対象
技術・人文知識・国際業務、高度専門職専門的知識・技術が必要な業務(例:フロント、企画、通訳)大卒・専門卒の外国人(関連分野)
特定技能人手不足分野(宿泊業)における一定技能を持つ人材宿泊業務全般(清掃、ベッドメイキング含む)
技能外国料理専門の調理師等、熟練した技能を持つ人材原則10年以上の実務経験
留学の資格外活動許可(資格変更も可能)週28時間以内。ただし、日本の大学・専門学校を卒業後、就労資格へ変更すれば40時間など可能。日本国内の留学生
家族滞在の資格外活動許可週28時間以内。外国人の配偶者など
永住者・特別永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等、定住者就労制限なし、全業種・全職種可能身分系資格保持者

3. 在留資格ごとの受入基準、メリット・デメリット

採用現場の実務で特に重要なポイントを、以下の表に詳しくまとめました。

在留資格名受入基準メリットデメリット
技術・人文知識・国際業務 高度専門職大卒・専門卒(関連分野)/業務内容が高度業務であること/単純労働不可高度ないし専門的人材が採用でき、長期雇用が可能採用できる職種に専門性が要求され、ベッドメイキングなどは不可
特定技能1号宿泊業分野の技能試験と日本語試験に合格宿泊業務全般に従事可能/技能試験済の即戦力家族帯同不可/通算最大5年間のみ/更新条件あり
技能外国料理分野で10年以上の実務経験(例外あり)高度な料理技能者を確保できる対象職種が非常に限定される
留学の資格外活動許可(資格変更も可能)アルバイトでなくフルタイムの場合、資格変更必要:日本国内の大学・専門学校卒業/学んだ分野と業務が関連など留学生からの新卒採用が可能/日本文化や日本語に馴染みやすい資格外活動、つまりアルバイトは単純労働可
家族滞在の資格外活動許可アルバイトでなくフルタイムの場合、資格変更必要:日本国内の大学・専門学校卒業/学んだ分野と業務が関連など日本文化や日本語に馴染みやすい資格外活動、つまりアルバイトは単純労働可
永住者・特別永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等制限なし就労制限なし/パート、アルバイト、単純労働も可能在留カードの確認など、基本的な管理義務は残る

4. 資格外活動のアルバイトについて

ホテル側が外国人をアルバイトとして採用する場合、特に注意が必要なのが資格外活動許可です。
これは、もともと就労が認められていない在留資格(例:留学、家族滞在等)の人が、副業的にアルバイトをするために必要な特別な許可です。

資格外活動許可とは?

例えば:

  • 留学ビザ → 学業が目的だが、資格外活動許可を得れば週28時間以内のアルバイトが可能。
  • 家族滞在ビザ → 家族としての滞在が目的だが、資格外活動許可を得ればアルバイト可。

ホテル側の確認ポイント

①資格外活動許可の有無を確認

  • 在留カード裏面に「資格外活動許可」スタンプの有無をチェック。

②労働時間制限を守る

  • 学期中は週28時間以内。
  • 長期休暇中は1日8時間、週40時間以内。

③認められる業務内容

  • 資格外活動の場合、単純労働も可能(フロント補助、清掃、レストラン補助など)。

注意点

  • 無許可のアルバイトは不法就労となり、本人だけでなく雇用主側も不法就労助長罪に問われる。
  • 短時間のバイトでも必ず許可が必要。
  • 特定活動(インターンシップ等)の場合は別のルールが適用されるので個別確認が必要。

5. 採用担当者が注意すべき法的ポイント

外国人採用では、以下の点に特に注意が必要です。

■ 採用時チェックリスト

  • 在留カードの確認
    有効期限、在留資格、就労制限の有無を確認。
  • 契約書の作成と説明
    雇用条件(仕事内容、勤務時間、賃金、勤務地)を明確に記載し、本人に説明。
  • 入管への届出義務
    新規雇用・退職の際は入管へ届出が必要(外国人雇用状況届出制度)。
  • 不法就労の回避
    在留資格の範囲を超えた業務に従事させると、雇用主側が不法就労助長罪に問われるリスクがあります。

6. まとめ

日本のホテル業界では、外国人採用がますます重要な課題となっており、そのためには、適切な在留資格を理解し、受入基準をクリアすることが必要不可欠です。
採用前に業務内容と適切な在留資格の確認が必須となり、専門知識のある行政書士法人に相談することで、採用側のリスクを最小化し、安定した外国人雇用を実現できます。

谷島行政書士法人グループでは、採用前からのご相談、ビザ申請、その後の在留資格の管理までワンストップでのサポートが可能です。

外国人のホテル業界採用に関するご相談は、当グループまでお気軽にお問い合わせください。


この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。
- 講師実績
行政書士会、建設やホテル人材等の企業、在留資格研究会等の団体、大手士業事務所、その他外国人の講義なら幅広く依頼を受ける。
▶ご依頼、セミナー、取材等のお問合せはこちら

 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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