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コラム

2024年12月12日 企業内転勤

企業内転勤2号vs技術・人文知識・国際業務:違い、まとめ比較表

日本での就労を希望する外国人の方々にとって、「技術・人文知識・国際業務」ビザと「企業内転勤ビザ」は主要な在留資格として、「企業内転勤2号」創設により比較がされるようになりました。これらのビザは就労可能な活動内容が類似していますが、「企業内転勤1号」と異なり、企業内転勤2号は技能等の活動が該当します。

以下の通り、違いを説明し、表でまとめてまいります。

 

 

企業内転勤2号ビザの活動内容

「企業内転勤2号」は「技能等」の活動とされております。

この度、2024年(令和6年)入管法改正で「企業内転勤2号」が創設されました。企業内転勤2号では、「技術・人文知識・国際業務」と活動内容の類似がある「企業内転勤1号」と大きく変わり「技能等」が活動内容となっております。

これは技能実習廃止による「育成就労」に入らない類型が「企業内転勤2号」で出来ることとも関連します。

以上の通り、企業内転勤2号は、技術・人文知識・国際業務ビザと大きく異なります。以下、各ビザの特徴と相違点について詳しく解説いたします。

 

技術・人文知識・国際業務と企業内転勤2号で就労できる活動の違い

技術・人文知識・国際業務ビザ:

このビザは、理学、工学などの自然科学分野や法律学、経済学、社会学などの人文科学分野の専門知識を活かした業務、または外国の文化に基づく感受性を必要とする業務に従事する場合に適用されます。具体的な職種例として、システムエンジニア、プログラマー、通訳、翻訳、デザイナー、マーケティング担当者などが挙げられます。

 

企業内転勤2号ビザ:

技術・人文知識・国際業務ビザと異なり、日本の工場、飲食料品製造業、あるいは小売店なども可能と考えられます。
なぜなら、育成就労の分野に該当しないとされる分野や業務区分をカバーすることを想定されて法改正をされたからです。

また、有期雇用契約での転勤が必要である要件もあります。

さらに、転勤元と転勤先には会社の要件があります。

海外にある本店、支店、子会社、関連会社から日本の事業所へ数年間転勤し、技能等の業務に従事する場合に適用されます。つまり、企業内での人事異動として、日本で専門的な業務を行うことが可能です。

 

「企業内転勤2号」許可要件:「技術・人文知識・国際業務」との違い

- 技術・人文知識・国際業務ビザ

学歴または実務経験:
「技術」「人文知識」については、従事する業務に関連する分野の大学卒業、または専門学校卒業、もしくは10年以上の実務経験が必要です。

「国際業務」の場合は、関連経験である必要はありますが、3年以上の実務経験で足ります。

雇用契約書:日本の企業や団体との雇用契約が求められます。

報酬:日本人と同等以上の報酬を受けることが条件となります。

 

- 企業内転勤2号

雇用契約書:
法務省令とともにまだ審査要領が改正される前ですが、日本の企業や団体との雇用契約締結がなくても、外国の機関との雇用契約を前提として在籍出向などが可能です。但し、追加資料や理由書による説明が必要です。

これは入管法上、企業内転勤では、技術・人文知識・国際業務のような「本邦の公私の機関との契約」という要件がないため、外国の公私の機関との契約でもよいとなる反対解釈がされるからです。

有期労働契約であること:
企業内転勤1号・2号ともに、有期雇用でないと不許可になります。企業内転勤ビザは「期間を定めて」転勤する活動である必要があります。したがって無期雇用などは、最初からその規定に違反するからです(根拠法令である入管法別表第一の二)。つまり最初から正社員である場合は不許可になります。

なお、このような申請がされると、不許可・不交付の前段階としての追加資料通知もなく、いきなり不交付となった実例もあります。

正社員転換
企業内転勤2号は、許可後に、正社員転換をしてしまうと、在留期間更新許可申請が不許可になることがあります。

さらに更新のタイミングに関係なくても、在留資格の取消し、あるいは資格外活動違反を構成し、不法就労助長罪とされることがあります。なぜなら、企業内転勤は、転勤目的で活動できるものであり、「期間を定めて」転勤する必要があります。正社員転換をすると、その規定に違反し続けるからです(根拠法令である入管法別表第一の二)。

勤務期間
企業内転勤2号は、転勤直前に、海外の関連会社で1年以上継続して「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事していることが不要です。

今までの「技能実習の企業単独型」では、本国企業に入社してすぐに本国からの転勤が可能でした。これが上陸基準省令等で新たに規定されることになります。

 

企業間の関係性
企業内転勤1号と同じく2号も、日本の受け入れ企業と海外の転勤元・派遣元企業との間に、親会社、子会社、関連会社などの資本関係その他支配できる一定の関係があることが求められます。

支配できる関係であれば、その程度が低く、資本関係がなくても「企業内転勤」が許可される「関連会社」もあります。

 

報酬
日本人と同等以上の報酬を受けることが条件と想定されますが、企業内転勤1号より低い水準、さらには特定技能1号より低い水準で、想定されます。あくまで育成就労とともに施行される改正法だからです。
なお企業内転勤1号では、外国の転勤元で支払い続けることも可能です。その場合は、追加で証拠や説明資料などを提出します。

 

企業内転勤2号のまとめ比較表:「技術・人文知識・国際業務」との違い

上記の要件について、「技術・人文知識・国際業務ビザ」と「企業内転勤ビザ」の許可要件を比較した表です。

項目 技術・人文知識・国際業務 企業内転勤2号
学歴または実務経験 – 「技術」「人文知識」:関連分野の大学卒業、専門学校卒業、または10年以上の実務経験
– 「国際業務」:3年以上の関連業務経験が必要
– 不要と考えられる。技能実習の企業単独型から育成就労改正とともにカバーされる分野であるため。
雇用契約書 日本の企業や団体との雇用契約が必要 – 日本だけでなく、外国の機関との雇用契約でも一定範囲で可能
– 有期雇用契約が必要(正社員としての転勤は不可)
報酬 日本人と同等以上の報酬が必要

– 日本人と同等以上の報酬が必要

– 外国の転勤元企業から支払い続ける場合も可能性あり

企業間の関係性 特に必要なし - 日本の受け入れ企業と転勤元企業との間に、親会社、子会社、関連会社などの資本関係その他関係が必要
(資本関係がなくても一定の支配関係があれば許可される可能性あり)
正社員転換 該当なし

– 正社員採用は申請不許可のリスク有。
– 許可後に正社員転換を行うと、在留期間更新が不許可になる可能性あり。
この場合、資格外活動違反や不法就労助長罪とされるリスクもあり。

 

「企業内転勤2号」の申請書類:「技術・人文知識・国際業務」との違いのポイント

「技術・人文知識・国際業務」と「企業内転勤2号」共通書類:
在留資格認定証明書交付申請書+写真(縦4cm×横3cm)

 

技術・人文知識・国際業務:
学歴証明書(卒業証明書など)
職歴証明書(在職証明書など)
雇用契約書の写し
会社の登記事項証明書
会社の事業内容を示す資料(会社案内、パンフレットなど)

 

企業内転勤2号:
海外の勤務先での在職証明書
海外勤務期間中の業務内容を示す資料
日本の受け入れ企業と海外の派遣元企業との関係性を示す資料(出資関係を示す書類など)
転勤命令書や辞令の写し
会社の登記事項証明書
会社の事業内容を示す資料(会社案内、パンフレットなど)

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この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人ビザ専門。「手続代理」と、企業や弁護士等専門家向けに「外国人雇用の顧問」実績多数。

 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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