コラム
2025年01月28日 行政法実務在留資格一般
受入企業の営業所管轄での申請:外国人住所以外の入管管轄について
Q.行政書士が、在留資格認定証明書交付許可申請の申請取次を行う場合、申請先つまり管轄は、(本来は外国人の住所及び就労予定の支店・営業所がある富山県を管轄する名古屋出入国在留管理局になるはずですが、)所属機関の本店のある東京を管轄する東京出入国在留管理局でもできるのでしょうか?
A.東京出入国在留管理局、名古屋出入国在留管理局のどちらにも申請可能です(2025年1月10日東京出入国在留管理局就労審査部門に確認済)。
その理由は、2024年時点で公表されている以下の資料にのっとり、説明してまいります。
出典:出入国在留管理庁ホームページ「管轄区域外又は分担区域外に住居地を有する者に係る申請等取次ぎについて」(一部省略)、https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/10_00055.html
具体例:
これまで,¹申請人の所属する機関の事務所が管轄区域内に所在しており,その職員による取次申請であって申請人が管轄区域外の地域に住居地を有する場合は,²現に申請人が当該事務所で活動している場合に限って,管轄区域外又は分担区域外に住居地を有する者からの申請を受け付けることができることとしてきました。 |
理由
在留資格認定証明書交付許可申請の管轄については法令に定めはなく、入管庁の運用によっています。出入国在留管理庁がホームページにおいて、「管轄区域外又は分担区域外に住居地を有する者に係る申請等取次ぎについて」を公表していますので、これを基に考えてみます。
事例に関係する部分に下線¹ から⁴ を付けました。
第1段落では、入管庁のこれまでの運用を述べており、申請人が管轄区域外又は分担区域外に住所を有する場合、申請人が活動する「営業所(事務所)」を基準として管轄を決定しています。
例えば、下線¹ では、主語が「営業所(事務所)」になっています。下線² では、住所の例外として、申請人が「当該営業所(事務所)」で活動している場合に限り、管轄を認めています。
そのため、上記のケースでは、外国人が就労する予定の支店・営業所(事務所)がある富山県を管轄する名古屋出入国在留管理局に管轄があり、申請が可能です。
第2段落以下では、管轄基準を「営業所(事務所)」から「機関」つまり企業など法人の営業所に変更して、これまでの運用より広げています。
例えば、下線³ では、「申請人が受け入れられようとしている機関」の職員に申請取次を認めて、職員の勤務地を管轄基準としています。
そのため、当該職員が勤務する所属機関の本店である営業所がある東京を管轄する東京出入国在留管理局に管轄があり、申請が可能です。
第3段落は、行政書士等に関する、いわゆる「なお書き」であり、第2段落の内容の説明等を付け足した文です。つまり、第2段落の営業所管轄の基準の緩和で、住所地でないが営業所を管轄する東京入管に申請できることについて、委任された行政書士等についても同様とされております。
具体的には、下線⁴ で「当該外国人が受け入れられている又は⁴受け入れられようとしている機関」の所在地を管轄基準としていることについて、届出済証明書が交付された弁護士・行政書士等からの申請等取次ぎの場合の管轄基準について述べています。「についても…認めています」と記載されているように、申請取次の管轄基準は、第2段落の機関の職員の管轄基準と同様に捉えていると考えられます。
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この記事の監修者
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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人ビザ専門。「手続代理」と、企業や弁護士等専門家向けに「外国人雇用の顧問」実績多数。
- 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他