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コラム

2024年10月25日 コラム

工業製品製造業改正の特定技能1号・2号の新業務区分を徹底解説

内容

工業製品製造業分野の特定技能運用方針(2024年改定版)… 1

特定技能1号の業務区分の改正と追加… 2

特定技能1号の業務区分と試験区分のまとめ表… 5

特定技能2号の業務区分と試験区分のまとめ表… 6

工業製品製造業の特定技能の雇用形態… 6

工業製品製造業の特定技能のQ&A. 7

 

 

工業製品製造業分野の特定技能運用方針(2024年改定版)

 

1.人材確保の背景

製造業分野においては、深刻な人手不足に直面しており、特定技能外国人を受け入れることで、専門性や技能を持つ即戦力の労働者を確保し、産業の維持・発展を図ることが目的です。

 

2.国内の取組

生産性向上:工場のデジタル化やAI、IoTの活用により、生産プロセスの改善に取り組んでいます。これにより、年平均1%程度の生産性向上が見込まれています。

人材確保:女性や高齢者の雇用促進、適正な賃金の確保、労働環境の整備などを進めています。

 

3.人手不足の状況

令和4年度の有効求人倍率は、製造分野全体で深刻な人手不足を示しています。例として、鋳物製造工は6.83倍、金属熱処理工は6.03倍とされています。

今後も需要が増加すると見込まれており、令和10年度には約42万4,300人の労働者が不足すると推計されています。

 

4.受入れ見込数

製造業分野における特定技能外国人の受入れ見込数は、向こう5年間で最大17万3,300人です。これを上限とし、国内人材の確保や生産性向上を進めつつ、一定の外国人労働者の受入れを進めるとしています。

 

5.特定技能外国人の基準

特定技能1号および2号の外国人は、所定の試験に合格し、適切な技能と日本語能力を持つ者に限定されます。

技能実習2号を修了した者は、特定技能1号として認定される場合があります。

 

6.雇用形態とその他の措置

雇用形態:特定技能外国人は直接雇用のみが認められます。

治安維持:必要に応じて治安上の問題がないか、関係機関と情報共有し、必要な対策を講じます。

 

7.地域偏重の防止

大都市圏への過度な集中を防ぐため、地方での労働者確保を促進し、地域差が生じないように制度を運用します。

 

この方針に基づき、製造業分野において外国人労働者の受け入れを進めることで、持続可能な経済基盤の確保を目指しています。​

 

 

特定技能1号の業務区分の改正と追加

工業製品製造業の特定技能外国人が従事できる業務区分について、以下の通り類型ごとに説明します。

 

業務区分の通則:主たる業務と関連業務

特定技能外国人が製造業分野で従事する業務は、以下の業務区分に分類されます。これらは、特定技能評価試験(製造分野1号・特定技能2号)に対応しており、具体的な作業内容も業務区分を逸脱することはできません。

ただし、主たる業務として以下に存在しなくても、「関連業務」として可能な業務も多くあります。専門の行政書士にご相談ください。

 

1.機械金属加工

内容:指導者の指示を理解し、または自らの判断に基づいて、素形材製品や産業機械などの製造工程の作業に従事します。具体的には、部品の切削、研磨、組立などが含まれます。

試験区分:製造分野特定技能1号評価試験(機械金属加工)

 

2.電気電子機器組立て

内容:電気電子機器の製造・組立工程の作業に従事します。これには、電気部品や電子部品の組立て、配線作業などが含まれます。

試験区分:製造分野特定技能1号評価試験(電気電子機器組立て)

 

3.金属表面処理

内容:金属の表面処理を行う作業に従事します。表面処理は、製品の耐久性向上や美観のために重要な工程です。例えば、メッキや塗装などが含まれます。

試験区分:製造分野特定技能1号評価試験(金属表面処理)

 

4.紙器・段ボール箱製造

内容:紙器や段ボール箱の製造工程の作業に従事します。製品の設計、裁断、接着、組み立てなどの作業が含まれます。

試験区分:製造分野特定技能1号評価試験(紙器・段ボール箱製造)

 

5.コンクリート製品製造

内容:コンクリート製品の製造工程に従事します。型枠の設置や取り外し、製品の仕上げ作業などが主な業務です。

試験区分:製造分野特定技能1号評価試験(コンクリート製品製造)

 

6.RPF製造(Refuse Paper and Plastic Fuel)

内容:廃棄物からリサイクル燃料であるRPFを製造する作業に従事します。破砕や成形などの工程が含まれます。

試験区分:製造分野特定技能1号評価試験(RPF製造)

 

7.陶磁器製品製造

内容:陶磁器製品の製造に従事します。これには、材料の調合、成形、焼成などの作業が含まれます。

試験区分:製造分野特定技能1号評価試験(陶磁器製品製造)

 

8.印刷・製本

内容:印刷および製本作業に従事します。オフセット印刷、グラビア印刷、製本工程が含まれ、製品の仕上げまでを担当します。

試験区分:製造分野特定技能1号評価試験(印刷・製本)

 

9.紡織製品製造

内容:繊維製品の製造工程に従事します。糸の加工、布の織り、染色などの作業を行います。

試験区分:製造分野特定技能1号評価試験(紡織製品製造)

 

10.縫製

内容:縫製工程に従事します。衣服や布製品の裁断、縫製、仕上げ作業を行います。

試験区分:製造分野特定技能1号評価試験(縫製)

 

その他の業務区分

これら以外にも、「仕上げ」や「工業包装」、「プラスチック成形」、「溶接」などの作業がありますが、基本的には全て特定技能1号評価試験の対象業務として認定されており、対応する試験に合格することで業務に従事できるようになります。

 

特定技能1号の業務区分と試験区分のまとめ表

番号

業務区分

内容

試験区分

1

機械金属加工

素形材製品や産業機械の製造工程に従事

製造分野特定技能1号評価試験(機械金属加工)

2

電気電子機器組立て

電気電子機器の製造・組立工程に従事

製造分野特定技能1号評価試験(電気電子機器組立て)

3

金属表面処理

金属の表面処理(メッキ、塗装など)

製造分野特定技能1号評価試験(金属表面処理)

4

紙器・段ボール箱製造

紙器や段ボール箱の製造工程に従事

製造分野特定技能1号評価試験(紙器・段ボール箱製造)

5

コンクリート製品製造

コンクリート製品の製造工程に従事

製造分野特定技能1号評価試験(コンクリート製品製造)

6

RPF製造

RPFの製造工程に従事(破砕・成形)

製造分野特定技能1号評価試験(RPF製造)

7

陶磁器製品製造

陶磁器製品の材料調合、成形、焼成作業に従事

製造分野特定技能1号評価試験(陶磁器製品製造)

8

印刷・製本

印刷および製本作業(オフセット印刷、グラビア印刷)に従事

製造分野特定技能1号評価試験(印刷・製本)

9

紡織製品製造

繊維製品の製造工程に従事(糸の加工、布の織り、染色など)

製造分野特定技能1号評価試験(紡織製品製造)

10

縫製

衣服や布製品の裁断、縫製、仕上げ作業に従事

製造分野特定技能1号評価試験(縫製)

 

 

特定技能2号の業務区分と試験区分のまとめ表

番号

業務区分

内容

試験区分・関連資格

1

機械金属加工

複数の技能者を指導しながら、素形材製品や産業機械等の製造工程の作業に従事し、工程を管理

製造分野特定技能2号評価試験(機械金属加工)、技能検定1級

2

電気電子機器組立て

複数の技能者を指導しながら、電気電子機器等の製造工程・組立工程の作業に従事し、工程を管理

製造分野特定技能2号評価試験(電気電子機器組立て)、技能検定1級

3

金属表面処理

複数の技能者を指導しながら、表面処理等の作業に従事し、工程を管理

製造分野特定技能2号評価試験(金属表面処理)、技能検定1級

 

 

工業製品製造業の特定技能の雇用形態

工業製品製造業の特定技能では、すべての業務区分において、特定技能外国人は直接雇用される必要があり、派遣や契約社員としての雇用は認められません。また、従事する業務内容に応じて、必要な研修や教育が行われる場合があります。

 

工業製品製造業の特定技能のQ&A

Q1: 特定技能1号と2号の違いは何ですか?

A1: 特定技能1号は、基本的な技能を持つ外国人労働者を対象にしており、1号に合格することで特定の業務に従事できます。特定技能2号は、より高度な技能や経験を必要とし、複数の技能者を指導しながら、工程の管理なども行います。2号では、長期的な滞在や家族の帯同が認められることもあります。

 

Q2: 特定技能1号ではどのような業務に従事できますか?

A2: 特定技能1号の業務区分では、以下のような業務に従事できます。

機械金属加工:素形材製品や産業機械の製造工程に従事します。

電気電子機器組立て:電気電子機器の製造・組立工程の作業に従事します。

金属表面処理:メッキや塗装などの金属の表面処理作業に従事します。

 

Q3: 特定技能2号の対象業務にはどのようなものがありますか?

A3: 特定技能2号では、複数の技能者を指導しながら工程の管理を行う高度な業務が求められます。対象業務には以下が含まれます。

 

機械金属加工:製造工程に従事し、複数の技能者を指導しつつ工程を管理します。

電気電子機器組立て:電気電子機器の製造・組立て工程を管理し、他の技能者を指導します。

金属表面処理:表面処理作業を指導し、工程全体を管理します。

 

Q4: 特定技能1号と2号では、業務に就くためにどのような試験が必要ですか?

A4:

特定技能1号:業務ごとに対応する「特定技能1号評価試験」に合格する必要があります。例えば、機械金属加工業務の場合は、「機械金属加工評価試験」に合格する必要があります。

特定技能2号:特定技能2号では、より高度な「特定技能2号評価試験」又は技能検定1級の取得が求められます。例えば、電気電子機器組立て業務の場合、「電気電子機器組立て評価試験」に合格又は技能検定1級合格の必要があります。さらに、ビジネス・キャリア検定3級(生産管理プランニング又は生産管理オペレーション)の合格も必要です。

 

Q5: 特定技能2号の外国人労働者は、どのような責任を持ちますか?

A5: 特定技能2号の労働者は、単に作業を行うだけでなく、複数の技能者を指導し、製造工程全体の管理を行う責任があります。また、工程の効率化や品質管理も担当します。

これにより、永住を目指すことができる管理業務や指導者としての責任を持つ上級職に従事できるようになります。

 

Q6: 特定技能2号はどのようなメリットがありますか?

A6: 特定技能2号にはいくつかのメリットがあります。

  • 長期滞在の可能性:在留期間が長く、更新を続けることで長期的に日本で働くことが可能です。
  • 家族帯同の許可:特定技能1号では認められない家族の帯同が、特定技能2号では許可されることがあります。
  • 高度な技術者としての評価:2号は管理者としての役割を担い、高い技能と責任を持つため、企業内でのキャリアアップが期待できます。

 

Q7: 工業製品製造業の特定技能1号と2号の業務は直接雇用のみですか?

A7: はい、特定技能1号および2号の労働者は、すべての業務において直接雇用のみが認められています。派遣労働や契約社員としての雇用は認められていません。

なお、派遣労働が可能な特定技能の産業分野は「農業」と「漁業」のみです(2024年10月時点)。

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この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザ専門。手続代理及びコンプライアンス顧問として、登録支援機関のほか弁護士等の専門家向け顧問の実績多数。

 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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