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未来創造人材「J-Find」(特定活動51号・52号)ビザ徹底解説

2025年08月15日

特定活動

未来創造人材「J-Find」(特定活動51号・52号)ビザ徹底解説

内容

J-Findの対象者(特定活動51号)

日本での活動範囲

家族の帯同(特定活動52号)

J-Findの根拠法令「特定活動告示」

J-Findへの在留資格許可申請手続について

Q. J-Findで起業予定だったが、他で雇用されることになった場合に「技術・人文知識・国際業務」など他の在留資格申請(変更許可等)が必要か。

ワーキングホリデーの「特定活動」から在留資格変更許可がされない国があることとの違い

J-Findから「技術・人文知識・国際業務」等への変更許可申請と不許可リスク

まとめ

「J-Find」は、「未来創造人材」とも言われ、将来、日本でイノベーション創出の担い手となることが期待される、海外の優秀な大学等を卒業した若手人材を対象とした特別な在留資格(特定活動ビザ)です。

このビザの最大の特徴は、日本で最長2年間、腰を据えて就職活動起業準備活動を行える点にあります。また、これらの活動資金を補うための就労も可能であり、非常に自由度の高い制度設計となっています。

ここでは、未来創造人材「J-Find」の要件や活動範囲、各種申請手続きについて詳しく解説します。


J-Findの対象者(特定活動51号)

J-Findビザを取得するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

1. 学歴要件

以下の3つの世界大学ランキングのうち、2つ以上で100位以内にランクインしている大学を卒業、または大学院の課程を修了して学位を授与されていることが必要です。

  • QS・ワールド・ユニバーシティ・ランキングス
  • THE・ワールド・ユニバーシティ・ランキングス
  • アカデミック・ランキング・オブ・ワールド・ユニバーシティズ

2. 卒業後の期間

上記の大学・大学院を卒業・修了してから5年以内であることが要件です。比較的新しい卒業生が対象となります。

3. 滞在費の証明

申請時点において、日本での当面の生活費として20万円以上の預貯金があることを証明する必要があります。

4. 年齢

申請時に18歳以上である必要があります。


日本での活動範囲

J-Findビザで許可される活動は以下の通りです。

主な活動

  • 就職活動: 日本国内の企業等への就職を目指す活動。
  • 起業準備活動: 日本で会社を設立するための準備活動(事務所の確保、市場調査、法人設立手続きなど)。

就労について

J-Findの大きなメリットとして、上記の活動を行うために必要な資金を補うための就労が認められている点が挙げられます。

  • フルタイム勤務が可能: アルバイトのような時間制限はなく、フルタイムで働くことができます。
  • 職種の制限が緩やか: いわゆる「就労ビザ」のように、学歴や職歴と関連する業務内容に縛られることなく、幅広い職種で就労が可能です。(ただし、風俗営業等の一部業務は除かれます。)

これにより、生活の基盤を安定させながら、じっくりとご自身のキャリアプランに合った就職先やビジネスチャンスを探すことができます。


家族の帯同(特定活動52号)

J-Find(特定活動51号)の在留資格を持つ方の配偶者およびは、「特定活動52号」という在留資格で日本に一緒に滞在することが可能です。

  • 活動範囲: 家族の活動は、原則として「日常的な活動」となります。これに就労は含まれません。
  • 就労する場合: 資格外活動許可を申請し、許可を得ることで、週28時間以内のパートタイム就労などが認められます。

J-Findの根拠法令「特定活動告示」

出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件(平成二年五月二十四日法務省告示第百三十一号)  略 五十一 次のいずれにも該当する十八歳以上の者が本邦において二年を超えない期間滞在して行う、就職活動及び本邦において貿易その他の事業の経営を開始するために必要な事業所の確保その他の準備行為を行う活動(以下この号において「起業準備活動」という。)並びにこれらの活動を行うために必要な資金を補うため必要な範囲内の報酬を受ける活動並びに起業準備活動に附随して行う報酬を受ける活動(風俗営業活動を除く。) イ 申請の時点において、別表第十三に掲げる指標(いずれも直近のものに限る。)のうち二以上において上位百位までに掲げられている大学を卒業し、又はその大学の大学院の課程を修了して学位又は専門職学位(学位規則(昭和二十八年文部省令第九号)第五条の二に規定する専門職学位をいい、外国において授与されたこれに相当する学位を含む。)を授与された日から五年を経過していないこと。 ロ 申請の時点において、申請人の預貯金の額が日本円に換算して二十万円以上であること。   五十二 前号に掲げる活動を指定されて在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動    略 別表第十三                                            一 クアクアレリ・シモンズ社(英国)が公表する世界大学ランキング(QS・ワールド・ユニバーシティ・ランキングス)        二 タイムズ社(英国)が発行するタイムズ・ハイアー・エデュケーション誌において公表される世界大学ランキング(THE・ワールド・ユニバーシティ・ランキングス) 三 シャンハイ・ランキング・コンサルタンシー(中国)が公表する世界大学学術ランキング(アカデミック・ランキング・オブ・ワールド・ユニバーシティズ)

J-Findへの在留資格許可申請手続について

J-Findビザに関する主な申請は以下の3つです。ご自身の状況に合わせて必要な手続きを行います。

1. 在留資格認定証明書交付申請

海外にお住まいの方が、これからJ-Findビザで日本に入国する場合に行う申請です。地方出入国在留管理局に申請し、証明書が交付された後、在外公館(日本大使館・領事館)で査証(ビザ)の発給を受けて来日します。

2. 在留資格変更許可申請

すでに「留学」など、他の在留資格で日本に滞在している方が、J-Findビザに切り替える場合に行う申請です。卒業後に日本で就職活動を続けたい留学生などがこの申請を利用することが想定されます。

3. 在留期間更新許可申請

J-Findビザで滞在している方が、在留期間を超えて引き続き活動を行うために必要な申請です。

  • 在留期間: J-Findの在留期間は「1年」または「6か月」で付与され、更新を申請することで最長2年まで滞在できます。
  • 更新の要件: 更新を申請する際には、誠実に就職活動または起業準備活動を継続していることを具体的な資料で示す必要があります。何も活動していないと判断された場合、更新が許可されない可能性がありますので注意が必要です。

Q. J-Findで起業予定だったが、他で雇用されることになった場合に「技術・人文知識・国際業務」など他の在留資格申請(変更許可等)が必要か。

A. 結論から申し上げますと在留申請が必要です。J-Findで活動中、就職先が決まった場合、就職活動や起業活動をしなくなるため、その就労も資格外活動になりえるからです。

J-Find(未来創造人材)ビザは、そもそも「就職活動」または「起業準備活動」を行うための在留資格です。

したがって、J-Findでの滞在期間中に無事に就職先が見つかり、その企業と雇用契約を結んだ場合、それは「就職活動が成功した」ということになります。これは、J-Find制度が想定している成功ルートの一つです。


ワーキングホリデーの「特定活動」から在留資格変更許可がされない国があることとの違い

また、起業ができなかった場合でも法令上変更許可は禁止されておりません。これはワーキングホリデーである「特定活動」から「技術・人文知識・国際業務」への変更許可申請ができないことと全く異なります。なぜなら、国同士の協定に「変更が禁止」されている国があるからです。すなわち「ワーキングホリデーの国家間の取り決め」が法令上の要件だからです。


J-Findから「技術・人文知識・国際業務」等への変更許可申請と不許可リスク

変更手続きの流れ

内定・雇用契約: J-Find滞在中に、ご自身の学歴や専門性を活かせる企業から内定を得て、雇用契約を締結します。

在留資格変更許可申請: 雇用される企業がスポンサーとなり、業務内容に応じて「技術・人文知識・国際業務」などの就労可能な在留資格への変更許可申請を、地方出入国在留管理局に行います。

審査: 申請者の学歴や職歴、そして就職先での具体的な業務内容が、変更を希望する在留資格の基準(例:「技術・人文知識・国際業務」であれば、専門性と業務の関連性など)に適合しているかが審査されます。

許可: 審査で問題がなければ、新たな在留資格への変更が許可されます。

ただし、計画中の活動によって、在留状況が良好でないと判断される事実があれば、不許可になることもあります。例えばその活動を行っていない場合、また資格外活動となっていた場合などがあります。

その場合、在留資格認定証明書交付申請を行い許可見込みがあるかの検討をすることになります。


まとめ

未来創造人材ビザ「J-Find」は、世界で活躍する優秀な人材にとって、日本でのキャリアをスタートさせるための絶好の機会を提供する制度です。幅広い就労が認められているため、経済的な心配を軽減しながら、ご自身の可能性を最大限に追求することができます。

ただし、申請には学歴要件の証明や活動計画の説明など、専門的な書類作成が求められます。ご自身の経歴がJ-Findの要件に合致するかどうかの確認や、複雑な申請手続きをスムーズに進めるために、ぜひ一度、当事務所の専門家にご相談ください。個々の状況に合わせた最適なサポートをご提供いたします。

-出典

法務省
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities51.html

法務省
https://www.moj.go.jp/isa/content/001394998.pdf

この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士

谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。


- 講師実績
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- 略歴等

・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。


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