永住権取得の徹底解説シリーズその2(令和6年改正入管法対応)
2025年05月16日
永住
永住権取得の徹底解説シリーズその2(令和6年改正入管法対応)

永住許可(Step 2)の対象となる主な在留年数及びケース一覧
内容
高度専門職を持たない高度人材のポイント計算による優遇措置 4
永住許可の国益適合要件の一つとして「原則として引き続き10年以上日本に在留+その内又は別に5年間の就労等資格を有した活動をしていたこと」が挙げられますが、これはあくまで原則です。申請者の在留資格や属性によって、この期間が短縮される特例があります。企業ご担当者様が自社の外国人従業員の永住申請を検討される際に、まずはどのケースに該当するかを確認することが重要です。
永住許可の年数整理:継続在留年数の類型別早見表
主なケースと必要在留期間は以下の通りです。
大類型 | 小類型 | 継続在留年数等 |
基本ケース | 就労系資格 | 10年かつ就労系5年 |
貢献 | 5年 | |
高度人材ケース | 高度専門職70P | 3年 |
高度専門職80P | 1年 | |
高度専門職以外70P | 3年 | |
高度専門職以外80P | 1年 | |
定住者ケース | 5年 | |
配偶者ケース | 3年婚姻実体かつ1年 | |
実子等ケース | 1年 |
©谷島行政書士法人グループ
基本ケース(就労資格(経営・管理を含む)、居住資格)
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- 対象:技術・人文知識・国際業務、技能、企業内転勤、経営・管理などの就労資格や、家族滞在などの居住資格で在留している方。
- 必要在留期間:引き続き10年以上日本に在留していること。この10年のうち、就労資格または居住資格をもって引き続き5年以上在留していることが必要です。
- 例:日本の大学を卒業後、就労ビザを取得して日本企業に勤務している場合、大学での在留期間(留学)と就労ビザでの在留期間を合わせて10年以上であり、かつ就労ビザを取得してから5年以上経過している必要があります。
日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は実子
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- 対象:日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、特別永住者の配偶者等、またはこれらの実子として在留している方。
- 必要在留期間:
- 配偶者: 実態を伴った婚姻生活が3年以上継続しており、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること。
- 実子: 引き続き1年以上日本に在留していること。
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- 例:日本人と結婚し、「日本人の配偶者等」の在留資格を取得した方が、結婚生活が3年以上続き、かつ日本での在留期間が1年以上であれば申請可能です。本国での婚姻期間も3年の計算に含まれます。
- 注意点:婚姻の実態(同居、生計の維持、協力扶助の関係など)が厳しく審査されます。別居期間がある場合などは、その理由や状況を詳細に説明する必要があります。
「定住者」の在留資格をもって在留している者
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- 対象:定住者の在留資格で在留している方。
- 必要在留期間:引き続き5年以上日本に在留していること。
日本への貢献を有する者(貢献類型)
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- 対象:日本への貢献が特に認められる者。
- 必要在留期間:引き続き5年以上日本に在留していること。
- 例:日本に多大な貢献をしたとして法務大臣が認めた者など、限られたケースです。
高度専門職のポイント計算による優遇措置
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- 対象:高度専門職の在留資格で活動している方、または高度人材外国人として一定のポイントを有する方。
- 必要在留期間:高度人材ポイント計算表に基づき、以下のいずれかを満たすこと。
- 70ポイント以上: 引き続き3年以上日本に在留していること。
- 80ポイント以上: 引き続き1年以上日本に在留していること。
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- 例:高度専門職1号または2号として活動している方、または永住申請時点で高度人材ポイント計算に基づき70ポイントまたは80ポイント以上の評価となる方。永住申請時点でのポイント計算で評価されます。過去に高度専門職の在留資格を有していなかった場合でも、ポイント要件を満たせばこの特例を利用できます。
- ポイント計算には学歴、職歴、年収、研究実績、日本語能力など様々な要素が関係します。企業ご担当者様は、外国人従業員のポイント計算を行い、この特例が利用可能か確認することをお勧めします。
- 加えて現在のポイントも立証資料を提出します。
高度専門職を持たない高度人材のポイント計算による優遇措置
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- 対象:高度専門職の在留資格で活動していない「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザでもポイントを有する方なら可能です。
- 上記の高度専門職である方より、立証資料が多く大変です。高度専門職をとったときに立証資料を提出している方に比べ、1、3年前の過去のポイント計算の立証資料まで出すことになります。過去に出していないからです。
- 加えて現在のポイントも立証資料を提出します。
このように、永住申請に必要な在留期間は申請者の状況によって大きく異なります。「うちは就労ビザだから10年経たないと永住は無理だ」と決めつけず、上記の特例に該当しないかを確認することが重要です。特に、配偶者や実子のケース、高度人材のケースでは、最短1年での永住許可も理論上は可能です。
ただし、「引き続き〇年以上日本に在留」という要件には注意が必要です。長期の海外出張や一時帰国が頻繁にある場合、または一時帰国が長期に及んだ場合などは、その期間が継続在留期間としてカウントされない、あるいは継続性が途切れたと判断される可能性があります。
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この記事の監修者

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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。
- 講師実績
行政書士会、建設やホテル人材等の企業、在留資格研究会等の団体、大手士業事務所、その他外国人の講義なら幅広く依頼を受ける。
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- 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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