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永住権取得の徹底解説シリーズその5(令和6年改正入管法対応)

2025年05月19日

永住

永住権取得の徹底解説シリーズその5(令和6年改正入管法対応)

永住申請 (Step 5):手続の流れと不許可リスクへの注意点

永住申請は、他の在留資格申請と比べて提出書類が多く、審査期間も長くなる傾向があります。

さらに、行政書士代理だけでなく、一般の方も申請しているケースで許可率は50%から60%ほどでここ数年推移しております。このことからも不許可率が高く、避けるために必要な多くのポイントがあることが示唆されます。

ここでは、申請手続きの一般的な流れと、外国人や企業ご担当者様が知っておくべき注意点について解説します。

内容

永住申請の一般的な流れ

永住申請における注意点

リスクヘッジの重要性

行政書士へ永住許可申請代理を依頼した方が良い場合

 

永住申請の一般的な流れ

  1. 申請書類の準備:
    • 永住許可申請書
    • 理由書(なぜ永住を希望するのか、各要件を満たしていることの説明など)
    • 身元保証書(通常、日本人の配偶者や親族、または勤務先の代表者が身元保証人となります)
    • 在職証明書、住民税の課税証明書・納税証明書、預貯金通帳のコピーなど、独立生計要件を立証する書類
    • 戸籍謄本(日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の場合)
    • 婚姻証明書、出生証明書(本国の公的機関が発行したもの)
    • パスポート、在留カード
    • 健康保険・年金保険資料
    • その他、基本書類(申請者の状況に応じ、ポイント計算結果通知書、ポイント計算立証資料としての卒業証明書、試験合格証明書、あるいは貢献に関する論文その他資料、技能を証明する書類など)
    • さらに、個別的に説明すべき事情がある場合の立証資料:入管庁HPに記載はなく、個別に考え準備するもの

就労ビザの方の場合、理由書のほか、例えば、前述の納税証明書や、社会保険料の納付状況を証明する書類(「ねんきん定期便」、健康保険証のコピーなど)が必須となります。特に、過去5年間の納税と過去2年の社会保険料納付状況を証明する書類が必要となる場合が通常です。

  1. 出入国在留管理庁への申請: 申請者本人または代理で行政書士などが書類をつくって、住所地を管轄する出入国在留管理庁に申請書類一式を提出します。
  2. 審査: 出入国在留管理庁で申請書類に基づき審査が行われます。必要に応じて追加書類の提出や面接を求められることがあります。
  3. 結果通知: 審査の結果、許可または不許可が通知されます。許可された場合は、手数料(2025年5月現在 10,000円)を納付し、永住者としての在留カードが交付されます。不許可となった場合は、その理由が通知されます。

永住申請における注意点

  • 提出書類の多さと複雑さ: 永住申請は提出書類が非常に多岐にわたり、その準備には時間と労力がかかります。特に、本国の公的機関が発行する書類が必要な場合、その取得に時間がかかることがあります。
  • 審査期間の長期化: 近年、永住申請の増加に伴い、審査期間が長期化する傾向にあります。以前は6ヶ月~8ヶ月程度で結果が出ることが多かったですが、現在は1年6か月程度かかることも多いです。場合によってはそれ以上かかることもあります(執筆時点2025年5月)。
  • 追加資料通知なしの不許可リスク: 他の在留資格申請と異なり、永住申請では、提出書類に不備があったり、審査を進める上で疑問点が生じたりした場合でも、必ずしも追加資料の提出指示があるとは限りません。場合によっては、十分な説明の機会が与えられないまま不許可となることもあります。そのため、申請時に可能な限り全ての必要書類と、各要件を満たしていることを十分に立証できる資料を提出することが非常に重要です。
  • 過去の在留状況の掘り下げ: 永住申請では、過去の全ての在留期間について審査が行われます。過去の転職歴、海外渡航歴、病気や出産による休職期間、家族の在留状況など、これまでの在留資格申請ではあまり問われなかったような点についても詳細に確認されることがあります。特に、過去に在留資格を取り消されたことがある場合や、在留特別許可を得たことがある場合は、極めて慎重な対応が必要です。
  • 身分関係の複雑さ: 結婚、離婚、子供の出生など、身分関係に変動があった場合、その事実を証明する書類が必要となります。本国の法制度によっては、日本の制度と異なり、書類の取得や手続きが複雑になることがあります(例:フィリピンでは原則として離婚が認められていないなど)。このような場合も、専門的な知識に基づいて適切に対応する必要があります。
  • 理由書の重要性: 永住許可申請書に記載する情報だけでは、申請者の状況を十分に伝えることはできません。なぜ日本での永住を希望するのか、どのように日本に貢献してきたのか、そして各要件(特に独立生計要件、素行善良要件)をどのように満たしているのかを、具体的な事実に基づいて分かりやすく説明する理由書が非常に重要になります。理由書は、審査官に申請者の状況を理解してもらい、許可に向けた判断を促すための重要なツールです。
  • 不許可後の影響: 永住申請が不許可になったとしても、現在の在留資格に影響はありません。しかし、不許可の理由によっては、その後の在留資格の更新や変更申請に影響が出る可能性もゼロではありません。また、不許可の理由が公的義務の不履行などである場合、その問題を解決しない限り、再申請しても再度不許可となる可能性が高いです。

リスクヘッジの重要性

上記のような注意点を踏まえると、永住申請は「とりあえず出してみよう」という軽い気持ちで行うべきではありません。提出書類の不備や説明不足により不許可となるリスクを避けるためには、申請前に申請者の状況を詳細に確認し、問題点がないか総合的かつ網羅的な要件チェックを行うことが不可欠です。特に、過去の納税状況、社会保険料納付状況、交通違反歴、在留状況などを事前に確認し、問題点がある場合はそれに対する説明や対策を講じた上で申請に臨むべきです。

行政書士へ永住許可申請代理を依頼した方が良い場合

上記の様々な細かいリスクは膨大です。また経験がないと、不許可率を評価できません。行政書士に依頼することで、専門的な法令・運用の知見や経験に基づき、事前にリスクを見越すことができます。

仮に、自分で申請又は経験の浅い行政書士に依頼して適切な申請をしない場合、審査期間が1年6か月かかったうえに、不許可通知が来ることは大変な損失になります。

この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。
- 講師実績
行政書士会、建設やホテル人材等の企業、在留資格研究会等の団体、大手士業事務所、その他外国人の講義なら幅広く依頼を受ける。
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 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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