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監理支援機関の外部監査人その他許可要件

2025年06月13日

育成就労技能実習サービス

監理支援機関の外部監査人その他許可要件

内容

1.許可制度の基本構造

2.許可要件(法25条)と主務省令案ポイント

3.許可の有効期間と更新手続

4.技能実習「監理団体」との主な相違点

5.育成就労法施行の確定スケジュール

6.FAQ(抜粋)

7.まとめ

2027年4月に本格施行される「育成就労法」では,これまで技能実習制度を支えてきた「監理団体」が廃止され,代わって監理支援機関(かんりしえんきかん)が誕生します。

監理支援機関の特徴は、従来の監理機能や職業紹介機能に加えて、転籍や生活の支援が追加されます。

そこで、監理許可取り直しなど制度自体が大きく生まれ変わります。

監理支援機関の許可申請は2026年から申請受付が始まります(事前申請開始)。

新たな要件もありますが、今までの許可要件等も一定程度維持されており、それが上乗せされるものもあります。例えば、外部監査人の要件が行政書士等に限られる点です。

申請前に要件チェックのリスクヘッジが重要です。しかし法律的に複雑な箇所があるため、以下にわかりやすく説明してまいります。


1. 許可制度の基本構造

監理支援機関の許可制度は以下の通りです。

項目 内容 根拠
許可主体 出入国在留管理庁長官・厚生労働大臣(主務大臣共管) 法25条・31条
許可単位 法人単位(事業所も変更があれば届出) 法25条
有効期間 原則3年以上5年未満/優良認定で5年以上 ※更新制 法31条
経過措置 既存の監理団体も新たに許可取得が必須猶予期間は政省令で別途定め パブコメ資料 別紙

2.許可要件(法25条)と主務省令案ポイント

大まかな監理支援機関の外部監査人その他許可要件は以下の通りです。

法条文 実務チェックポイント
非営利法人であること 株式会社・合同会社は不可。 公益社団法人・協同組合等 定款目的に「監理支援事業」が基本
業務遂行能力 常勤の「監理支援責任者」1名以上 – 常勤の「育成就労責任者」・「育成就労指導員」・「生活相談員」の配置
財産的基礎 直近期末純資産が債務超過等でないこと
個人情報・秘密保持 個人情報の適正管理規程及び秘密保持規程の提出
外部監査人の設置 監理型育成就労実施者と「密接な関係を有しない」行政書士又は弁護士等を選任し、年度あたり臨時監査含め5回実施。その報告5本を作成し、育成就労機構に提出
送出機関との契約 二国間協定がある国の場合、要件を満たす送出機関のみと委託契約を締結 (地域の公的機関から監理型育成就労の申込みを適切に本邦の監理支援機関に取り次ぐことができるものとして推薦を受けていること)
欠格事由なし 暴排条項違反、破産、労基法違反歴など

特に以下は要注意です。

  1. 現行の「優良監理団体」に該当していても自動移行は不可。2026年夏頃から“事前申請”受付開始

  2. 外部監査人は「行政書士又は弁護士等」が必須となる。

なお上記は要件すべてではありません。以下が一例です。

例1.賃貸事務所の要件として、実習実施者関係は不可。

 例2.協同組合の場合、支配防止のため、持ち分4分の1以下等


3.許可の有効期間と更新手続

区分 期間 更新条件
通常 3年等 通常の上記許可要件をすべて満たす。
優良 5年等 ①監査指摘ゼロ
②支援実績が安定
③研修実施率100% など

更新も多くの資料提出が必須です。

財務の状態確認はもちろん、監理支援責任者・外部監査人が変更になる場合は変更届を忘れないようにしましょう。


4.技能実習「監理団体」との主な相違点

主に以下の相違点があり、外部監査人要件の変更対応等が必要となります。

項目 旧:監理団体 新:監理支援機関
法的根拠 技能実習法 育成就労法
目的 実習監理中心 監理+手厚い育成や転籍支援まで包括
許可主体 法務大臣・厚労大臣 同左(共管許可)
法人格 主に公益法人/事業協同組合など 同左で非営利限定。事業協同組合型は可。株式会社型不可
外部監査人 必置(行政書士等の外部監査人は任意) 必置(行政書士等の外部監査人必須)

既存の監理団体は、実習実施者の要件を備えつつ、監理支援機関の要件も備える必要があります。したがって、外部監査人その他人員確保などの方針決定は2025年中に実施する等の余裕が必要です。


5.育成就労法施行の確定スケジュール

  1. 2025年度   分野別主務省令・告示の制定
  2. 2026年度   監理支援機関の申請受付開始
  3. 2027年4月1日 本格施行(技能実習受入最後の期)

6.FAQ(抜粋)

Q1. 既存監理団体は優良なら自動的に5年許可移行がされますか?

A.     いいえ。移行されません。すべて申請が必要です。

期間5年を取得するには過去の立入検査の指導、その他実績を踏まえ“優良”であること等の要件があります。

Q2. 営利法人が監理支援機関の許可を取得できる可能性はありますか?

A.     監理支援機関自体は非営利法人に限られ,中間持株会社が支援事業を受託することもできません。

ただし、営利法人が協同組合を組成し監理団体許可を取得する方法があります。ご相談ください。

Q3. 外部監査人は監査役で代替できる?

A.     原則,兼任は不可です。

さらに過去の雇用を含む役職員や二親等以内親族等であると密接関係があるとされます。そのような経歴のない独立した行政書士等を選任してください。


7.まとめ

監理支援機関の改正で大きな点としては「外部監査」「育成支援」「転籍支援」を追加的な三本柱とする厳格な許可制です。

許可有効期間は3年が通常で、比較的短いです。これは実際大変です。

ただし、優良なら5年以上となります。そのためには、定期的な立入検査や、更新・定期報告、変更届などの審査で、指導履歴をみられたうえで、“違反ゼロ”を維持できる体制づくりが鍵になります。

既存監理団体の方々は 2026年の事前申請 までに、新たな外部監査人選任などの要件充足とともに、既存の要件(財務等)チェックを完了しておくことを強く推奨します。

すると、2025年中には着手対応が必要とわかるはずです。方針を決めないと、2026年度には間に合わないほどのシビアな工程となります。

この点、谷島行政書士法人グループは外国人雇用・ビザ・法務顧問の全てをそなえたワンストップサービスを提供します。

監理支援機関を運営される方で、外部監査人や、法務顧問の行政書士がいない方、セカンドオピニオンが必要な方は、ぜひお声がけください。

 

この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。
- 講師実績
行政書士会、建設やホテル人材等の企業、在留資格研究会等の団体、大手士業事務所、その他外国人の講義なら幅広く依頼を受ける。
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 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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