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コラム
2024年12月25日 在留資格一般
資格外活動違反の要件と、在留資格の活動範囲が決まる入管法別表
資格外活動違反の条文はシンプルで以下の通りです。
入管法 (活動の範囲) |
資格外活動は広く禁止される
上記19条の資格外活動の規定の解釈は、簡単に言うと、その外国人が有する在留資格に属しない収入又は報酬を受ける活動が主に規制されることになります。なお個人事業の副業も含みます。
つまり入管法上の「当該在留資格に応じこれらの表の下欄に掲げる活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬(業として行うものではない講演に対する謝金、日常生活に伴う臨時の報酬その他の法務省令で定めるものを除く。以下同じ。)を受ける活動」の箇所は、講演の謝金などを除いて、その資格に属しない活動を広く資格外活動違反とするものです。
資格外活動違反は転職でも成立
さらに場合によっては転職で許可申請を怠ると該当することがあります。この点、高度専門職や企業内転勤における指定書範囲外に関する活動も資格外活動違反となります。転職時は事前に申請することで違反を防ぐことができます。
資格外活動違反が時間と業態で成立する場合
「留学」、「家族滞在」などの在留資格は基本的に就労禁止です。しかし、資格外活動許可をとることで、通常、包括資格外活動許可が得られることになります。
そうすると就労の内容をほぼ制限されず週28時間以内の就労が可能となります。コンビニエンスストアなどで単純労働とされるような就労も可能となります。ただし、風営法に規定される業態の就労は禁止されます。ただし、深夜酒類提供飲食店は除きます。
その上で適法な活動であっても、この週28時間を超える場合、資格外活動違反が成立します。
資格外活動許可申請と要件
資格外活動許可を申請し、許可を得ることで、資格外活動が可能となります。ただし、その時間制限などは条件とされることが通常です。
資格外活動許可の一般原則
以下の要件のいずれにも適合する場合に資格外活動を行う相当性が認められ、許可されます。 (1) 申請人が申請に係る活動に従事することにより現に有する在留資格に係る活動の遂行が妨げられるものでないこと。 (2) 現に有する在留資格に係る活動を行っていること。 (3) 申請に係る活動が法別表第一の一の表又は二の表の在留資格の下欄に掲げる活動(「特定技能」及び「技能実習」を除く。)に該当すること。 (注)下記2(1)の包括許可については当該要件は求められません。 (4) 申請に係る活動が次のいずれの活動にも当たらないこと。 ア 法令(刑事・民事を問わない)に違反すると認められる活動 イ 風俗営業、店舗型性風俗特殊営業若しくは特定遊興飲食店営業が営まれている営業所において行う活動又は無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業若しくは無店舗型電話異性紹介事業に従事して行う活動 (5) 収容令書の発付又は意見聴取通知書の送達若しくは通知を受けていないこと。 (6) 素行が不良ではないこと。 (7) 本邦の公私の機関との契約に基づく在留資格に該当する活動を行っている者については、当該機関が資格外活動を行うことについて同意していること。 |
入管庁:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00045.html
資格外活動許可と違反の要素となる在留資格の判断
入管法別表第一では、基本的にすべての「収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動」が禁止される在留資格と、その有する在留資格に属しない「収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動」が禁止される類型に分かれます。
その違いは以下の通りです。
「就労ビザで就労範囲制限有」:別表第一の一、一の二、一の五の表
別表第一の一、一の二、一の五の表とは、いわゆる就労系在留資格です。多数ありますが代表的には以下のものがあります。
□「外交」
□ 「公用」
□ 「芸術」
□ 「教授」
□ 「宗教」
□ 「報道」
□ 「教育」
□ 「技術・人文知識・国際業務」
□ 「企業内転勤」
□ 「経営・管理」
□ 「高度専門職」
□ 「技能」
□ 「技能実習」「育成就労」
□ 「特定技能」
□ 「特定活動(指定書範囲)」
□ その他
「短期系ビザ」:別表第一の三
一方、別表第一の三は短期である以下の2つです。
□ 「短期滞在」
□ 「文化活動」
基本的に就労禁止の在留資格:別表第一の四
別表第一の四は中長期在留である以下の3つです。
□ 「留学」
□ 「研修」
□ 「家族滞在」
「日本人の配偶者等」などの身分系:別表第二
なお、別表第二は、身分系と呼ばれるものであり、就労範囲の限定がないため、資格外活動は構成しません。在留資格は以下の通りです。
□ 「日本人の配偶者等」
□ 「永住者の配偶者等」
□ 「定住者」
□ 「永住者」
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この記事の監修者
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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人ビザ専門。「手続代理」と、企業や弁護士等専門家向けに「外国人雇用の顧問」実績多数。
- 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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