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コラム

2024年10月04日 コラム

ビザ変更や更新申請時、特例期間中の就労は可能?技能実習と特定技能等との違い

Q. ビザ変更やビザ更新申請時、許可まで在留できる、いわゆる「特例期間」の間、就労は可能ですか?

 

A. 申請中に在留期限が切れたときの特例期間では、許可や不許可を受けるまで又は最長2か月のいずれか短い期間まで働くことができます。この原則通り、特定技能は、更新や変更許可申請の間の「特例期間」の中で就労可能です。

 

一方で技能実習は、技能実習計画認定を受けた期間しか活動つまり就労できず、その計画の期間は、変更届や変更認定を受けようとも計画期間を超えて働くことができません。これは技能実習がむしろ例外であると捉えるとよいです。

 

技能実習と特定技能の違いと、「特例期間」とは

在留資格の期間更新や在留資格変更許可申請をしたあと、入管法では一定の事由によって在留期間が失効するまでの間、引き続き在留することが認められる「特例期間」が設けられています。しかし、この特例期間中に働くことができるかどうかは、原則、現在の在留資格によって可能ですが、例外があります。技能実習と特定技能を例に、特例期間中の就労に関する違いについて以下の通り解説します。

 

特例期間とは、以下の条文です。

出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号) 

 

(在留資格の変更)

第二十条

6 第二項の規定による申請があつた場合(三十日以下の在留期間を決定されている者から申請があつた場合を除く。)において、その申請の時に当該外国人が有する在留資格に伴う在留期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、当該外国人は、その在留期間の満了後も、当該処分がされる時又は従前の在留期間の満了の日から二月を経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間は、引き続き当該在留資格をもつて本邦に在留することができる。

 

特定技能における特例期間中の就労

特定技能の在留資格では、原則として、更新や変更許可申請の期間など、特例期間中に最長2か月間働くことができます。

 

これは、入管法の別表第一に定められた特定技能の活動要件に、特定技能雇用契約に基づくことや特定産業分野での就労などが含まれており、所属機関や支援の内容、方法、告示要件などの要件を満たしていれば、特例期間中も引き続きこれらの活動に従事できることが認められているためです。

 

活動要件である「在留資格該当性」の法令根拠

特定技能1号と技能実習1号の違いは以下の通りです。

出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号) 

 

特定技能

一 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約(第二条の五第一項から第四項までの規定に適合するものに限る。次号において同じ。)に基づいて行う特定産業分野(人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野として法務省令で定めるものをいう。同号において同じ。)であつて法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動

 略

 

出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号) 

 

技能実習

一 次のイ又はロのいずれかに該当する活動

イ 技能実習法第八条第一項の認定(技能実習法第十一条第一項の規定による変更の認定があつたときは、その変更後のもの。以下同じ。)を受けた技能実習法第八条第一項に規定する技能実習計画(技能実習法第二条第二項第一号に規定する第一号企業単独型技能実習に係るものに限る。)に基づいて、講習を受け、及び技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)に係る業務に従事する活動

ロ 技能実習法第八条第一項の認定を受けた同項に規定する技能実習計画(技能実習法第二条第四項第一号に規定する第一号団体監理型技能実習に係るものに限る。)に基づいて、講習を受け、及び技能等に係る業務に従事する活動

 略

 

技能実習2号、3号ともに以下「技能実習計画に基づき」の要件箇所は同じです。

 

 

技能実習における特例期間中の就労

一方、技能実習の在留資格では、特例期間中に働くことは原則として認められていません。これは、入管法別表第一において、技能実習生は「技能実習計画に基づいて」活動に従事することが義務付けられており、この技能実習計画は、技能実習機構の認定を受けた期間内に限って有効となるためです。つまり、技能実習計画の期間が在留期限よりも短く申請され、認定されるような技能実習1号の場合、特例期間中に技能実習計画に基づいた活動を行うことはできないとなります。

 

技能実習の特例期間中の就労

上記の理由により、変更許可申請の場合は特例期間中に就労をしていた場合は外国人本人が資格外活動に該当し、雇用主である企業や監理団体も共犯で資格外活動違反罪や、企業に不法就労助長罪が成立する可能性があります。

 

育成就労法改正による育成就労計画の影響

技能実習法を元にした抜本改正である「育成就労」においても、育成就労計画認定の制度が存続します。さらに入管法でも技能実習計画が育成就労計画に置き換わるにすぎません。したがって、育成就労においてもこの結論はかわりません。特例期間で就労できないのは変更許可申請の場面であって、更新においては、就労できることになります。

 

育成就労計画認定は3年の期間すべてで認定される

3年間の計画認定がされる育成就労計画においては、3年以内の期間で就労可能な計画となるため、更新において特例期間で働けないという問題がなくなるでしょう。一方で「特定技能」への変更においては、特例期間で働けないとなると考えられます。

Q13 育成就労制度で外国人を受け入れるための手続は、技能実習制度と変わりませんか?

 

A.  育成就労計画(技能実習計画)の認定手続といった基本的な流れは変わりません。ただし、技能実習制度では1~3号の各段階で計画の認定が必要ですが、育成就労制度では、当初から3年間の計画を作成し認定を受けることとなります。

引用元:出入国在留管理庁、https://www.moj.go.jp/isa/applications/faq/ikusei_qa_00002.html

 

「特定技能」、「技能実習」、「育成就労」の特例期間の比較

在留資格

特例期間中の就労

理由

特定技能

原則として可能

入管法の別表第一に定められた活動要件を満たせば資格範囲内の活動であるから(特定技能の計画期間はない)

技能実習

更新許可申請時:可能

変更許可申請時:不可

技能実習計画に基づいた活動に従事することが義務付けられ、2年間の計画の範囲で就労可能だから

育成就労

更新許可申請時:可能

変更許可申請時:不可

育成就労計画に基づいた活動に従事することが義務付けられ、3年間の計画の範囲で就労可能だから

 

このように、技能実習と特定技能では、特例期間中の就労に関するルールが大きく異なります。これは、それぞれの在留資格の目的や性質が異なるためです。特定技能は、日本の産業に必要な技能を持つ外国人を受け入れることを目的とするのに対し、技能実習は、開発途上国の技能水準の向上に寄与することを目的としています。

 

資格外活動や不法就労になる前に行政書士に相談

本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、個々のケースに当てはまるかどうかは、行政書士などの専門家にご相談ください。また、法令や制度は変更される可能性があるため、最新の情報をご確認ください。

 

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この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザ専門。手続代理及びコンプライアンス顧問として、登録支援機関のほか弁護士等の専門家向け顧問の実績多数。

 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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