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コラム

2024年08月21日 コラム

入管専門行政書士への依頼における報酬や専門性の基準

入管や許認可等の行政手続業務の通則

 

Q. 難解事案に対応できる行政書士は、どこまで知識を網羅しているのか?またどれくらいの報酬基準が妥当なのか?

 

A. 行政書士は業務が幅広く試験に個別法で出題されないため、専門性を試験合格時に持っていないことが通常です。ある一つの専門分野で一人前、つまり通常の専門家レベルとするには、一般法に加え、入管法や建設業法など個別法ごとの3年の自主的予習復習が必要で、さらに専門家同士の勉強会による理論と、同時進行で実務経験によるアウトプットを3回以上の通常案件で行うことが最低限で必要と考えます(谷島行政書士法人グループの代表、谷島亮士の見解です)。 

その専門性については依頼において必要な能力を備える知識範囲や例示、さらには専門性の基準や相場の金額を以下のとおり解説いたします。

ちなみに、この解説では「知識」に関する理論や経験にフォーカスします。したがって「技術」つまりミス防止や効率化あるいはスピード向上テクニックについては別の機会に譲ることにします。

 

 

行政書士への依頼ルートと、大切な紹介クライアントから期待される能力水準

行政書士業界の実務は、企業の法務担当が扱うような契約書や法令調査も多くありますが、同時に専門的分野も多く、そのような専門的分野を領域とするなら、法務部や経営陣から依頼されることが理想的です。また他士業(特に弁護士や税理士法人)から紹介などにより大切なクライアントから依頼される場合は、すでに良好な関係ないし信頼構築がされており、その期待に応える能力が必要となります。

 

Q.そもそも専門性をどう判断するか?

 

A. 専門性を定義するなら、行政書士においては、難解事案対応の広さおよび深さとすることができます。この場合、業務は通常、高単価となります。

さらに、通常、事業者などがあまり行わない手続などは専門的とされますが、難解事案でない、つまり通常の事案の場合、ほぼ100%に近い成功率を維持していく再現性が高い者を専門家と定義できます。そのようなアウトソーシング的な業務では、クライアントのコストパフォーマンスを実現する必要があります。

 

 

全ての行政書士が専門分野を持っているわけではない理由

まず、行政書士は最近、優秀な経歴や語学が堪能、または稀有な経験をもつ人材が多くなっている業界です。くわえて、行政書士は弁護士と並んで唯一、法律一般職とされています。なぜなら扱う法令や手続が限定列挙でないからです。つまり、税理士や社労士、司法書士などの他士業は、弁護士・行政書士と異なり、独占業務が列挙されています。

行政書士は、したがって活躍の場が想像以上に広くあります。10,000種類以上の書類または手続が対応できると言われることも理解できます。しかし、弁護士と異なり、法学部からであれば8年前後をかける司法修習や過酷なロースクール・試験がありません

最近ではロースクール卒業をする行政書士も増えていますが、卒業後は弁護士の例で言うと3年ほどアソシエイトなど勤務を続け実務を学んでいることが通常よくあると聞きます。そのため、行政書士にそのような制度がないことや実務経験を積むことができないケースが多い行政書士業界においては、その基礎能力に違いがあります。しかし、どの仕事でもやる気があれば、実務を徐々に吸収できます。それは行政書士でも例外ではありません。激務の事務所でも、平準化された事務所でも同様です。なお谷島行政書士グループは残業を少なくしており、平準化の部類に入り安定性を重要視しております。

 

行政書士が難解事案を扱うために専門的に必要な知識等

まず、実務に必要な個別法などの知識と、手続実務の技術がほぼ試験に出ないため、試験合格はスタートラインです。したがってOJTなどでリアルなケースに触れて成長し、獲得することが必要です。なぜなら、行政書士試験では、民法、行政法などはすべて一般法を受験しますが、素養が十分でなく、スタートラインに立つレベルの初心者がほとんどの現状です。会社法(民法の特別法)も同様ですが、国家試験のように網羅する必要はありません。会社法を勉強をしていない人が多いのと、勉強していても実務に必要な観点がないため膨大な学習をする傾向があります。それは顧客価値を無視することにもなりかねないため、本質を見極めるために、行政書士実務は試験合格と異なる目的と理解する必要があります

関連能力として、語学の素養は必須でありませんが、英語対応が通常の事務所では必要です。
なお、谷島行政書士法人で英語は必須でありません。打合せの場合は、通訳ができる人と行政書士を組ませて行うことも多く、仮に必要な場面でも英語話者が行います。なお、会話をする場合も、英語文書を扱う場合も、簡単な素養を身につければITの多言語ツールで英語も中国語も容易になります
特定技能の部署では、インドネシア語やベトナム語も通訳を使って打合せを二人一組で行います。

付随項目として、実務に必要な経営・管理の素養も一定程度身に着けるべきであり、経営陣と対等に話すために伸ばすべき能力でもあります。またポジションを問わずリーダーシップや組織行動などの理解がクライアントや他のスタッフ、あるいは行政との関係において優位に立つ要素となります。 
1.アカデミックに学ぶ部分:バイアスへの二度確認などの対処、複雑性への対処の姿勢、社内政治、モチベーションなど。
2.実務の浅く知っておく部分:会計、確定申告、年末調整、労働契約などの総務・経理的な面は浅く知っておけばよい。

 

Q.料金と成果について、難解事由がある場合、コストパフォーマンスが合う相場はいくらくらいでしょうか?

 

A. 専門性がある場合、例えば一般の行政書士事務所では専門的である場合、150,000円ほどの在留申請の相場が多いとされております。

一方で、難解事案またはすでに不許可になっている事案の場合、その1.5倍、あるいは2倍や3倍つまり300,000円以上が多いことを他事務所の動向や料金表から見受けます。

 

谷島行政書士グループの場合も、難解事案の場合、その1.5倍の報酬でお受けし、またはすでに不許可になっている事案の場合、その2倍の報酬を受けることが多いです。なぜなら、他事務所で対応できない案件であること、労力と責任が比例するからです。

 

しかし谷島行政書士グループは、難解事由があっても再申請の保証をしている点が特徴的です。つまり難解事由があれば2回の申請まで行うことを覚悟した労務提供を行います。長い期間にわたってそのスタッフが担当できるかどうかも重要です。

 

例えば、急ぎの難解事案を受任し、最初の申請を31日以内に行い、不許可後さらに二回目の申請を行う案件では、6か月ほど担当が常に状況把握をしていて、依頼者からの問い合わせや付随相談、さらに入管からの追加書類提出通知などの対応も含めることになります。これが300,000円であれば、そんなに高いものでなく、二名がかかわっている人件費も含め、場合によっては赤字になりえます。

 

そのため、一回目の申請で許可を出すことを当事者すべての目標としつつ、赤字になりそうな場合でも、その後のクライアントからの紹介やリピートのために力を尽くします。

 

つまり、谷島行政書士グループは、2倍の報酬でも儲かるわけではありません。しかし、クライアントと長いお付き合いができる前提で受任し、又はご紹介を受けます

以上から、難解事由や不許可後の事案では、クライアントにとってコストパフォーマンスを良くすることを設計しております。これが実現できるのは仕組みや今までの多数の許可事例ノウハウを蓄積した運営方法によります(経営的には「オペレーショナルエクセレンス」と呼ばれます)。

 

難解事案や不許可後案件でも再申請保証を続けてきた理由

なお、再申請を難解事案であっても保証している理由は、成功率が重要なクライアントにとって、「入管の記録で不許可のまま終わってしまう」ことをさせたくないからです。不許可のまま終わることは、今後の申請でも不利になることが多くあります。「仮に不許可だったら報酬を返して終わりにすればよい」という考えの行政書士事務所もありますが、弊社はその損失が大きいことを理解しているため、返金して終わりということはしておりません。成功率にこだわる案件をやり抜くことを大事にしております。

 

 

Q.料金と成果について、一般事案でアウトソーシングの場合、コストパフォーマンスが合う相場はいくらくらいでしょうか?

 

一般事案について簡易な在留期間更新許可申請などの手続は39,000円以上としております。これでオペレーショナルエクセレンスによって精度が成り立ち、多数のクライアントから支持をいただいている理由があります。

 

まず、一般事案の効率性について、どの程度のアウトソーシング要素の期待値に応えられるかの観点があります。これは安ければ安いほど良いが、必須の本質的要素やコンプライアンス違反、あるいは依頼者の趣旨を確認しないことでトラブルになることは避けなければなりません。

そうすると、簡単な申請や、法令判断が必要な届出の場合、30,000円は最低限と考えます。

 

次に、精度の次に重要である期限を守ることもこだわり、スピードを落とさないよう、すべての案件対応を原則二名体制にしております。そうすることで休みや忙しさ、あるいは退職に対応できます。

 

 

 

行政書士の専門性をはかる最低限の基準

最初に、基本的な法令の通則をおさえていることが最低限、必要です。

次に個別法の理論と経験が必要です。理論と経験の双方があってこそ、難解事由がある案件でも予測可能かつ成功の再現可能性が高まる解決プランを立て、実行する際の複雑性にも対処できるようになります。

この経験年数については、入管法において最低5年が必要と考えられます。3年程度では複雑な案件が十分に経験できることはなく、スタートラインに立ったレベルで、事務所としては「期待していたスタッフへの教育コストへの投資がやっと返ってくる」と感じる基準となります

 

行政書士は扱う業務内容が幅広いですが、谷島行政書士グループのように外国人ビザなどの入管法、その他許認可の専門家としては民法、会社法や行政法の最低限の実務に関する理解が必要です。

具体的な方法は以下の3段階が必要となり、それが適用の優先順位となります。

 

 1. 法令:告示なども行政手続法と同義、最高裁判決などの一部の判例

 2.  通達、指導要綱、審査基準、処分基準など行政内部の規則

理由:法令解釈に関し行政庁を拘束するため。

 3. 先例その他行政の許可事例、不許可事例

理由:行政平等原則に基づき行政庁を拘束するため。

 

どの案件にも類似案件をイメージし類似箇所を組み合わせ(実態にかんがみ虚偽申請とならないように引用や参照)することが重要です。マテリアルとしては、書籍の他、所内構築のデータベースも活用すること。

 

上記を数多く行うことで、自然と理論に基づいた成功プランを思いつくことができ、それに基づいて適切な申請資料を作成できるようになる。それが難易度が増す案件にも対応できる能力の証明となります。では、どのような理論が必要なのでしょうか。

 

「経営・管理」の在留資格及び会社設立の実務で、難解事案を担当する統括が理解すべき知識の例:

未経験者であっても谷島行政書士グループは、3年目までを目安に、以下をリアルなケースで教えております。

- 一般法や行政書士実務の一般法令や理論

 1. 代理・使者、法人の総則並びに契約の債権法総論及び賃貸借等の各論

 2. 行政平等原則や羈束行為、裁量行為(マクリーン事件の妥当性)などの行政法の一般原則、行政指導、届出

 3. 株式会社と合同会社の類型、定款と登記の把握、機関、会社法等における定義規定:「大会社」、「譲渡制限」、「公開会社」と「非公開会社」

 4. 労働諸法令一般:有期を含めた労働契約、パートタイマー

 5. 社会保険諸法令一般:社会保険および労働保険の加入義務

 6. 会計一般の最低限:財務諸表の読み方、債務超過へのDESや親会社又はオーナー(株主)からのキャッシュ移動、移転価格(経営学におけるグループ法人間のグローバル取引他操作可能な価格であり、税法根拠は不要)

 7. 税務一般の最低限:確定申告の時期、勘定科目内訳明細書

 8. 行政書士法、司法書士法、税理士法、社労士法、弁護士法の独占業務最低限

 9. 刑法一般の最低限:執行猶予の定義(各許認可の欠格事由)、構成要件該当性の考え、各論は文書偽造等

 10. 法体系としての命令(府省令等)など行政規則の通則の関係や、個別法令へのあてはめ:執行命令は方法や様式、具体的・技術的な定めをするため個別法ごとに確認。委任命令は法令要件と同視のため、法律と同じように実例にあてはめる解釈の考え (例:企業内転勤の可能性に係る連結子会社の定義に係る財務省令)

 

 個別法:入管法

 1.定義各種:「外国人」、「日本人」、「所属機関」、「再入国」、「上陸」

 2.その手続ごとの要件規定

   ①「経営・管理」について別表など

   ② 国家戦略特区の6か月許可など

 3.次に許可後の手続規定

 4.最後にコンプライアンスに係る規定

 

入管法専門の場合、依頼や紹介に応えられる専門知識の範囲や基準

以上のように、入管実務(入管法、技能実習法・育成就労法)で100種類以上ある手続のうち、「経営・管理」だけでも上記の知識が必要となります。他の手続は次のものが例示できます。

 1. 在留資格のすべての種類

例:「特定活動」のみでも50種類以上

 例:「経営・管理」においても「経営」と「管理」は別の要件であるため、すべての種類を計算することは膨大であるが、200種類以上となる。

2. 手続類型:認定、変更、更新、取得(永住その他)

3. 届出:多数の類型があり、以下の主体が行うものが代表的

 外国人 
 所属機関
 特定技能所属機関
 技能実習の実習実施者
 監理団体
 登録支援機関

4. 在留資格の取消し、その他不利益処分

5. 監理団体、技能実習計画認定などの技能実習法令手続

6. 退去強制、在留特別許可申請、違反調査・違反審査関連

7. 上陸拒否の特例許可

8. 難民認定

9. 国籍法

  帰化
  国籍取得

10.前各号のコンプライアンスや指導、処分対応

11.前各号の語学の一定程度のレベル

12.前各号の経営観点における一定程度のレベル

 

谷島行政書士グループと他事務所との違い

以上のように、入管実務の中で「経営・管理」において求められる知識範囲を可能な限り、頭の中にある経験則とともに網羅しました。

通常の行政書士事務所では案件を単独処理する担当が自分の判断で多くを行います。いわば「背中を見ろ」という徒弟スタイルです。

一方で、谷島行政書士グループの仕組みはオペレーショナルエクセレンスで難解事由がある案件の価格を精度と両立するために、さらにスタッフの成長スピードを上げている点でレアとされます。前述の通り、谷島行政書士グループでは、すべての案件を原則2名体制チームで組成し、可能な限り業務を成文化し、期限アラートや情報共有などを優秀なスタッフが半自動化するITシステム開発と運用を自社で行っております。その仕組みによるオペレーションとクライアントのコストパフォーマンス向上にこだわる文化により、レベルの底上げや成長スピードの高い優秀なスタッフを継続的に育てることを可能としております。

 

外国人関係でお困りの方も、行政書士実務にご興味がある方も、お問合せください。ご期待に応える仕事を見せられるよう努めさせていただきます。

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この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザ専門。手続代理及びコンプライアンス顧問として、登録支援機関のほか弁護士等の専門家向け顧問の実績多数。

 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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