「技能ビザ」で10年実務経験証明が無い?中国調理師資格の立証
2026年01月07日
技能ビザ中国
「技能ビザ」で10年実務経験証明が無い?中国調理師資格の立証
技能ビザ申請(コックやシェフなど)で、「10年の実務経験証明書」が用意できずお困りではありませんか?
実は、証明書は唯一の立証手段ではありません。中国の場合は、調理師資格(三級・高級など)の受験要件と、その裏付けとなる中国の法令・国家標準を適切に引用することで、10年の経験を論理的に証明することが可能です。
本コラムでは、入管法上の法定資料の解釈から、立証に使える中国調理師制度の条文・和訳まで、専門性の高いリカバリー手法を解説します。
内容
法定資料「経歴書並びに活動に係る経歴及び資格を証する公的機関が発行した文書」
技能ビザでの実務経験証明書は必須資料なのか
いわゆる「技能ビザ」の在留資格申請においては、基準一号「調理師(コック、シェフなどの呼称を含む)」類型の場合、実務経験証明書を求められることがほとんどです。その場合、タイ等を除き10年が必要とされます。
ただし、経験が足りなくても、一定の調理系学校で学んだ経験年数を加算することもできます。
それでも、年数が足りない場合、「必須資料を出せないため、不許可になるのか?」という問題があります。しかし、法令上、実務経験証明書は必須資料ではありません(入管法施行規則別表第三の「資料」の欄)。経験など基準適合を証することが法令要件であり、その法定資料という整理です。
法定資料「経歴書並びに活動に係る経歴及び資格を証する公的機関が発行した文書」
入管法施行規則別表第三の「技能」の項をみると、資料欄において「経歴書並びに活動に係る経歴及び資格を証する公的機関が発行した文書」が必須資料として法定されております。
経験を積んだ飲食店が倒産した場合、実務経験証明書を提出することができないこともあります。
しかし、その経歴事実を立証できればよいのです。そのために、例えば公的資格の受験資格で経験等を要するなどが公的に決まっているものは、その資格を証することで、受験時の経験があったことを推認できるのです。
ただし、立証の程度は、個別案件にもよるため、受験時の資料を提出することが有益です。
技能ビザ申請で、中国調理師資格で立証する場合
例えば中国調理師の場合、三級(高級)であれば10年相当の経験年数が必要な場合があります。その根拠資料や根拠規定を立証資料として提出することも考えられます。
1. 中国国家職業標準における「受験要件(年数)」の引用
「職業資格証書制度基本概念」という一般的な概要書よりも、「国家職業標準(中式烹调师/中華調理師)」という具体的な基準文書を引用するのが最も証明力が高いです。
ただし、ここで注意が必要です。 中国の規定では、三級(高級)の受験資格は「10年」と明記されているケースもあれば、「四級取得後〇年」や「専門学校卒業」などの短縮要件も併記されています。 申請人様が「どのルート(条件)で受験したか」を主張する必要があります。
以下は、一般的な『国家職業標準(中式烹調師)』における「三級(高級)」の受験要件の例です(個別案件においては、取得時期により規定が異なりますが、標準的なものを挙げます)。
引用すべき文書:国家職業標準・中式烹調師(2006年版または取得当時の版)
【該当箇所の記述(原文)】
具备下列条件之一者,可申报高级(三级):
(1) 取得本职业中级职业资格证书后,连续从事本职业工作4年以上,经本职业高级正规培训达规定标准学时数,并取得毕(结)业证书。
(2) 取得本职业中级职业资格证书后,连续从事本职业工作7年以上。
(3) 取得高级技工学校或经劳动保障行政部门审核认定的、以高级技能为培养目标的高等职业学校本职业(专业)毕业证书。
(4) 取得本职业中级职业资格证书的大专以上本专业或相关专业毕业生,连续从事本职业工作2年以上。
【日本語訳】
次のいずれかの条件を満たす者は、高級(三級)を申請することができる。
(1) 本職業の中級職業資格証書(四級)を取得後、本職業に連続して4年以上従事し、かつ本職業の高級正規訓練を規定の標準時間数受講し、修了証書を取得した者。
(2) 本職業の中級職業資格証書(四級)を取得後、本職業に連続して7年以上従事した者。
(3) 高級技術工学校、または労働保障行政部門が認定した高級技能を育成目標とする高等職業学校の本職業(専攻)卒業証書を取得した者。 ...
【上記規定の解説と立証方針の組立て】
もし申請人が(2)の「中級取得後7年」等のルートで取得したのであれば、「中級取得までの年数」+「その後の7年」で合計10年を超えているというロジック(積み上げ算)で説明書を作成する必要があります。「三級を持っているから即10年」と主張することは証明不足であり、審査官に(3)の学校卒業ルートではないかと疑われます。
なお、出典URLについては、中国政府(人社部)の公式サイト等のPDFが頻繁に移動するため、一般的に参照されている「百度百科(国家职业标准・中式烹调师)」等のプリントアウトや、資格証書裏面の記載などを証拠資料としましょう。
中国調理師など資格制度の法令条文(原文と訳)
以下の条文は「資格の法的根拠」を示すものであり、「10年の証明」を要する規定そのものではありませんが、資格の正当性を主張する補強資料として使えます。
① 中国《労働法》第八章第六十九条
【原文】
第六十九条 国家确定职业分类,对规定的职业制定职业技能标准,实行职业资格证书制度,由经过政府批准的考核鉴定机构负责对劳动者实施职业技能考核鉴定。
【日本語訳】
第六十九条 国家は職業分類を確定し、規定された職業に対して職業技能標準を制定し、職業資格証書制度を実行する。政府の許可を経た審査検定機関が責任を持って労働者に対し職業技能審査検定を実施する。
【出典】 中華人民共和国中央人民政府Webサイト: http://www.gov.cn/banshi/2005-05/25/content_905.htm
② 中国《職業教育法》第一章第八条
※改正されている可能性がありますが、旧法(1996年施行)または現行法(2022年改正)の文脈で「職業資格証書」に触れている箇所を引用します。一般的に参照されるのは以下の文脈です。
【原文(1996年版 第八条)】 第八条 实施职业教育应当根据实际需要,同国家制定的职业分类和职业等级标准相适应,实行学历证书、培训证书和职业资格证书制度。
【日本語訳】 第八条 職業教育の実施は、実際の必要に基づき、国家が制定した職業分類および職業等級標準に適応させ、学歴証書、訓練証書および職業資格証書制度を実行しなければならない。
【出典】 中華人民共和国教育部Webサイト等: http://www.moe.gov.cn/s78/A07/zcs_ztzl/2017_zt08/17zt08_zcfg/17zt08_fl/201706/t20170622_307683.html
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この記事の監修者

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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。
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・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
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