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コラム

2024年02月07日 コラム

特定技能1号・2号の外国人の要件、1号から2号への移行

 

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1 外国人雇用企業全般:人事担当、経営者その他 外国人を雇用する前と雇用中

特定技能1号・2号共通の外国人の要件は?

特定技能1号の外国人に特有の要件とは?

特定技能1号から2号への移行はどのような手続が必要?

コンプライアンス対応
特定技能外国人受入れにあたって、事前に説明することを理解しておく

 

 

結論(回答):

1、特定技能1号・2号に共通する外国人の要件は?

「特定技能外国人を雇用したい」…けれどそもそもどんな要件があるのか、きちんと見たことがないかもしれません。

 

特定技能1号、2号に共通の条件として主に下記の要件があります。

①18歳以上であること

②健康状態に関するもの

③保証金の徴収・違約金契約等に関するもの

④費用負担の合意に関するもの

⑤本国において遵守すべき手続きに関するもの

⑥分野に特有の事情に鑑みて定められた基準に関するもの

があります。

 

あまり見慣れないかもしれない③~⑤についてみてみましょう。

③の保証金関連の規定「保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産を管理され」ないことについては、特定技能所属機関、登録支援機関の他、職業紹介事業者や関与する本国及び日本の仲介事業者などを含め、幅広く規制の対象としています。

 

特定技能外国人またはその親族等が、保証金の徴収や財産の管理または違約金契約を締結させられているなどの場合には、適正な活動を阻害するものであることから、これらの保証金の徴収等に関する契約が締結されておらず、かつ、締結される予定がないことが必要になります。

特定技能所属機関または登録支援機関は、事前ガイダンスで、保証金・違約金契約が違法であることの説明、保証金の徴収などがないことを確認しなければなりません。

 

④は費用負担の合意という内容は、当然のことと思えるかもしれません。一部の技能実習制度において、本人が想定しない多額の借金を抱えて来日するといったことが問題となり、失踪の原因ともなっています。

家賃や食事など定期で負担する費用については、合理的な費用でなければならないことを特定技能外国人へ説明し、十分に理解して合意していることが必要になります。

 

⑤は海外に渡航して労働を行う場合の許可等、必要な手続を遵守していることが必要になります。外国人の本国と日本が「二国間協定」を締結している場合、その内容に沿って手続きを進めることが必要となります。

 

特定技能外国人が保証金などについての契約をしていないこと、費用負担について理解、納得していることを確認しましょう。

 

〇気をつけるべきポイント1 -本人への丁寧な説明と確認が必要-

上記③、④については、少しふれましたが技能実習制度において、技能実習生が日本に渡ってくるまでに多額の費用負担をすることが問題となっています。現在実習生で一番多い国籍はベトナムですが、ベトナムから日本に来るまでに100万円を超える費用を負担していることが珍しくありませんでした。実習制度に関する説明や、日本での仕事内容、給与、条件について十分に説明がされないだけではなく、「日本に行けば、稼げるよ」といった誤った説明、イメージをもたされていることが少なくありません。

特定技能制度では、そのような問題が起こらないよう留意されています。特定技能所属機関や登録支援機関において、本人に丁寧な説明と確認が必要です。

 

 

2、特定技能1号の外国人に特有の要件とは?

加えて、特定技能1号のみの条件として

⑦技能水準、日本語能力に関するもの

⑧在留期間が通算して5年に達していないこと

があります。

ここで⑧「技能水準、日本語能力に関するもの」について、解説いたします。

特定技能1号の要件には、

⑴各産業分野の技能試験と日本語試験の合格

⑵技能実習2号を良好に修了すること

の2つがあり、いずれかを満たさなければなりません。

 

⑴は、技能実習と異なる産業分野への変更の場合、留学から特定技能への在留資格変更の場合、これまで日本での雇用経験がまったくないが特定技能の在留資格を得る場合などがあります。

 

⑵は、企業で技能実習生を受け入れており、特定技能の在留資格へ変更し、引き続き雇用する流れです。現在の特定技能外国人のほとんどがこちらで在留資格を得ています。技能実習を経ていれば、少なくとも3年近くの期間、日本で仕事をしながら生活をしてきたことで、日本での仕事の仕方やルール、生活に慣れています。もし「特定技能在留資格をもっているので働きたい」という外国人の履歴に技能実習があれば、少なくとも生活面での支援は少なくて済むことになります。

 

〇気をつけるべきポイント2 -試験はいつ、どこで受けられるか―

どの産業分野の特定技能として働きたいのかが決まったら、試験日程、会場を調べることとなります。試験によっては、回数が限られているので注意が必要です。会場については、日本国内、海外がありますが、海外での受験は、試験により開催される国が異なります。いずれ開催国、日程などがより多くなるとは思いますが、現在のところは事前に調べておく必要があります。

 

もうひとつの日本語試験については、多くみられるメジャーといっていい日本語能力試験(JLPT)と国際交流基金日本語テスト(JFT)を基準としています。

JLPTは、残念ながら年2回しか行われません。JFTは、実施回数が多く、アジア各国で行われています。

基準としてJLPT N4レベル、JFTはA2レベル以上となっています。日常生活の中の話題に関することの文章を読んで理解することができ、会話で簡単な情報交換をすることができるレベルです。

仕事内容によって、日本語がペラペラじゃなくても業務が遂行できるのであれば、このレベルでも大丈夫でしょうし、やはり日本語の理解をより望むのであれば、面接時に日本語レベルを確認することや、雇用後に日本語学習の機会を積極的に設けることが必要となります。

 

技能実習の経験者で、技能実習中や生活で日本語を話す機会が多くあったり、自ら日本語で話そうという意欲をもって過ごしていたのなら、検定でN4レベルでも意思疎通は難なくできることは珍しくありません。逆にN2などを取得していても、会話があまりできないということもみられます。(ちなみに、⑵の技能実習2号修了者であれば、日本語関連の試験の合格は必要ありません)。

 

〇気をつけるべきポイント3 -どんな準備が必要?-

現状人手不足で、特定技能外国人を雇用できる分野であれば、雇用の検討をおすすめします。ただ同じ「特定技能」の在留資格といっても、上記のように日本語レベルにかなりのバラつきがみられます。

仕事上、日本語の理解があったほうがよいのであれば、在留資格がおりるまでに仕事でよく使う言葉や器具の名前などのリストを伝えておくことや、仕事が始まってから定期的に日本語学習の機会をつくるなどができます。日本語を覚えるにつれて仕事を覚えるということがよくみられることでもあります。

また仕事を覚え、だんだんとレベルアップしたら、給与にどのように反映されるのかのキャリアパスプランを示すことができるようにしておくと、こちらも外国人が安心して働ける環境づくりのひとつとなります。

 

 

3、特定技能1号から2号への移行にどのような手続が必要?

特定技能2号には同1号から移行できます。特定技能1号の12の特定産業分野のうち、介護分野以外の全ての特定産業分野が、特定技能2号への移行対象になります。

特定技能2号外国人には、もちろんですが特定技能1号よりも高い技能(熟練した技能)が求められます。「高い技能」とは、タスクを確実にこなすことはもちろんですが、指導や作業の進捗等の管理ができる技能となります。

各分野の技術試験とともに、一定期間上記の記述の指導業務をしたという経歴を証明するものが必要となります。

 

基本的には1号の申請に必要な、日本語能力の証明は求められません(ただし外食業はJLPT N3以上が必要です)。ですが、技能をはかる検定の問題は、日本語での試験であり、日本人が受検するレベルのものであるので、日頃から日本語の学習が必要になると考えられます。

 

〇気をつけるべきポイント4 -どんな準備が必要?-

 

例えば、1号特定技能外国人を雇用しており、本人がまだ2号の申請をするかどうか、これ以上日本に住み続けたいという意思を今後持つかどうかがまだはっきりしない様子であるとします。

その場合、1号の期限は通算5年で、期限が切れることを意識しはじめて、やっぱり2号の申請をしたいといっても、指導や管理業務経験を一定期間積んでいなければ、申請はかなり困難になります。

また仕事をしながら常に日本語を学習することが必要だと考えられます。

 

このようなことになると本人に説明、理解してもらうことがまずは必要です。

 

 

結論

特定技能2号の在留資格を得るためには、1号を経てからとなるので、特定技能2号の在留資格をもつ外国人が珍しくなくなるのは、まだ数年先となります。

 

現在特定技能1号の在留資格をもつ外国人が、引き続き日本で働きたいと思えるよう、体制を整えておかなければなりません。

母国を離れ、日本で働く外国人は、それぞれのコミュニティを強くもっています。コミュニティ内で、1号外国人として働き、「日本はとても働きやすい国だ」という評判を出してくれるまでに、信頼関係を築く必要があります。

そして母国にいる仲間に「働くなら日本がおすすめ」と伝えてもらえるよう、企業でできること、整備できることを少しでもすすめておくことをおすすめします。

 

弊社では、今後の流れも見据えながらどのように雇用をすすめたらいいか、外国人との良好な関係の作り方などについて、受け入れの企業と一緒に考えながらすすめていきます。

ぜひご相談ください。

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この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人雇用・ビザ専門。手続代理及びコンプライアンス顧問として、登録支援機関のほか弁護士等の専門家向け顧問の実績多数。

 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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