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在留資格認定証明書交付申請の徹底解説、変更・更新許可との要件の違い

2025年02月08日 在留資格一般

在留資格認定証明書交付申請の徹底解説、変更・更新許可との要件の違い

 

この解説でわかること/目次

在留資格認定証明書交付申請の注意点、在留資格変更や更新との違い

在留資格認定証明書交付申請の要件3つ

在留資格認定証明書交付申請の法令根拠

 1.在留資格該当性:在留資格認定証明書交付申請の場合

 2.非虚偽性:在留資格認定証明書交付申請の場合

 3.上陸基準省令適合性:在留資格認定証明書交付申請の場合

在留資格認定証明書交付申請によらない入国とは

在留資格変更や更新許可申請との違い

「特定活動」や「定住者」は告示適合性が重要

告示に規定がない、告示外定住者と告示外特定活動

告示以外の基準:経済産業省の事業、国家戦略特区など他の法令の規定の場合

入国時の告示適合性が在留期間更新時になくなる場合はどうなるか:「相当性」基準

 

在留資格認定証明書交付申請の注意点、在留資格変更や更新との違い

在留資格認定証明書交付申請とは、外国から外国人を直接招へいし、日本に住まわせることが出来る制度です。

これは在留資格変更や期間更新と基準が同じと誤解されることがありますが、そうではありません。基準が異なるため、同じ基準適合であるなどと思い込みで申請すると危険です。

なぜなら、審査期間である3~6か月ほどは、日本で行うべき就労活動や生活が出来ません。さらに不許可となれば、さらにそれが再申請のために長引き、不許可理由によっては、数年かかるケースもあります。

さらに、在留資格認定証明書交付申請では、容赦なくいきなり不許可となります。つまり、在留資格変更や更新の場面では、追加資料通知などが反論の機会としてありますが、それがなくいきなり不許可になることも少なくないのです(このような場合、入管が通達違反となりえる点を指摘する再申請も行うことが出来ます)。

したがって、やや成功率が気になる申請では、先回りして証拠提出をするような積極的立証姿勢が重要です。

 

在留資格認定証明書交付申請の要件3つ

在留資格認定証明書交付申請においては、以下の3つが大きな要件です。
・在留資格該当性/告示適合性
・上陸基準省令適合性/告示適合性
・非虚偽性

このような要件適合を(あたかも裁判のように)証拠によって行政に対して立証する責任は申請人にあります。それが入管法です。

上記在留資格認定証明書交付申請の要件を一言で説明すると以下の通りです。

・在留資格該当性とは:その活動や身分・地位が入管法別表の規定に該当する活動等であること
・上陸基準省令適合性とは:法務省令で定める外国人の経歴や、受け入れる者の要件などの基準に適合すること
・非虚偽性とは:その活動が虚偽でないこと

 

在留資格認定証明書交付申請の法令根拠

法令引用:入管法第7条第1項第2号
二 申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽のものでなく、別表第一の下欄に掲げる活動(二の表の高度専門職の項の下欄第二号に掲げる活動を除き、五の表の下欄に掲げる活動については、法務大臣があらかじめ告示をもつて定める活動に限る。)又は別表第二の下欄に掲げる身分若しくは地位(永住者の項の下欄に掲げる地位を除き、定住者の項の下欄に掲げる地位については、法務大臣があらかじめ告示をもつて定めるものに限る。)を有する者としての活動のいずれかに該当し、かつ、別表第一の二の表及び四の表の下欄に掲げる活動を行おうとする者については我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準に適合すること(別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第一号に掲げる活動を行おうとする外国人については、一号特定技能外国人支援計画が第二条の五第六項及び第七項の規定に適合するものであることを含む。)。

 

1.在留資格該当性:在留資格認定証明書交付申請の場合

まず、上記の「身分若しくは地位~活動のいずれかに該当」という箇所によって、「在留資格該当性」も必要です。それは「別表第一」である就労・活動系や、「別表第二」である身分系の在留資格に応じた「活動や地位」が申請した類型に該当することを証明するものです。すなわち、申請人の活動や地位の内容が、法令で列挙された在留資格に適合しているということを立証します。

これは在留資格認定証明書交付申請の方が、在留資格変更や期間更新より厳密な判定を入管から受けることになります。

 

2.非虚偽性:在留資格認定証明書交付申請特有

次に、活動が虚偽でないことは「非虚偽性」と呼ばれます。これは社会通念上妥当な範囲で足ります。

しかし気を付ける類型があります。

まず、申請書の記載内容が添付資料や、さらに過去の申請などと矛盾している場合、それをもって不許可にされる法令根拠となっております。

次に、例えば過去の在留歴からバイアスをもたれることで不許可になることもあります。

いくつか注意点があるので、また別の機会で詳しく解説します。

 

3.上陸基準省令適合性:在留資格認定証明書交付申請の場合

最後に、上陸基準省令適合性について説明します。

在留資格認定証明書交付申請によって、外国から日本に上陸する外国人は、上記の入管法第7条第1項で、「上陸基準省令」という法務省令で定める基準に適合することが要件となります。

つまり、在留資格該当性と非虚偽性だけでなくこの上陸基準省令にも適合することを証明する必要があります。

例えば、「技術・人文知識・国際業務」では、学歴、職歴、資格などを規定するのは通常この「上陸基準省令」であると覚えてもらえれば違いがわかると思います。

しかし、この上陸基準省令でも、「技術・人文知識・国際業務」は国際業務として該当する業務の例示列挙があるため、一部「在留資格該当性」と重複し、さらに広げている意味をもっています。

このように、在留資格は、その資格ごとに全く違う許認可要件が用意された法令システムと考え、総合的にかつ横断的に要件判断をする必要があります。

 

在留資格認定証明書交付申請によらない入国とは

観光ビザなどの「短期滞在」以外の在留資格で在留資格認定証明書交付申請をやらない場合、日本の空港で外国人が入国時に証明しなければならないという法令になっております。

現在の入管法令では、その基準だけでも多様で、各在留資格で多く専門的な判断や証拠が必要です。したがって、上陸時は「短期滞在」の在留資格を除いてほぼ不可能です。

そのため、在留資格認定証明書交付申請では、事前に多くの資料を提出することで基準適合することを証明した書面が交付されます。それが上陸時の立証資料として便利な「在留資格認定証明書」であり、英語ではCertificate of Eligibility、略してCoEと呼ばれるものです。

 

在留資格変更や更新許可申請との違い

この点、在留資格変更許可申請や更新許可申請の場面では、「相当の理由」がある場合に許可されるとなっております。その基準は「在留資格の変更・在留期間の更新許可のガイドライン」の解説ページで説明しております。

しかし、その相当性でも、「在留資格該当性」と「上陸基準省令」を含めた8つほどの要件適合が必要です。さらにそれは「狭義の相当性」というもので、「広義の相当性」はまた別となります。

まず理解すべき点として、上陸許可基準(入管法第7条第1項第2号)は上陸時つまり入国時だけでなく、在留資格の変更および更新においても原則求められます。

しかし、「相当性」の観点でやや厳しめあるいはやや緩和される運用がされることがあります。それは後述する告示適合との矛盾が生じないように、審査要領をはじめとした行政規則で定めます。

 

「特定活動」や「定住者」は告示適合性が重要

なお、「特定活動」や「定住者」の在留資格は、在留資格該当性も上陸基準適合性も、「特定活動告示」や「定住者告示」、の基準を上陸基準省令の代わりに適合性判断として適用します。さらに活動内容についても別表第一の委任を受けた告示です。したがって「在留資格該当性」も告示の各号にミックスされていると考えればわかりやすいです。

定住者告示をみると、例えば、外国人の「連れ子」類型や、「定住者の配偶者」類型があります。

特定活動告示を見ると、例えば、「医療滞在」、「本邦大学卒業者」などがあります。

これらは在留資格該当性を定める別表の代わりだけでなく、上陸基準省令の代わりなので、直接外国から在留資格認定証明書交付申請ができます。

 

告示に規定がない、告示外定住者と告示外特定活動

一方で、告示外定住者や告示外特定活動という類型は、直接招へいができません。告示外は上陸基準省令適合性が存在せず、在留資格認定証明書交付申請対象となりません。

例えば、「連れ親」類型などがありますが、一度「短期滞在」などで来て変更許可を受ける必要があります。

 

告示以外の基準:経済産業省の事業、国家戦略特区など他の法令の規定の場合

国家戦略特区など、個別法令の場合もあります。「経営・管理」の創業特区や、経済産業省の起業活動ビザ、あるいは特定活動の「美容師特区」「農業特区」その他、多数存在します。

ただし、在留資格認定証明書交付申請ができるかどうかは個別の規定によります。

 

入国時の告示適合性が在留期間更新時になくなる場合はどうなるか:「相当性」基準

上陸基準省令適合性や告示適合性は、入国後の状況変化(例:扶養の消滅、年齢の変化)によって基準に適合しなくなる場合もあります。この場合でも、直ちに不許可となるわけではありません。

例えば、「連れ子定住」と呼ばれる「定住者」の類型では、日本人や永住者の実子であることを要件とする「定住者告示」の規定が要件となります。この点、さらに「未成年」である要件が規定されておりますが、定住者として上陸許可されたあとに成人になっても、それをもって、直ちに不許可になりません。この個別規定は定住者告示では記載がありません。

この理由は、「上陸基準省令」や「定住者告示」などはあくまで上陸時に厳密となる基準であって、「相当性」を法令要件とする在留資格変更や期間更新の許可申請では、入管に裁量があるので、緩和や上乗せができるのです(羈束行為と裁量行為の違い)。

したがって、「在留審査要領」に根拠の記載があります。このように、在留資格認定証明書交付申請は、「上陸基準省令適合性」「告示適合性」が条文に忠実に又は厳密に適用されることが通常です。

例えば、先の「連れ子」定住の要件である「未成年」であることが要件です。近年では、これが厳密に運用されました。日本の民法改正で20歳から18歳に変わった時、上陸時に18歳をむかえてしまう17歳の申請人は不許可となる可能性が高いとして(申請しても無駄なので)、入管審査官から取り下げ指導をされた事例があります。

もともと就業できる自活能力を有する場合は不許可事例が多く、例えば、18歳から19歳でも不許可事例が多くありました。今後は、16歳から17歳でも不許可のリスクに対処すべき難解事案になりやすいと考えられます。

一方で、それ以外の申請の基準の違いでは条文そのままの適用でない裁量がある「相当性」が重要となります。

これは、先ほどの例では18歳以上でも更新は許可されるといった良い面の裁量が可能な点で、在留資格変更や更新における「広義の相当性」がある法令基準からの恩恵です。相当性が問われない、在留資格認定証明書交付申請との違いです。

この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
・外国人ビザ専門。「手続代理」と、企業や弁護士等専門家向けに「外国人雇用の顧問」実績多数。

 - 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他

- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。

- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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