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育成就労法で変わる入国前後講習と認定日本語教育機関

2026年02月20日

育成就労

育成就労法で変わる入国前後講習と認定日本語教育機関

以下は、育成就労の「日本語A1(N5目安)」の合否を起点に、入国ルート(=要件の満たし方)と、入国前講習/入国後講習の時間数の変動、さらに 認定日本語教育機関(就労課程)や登録日本語教員がどの程度必要になるかを、表で一気に整理したものです。
 本解説で使う根拠は、施行規則の入国後講習要件(施行規則13条ハ・ニ・ヘ等)と、行政側の説明資料の整理。

 

 

入国前後の講習時間数と日本語教育の義務

この解説の重要なポイントは以下の通りです。

  • 入国後講習の総時間数は、原則 320時間
    ただし「入国前講習」をやっていると短縮できます。
  • さらに 日本語能力が“試験その他の評価方法”で証明できる(=A1相当合格など)と、入国後講習は 220時間へ短縮できます。
  • 入国後講習とは別に(またはその中で)、認定日本語教育機関の「就労のための課程」で100時間以上という要件(施行規則(13条7号ヘ)が出てきます。
    ただし A1相当などが“証明”できる場合は、この100時間は免除され得る(但書)構造です。
  • 会社/監理支援機関が入国後講習を実施(または委託)すること自体は可能です(実施主体の規定)。
    ただし、日本語部分で「就労課程100時間」が必要になるケースでは、認定日本語教育機関(就労課程)との連携が実務上必要になります。

A1(N5目安)合格者/非合格者の「入国ルート」別まとめ

※ここでいう「入国ルート」は、厳密には在留資格の“ルート”というより、要件の満たし方(試験で証明するか/講習で積み上げるか)の違いです。

区分

日本語A1(N5目安)相当の証明

入国後講習の基本設計

認定日本語教育機関(就労課程)100時間

ルートA(合格・証明あり)

あり(試験等で一定程度の日本語能力が証明)

入国後講習は 220hが基本(入国前講習でさらに短縮あり)

原則不要になり得る(「この限りでない」=免除)

ルートB(非合格・証明なし)

なし(試験等による証明がない)

入国後講習は 320hが基本(入国前講習で短縮あり)

原則必要:就労課程で 100h以上

入国前講習/入国後講習の「時間数の変動」比較(最重要)

施行規則の時間構造(施行規則13条7号ハ・ニ)を、4つの証明類型と入国前講習のマトリクスで整理すると以下となります。
(行政資料でも同様の整理が図表化されています。 )

入国後講習(総時間数)の早見表

日本語能力の証明

入国前講習の実施(過去6か月以内)

入国後講習の総時間数(下限)

根拠の骨子

証明なし(A1相当合格なし等)

なし

320時間以上

原則(ハ)

証明なし

160時間以上あり

160時間以上

ハの括弧書(短縮)

証明あり(A1相当合格など)

なし

220時間以上

ニ(短縮)

証明あり

110時間以上あり

110時間以上

ニの括弧書(短縮)

試験その他の評価方法の実務

  • ここでの「証明あり」は条文上 “試験その他の評価方法”という表現です。A1試験合格は、その典型例として制度説明資料側で整理されています。
  • 「最低110時間」は 常にではなく、“証明あり”+“入国前講習110h以上”が揃ったときに成立する下限です。

認定日本語教育機関(就労目的課程)・登録日本語教員の必要性

ここは、施行規則(13条7号ヘ)と、説明資料を併せて読むと理解が早いです。

「就労課程100時間」の要否(条文上の結論)

施行規則(13条7号ヘ)は、原則として認定日本語教育機関の「就労のための課程」で100時間以上の履修を求めています。

ただし、その但書により、試験その他の評価方法で一定の日本語能力が証明されている場合は不要(免除)になり得ます。

100時間(就労課程)が必要になりやすいのはどのケース?

  • A1相当の合格(能力証明)がない層
    → 「講習で日本語力を積み上げる」設計になるため、就労課程100時間の要件が前に出やすい。

100時間(就労課程)が不要になりやすいのはどのケース?

  • A1相当合格などで能力証明がある層
    → 但書の適用余地がある(ただし最終は運用確認が安全)。

「入国後講習の中」なのか「別枠」なのか

施行規則(13条7号ヘ)の書き方は、「入国後講習の科目」そのものとして列挙されているというより、
“日本語能力を修得するために、認定日本語教育機関(就労課程)で100h以上履修していること”という 追加要件(構造要件)です。

したがって実務上は次の2パターンが起こります。

  • パターン1:入国後講習の枠組みの一部として、就労課程(100h)を組み込む
  • パターン2:入国後講習とは別枠で、並行して就労課程(100h)を履修させる

どちらでも、要件としては「100h履修が確認できる」ことが重要になります(時間証明・修了証・出欠等の証拠設計)。

登録日本語教員は必須?

施行規則(13条7号ヘ)は「登録日本語教員」という語を直接要件として置いているわけではなく、要件の中心は“認定日本語教育機関(就労課程)”です。

一方で、制度説明資料では、就労課程の講習提供や経過措置の文脈で 登録日本語教員が登場します(運用設計として想定されます)。したがって、次のとおり整理します。

  • 法令(条文)上の必須要件:認定日本語教育機関(就労課程)100h(ただし能力証明があれば免除あり)
  • 実務(運用設計)として想定される担い手:登録日本語教員の関与が想定される場面がある(行政文書)

まとめ:受入企業・監理支援機関からの委託の可否

自ら行う領域

  • 入国後講習そのものの企画・運営(単独型=受入企業、監理型=監理支援機関)
  • 必要に応じて「適切な者」へ委託して実施

認定日本語教育機関(就労課程)が必要になりやすい領域

  • A1相当の能力証明がない層の日本語積み上げ(就労課程100hが要件になりやすい)

「ケース別」時間数のまとめ

  • A1相当(N5目安)の合格等で日本語能力が証明できる場合は、入国後講習の総時間数が 220時間以上となり、入国前講習(110時間以上)を実施していれば 入国後講習は110時間以上まで短縮され得ます。
  • A1相当の証明がない場合は、入国後講習は原則 320時間以上で、入国前講習(160時間以上)を実施していれば 160時間以上まで短縮され得ます。
  • また、日本語能力修得のために、原則として 認定日本語教育機関(就労課程)で100時間以上の履修が求められますが、試験等で日本語能力が証明できる場合は免除され得ます

 

入国後講習と日本語教育に係る育成就労法施行規則の根拠

法令根拠としては以下の条文となります。

育成就労法施行規則

 

(育成就労の目標及び内容の基準)

第十三条 法第九条第一項第二号(法第十一条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の主務省令で定める基準のうち育成就労の目標に係るものは、次の各号に掲げる育成就労の目標の区分に応じ、当該各号に定める事項が定められていることとする。

 略

七 入国後講習が次のいずれにも該当するものであること。

イ 次の(1)又は(2)に掲げる場合の区分に応じ、(1)又は(2)に定める者が、自ら又は他の適切な者に委託して、座学(見学を含む。ハにおいて同じ。)により実施するものであること。

(1) 単独型育成就労に係るものである場合 申請者

(2) 監理型育成就労に係るものである場合 監理支援機関(第二条各号に規定する取引上密接な関係を有する外国の公私の機関の外国にある事業所の職員である外国人を雇用する場合にあっては、申請者。ハ(1)及び(2)並びに第十五条第一項第六号イにおいて同じ。)

ロ 科目が次に掲げるものであること。

(1) 日本語

(2) 本邦での生活一般に関する知識

(3) 出入国又は労働に関する法令の規定に違反していることを知ったときの対応方法その他育成就労外国人の法的保護に必要な情報(専門的な知識を有する者(監理型育成就労に係るものである場合にあっては、申請者及び監理支援機関に所属する者を除く。)が講義を行うものに限る。)

(4) (1)から(3)までに掲げるもののほか、本邦での円滑な技能の修得に資する知識

ハ その総時間数(実施時間が八時間を超える日については、八時間として計算する。以下このハ及びニにおいて同じ。)が、三百二十時間以上(育成就労外国人が百六十時間以上の課程を有する入国前講習(過去六月以内に、本邦外において、ロ(1)、(2)又は(4)に掲げる科目につき、座学により実施される次のいずれかの講習をいう。以下同じ。)を受けた場合にあっては、百六十時間以上)であること。

(1) 単独型育成就労に係るものである場合にあっては申請者が、監理型育成就労に係るものである場合にあっては監理支援機関が、自ら又は他の適切な者に委託して実施するもの

(2) 外国の公的機関又は教育機関が行うものであって、単独型育成就労に係るものである場合にあっては申請者において、監理型育成就労に係るものである場合にあっては監理支援機関において、その内容が入国後講習に相当すると認めたもの

ニ ハの規定にかかわらず、試験その他の評価方法により本邦での生活に必要な日本語能力及び従事させる業務に必要な日本語能力を一定程度有していることが証明されている場合にあっては、その総時間数が、二百二十時間以上(育成就労外国人が百十時間以上の課程を有する入国前講習を受けた場合にあっては、百十時間以上)であること。

ホ ロ(3)に掲げる科目の授業時間数が八時間以上であること。

ヘ 育成就労外国人が本邦での生活に必要な日本語能力及び従事させる業務に必要な日本語能力を一定程度修得するために認定日本語教育機関(日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律(令和五年法律第四十一号)第三条第一項に規定する認定日本語教育機関をいう。以下このヘ及び次号において同じ。)に置かれた就労のための課程(認定日本語教育機関認定基準(令和五年文部科学省令第四十号)第二条第二項に規定する就労のための課程をいう。以下このヘ及び次号において同じ。)において履修する授業科目の授業時間数(育成就労外国人が過去六月以内に、本邦外において、本邦での生活に必要な日本語能力及び従事させる業務に必要な日本語能力を一定程度修得するために認定日本語教育機関に置かれた就労のための課程において履修した授業科目の授業時間数を含む。)が百時間以上であること。ただし、試験その他の評価方法により本邦での生活に必要な日本語能力及び従事させる業務に必要な日本語能力を一定程度有していることが証明されている場合は、この限りでない。

ト 次の(1)又は(2)に掲げる場合の区分に応じ、(1)又は(2)に定める科目について、当該科目に係る入国後講習が業務に従事させる期間より前に行われ、かつ、当該科目に係る入国後講習の期間中は育成就労外国人を業務に従事させないこと。

(1) 単独型育成就労に係るものである場合 ロ(3)に掲げる科目

(2) 監理型育成就労に係るものである場合 ロ(1)から(4)までに掲げる全ての科目

八 育成就労外国人の日本語の能力に係る育成就労の目標を達成するために認定日本語教育機関に置かれた就労のための課程において百時間以上の授業時間数(育成就労外国人が、入国後講習において、又は過去六月以内に、本邦外において、育成就労外国人の日本語の能力に係る育成就労の目標を達成するために認定日本語教育機関に置かれた就労のための課程において履修した授業科目の授業時間数を含む。)の授業科目を履修することができるよう必要な措置を講じていること。ただし、当該目標が達成されている場合は、この限りでない。

九 前各号に掲げるもののほか、申請者の行わせる育成就労が育成就労産業分野のうち法務大臣及び厚生労働大臣が告示で定める特定の分野に係るものである場合にあっては、当該特定の分野を所管する関係行政機関の長が、法務大臣及び厚生労働大臣と協議の上、当該特定の分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準に適合すること。

 

 

この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士

谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。


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- 略歴等

・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。


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・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他

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