永住を「経営・管理」から申請:2026年改訂基準で不許可?
2026年03月15日
永住経営・管理ビザ
永住を「経営・管理」から申請:2026年改訂基準で不許可?
-「経営・管理」で在留しているので、会社を続けていれば「永住申請」も問題ない。-
そのように考えている方は、令和7年10月16日施行の「経営・管理」許可基準改正と、令和8年2月24日改訂の永住許可ガイドラインをセットで確認する必要があります。
永住許可ガイドラインでは、現在有している在留資格について、上陸許可基準等に適合していることが入管法における「国益要件」等の一内容のように明記されています(入管法22条)。
今回の改正では、「経営・管理」の許可基準として、資本金の額又は出資の総額3,000万円以上、1名以上の常勤職員の雇用、申請者又は常勤職員のいずれかが相当程度の日本語能力を有することなど、従前より重い基準が示されました。
そのほか、事業所要件も規模に応じたものとする変更運用がされており、これも基準省令の一つです。
つまり、「経営・管理」から「永住」を目指す方は、永住申請時にも、現在の経営・管理ビザが改正後基準に照らして、現在も適合しているかを見られるという前提で準備することになります。
1.令和7年10月改正で何が変わったのか
出入国在留管理庁は、2025年10月16日施行の「経営・管理」許可基準改正について、主な見直し内容を公表しています。そこでは、従前の制度から大きく踏み込んで、次のような要件が掲げられています。 (出典:法務省HP)
- 資本金の額又は出資の総額:500万円 → 3,000万円へ引上げ
- 1名以上の常勤職員の雇用
- 申請者又は常勤職員のいずれかが相当程度の日本語能力を有すること
- そのほか、経営経験等に関する見直し
これらは、「経営・管理」が単に形式的に会社を作れば足りる在留資格ではなく、実体ある経営・管理活動を、一定の基盤・体制・言語能力のもとで行うことを、より明確に要求する方向への改正といえます。
2.永住許可ガイドライン改訂と、なぜセットで考えるべきか
令和8年2月24日改訂の永住許可ガイドラインでは、国益要件の中に、
「現に有している在留資格について、法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること」が追加されました。 (出典:法務省HP)
これは、「経営・管理」の方についていえば、単に過去に許可を取ったことがあるかではなく、
永住申請時点でも、現在の経営・管理の状態が、上陸基準省令等に適合しているか
を確認され得ることを意味します。
特に、「経営・管理」は令和7年10月改正で基準が重くなっています。したがって、永住審査でも、現在の会社運営・人員体制・日本語対応体制・資本基盤が、改正後基準に照らして維持されているかが問題になりやすいと考えられます。
3.「取得できた」だけでは足りず、「維持している」ことが重要
ここが今回の最大のポイントです。
「経営・管理」で上陸許可基準等への適合が求められるなら、永住審査で問題になるのは、許可取得時に基準を満たしていたかだけではありません。
永住ガイドラインの文言は、「現に有している在留資格について」上陸許可基準等に適合していること、です。
そのため、永住申請時には、たとえば次のような点が問われやすくなります。
- 資本金3,000万円以上の基盤が実質的に維持されているか
- 常勤職員1名以上の雇用体制が形式だけでなく実体を伴っているか
- 申請者本人又は常勤職員の日本語能力要件を、現在も立証できるか
- 事業所、営業実態、契約、売上、経費支出などに不自然さがないか
- 名目的代表ではなく、実際に経営・管理活動を行っているか
つまり、許可を取ること自体より、許可基準を維持し続けることの方が難しい場面も十分あり得ます。 (出典:法務省HP,moj.go.jp, moj.go.jp)
4.特に日本語能力要件は、永住でも注意が必要
今回の改正の中でも、特に実務上の影響が大きいのが日本語能力要件です。
出入国在留管理庁は、改正後の「経営・管理」について、申請者又は常勤職員のいずれかが相当程度の日本語能力を有することが必要と案内しており、申請資料としても、日本語能力を証する書類が想定されています。
この要件は、単なる“あれば望ましい事情”ではなく、改正後基準の一部です。
そして、永住ガイドラインが「現に有している在留資格」について上陸許可基準等への適合を求める以上、永住申請時にも、誰が、どの資料で、日本語能力要件を満たしているのかを説明できる状態にしておくことが重要です。
たとえば、当初は日本語能力のある常勤職員を前提に基準を満たしていたのに、その職員が退職していた、という場合には、永住申請時点で基準維持に疑義が生じる可能性があります。この点は、「取得時には通ったが、維持の場面で弱くなる」典型例です。
5.「経営・管理」で永住申請前に確認したいポイント
(1)常勤職員の雇用が実体を伴っているか
名目だけの雇用ではなく、社会保険、給与支払、勤務実態など、常勤職員としての裏付けが必要です。
(2)日本語能力要件を誰で満たすのか明確か
申請者本人で満たしたなら永住許可申請時でも満たせると考えられます。しかし、常勤の役員か職員で満たしていたなら、今も在籍しているのか、さらに試験合格や学歴等の証明資料を準備しておく必要があります。
(3)代表者として実際に経営・管理活動を行っているか
名義貸し的、形式的代表ではなく、契約、意思決定、資金管理、事業運営に現実に関与していることを示せるかが重要です。
(4)永住の一般要件も当然に満たしているか
住民税、公的年金、公的医療保険、在留歴、素行など、永住固有の一般要件も当然に重要です。
6.谷島行政書士法人グループの考え方
当グループでは、令和7年10月施行の「経営・管理」基準改正と、令和8年2月24日改訂の永住許可ガイドラインを踏まえると、
「経営・管理」から「永住」では、経営・管理ビザの取得時の立証だけでなく、申請時点まで基準を維持していることの立証が極めて重要になった
と考えています。
特に、常勤職員、日本語能力、事業実体は、「一度整えれば終わり」ではありません。
永住申請の時点で、これらがいまも有効に維持されていることを、資料で説明できるかが重要です。
7.こんな方は、永住申請前の点検をおすすめします
- 令和7年10月改正後の「経営・管理」基準に照らして、自社の体制に不安がある
- 日本語能力要件を、本人ではなく職員で満たしている
- 常勤職員の退職や入替えがあった
- 売上や契約はあるが、経営実体の資料整理が不十分
- 資本金、事業実体、雇用体制のどこまで立証が必要か不安
- 永住申請を考えているが、経営・管理ビザの“維持”という視点で見直していない
このような場合には、永住申請前に、現在の経営・管理ビザの基準適合性を総点検しておくことが有効です。
8.まとめ
令和7年10月16日施行の「経営・管理」許可基準改正では、資本金3,000万円、常勤職員1名以上、日本語能力要件など、従前より重い基準が追加されました。
そして、令和8年2月24日改訂の永住許可ガイドラインでは、現在有している在留資格について、上陸許可基準等に適合していることが明記されています。 (出典:法務省HP,moj.go.jp)
そのため、「経営・管理」から「永住」を目指す場合には、
許可取得時に基準を満たしたかだけでなく、永住申請時にも改正後基準を維持していることを説明できるか
が重要です。
特に、日本語能力要件、常勤職員体制、資本基盤、事業実体は、今後の永住審査で重要な争点になり得ます。
永住申請を検討される際は、年金・納税だけでなく、現在の「経営・管理」ビザの維持状況そのものの点検もあわせて行うことをおすすめします。
「経営・管理」から永住申請する方向けチェックリスト
令和7年10月改正後の「経営・管理」では、資本金・常勤職員・日本語能力など、取得時だけでなく維持の確認も重要です。
谷島行政書士法人グループでは、「経営・管理」から永住申請する方向けの事前確認チェックリストをご用意しています。ご希望の方は、お問い合わせください。
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この記事の監修者

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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。
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- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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