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特定技能1号【外食分野】受入上限で停止措置|他の就労ビザ採用は?

2026年04月06日

特定活動外食特定技能

特定技能1号【外食分野】受入上限で停止措置|他の就労ビザ採用は?

外食分野では、特定技能1号在留者数が令和8年5月頃に受入見込み数である5万人を超える見込みとなり、農林水産省と出入国在留管理庁は、令和8年4月13日以降、在留資格認定証明書交付申請について一次的な停止措置をとる方針を公表しました。これにより、外食業で海外から新たに特定技能1号人材を呼び寄せる実務、さらに在留者の在留資格変更許可申請には、大きな見直しが必要になります。

もっとも、今回の措置は、外食分野の特定技能1号が全面的に使えなくなるという意味ではありません。申請の種類によって扱いが異なり、既に外食分野の特定技能1号を持って在留している方の転職や、在留期間更新などは、引き続き通常どおり審査されるものがあります。したがって、外食企業としては、「何が止まり、何がまだ可能なのか」を正確に整理した上で、採用計画を組み直すことが重要です。

外食分野の特定技能1号で何が止まるのか

最も影響が大きいのは、海外から新たに人材を呼び寄せるための在留資格認定証明書交付申請です。令和8年4月13日以降に受理された外食分野の特定技能1号の在留資格認定証明書交付申請は、不交付とされます。そのため、海外在住者を外食分野の特定技能1号として新規に受け入れるルートは、原則として止まると理解してよいでしょう。

一方で、4月13日より前に受理された申請は、直ちに無効になるわけではありません。審査の上、受入れ見込数の範囲内で順次交付されるとされています。ただし、現に日本に在留している方からの在留資格変更許可申請を優先的に処理するため、交付までに相当な遅延が生じることが見込まれています。したがって、申請済みであっても、実際の入国時期や就労開始時期が後ろ倒しになる可能性には注意が必要です。

在留資格変更許可申請はどうなるのか

外食分野の特定技能1号への在留資格変更許可申請については、令和8年4月13日以降に受理した申請は、原則として不許可とされます。つまり、日本国内にいる外国人を新たに外食分野の特定技能1号へ切り替えるルートも、基本的には厳しく制限されることになります。

もっとも、ここは実務上の重要ポイントですが、すべての変更申請が止まるわけではありません。外食業分野で既に特定技能1号として在留している方からの申請、すなわち転職等に伴う申請は、4月13日以降も通常どおり審査されるとされています。したがって、外食分野の特定技能1号を既に持って働いている人材については、転職による受入れの余地が残っています。

さらに例外として、技能実習「医療・福祉施設給食製造作業」を修了し、外食分野の特定技能1号へ移行する方、又は既に外食分野に係る特定活動(特定技能1号移行準備)の許可を受けていて、そこから特定技能1号へ移行する方については、審査の上、受入れ見込数の範囲内で順次許可するとされています。ただし、許可時点での在留者数の状況によっては、特定技能1号ではなく、特定活動(特定技能1号移行準備)への変更又はその在留期間更新を案内される場合がある点にも注意が必要です。

特定活動(特定技能1号移行準備)も広く使えるわけではない

外食業分野に係る特定活動(特定技能1号移行準備)への在留資格変更許可申請についても、原則として不許可とされています。ただし、外食分野で特定技能1号として在留している方からの申請、技能実習「医療・福祉施設給食製造作業」を修了した方からの申請、そして4月13日より前に受理された申請であって3月27日までに食品産業特定技能協議会の加入申請を行っているものについては、通常どおり審査するとされています。つまり、「特定技能1号が難しいなら、とりあえず移行準備の特定活動にして待つ」という対応が、誰にでも認められるわけではありません。

在留期間更新許可申請は通常どおり

今回の停止措置の中でも、既存人材の継続雇用に関わる重要な点として、在留期間更新許可申請は通常どおり審査するとされています。したがって、今回の措置は、新規受入れや新規移行にブレーキをかけるものであり、既に適法に外食分野の特定技能1号として在留している方の更新まで止めるものではありません。外食企業としては、新規採用の可否だけでなく、現在雇用している人材の更新管理も、これまで以上に丁寧に行う必要があります。

「特定技能1号・2号」以外で、外食分野の代表的な受入れ選択肢

今回の停止措置を受け、外食分野で今後の代表的な選択肢として考えられるのは、「技能」、「育成就労」、「特定活動(告示46号)」、「特定活動(日本の食文化海外普及人材育成事業)」などです。ただし、これらは特定技能1号の単純な代替制度ではなく、対象者、業務内容、制度目的、要件が大きく異なります。そのため、制度名だけで判断するのではなく、候補者ごとの事情に応じて比較検討することが欠かせません。

在留資格「技能」の可能性

在留資格「技能」は、外食分野で名前が挙がりやすい資格ですが、一般的な飲食店就労全般に広く使えるものではありません。典型例としては、外国料理の熟練調理師などが問題になります。したがって、一般的なホール業務、配膳、レジ対応などを広く担当させる前提で「技能」を使うのは難しく、実際にはかなり限定的な場面での検討になります。

育成就労の位置づけ

今後の中長期的な受入れ制度として有力なのが育成就労です。ただし、育成就労制度の運用開始は令和9年4月1日とされており、現時点ですぐに外食分野の欠員補充に使える制度ではありません。そのため、足元の採用難を直ちに埋める制度というよりは、来年以降を見据えて採用・教育・定着の体制を再構築するための制度と位置づけるのが適切です。

特定活動(告示46号)の活用可能性

特定活動(告示46号)は、日本の大学等を卒業した外国人が、日本語を用いた円滑な意思疎通を必要とする業務を含む形で就労するための制度です。外食企業でも、接客、店舗運営、通訳、スタッフ指導、企画補助など、日本語能力や学修成果を活かす設計ができる場合には有力な選択肢になります。

もっとも、これも誰にでも使える制度ではありません。日本の大学等の卒業要件などがあり、単純作業中心の職務設計では適合しにくいため、採用前に業務内容を丁寧に整理する必要があります。特定技能1号の代替として安易に使うのではなく、学歴要件と業務要件の両方を慎重に確認すべき制度です。

和食・菓子なら、特定活動(日本の食文化海外普及人材育成事業)の活用可能性

農林水産省が案内する「日本の食文化海外普及人材育成事業」も、外食分野では重要な選択肢です。これは、日本の食文化の海外普及を目的に、調理又は製菓の学校を卒業した外国人留学生が、日本国内の飲食店等で働きながら技術を学べる制度であり、最長5年の制度として運用されています。対象者に合う場合には、実務上かなり有力なルートになり得ます。

ただし、この制度も一般的な人手不足対策として誰でも使えるものではありません。制度目的はあくまで日本の食文化の海外普及を担う人材育成にあるため、対象者の学歴や実習内容、受入体制などが制度趣旨に沿っているかを事前に精査する必要があります。

谷島行政書士法人グループでは、その専門学校と連携しており紹介することも可能です。

外食企業が今後とるべき実務対応

今回の停止措置を受けて、外食企業がまず整理すべきなのは、「新規の海外呼寄せ」「日本国内での新規切替」「既に特定技能1号を持つ人材の転職採用」「既存人材の更新管理」を分けて考えることです。これらはすべて結論が同じではありません。特に、4月13日以降、CoE申請は不交付となる一方で、既に外食分野の特定技能1号として在留している方の転職等に伴う申請は通常どおり審査されるため、採用戦略としては既存在留者の採用可能性が相対的に重要になります。

また、候補者によっては、特定技能1号ではなく、特定活動(告示46号)や日本の食文化海外普及人材育成事業、場合によっては「技能」など、別のルートを検討すべきケースもあります。今後の外食業における外国人採用は、単一制度に依存するのではなく、候補者ごとに最適な在留資格を選び分ける実務へ移っていくと考えるべきでしょう。

まとめ

外食分野の特定技能1号では、令和8年4月13日以降、在留資格認定証明書交付申請は不交付となり、在留資格変更許可申請も原則不許可となります。他方で、在留期間更新許可申請は通常どおり審査され、さらに、既に外食分野の特定技能1号を持って在留している方の転職等に伴う在留資格変更許可申請は、4月13日以降も通常どおり審査されます。この点は、実務上とても重要です。

そのため、今後の外食分野での代表的な受入れ選択肢としては、「技能」、「育成就労」、「特定活動(告示46号)」、「特定活動(日本の食文化海外普及人材育成事業)」等を候補に挙げつつ、候補者ごとの事情に応じて個別に判断する必要があります。外食企業としては、停止措置の内容を正確に理解し、「何が止まり、何がまだ使えるのか」を切り分けた上で、採用計画を再設計することが重要です。

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この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士

谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。


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・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。


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