技能ビザ事例:会社の赤字や債務超過により不許可となる「安定性」立証
2026年07月22日
事例
技能ビザ事例:会社の赤字や債務超過により不許可となる「安定性」立証
技能ビザ(在留資格「技能」)を実際に申請してみると「会社が赤字だと通らないのでは」といった不安に直面する方が少なくありません。実際に不許可事例もあります。
そのとき、不許可の通知理由には「安定性・継続性」がないという記載がされます。
では赤字や債務超過の場合、どのように成功させられるのか、この記事では、南インド料理・バングラデシュ料理のシェフを技能ビザで招へいした実際の事例をもとに、以下を分かりやすく解説します。
〇技能ビザ(コック・調理師)の会社の財務面の要件と必要書類
〇会社が赤字・債務超過でも許可を得るための対応策
在留資格「技能」の所属機関の財務的な要件
「技能」ビザの基本
在留資格「技能」は、産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
この点、会社が赤字や債務超過などの問題があると不許可になりえます。
「技能」ビザの所属機関の主な要件
外国料理の調理師の場合、会社における中心的な要件は本件事例で以下のとおりです。
|
要件 |
内容 |
|
雇用先の安定性 |
活動のために事業の継続性・安定性があること |
立証書類
このケースの重要な立証書類を整理すると、以下のようになります。
|
書類 |
目的 |
|
申請理由書 |
申請の事情や証拠等の説明 |
|
短期借入金についての証明書 |
債務超過の理由・継続性の立証 |
|
代表個人の通帳の写し |
代表個人資産による安定性の立証 |
このケースの赤字決算・債務超過への対応
会社が赤字・債務超過でも許可される?
技能ビザの審査では、雇用先企業の事業の継続性・安定性が重視されます。そのため「会社が赤字だと不許可になるのでは」と不安になる経営者は多いです。
実はこのケースでも、招へい企業は債務超過かつ赤字決算という状況でした。しかし、その理由と善後策を丁寧に説明することで、安定性・継続性を立証していました。
① 短期借入金の正体を明らかにする
決算書に記載された短期借入金約1,369万円は、実は代表取締役個人からの借入金でした。
そこで、次のように対応しました。
・申請人の在留期間内は返還を求めないことを誓約
・代表取締役が本国でレストランを経営しており、十分な収入と貯金があることを証明
・代表の個人資産で損失補填が可能であることを通帳の写しで立証
外部の金融機関への負債ではなく、代表個人からの借入であること、そして返済を急がないことを示すことで、資金繰りの不安がないことをアピールしたわけです。
② 赤字の「一時的な理由」を説明する
赤字の主な原因は、店舗キッチン下の汚水管(本管)の工事でした。
・地震の影響で本管工事が必要になった
・これにより約1ヶ月の休業を余儀なくされた
・この本管は近隣店舗へ引き込まれるもので、運営店舗側に落ち度はなかった
つまり「経営努力の不足による赤字ではなく、不可抗力による一時的な損失」であることを説明したのです。なお、本来は資産計上とするものをしなかったような会計の誤りは定かではありません。
③ 回復傾向を数字で示す
さらに、業績が回復しつつあることを具体的な数字で示しました。
|
年度 |
当期純損失 |
|
前々年度 |
約469万円 |
|
直近年度 |
約334万円 |
赤字幅が着実に縮小していることを数字で提示することで、「今後の改善見通し」を客観的に示しています。
このように、赤字・債務超過であっても、
①理由の合理性
②資金面の裏付け
③回復傾向
以上の3点をセットで立証すれば、安定性を認めてもらえる可能性は十分にあります。
申請を成功させるためのポイント
このケースから学べる、技能ビザ申請成功のポイントを整理します。
- 会社の財務状況はマイナス面も正直に説明する
赤字や債務超過を隠すのではなく、理由・裏付け・改善見通しをセットで丁寧に説明する方が信頼されます。
まとめ
この事例では、赤字・債務超過という不利な状況も、理由・資金の裏付け・回復傾向で説明することが重要でした。
特に会社の財務状況に不安がある場合は、行政書士などの専門家に早めに相談することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 会社が赤字だと技能ビザは絶対に取れませんか?
必ずしもそうではありません。今回の事例のように、赤字の理由が合理的で、資金面の裏付けがあり、回復傾向が示せる場合は、事業の継続性・安定性が認められる可能性があります。重要なのは、財務状況を隠さず、根拠資料とともに丁寧に説明することです。
Q2. 申請から結果が出るまでどのくらいかかりますか?
在留資格認定証明書交付申請の標準的な審査期間は、おおむね1〜3ヶ月程度が目安です。ただし、書類の追加提出を求められた場合や、繁忙期にはさらに時間がかかることもあります。余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。
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この記事の監修者

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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。 ▶ 求人・パートナー募集はこちら
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- 資格等
特定行政書士、宅建士、米国MBA、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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