谷島行政書士法人グループ

お問い合わせ
Language

出国命令を受け上陸拒否1年経過後の在留資格認定証明書交付(CoE)申請リスクと期間

2026年07月05日

在留資格一般

出国命令を受け上陸拒否1年経過後の在留資格認定証明書交付(CoE)申請リスクと期間

オーバーステイとなった後、退去強制ではなく出国命令を受けて自主出国した場合、上陸拒否期間は原則として「出国した日から1年」です。退去強制による5年又は10年の上陸拒否期間と比べると、出国命令は本人にとって不利益が小さい制度といえます。

しかし、出国命令で出国したからといって、1年経過後に在留資格認定証明書交付申請、いわゆるCoE申請が早く許可されるわけではありません。むしろ、過去にオーバーステイ歴と出国命令歴があるため、通常案件よりも審査が慎重になり、追加資料や説明を求められ、あるいは反証の通知も無く不交付となる可能性があります。

そのため、出国命令を受けて出国した後の再入国では、「1年待てばよい」と単純に考えるのではなく、CoE申請、査証申請、上陸審査まで含めた各手続の期間とタイムラインを見通す必要があります。

出国命令後の上陸拒否期間は「出国した日から1年」

出入国在留管理庁は、出国命令により出国した者の上陸拒否期間について、「出国した日から1年」と案内しています。退去強制の場合は、初回で原則5年、過去に退去強制又は出国命令歴があるリピーターの場合は10年とされています。

この点だけを見ると、出国命令は、退去強制よりも早期の再入国を目指しやすい制度です。

ただし、上陸拒否期間が1年であることと、1年経過後のCoE申請が短期間で許可されることは別問題です。上陸拒否期間は「日本に上陸できない期間」の問題であり、CoE申請では、それとは別に、在留資格該当性、上陸許可基準適合性、活動内容の真実性、過去の在留状況、再発防止策などが審査されます。

過去経歴でCoE申請は「1年経過後の通常審査」とならない

在留資格認定証明書交付申請は、日本に入国しようとする外国人について、日本で行おうとする活動が在留資格に該当することなど、上陸のための条件に適合していることを、入国前にあらかじめ確認する手続です。手続根拠は入管法7条の2です。

入管庁は、CoE申請の標準処理期間を1か月から3か月としています。 しかし、これは標準的な目安であり、出国命令歴がある案件では、通常より慎重に見られることがあります。

特に、次のような事情がある場合、審査が長期化しやすくなります。

 ・オーバーステイに至った経緯の説明が不十分である
 ・出国命令を受けるまでの経過に不自然な点がある
 ・前回の在留資格で本来の活動を行っていなかった
 ・資格外活動、虚偽申請、税金・社会保険、公的義務の問題がある
 ・再入国後の活動内容が前回の不許可理由や違反内容と近い
 ・受入企業や配偶者側の説明・管理体制が弱い
 ・「なぜ再び日本で活動する必要があるのか」の説明が不足している

つまり、出国命令後のCoE申請では、「1年経ったか」だけでなく、「過去の違反をどのように説明し、再発防止をどう示すか」が重要になります。

1年経過は「申請時」か「上陸許可時」か

実務上、特に注意すべきなのが、出国命令後の1年経過をどの時点で見るのかという問題です。

候補としては、次の3つがあります。

判断時点

意味

実務上の注意点

CoE申請時

在留資格認定証明書交付申請を提出する時点

1年未満で申請すると、上陸拒否期間中の申請として慎重に見られる可能性がある

CoE交付時

在留資格認定証明書が交付される時点

審査中に1年を経過する見込みなら、先行申請を検討する余地がある

上陸許可時

査証を取得し、日本の空港等で上陸許可を受ける時点

行政法上の処分時としては、上陸許可時の判断が中心となると考えやすい

入管庁の案内は、出国命令による上陸拒否期間を「出国した日から1年」と説明していますが、CoE申請を1年経過後に限るという形で、申請時点について一律に明記しているわけではありません。

また、CoEは上陸許可そのものではありません。入管庁は、CoEについて、在外公館での査証申請や上陸申請の際に提出・提示することにより、速やかに査証発給や上陸許可を受けることができると説明しています。 これは、CoEがあれば上陸許可が当然に保証されるという意味ではなく、最終的には査証申請及び上陸審査が残るということです。

したがって、行政法上の処分時という観点からは、最終的な上陸許可時に上陸拒否期間が経過しているかが重要になると考えられます。

この点、行政書士業務を続けていると、申請時点を要件適合の基準時点と実務に傾倒してしまいます。しかし、弊社担当事案の中で、CoEを出せても入国の許可がでないという事案に遭遇したことがあります。

例えば在留資格「定住者」の告示類型で、いわゆる「連れ子定住」類型では、申請人の未成年要件があります。17歳でCoE申請を行った後、審査が混雑等で長引いた後に交付された場合、その後の入国つまり上陸の時に18歳の誕生日が到来してしまいます。すると空港で上陸不許可となるため、CoE交付がされる見込みがあってもその意味を失います。実際に入管から取り下げ指導をされることがありました。

もっとも、CoE審査の段階で上陸拒否期間中であることが無視されるわけではなく、申請時期が早すぎると、審査上不利又は慎重な取扱いとなる可能性があります。

1年未満でも先行申請を検討する価値があるケース

出国命令後のCoE申請では、1年を完全に経過してから申請する方法が最も保守的です。

しかし、CoE申請の標準処理期間が1か月から3か月であること、さらに査証申請や上陸までの期間が必要であることを考えると、1年経過後に初めて申請を開始すると、実際の再入国はさらに数か月先になる可能性があります。

そのため、次のようなケースでは、1年経過前から先行してCoE申請を行うことを検討する価値があります。

 ・CoE審査中に出国日から1年を経過する見込みである
 ・上陸許可予定日は1年経過後になるよう調整できる
 ・違反内容が短期のオーバーステイにとどまる
 ・出国命令の要件を満たして自ら出国した経緯を説明できる
 ・再入国後の活動内容が明確で、受入機関の必要性が高い
 ・再発防止策を具体的に示せる
 ・申請が早すぎる場合の不交付リスクを理解している

例えば、出国命令により出国した日から10か月経過した時点でCoE申請を行い、審査中に1年を経過し、CoE交付後に査証申請をして1年経過後に上陸するという設計です。

ただし、これはあくまでチャレンジングな選択肢です。入管が必ず受理又は交付することを保証するものではありません。事案によっては、1年経過後に改めて申請するよう求められる、又は不交付となる可能性もあります。

1年経過後でも審査が重くなる理由

出国命令で出国した場合、上陸拒否期間は1年で終了します。しかし、1年経過により、過去のオーバーステイ歴や出国命令歴が消えるわけではありません。

CoE申請では、申請人の活動内容が虚偽でなく、在留資格に該当し、必要な場合は上陸許可基準に適合することが審査されます。入管庁のCoE手続案内でも、審査基準として、活動の非虚偽性、在留資格該当性、上陸許可基準適合性が示されています。

出国命令歴がある案件では、これに加えて、過去の在留状況について慎重に確認されやすくなります。

特に、就労系在留資格の場合は、次の点が問題になります。

 ・前回の在留中に本来の在留資格に該当する活動をしていたか
 ・在留期限管理を怠った原因は何か
 ・受入企業が本人の在留期限や就労資格を確認していたか
 ・再雇用又は新規雇用の必要性があるか
 ・同じ管理ミスが再発しない体制があるか
 ・雇用開始予定日が現実的か

配偶者・家族系在留資格の場合は、次の点が問題になります。

 ・婚姻又は家族関係の実体があるか
 ・オーバーステイ中の同居・扶養・生活実態をどう説明するか
 ・違反状態を放置した理由に悪質性がないか
 ・日本側配偶者・家族の生活基盤と再呼寄せの必要性
 ・再入国後の生活費、住居、身元保証体制

タイムライン設計の考え方

出国命令後のCoE申請では、次のようなタイムラインを想定します。

時期

検討・対応内容

出国直後〜3か月

出国命令書、出国日、違反経緯、不許可・出国準備の経過を整理する

3〜6か月

再入国理由、受入企業・配偶者側の資料、再発防止策を準備する

6〜9か月

申請時期を検討する。1年経過前申請か、1年経過後申請かを判断する

9〜12か月

先行申請を行う場合は、上陸予定日が1年経過後となるよう設計する

12か月経過後

CoE交付、査証申請、上陸審査を見据え、過去違反の説明資料を整える

重要なのは、1年経過後に慌てて準備を始めるのではなく、出国後すぐに資料整理を開始することです。

出国命令歴がある案件では、単に「再申請書類」を作るだけでは足りません。過去の違反経緯、反省、再発防止策、受入機関の管理体制、再入国の必要性を、時系列で説明できるようにしておく必要があります。

CoE申請で提出を検討すべき説明資料

出国命令後のCoE申請では、通常の在留資格別資料に加えて、次のような説明資料を検討します。

本人側の資料

 ・オーバーステイに至った経緯説明書
 ・出国命令を受けて自主出国した経緯の説明
 ・反省文
 ・再発防止策
 ・出国後の生活状況
 ・過去の在留カード、パスポート、出国命令関係資料
 ・日本での活動内容に虚偽がなかったことを示す資料

受入企業側の資料

 ・採用理由書
 ・業務内容説明書
 ・本人の学歴・職歴と業務の関連性説明
 ・在留期限管理体制の説明
 ・外国人雇用管理体制
 ・雇用開始予定日の調整方針
 ・再雇用の場合、前回の在留期限管理に関する改善策

配偶者・家族側の資料

 ・婚姻・家族関係の実体を示す資料
 ・同居・交流・扶養の資料
 ・日本側家族の生活状況
 ・呼寄せの必要性
 ・身元保証書
 ・生活費・住居の説明
 ・オーバーステイ中の事情と再発防止策

不交付リスクが高いケース

次のような場合は、出国命令後1年を経過していても、CoE不交付リスクが高くなります。

 ・オーバーステイ期間が長い
 ・出頭が遅く、違反状態を長期間放置していた
 ・不法就労がある
 ・資格外活動違反がある
 ・前回申請に虚偽又は重大な齟齬がある
 ・退去強制手続を避けるためだけに形式的な雇用・婚姻を作った疑いがある
 ・受入企業の雇用管理体制が弱い
 ・再入国の必要性が抽象的である
 ・反省・再発防止策が定型的である

特に、出国命令歴があるにもかかわらず、前回と同じような管理体制で再申請する場合、「再発防止ができていない」と見られる危険があります。

まとめ

出国命令により出国した場合、上陸拒否期間は原則として出国した日から1年です。しかし、1年経過後にCoE申請をすれば、通常案件と同じように早く許可されるわけではありません。

出国命令後のCoE申請では、次の点が重要です。

1.1年経過は、再入国の最低条件に近いものであり、CoE交付を保証するものではない

2.CoE申請、査証申請、上陸審査まで含めたタイムラインを設計する必要がある

3.1年経過を申請時で見るか、CoE交付時で見るか、上陸許可時で見るかは一律に整理しにくい

4.行政法上の処分時という観点では、最終的な上陸許可時が重要になると考えられる

5.そのため、1年未満でも、審査中又は上陸時に1年を経過する設計で先行申請を検討する価値がある

6.ただし、先行申請は不交付リスクを伴うため、違反経緯、反省、再発防止、受入体制を丁寧に立証する必要がある

出国命令後の再申請では、「1年待つかどうか」だけでなく、「いつ申請し、いつCoE交付を受け、いつ査証申請をし、いつ上陸するのか」を逆算する必要があります。

特に、就労系在留資格では受入企業の雇用開始時期、配偶者・家族系在留資格では家族生活の再開時期との調整が必要です。出国命令歴がある案件では、早期に資料整理を開始し、再入国までのタイムラインとリスクを見通したうえで、CoE申請を行うことが重要です。

この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士

谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。 ▶ 求人・パートナー募集はこちら


- 講師実績
行政書士会、建設やホテル人材等の企業、在留資格研究会等の団体、大手士業事務所、その他外国人の講義なら幅広く依頼を受ける。 ▶ ご依頼、セミナー、取材等のお問合せはこちら



- 対応サービス

  • 行政対応
  • 外国人材紹介
  • 外国人登録支援機関業務
  • TAKUMI人事

- 資格等

特定行政書士、宅建士、米国MBA、中国語(HSK2級)他


- 略歴等

・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。


- 取引先、業務対応実績一部

・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他

03-5575-5583に電話をかける メールでお問い合わせ
ページトップへ