コンビニの就労ビザ|「技人国」で許可される業務・店舗数・事務所を行政書士が解説
2026年08月13日
技術・人文知識・国際業務
コンビニの就労ビザ|「技人国」で許可される業務・店舗数・事務所を行政書士が解説
コンビニエンスストアを複数経営する企業から、「外国人を正社員として採用して、将来は店長やエリアマネージャーにしたい」「留学生アルバイトを卒業後も雇用したい」というご相談があります。
この場合、よく検討される在留資格が「技術・人文知識・国際業務」、いわゆる「技人国ビザ」です。ただしこれは難解事案となることが通常です。
しかし結論からいえば、コンビニを経営する会社だから技人国ビザが許可されないわけではありません。
一方、レジ、品出し、清掃など通常の店舗業務を行うために技人国ビザを取得することはできません。重要なのは、「店長」「マネージャー」といった肩書ではなく、実際に大学等で学んだ、又は学ぶような専門知識を必要とする業務が存在し、その業務だけで安定・継続した仕事量があるかという点です。
出入国在留管理庁の申請書上も「管理業務(経営者を除く)」などが職種として予定されています。
- 店長・店舗管理業務なら技人国になれるのか
- コンビニで「技人国」が認められる業務と認められにくい業務
- 専門業務にはどの程度の「業務量」が必要なのか
- 1店舗と複数店舗では審査上どのような違いがあるのか
- 本社や事務所、専用デスクなどが審査に与える影響
- コンビニの技人国申請で用意したい立証資料
コンビニの「店員」として技人国を取得することはできない
技人国は、一般的な店舗スタッフとして働くための在留資格ではありません。
例えば、次の業務を中心として働く場合は、原則として技人国の専門業務とは評価されにくくなります。
- レジ対応
- 品出し、商品補充
- 店内清掃
- 商品の検品
- 揚げ物等の店内調理
- 宅配便等の受付
- 通常の接客
- その他、一般のアルバイトスタッフと同様の店舗業務
これに対して、販売・営業や管理業務そのものが一律に技人国から除外されているわけではありません。実際、入管庁が公表する留学生の就職状況でも、「販売・営業」は技人国で就職する職務の一つとして集計されています。問題は、その販売・管理業務が大学等で修得する人文科学等の専門知識を必要とする水準に達しているかです。
したがって、「正社員だから許可される」「店長だから許可される」という判断にはなりません。
コンビニで技人国になり得る専門業務とは
コンビニ経営会社でも、事業規模や組織体制によっては、専門的な管理・企画業務が継続的に発生します。
例えば、次のような業務が考えられます。
複数店舗の運営・経営分析
複数店舗の売上、客数、客単価、人件費、廃棄率等を分析し、各店舗の問題を抽出して改善策を立案する業務です。
単に「今日の売上を確認する」という作業ではなく、経営学、商学、統計、マーケティング等の知識を利用して、複数店舗を比較しながら店舗運営を改善するような業務であれば、人文知識との関連性を説明しやすくなります。
人事・労務管理、スタッフ教育
複数店舗の人員配置計画、採用計画、従業員教育、人事評価、外国人スタッフを含む人材管理なども考えられます。
ただし、単に毎日のシフト表を作るだけでは十分とはいえません。複数店舗・多数の従業員を対象として、採用、配置、教育、評価等を体系的に担当する職務であることが重要です。
販売促進・マーケティング
POSデータ等を利用した商品分析、地域特性を踏まえた販売促進、キャンペーン企画、売場改善、本部施策の効果分析なども、内容によっては専門業務となり得ます。
「販促」という名称を付ければよいのではなく、どのデータを、どのように分析し、どのような判断や企画を行うのかまで具体化することが重要です。
ただし、フランチャイザーが作成しているものと同一内容は不要であり、「専門性を有する」と認められにくい要素となります。
外国人スタッフ対応・翻訳通訳等
外国人従業員が多い会社では、外国人スタッフへの教育、多言語マニュアル作成、翻訳・通訳などが専門業務に含まれる場合があります。
ただし、「外国人のお客様が来たときに外国語でレジ接客をする」というだけで、通常の接客業務が「国際業務」に変わるものではありません。
なお、2026年4月15日、入管庁は「翻訳・通訳業務等の言語能力を用いる対人業務」について新たな考え方を公表しています。主に言語能力を用いる対人業務ではCEFR・B2相当の言語能力が前提とされ、カテゴリー3・4の所属機関では、業務上使用する言語についてB2相当の能力を証する資料も提出書類とされています。
重要なのは「専門業務の業務量」
コンビニの技人国申請で特に重要になるのが、専門業務だけで十分な業務量が存在するかです。
例えば雇用契約書に、
「店舗管理、マーケティング、人事管理を担当する」
と記載しても、実際にはそれらの仕事が月に数時間しかなく、残りの勤務時間をレジや品出しに充てるのであれば、技人国としての活動実態に疑問が生じます。
反対に、複数店舗について、
「月曜日は店舗別売上分析、火曜日は採用・人員配置、水曜日は各店舗責任者との会議、木曜日は販売促進企画、金曜日は人事評価・本部報告」
というように、専門業務によって通常の勤務時間を構成できるのであれば、説明の具体性は大きく変わります。
「専門業務が存在するか」だけでなく、「外国人1人を継続して雇用できるだけの専門業務が存在するか」を検討することがポイントです。
入管庁が「専門業務を週○時間以上」「全業務の○%以上」といった一律の数値基準を公表しているわけではありません。そのため、申請では職務内容を抽象的に列挙するより、日次・週次・月次の業務内容や所要時間まで整理して説明することが有効です。技人国は専門的な技術・知識等を活用する活動であることが制度上の前提となっています。
「何店舗あれば許可される」という基準はない
「コンビニを3店舗経営していれば技人国が取れるのでしょうか」
というご質問もあります。
しかし、入管庁が「○店舗以上なら許可する」という店舗数の基準を公表しているわけではありません。
店舗数は許可要件そのものではなく、専門業務の業務量や組織体制を判断するための重要な事情の一つと考えるべきです。
1店舗の場合
1店舗だけの場合、その店舗の店長がレジ、品出し、欠員対応、清掃等にも日常的に入ることは一般的です。
そのため、「経営分析・人事管理を担当する」と説明しても、それだけで常勤1人分の専門業務が発生しているのかという疑問が生じやすくなります。
もっとも、1店舗であることだけを理由として法律上一律に不許可となるわけではありません。店舗規模、従業員数、会社の他事業、外国人対応業務などを含め、専門業務の実態から個別に判断する必要があります。
複数店舗の場合
店舗数が増えれば、店舗間の売上比較、人員配置、店舗責任者への指導、採用・教育、販売戦略など、店舗横断的な管理業務が増えていきます。
このため、「一つの店舗で働く店長」ではなく、「複数店舗を統括するマネージャー・管理担当者」という組織設計は、専門業務の必要性と業務量を説明しやすい形になります。
ただし、5店舗、10店舗を経営していても、申請人本人が実際には1店舗のレジに常時入っているのであれば、店舗数だけで許可されるものではありません。
本社・事務所は必要か
技人国には、「経営・管理」の事業所要件のように、独立した事務所を必ず設けなければならないという一律の要件はありません。
そのため、コンビニとは別に本社事務所がなければ技人国を取得できない、ということではありません。
しかし、審査では実際の勤務状況が問題となります。
例えば、
- 店舗とは別に本社・管理事務所がある
- 管理担当者用のデスク・PCがある
- 店舗別の売上、人事、採用等を管理している
- 店長やアルバイトとは異なる組織上の役割がある
- 専門業務を行う場所・時間が明確になっている
といった事情があれば、専門業務を実際に行う体制を説明しやすくなります。
反対に、勤務場所が常に店舗内で、勤務シフトにも通常の店舗スタッフとして組み込まれ、専門業務を行う場所や時間も明確でない場合、「実際には店舗スタッフとして勤務するのではないか」と疑われる可能性があります。
したがって、事務所があること自体が要件なのではなく、「専門職として働く組織・勤務実態を立証できるか」が重要です。
コンビニの技人国申請で用意したい資料
コンビニ経営会社の場合、雇用契約書と会社登記だけでは、実際の仕事内容が十分に伝わらないことがあります。
そこで当グループでは、個別事案に応じて、例えば次のような事項を整理して申請を検討します。
- 全店舗の一覧、所在地
- 各店舗の従業員数・組織体制
- 本社・管理部門の組織図
- 申請人の職務記述書
- 実務研修がある場合のスケジュール
- 専門業務ごとの具体的内容
- 既存の店長・管理者との職務分担
- 売上分析、人事管理等に使用する資料
- 事務所や勤務場所の状況
- 大学・専門学校等での専攻内容
- 専攻と担当業務との関連性
特に重要なのは、「どの会社でも使える抽象的な職務説明」ではなく、その会社の店舗数・従業員数・組織・売上・業務フローから、なぜこの専門職が必要なのかを説明することです。
当グループでも、短期大学を卒業した外国人について、複数のコンビニを経営する会社への就職に際し、店舗数、勤務場所、具体的な専門業務、その業務が安定的・継続的に存在することなどを整理し、「技術・人文知識・国際業務」への変更許可を得た事例があります。
まとめ|「店長かどうか」ではなく専門業務の実態から判断する
コンビニでも「技術・人文知識・国際業務」の許可を取得できる可能性はあります。
しかし、
「コンビニ店長だから技人国」
「3店舗以上だから技人国」
「外国人客を接客するから国際業務」
という判断ではありません。
重要なのは、①専門知識を必要とする具体的な業務、②その業務の十分かつ継続的な業務量、③店舗数や従業員数に応じた管理の必要性、④実際に専門業務を行う勤務場所・組織体制、⑤申請人の学歴・職歴との関連性を総合して説明できることです。
また、日本人が同じ業務に従事する場合と同等額以上の報酬を受けることも、技人国の基準の一つです。
谷島行政書士法人グループでは、コンビニ、多店舗展開企業、小売・サービス業における「技術・人文知識・国際業務」の申請について、単に職務名を整えるのではなく、店舗数・組織図・人員配置・業務量まで確認したうえで、在留資格該当性を検討しています。
コンビニで外国人社員を採用したいものの、「店長として申請できるのか」「何店舗あれば専門業務として説明できるのか」「現在の業務内容で技人国に該当するのか」など判断が難しい場合は、お気軽にご相談ください。
コンビニの「技人国」でよくある質問(FAQ)
Q1. コンビニのレジや品出しだけの仕事で技人国ビザは取れますか?
原則として取得できません。レジ・品出し・清掃などは単純労働とされ、「技術・人文知識・国際業務」の対象外です。ただし、店舗運営に関わる情報処理・会計管理・通訳翻訳・語学指導などの専門業務であれば、内容次第で認められる可能性があります。
Q2. 学歴と業務内容の関連性はどこまで厳しく見られますか?
かなり重視されます。今回の事例では、情報工学の学士号を持つ申請人が、情報処理(会計データベース管理など)を担当する点で高い関連性が示されました。専攻と実務がかけ離れていると、不許可のリスクが高まります。
Q3. 日本語能力試験N2は必須ですか?
必須と法律で定められているわけではありませんが、通訳翻訳・語学指導業務を担う場合、ビジネスレベルの日本語能力を客観的に示す資料として説得力を持ちます。事例でもN2の合格書が立証資料となっています。
Q4.「留学」から「技術・人文知識・国際業務」への変更はいつ申請すればよいですか?
一般的には、卒業前に就職内定を得た段階で在留資格変更許可申請を行います。事例でも、日本語学校在学中に内定を得たタイミングで申請しています。卒業・就労開始時期から逆算して、余裕を持って準備することをおすすめします。
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この記事の監修者

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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。 ▶ 求人・パートナー募集はこちら
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行政書士会、建設やホテル人材等の企業、在留資格研究会等の団体、大手士業事務所、その他外国人の講義なら幅広く依頼を受ける。 ▶ ご依頼、セミナー、取材等のお問合せはこちら
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特定行政書士、宅建士、米国MBA、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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