技能ビザでシェフを招へい|南インド料理店の許可事例と成功のポイント
2026年07月21日
技能ビザ
技能ビザでシェフを招へい|南インド料理店の許可事例と成功のポイント
この記事でわかること
インド料理店やアジア料理店を運営していると、「本格的な料理を提供できる外国人シェフを海外から呼びたい」というニーズが必ず出てきます。そのとき必要になるのが技能ビザ(在留資格「技能」)です。
しかし、実際に申請してみると「実務経験の証明が難しい」といった不安に直面する方が少なくありません。
例えばインド料理店でタンドールがないことをもって不許可になると考えられる方もおります。しかし、設備は在留資格該当性に係る活動の解釈として必要であって、他のもので立証できれば法令要件として必須ではありません。
この記事では、南インド料理・バングラデシュ料理のシェフを技能ビザで招へいした実際の事例をもとに、以下を分かりやすく解説します。
〇技能ビザ(コック・調理師)の要件と必要書類
〇南インド料理シェフが「技能」に該当する理由
〇申請理由書の書き方と立証のコツ
〇よくある不許可パターンと回避方法
これから外国人シェフの雇用を検討している飲食店経営者、人事担当の方はぜひ参考にしてください。
技能ビザ(在留資格「技能」)とは
「技能」ビザの基本
在留資格「技能」は、産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
外国料理のコック(調理師)は、この「技能」ビザの代表的な職種のひとつです。インド料理、タイ料理、フランス料理、中華料理などの専門調理師がこれに該当します。
「技能」ビザの主な要件
外国料理の調理師の場合、基準省令で求められる中心的な要件は以下のとおりです。
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要件 |
内容 |
|
実務経験 |
原則として10年以上の実務経験(外国での教育機関での学習期間を含む場合あり) |
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業務内容 |
熟練した技能を要する外国特有の料理の調理 |
|
報酬 |
日本人が従事する場合と同等額以上の報酬 |
ポイントは、「10年以上の実務経験」と「熟練した技能を要する専門的な料理」であることを、いかに客観的に証明できるかにあります。
事例紹介|南インド料理シェフの招へいケース
申請人の概要
今回のケースの申請人(以下、A氏)は、バングラデシュ国籍の男性シェフです。20年以上にわたりインド料理・南インド料理の調理に従事してきた、経験豊富な人物でした。
招へいする側は、日本国内でインド・バングラデシュ料理レストランを運営するABC株式会社です。「大衆的なインドカレー店」ではなく、高級志向の本格インド・バングラデシュ料理を提供するコンセプトの店舗を運営していました。
A氏の職歴
A氏の実務経験は、以下のとおり10年をはるかに超えていました。
|
期間 |
勤務先 |
役職 |
|
2000年1月〜2006年5月 |
本国のホテル系レストラン |
インド料理コック |
|
2006年6月〜2012年12月 |
本国のレストラン |
インド料理シェフ |
|
2013年1月〜現在 |
本国のレストラン(招へい企業代表が経営) |
インド料理シェフ |
合計すると約13年以上の実務経験があり、要件である「10年以上」を大きく上回っていました。
採用の理由
ABC株式会社がA氏の採用に踏み切った理由は明確でした。
・既存のシェフだけでは人手が足りず、パーティー料理の依頼を断らざるを得ない状況だった
・既存シェフを休ませられず、業務が過度に集中するリスクがあった
・提供できる料理の幅に限界があり、本格的な南インド料理を提供できる人材が必要だった
このように「なぜこのシェフでなければならないのか」という必要性が具体的に説明されている点が、審査上の大きなプラス材料になります。
なぜ南インド料理シェフが「技能」に該当するのか
専門性の高さを具体的に立証
技能ビザの審査で最も重要なのが、「その料理が熟練した技能を要する外国特有のものである」という点の立証です。
このケースでは、南インド料理・バングラデシュ料理の専門性を、次のように具体的に説明していました。
① 川魚を使ったカレー調理の技術
魚類を素材としたカレー調理では、川魚特有の生臭さを抜く必要があります。これは一般的なインド人シェフやネパール人シェフでは再現が難しく、単純に真似できないスパイスの使い方が求められるものでした。
② 南インド特有の料理の熟練技能
「DOSA(ドーサ)」や「IDLI(イドリー)」といった南インド特有の米粉料理の調理にも熟練していました。これらは北インド料理とは調理法がまったく異なる、専門性の高いメニューです。
このように、「一般的な料理人では代替できない技能」を具体的なメニュー名や調理技術で示すことが、専門性の立証において非常に効果的です。
立証に使った資料
専門性を裏付けるため、以下の資料が提出されました。
・招へい企業の店舗のコースメニューの写し(提供する料理の専門性を立証)
・A氏が現在シェフを務める店舗のメニューの写し(新たに提供できる料理の専門性を立証)
・職務内容説明書(従事する業務と店舗の事業内容を立証)
立証書類
このケースの重要な立証書類を整理すると、以下のようになります。
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書類 |
目的 |
|
申請理由書 |
申請の事情や証拠等の説明 |
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コースメニューの写し |
料理の専門性 |
|
申請人現店舗のメニューの写し |
過去経験をした料理の専門性 |
在職証明書は3社分すべて日本語訳を添付します。海外の証明書は、基本的な日本語訳をつけることが求められます。
申請を成功させるための4つのポイント
このケースから学べる、技能ビザ申請成功のポイントを整理します。
実務経験10年以上を客観的に証明する
在職証明書は勤務先ごとに用意し、日本語訳を必ず添付します。職歴に空白期間がないよう履歴書と整合させることも重要です。
料理の専門性を「具体的に」説明する
「本格的なインド料理」といった抽象的な表現ではなく、具体的なメニュー名・調理技術・他のシェフとの違いを明示します。
採用の必要性を明確にする
「なぜこのシェフが必要か」を、人手不足やメニューの幅など具体的な事情で説明します。
メニューの写しなど視覚的な資料を活用する
コースメニューや現店舗のメニューを添付することで、提供する料理のレベルと専門性が伝わりやすくなります。
まとめ
南インド料理シェフの技能ビザ申請では、「10年以上の実務経験」と「熟練した技能を要する専門的な料理であること」の2点の立証が核心になります。
今回のケースでは、
・約13年の職歴を在職証明書で証明
・DOSA・IDLIや川魚カレーなど具体的な専門技術を提示
という丁寧な立証により、安定性・継続性の懸念を乗り越える構成を取っていました。
技能ビザは、書類の形式さえ整えれば通るというものではなく、「なぜこの人材が必要で、どこが専門的なのか」というストーリーを客観的資料で裏付けることが求められます。
特に実務経験の証明が難しい場合は、行政書士などの専門家に早めに相談することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 実務経験が10年に満たない場合は技能ビザを取れませんか?
外国料理の調理師の場合、原則として10年以上の実務経験が必要です。ただし、外国の教育機関で当該料理を専攻した期間が含められる場合もあります。個別の事情によって判断が異なるため、専門家に相談することをおすすめします。
Q2. 海外で発行された在職証明書はそのまま提出できますか?
いいえ。外国語で書かれた証明書には、日本語訳を添付する必要があります。翻訳者の氏名を明記することも一般的に求められます。
Q3. 技能ビザで招へいしたシェフは、調理以外の業務もできますか?
技能ビザは「熟練した技能を要する業務」に従事することが前提です。ホール接客や事務など、技能を要しない業務が中心になると在留資格の趣旨から外れてしまうため注意が必要です。この点「特定技能」外食分野と大きく異なります。あくまで調理業務が主体である必要があります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の許可を保証するものではありません。実際の申請にあたっては、最新の法令および出入国在留管理庁の情報を確認のうえ、専門の行政書士にご相談ください。
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この記事の監修者

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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。 ▶ 求人・パートナー募集はこちら
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行政書士会、建設やホテル人材等の企業、在留資格研究会等の団体、大手士業事務所、その他外国人の講義なら幅広く依頼を受ける。 ▶ ご依頼、セミナー、取材等のお問合せはこちら
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- 資格等
特定行政書士、宅建士、米国MBA、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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