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「経営・管理」ビザの役員報酬はいくらがよい?最低額・従業員との比較・手続を解説

2026年07月23日

経営・管理ビザ

「経営・管理」ビザの役員報酬はいくらがよい?最低額・従業員との比較・手続を解説

「経営・管理」の在留資格を申請する際、役員報酬を月額いくらに設定すればよいのかは、外国人経営者から多く寄せられるご相談の一つです。

「月額25万円以上が必要」「従業員より高くしなければ不許可になる」と説明されることもありますが、公開されている法令や出入国在留管理庁の資料には、すべての外国人経営者に共通する一律の最低報酬額は定められていません。

もっとも、役員報酬の額は自由に決めればよいわけではありません。申請人が実際に経営又は管理に従事しているか、会社の規模や収益に対して適切な報酬か、株主総会等で適法に決定されているか、実際に支給・記帳されているかなどが審査上の重要なポイントになります。

本ページでは、法令及び出入国在留管理庁の公開資料を基に、「経営・管理」ビザにおける役員報酬の基準を解説します(2026年7月時点)。

「経営・管理」ビザに一律の最低報酬額はない

結論からいうと、代表取締役等として事業を経営する申請人について、次のような全国一律の基準は公表されていません。

 ・役員報酬は月額25万円以上とする
 ・年収300万円以上とする
 ・従業員の給与より必ず高くする
 ・会社の売上高の一定割合以上とする

したがって、月額20万円であれば必ず不許可になり、月額30万円であれば必ず許可されるという関係ではありません。

出入国在留管理庁は、「経営・管理」に該当するためには、申請人が事業の運営に関する重要事項の決定、事業の執行又は監査の業務に実質的に参画していることが必要であり、単に役員として登記されているだけでは足りないとしています。

役員報酬は、このような経営活動の実態を判断する一つの要素です。

「経営者」と「管理者」では報酬基準が異なる

「経営・管理」の在留資格には、大きく分けて次の二つの活動があります。

類型

主な立場

報酬に関する基準

経営

代表取締役、事業主等

一律の最低額なし

管理

部長、支店長、工場長等

日本人が同じ管理業務に従事する場合と同等額以上、かつ最低賃金法等の法令順守額以上

代表取締役等の「経営者」

自ら会社を設立し、代表取締役等として事業方針、資金、人事、取引その他の重要事項を決定する経営者については、「月額○万円以上」という最低額は定められていません。

ただし、次の事情は総合的に検討されます。

 ・具体的な経営業務の内容
 ・会社の規模、売上高及び業務量
 ・申請人の責任及び権限
 ・会社の収益及び資金繰り
 ・役員報酬を継続して支給できる見込み
 ・他の役員や従業員との役割分担
 ・役員報酬の決定及び支給の実態

出入国在留管理庁も、複数の外国人が共同経営する場合について、具体的な業務内容とともに「役員として支払われることとされる報酬額等」を勘案して、「経営・管理」に該当する活動であるかを判断するとしています。(出入国在留管理庁)

部長等の「管理者」

申請人が自ら会社を経営するのではなく、既存会社の部長、支店長その他の管理者として活動する場合には、法令上、次の基準があります。

出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令の「経営・管理」項の第3号

申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

比較対象となるのは、単なる一般従業員ではありません。同じ企業又は同種の企業において、同程度の職責、経験及び権限を持つ日本人管理者の報酬です。

例えば、日本人の営業部長が月額45万円である一方、同じ職責を担う外国人管理者だけを月額20万円とする場合には、日本人同等報酬の要件を満たさない可能性があります。

役員報酬が従業員以下なら不許可になるのか

公開されている法令及び出入国在留管理庁の資料には、

役員報酬が従業員と同額又はそれ以下である場合は許可しない

という一律の基準はありません。

そのため、専門職の従業員、歩合給の高い営業職又は長期勤続の管理職の給与が、代表取締役の役員報酬を上回っていることだけを理由に、直ちに不許可になるわけではありません。

もっとも、代表取締役の役員報酬が一般従業員より大幅に低い場合には、次のような疑問を持たれる可能性があります。

 ・申請人が本当に会社の経営を担っているのか
 ・代表取締役という地位が形式的なものではないか
 ・報酬額が経営業務の責任に見合っているか
 ・会社に役員報酬を支払うだけの収益力があるか
 ・経営活動を継続的に行う計画となっているか

これは、「従業員より低ければ不許可」という形式的な比較ではなく、役員報酬、職務内容、事業規模、売上高及び経営実態の整合性の問題です。

したがって、従業員の給与より低い役員報酬を設定する場合には、その理由を説明できるようにしておく必要があります。

例えば、創業初年度であるため当面の役員報酬を抑え、事業資金と従業員雇用を優先する場合には、資金計画、収支予測、役員報酬の設定理由及び今後の事業計画を一体的に説明することが考えられます。

無報酬役員でも「経営・管理」を取得できるか

代表取締役について、一律に「無報酬であれば不許可」と定めた公開規定は確認できません。

しかし、無報酬の場合には、申請人が経営業務の対価を受けていないことになり、経営活動の実態や会社との関係を説明しにくくなるおそれがあります。

特に、複数の外国人が共同で事業を経営する場合、出入国在留管理庁は、各外国人が経営又は管理に係る業務の対価として報酬を受けることを判断条件の一つとして明示しています。

したがって、外国人役員が複数いる場合に、一人だけが報酬を受け、他の外国人役員を無報酬とする設計には注意が必要です。

無報酬又は著しく低額な報酬を設定する場合には、少なくとも次の事項を検討します。

 ・なぜ無報酬又は低額なのか
 ・申請人の具体的な経営業務は何か
 ・他の役員との権限及び業務の違い
 ・会社の収益及び資金繰り
 ・報酬支給を開始又は増額する時期
 ・事業計画との整合性

役員報酬額の決め方

役員報酬は、在留資格申請のためだけに申請書へ金額を記載すればよいものではありません。

株式会社の取締役報酬は、会社法上、定款に定めがない場合には、原則として株主総会の決議により決定します。

そのため、通常は次のような流れで決定します。

①役員の就任又は就任予定日を確認する
②月額報酬、支給開始月及び支給日を決める
③株主総会等で役員報酬を決議する
➃株主総会議事録等を作成する
⑤給与計算、源泉徴収及び社会保険手続を行う
⑥決議内容に従って実際に支給する
⑦会計帳簿及び決算書に正しく計上する

出入国在留管理庁の提出書類案内でも、日本法人の役員に就任する場合には、「役員報酬を定める定款の写し」又は「役員報酬を決議した株主総会の議事録」等の提出が求められています。

役員報酬の決議だけでなく、実際の支給が重要

在留資格申請時に株主総会議事録を提出しても、更新申請時まで役員報酬を実際に支給していなければ、申請内容と事業実態が一致していないと判断される可能性があります。

更新申請を見据えると、次の資料が相互に整合していることが重要です。

 ・株主総会議事録
 ・役員報酬台帳又は賃金台帳
 ・法人名義口座からの振込記録
 ・源泉徴収簿
 ・給与所得の源泉徴収票
 ・法定調書合計表
 ・社会保険関係書類
 ・法人税申告書及び決算書
 ・住民税の課税証明書及び納税証明書

単に帳簿上で未払金として計上するだけでなく、決議内容に従って継続的に支給できる資金計画を作成することが重要です。

設立後に役員報酬を自由に変更できるか

税務上、法人が役員給与を損金算入するためには、原則として「定期同額給与」等の要件を満たす必要があります。

国税庁は、定期同額給与について、原則として1か月以下の一定期間ごとに支給され、その事業年度の各支給時期における支給額が同額である給与としています。

また、通常の役員給与の改定は、原則として事業年度開始の日から3か月以内に行う必要があります。役員の職務内容に重大な変更があった場合や、経営状況が著しく悪化した場合などには例外がありますが、一時的な資金繰りや単なる業績未達だけでは自由に減額できるとは限りません。

そのため、「経営・管理」の許可後に報酬額を決める、又は事業年度の途中で報酬額を変更する場合には、在留資格だけでなく、会社法及び税務上の処理も併せて検討しなければなりません。税務上の損金算入については、税理士への確認が必要です。

社会保険への加入にも注意する

株式会社等の法人事業所は、事業主のみの場合を含め、原則として健康保険及び厚生年金保険の適用事業所になります。役員報酬を設定した場合には、役員の勤務実態、報酬額その他の事情に応じて、健康保険及び厚生年金保険の資格取得手続が必要になることがあります。

「経営・管理」の更新審査では、会社が租税、社会保険その他の事業者としての義務を適切に履行しているかも重要になります。出入国在留管理庁は、高額又は長期間の税金の未納等について、審査上の消極的要素として評価するとしています。

社会保険の具体的な加入要件については、社会保険労務士又は年金事務所への確認が必要です。

役員報酬額を決める際の実務チェックポイント

役員報酬の額を検討する際は、単に「月額いくらなら許可されるか」ではなく、次の事項を確認します。

申請人の役割

 ・代表取締役として何を決定するのか
 ・営業、財務、人事その他の権限を有しているか
 ・現場作業ではなく、経営又は管理業務を中心に行うか
 ・他の役員との役割分担が明確か

会社の支払能力

 ・資本金及び運転資金
 ・月次の売上高及び利益
 ・人件費、賃料その他の固定費
 ・役員報酬支給後の資金繰り
 ・少なくとも今後1年間の収支見込み

他の役員・従業員との関係

 ・従業員より低い場合の合理的な理由
 ・日本人管理者との待遇差
 ・複数役員の職務及び報酬の違い
 ・親族役員を含む報酬体系の合理性

会社法・税務との整合性

 ・株主総会等の決議があるか
 ・支給開始日が明確か
 ・定期同額給与の要件を満たすか
 ・源泉徴収及び社会保険手続を行っているか
 ・実際の振込額と帳簿が一致しているか

よくある質問

Q1.役員報酬は月額25万円以上必要ですか

一律に月額25万円以上とする法令上の基準はありません。

会社の規模、収益、申請人の職責、他の役員との関係及び事業計画等を踏まえて、合理的な額を設定します。

Q2.従業員より役員報酬が低くても申請できますか

従業員より低いことのみをもって、一律に不許可とする公開基準はありません。

ただし、一般従業員より大幅に低い場合には、経営者としての役割や報酬設定の合理性を説明する必要があります。

Q3.役員報酬を高くすれば許可されやすくなりますか

高額にすれば許可されるわけではありません。

会社の売上や利益に対して過大な報酬を設定すると、継続的な支給可能性や事業計画の実現可能性に疑問が生じる場合があります。また、税務上も不相当に高額な部分は損金算入が認められないことがあります。

Q4.許可されるまで役員報酬を支払わなくてもよいですか

申請人の現在の在留資格、役員就任日、実際に経営業務を開始する時期、資格外活動の問題及び税務上の役員報酬決定時期を踏まえて、個別に設計する必要があります。

在留資格変更前に経営業務を開始すると、現在の在留資格で認められていない活動に該当する可能性があります。他方、報酬決定を遅らせると、税務上の損金算入との関係で問題が生じる場合があります。

このため、役員就任、報酬決議、登記、在留資格申請及び報酬支給開始の順序を事前に設計することが重要です。

「経営・管理」の役員報酬の考え方のまとめ

「経営・管理」ビザの役員報酬について、すべての外国人経営者に共通する最低月額は定められていません。

また、役員報酬が従業員と同額又はそれ以下であることだけを理由に、一律に不許可とする法令等もありません。ただし、「管理」については、日本人と同等基準が適用される基準省令があります。

もっとも、役員報酬は、申請人が実質的に経営又は管理に従事しているかを判断する重要な事情です。

役員報酬を決める際には、次の点を一体的に検討する必要があります。

 ・具体的な経営業務
 ・会社の規模及び収益
 ・他の役員・従業員との関係
 ・役員報酬の決定手続
 ・実際の支給及び会計処理
 ・税務及び社会保険
 ・在留資格変更前後の役員就任時期

谷島行政書士法人グループでは、会社設立、役員就任、役員報酬決議、事業計画及び在留資格申請の関係を整理し、申請後の更新までを見据えた「経営・管理」ビザの手続を支援しています。

役員報酬の額や支給開始時期、従業員との給与差、複数の外国人役員による共同経営等でお悩みの場合は、個別の事業計画及び会社の財務状況を確認した上でご相談ください。

この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士

谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。 ▶ 求人・パートナー募集はこちら


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・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。


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