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3か月以上の出国は在留期間の過半でなくても取消し処分に注意

2026年06月16日

永住技術・人文知識・国際業務高度専門職ビザ経営・管理ビザ在留資格一般

3か月以上の出国は在留期間の過半でなくても取消し処分に注意

更新が先でも3か月以上の出国は在留資格取消し処分制度があります

3か月以上の出国は、どの在留資格でも「在留資格取り消し」リスクも検討すべきです。

なぜなら、3か月以上活動をしていない場合、更新申請が相当先であっても、その前に取消し処分を受けることがあるからです。

ただし、在留資格によっては6か月が取消し処分となる類型もあるため、区別が必要です。

特に、3か月以上日本を離れている場合には、在留期間の過半を超えていなくても、「日本で在留資格に応じた活動を継続しているといえるか」を確認する必要があります。

もし、3か月以上の出国であっても、正当な理由を立証できれば、不許可リスクを低減できます。これも解説します。

更新不許可と在留資格取消しは別の制度

長期出国がある場合、入管実務では大きく分けて2つの問題があります。

問題となる制度

主なタイミング

問題の内容

在留期間更新許可申請

在留期限が近づいたとき

今後も日本で在留を続けることを認めるか

在留資格取消し

在留期限前でも問題になり得る

現在の在留資格を維持させるべきか

前者は、在留期限が近づいたときに申請する「更新」の問題です。

これに対し、後者は、在留期間がまだ残っていても、現在の在留資格そのものを取り消す制度です。

そのため、「更新はまだ1年以上先だから大丈夫」とは限りません。3か月以上、在留資格に応じた活動を行っていない状態が続いている場合には、更新の前に取消し処分のリスクを検討する必要があります。

3か月以上活動していない場合の取消しリスク

入管法では、一定の在留資格について、在留資格に応じた活動を継続して3か月以上行っていない場合、正当な理由があるときを除き、在留資格取消しの対象になると定められています。

ここで重要なのは、「在留資格の期限がまだ残っているか」ではなく、「その在留資格に応じた活動を実際に行っているか」です。

たとえば、次のような場合には注意が必要です。

在留資格

3か月以上の出国で問題になりやすい点

技術・人文知識・国際業務

日本の勤務先での業務実態が継続しているか

経営・管理

日本で事業の経営・管理活動を行っているといえるか

企業内転勤

日本事業所での勤務実態があるか

特定技能

特定技能所属機関での就労実態が継続しているか

留学

日本の教育機関での学修活動が継続しているか

家族滞在

扶養を受ける家族としての在留実態が継続しているか

特定活動

指定書で定められた活動を行っているか

なお、厳密には、3か月基準が全ての在留資格に一律に適用されるわけではありません。入管法上の3か月基準は、主に入管法別表第一の活動系在留資格を対象とするものです。

一方で、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等については、配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合に取消し事由となり得ます。

また、「高度専門職二号」の場合、6か月となっており、他の就労資格と異なります。

また、永住者や定住者などの身分系在留資格では、3か月の活動停止がそのまま同じ形で問題になるわけではありません。しかし、長期出国がある場合には、生活実態、日本での居住意思、再入国許可・みなし再入国許可の期限管理、将来の更新・変更・永住申請等に影響する可能性があります。

そのため、実務上は「3か月以上の出国」がある時点で、どの在留資格であっても一度リスクを確認すべきです。

「出国しているだけ」でも問題になるのか

在留資格取消しの条文は、単に「出国したこと」そのものを取消事由としているわけではありません。

問題は、出国により、日本で行うべき在留資格上の活動が継続していないと評価されるかどうかです。

たとえば、次のようなケースでは、単なる一時帰国や出張とは異なり、活動実態が問題になりやすくなります。

ケース

問題になりやすい理由

日本の会社に在籍したまま3か月以上海外にいる

日本での就労活動が行われていない可能性がある

経営者が海外に滞在し、日本法人の経営をほとんど行っていない

経営・管理活動の実態が乏しいと判断されるおそれがある

留学生が休学・退学後も在留資格を維持している

留学活動を行っていないと評価されるおそれがある

家族滞在の方が扶養者と長期間別居している

扶養を受ける家族としての実態が問題になる

特定技能外国人が長期帰国し、所属機関で就労していない

特定技能の活動の継続性が問題になる

反対に、海外出張、親族の看病、本人の治療、出産、災害、感染症、戦争・政情不安、会社命令による一時的な海外勤務など、客観的にやむを得ない事情がある場合には、正当な理由として説明できる可能性があります。

正当な理由があれば取消しを避けられる可能性があります

3か月以上活動していない場合でも、常に在留資格が取り消されるわけではありません。

入管法上も、「正当な理由」がある場合は取消しの対象から除かれます。

ただし、正当な理由は、本人が説明すれば当然に認められるものではありません。理由の内容、出国期間の長さ、日本での活動との関係、帰国後の活動予定、証拠資料の有無を踏まえて判断されます。

正当な理由として説明を検討し得る事情

出国・活動停止の理由

準備すべき資料の例

海外出張

出張命令書、出張報告書、航空券、業務メール、会議記録

海外拠点対応

会社説明書、業務分掌、海外拠点との契約・報告資料

親族の看病・介護

診断書、親族関係資料、介護状況の説明資料

本人の病気・治療

診断書、入退院記録、治療経過、医師の意見書

出産・育児

出生証明、医療記録、家族構成、帰国予定の説明

災害・感染症・戦争等による帰国困難

渡航制限、航空便欠航、現地情勢、政府発表資料

退職後の再就職活動

求人応募履歴、面接記録、紹介会社との連絡記録

留学先の事情

休学理由、復学予定、学校の証明書、入学予定資料

重要なのは、「なぜ日本で活動できなかったのか」と「今後も日本で活動を継続する必要があるのか」を、客観資料で説明することです。

更新申請が先でも、取消し処分が先に来ることがあります

在留資格取消しは、更新申請の審査とは別に行われる制度です。

したがって、在留期限が1年後、2年後であっても、入管が取消事由に該当する可能性を把握した場合には、在留資格取消しの手続が進むことがあります。

特に、所属機関からの届出、学校からの報告、退職・退学の事実、住居地の不一致、出入国記録などから、活動実態が確認されることがあります。

そのため、3か月以上の出国が予定される場合には、出国後に問題化してから対応するのではなく、出国前または出国中の段階で、理由と資料を整理しておくことが重要です。

在留資格取消しの手続で、意見を述べる弁明の機会

在留資格が直ちに一方的に取り消されるわけではありません。

在留資格取消しの対象となる可能性がある場合、原則として、本人に対して意見聴取の機会が与えられます。

この意見聴取では、あらかじめ準備した証拠に基づき、事情を説明し、証拠資料を提出することができます。

したがって、意見聴取の通知を受けた場合には、次の点を整理して対応する必要があります。

整理すべき事項

内容

出国・活動停止の時期

いつから、どの程度活動できなかったのか

活動停止の理由

本人の意思では避けられなかった事情があるか

活動との関係

在留資格上の活動と完全に無関係ではないか

帰国・復帰予定

いつ、どのように日本での活動を再開するのか

客観資料

診断書、会社資料、学校資料、出入国履歴、業務記録など

意見聴取の段階で適切な説明ができなければ、その後の取消処分や将来の在留申請にも影響する可能性があります。

企業が注意すべき点

外国人従業員が長期出国する場合、企業側も注意が必要です。

特に、就労系在留資格では、在留資格の前提となる活動が「日本での就労」であることが多いため、海外滞在中の勤務実態をどう説明するかが問題になります。

企業としては、少なくとも次の事項を確認しておくべきです。

 ・出国理由は業務上必要なものか
 ・出国期間はどの程度か
 ・日本法人との雇用契約は継続しているか
 ・給与支払、社会保険、税務処理に不自然な点はないか
 ・海外滞在中の業務内容を説明できるか
 ・帰国後の勤務予定が明確か
 ・所属機関等に関する届出が必要な事案ではないか

特に、退職、休職、海外赴任、長期リモートワーク、海外法人への実質的な異動がある場合には、在留資格の変更、所属機関届出、再申請の必要性を含めて検討する必要があります。

取消しリスクを下げるための実務対応

3か月以上の出国がある場合には、次のような順序で確認することをおすすめします。

出国期間を正確に整理する

まず、出入国日を一覧化し、継続して3か月以上の出国または活動停止があるかを確認します。

単に「だいたい3か月くらい」と把握するのではなく、パスポート、出入国履歴、航空券、勤務記録などをもとに、日付単位で整理することが重要です。

在留資格ごとの活動内容を確認する

次に、現在の在留資格で求められる活動が何かを確認します。

同じ3か月以上の出国でも、在留資格によって説明すべき内容は異なります。

たとえば、技術・人文知識・国際業務では勤務実態、経営・管理では経営判断や事業運営、留学では学修活動、家族滞在では扶養関係や家族としての生活実態が重要になります。

正当な理由を資料で説明する

長期出国に合理的な理由がある場合には、理由書だけでなく、客観資料を準備します。

「家族の事情」「会社の事情」「病気のため」という説明だけでは足りないことがあります。入管が確認しやすいように、時系列、資料番号、出国理由、帰国予定、今後の活動予定を整理する必要があります。

必要に応じて在留資格変更や再申請を検討する

現在の在留資格での活動継続が難しい場合には、無理に現在の在留資格を維持しようとするのではなく、在留資格変更や、いったん出国した上での在留資格認定証明書交付申請を検討すべき場合があります。

特に、活動実態が失われているにもかかわらず、形式的に在留資格だけを維持している状態は、更新不許可だけでなく取消し処分のリスクにつながります。

まとめ:3か月以上の出国の在留資格取消し処分等の予防と対応

3か月以上の出国がある場合、在留期間の過半を超えていなくても注意が必要です。

長期出国は、次回の在留期間更新許可申請で消極的に評価される可能性があるだけでなく、在留期限前であっても、在留資格取消しの問題として扱われることがあります。

もっとも、3か月以上出国したから直ちに取消しになるわけではありません。出国の理由、活動停止の理由、日本での活動との関係、帰国後の活動予定について、正当な理由を資料で説明できるかが重要です。

谷島行政書士法人グループでは、長期出国を伴う在留期間更新許可申請、在留資格取消しリスクの確認、理由書・説明資料の作成、企業側の雇用・出向・休職整理を含めた対応を行っています。3か月以上の出国予定がある方、すでに長期出国している方、外国人従業員の在留資格管理に不安がある企業様は、早めにご相談ください。

 

出典:入管庁「在留資格に基づく本来の活動を一定期間行わないで在留していた場合」 (出入国在留管理庁)

この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士

谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。


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・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。


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