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建設業の外国人雇用で注意すべき不法就労助長・現場配置・許可取消しリスク

2026年06月25日

建設コンプライアンス特定技能育成就労技能実習許認可

建設業の外国人雇用で注意すべき不法就労助長・現場配置・許可取消しリスク

建設業で外国人を雇用する場合、「在留資格の許可が取れたら終わり」ではありません。

実際の現場で、在留資格に合わない作業をさせていないか、技能実習計画や育成就労計画と実態がずれていないか、特定技能外国人の業務区分と作業内容が一致しているかを継続的に確認する必要があります。

建設業では、建設業許可、営業所技術者等、主任技術者・監理技術者、技能実習、育成就労、特定技能など、複数の制度が同時に関係します。そのため、外国人雇用の問題が、在留資格だけでなく、建設業許可、元請企業との取引、公共工事、監理団体・登録支援機関との関係に波及することがあります。

この記事では、建設業者が外国人雇用を行う際に注意すべき、不法就労助長、現場配置、社内管理、監理団体との役割分担について解説します。

建設業で外国人を雇用する際、多くの会社が最初に確認するのは「どの在留資格で働けるか」という点です。

たとえば、建設現場の作業に従事する場合は、特定技能、技能実習、将来的には育成就労などが候補になります。一方で、設計、施工管理、積算、専門的な技術業務などであれば、技術・人文知識・国際業務が検討されることもあります。

しかし、実務で問題になりやすいのは、採用時よりも採用後です。

たとえば、次のようなケースでは、在留資格や許認可のリスクが生じます。

・在留資格で認められていない作業をさせている
・技能実習計画や育成就労計画と違う業務に従事させている
・特定技能の業務区分と実際の作業内容がずれている
・現場が変わった後の作業内容や指導体制を確認していない
・監理団体や登録支援機関に任せきりで、会社側が実態を把握していない

建設業は、現場ごとに作業内容、指揮命令系統、安全管理体制、元請・下請関係が変わりやすい業種です。そのため、採用時の申請書類だけでなく、採用後の現場管理が重要になります。

在留資格と建設業許可は制度上別でも、双方の許認可維持など実務ではつながる

在留資格と建設業許可は、直接同じ制度ではありません。

在留資格は、外国人本人が日本でどのような活動を行えるかを判断する制度です。建設業許可は、会社が一定規模以上の建設工事を請け負うために必要となる許可です。

しかし、実務では両者を切り離して考えることはできません。

たとえば、建設業許可の取得・維持では営業所技術者等が問題になります。現場施工では主任技術者・監理技術者の配置が問題になります。

一方、外国人雇用では、その人が実際に行う業務内容と在留資格が合っているかが問題になります。

つまり、建設業者は次の3つを同時に見なければなりません。

項目 主な確認内容
在留資格 外国人本人がその業務を行える資格を持っているか
建設業許可 会社として許可要件・営業所技術者等を維持できているか
現場配置 1. 建設業法では、主任技術者・監理技術者、育成就労 2. 入管法・技能実習・育成就労法等では、技能実習の指導員、計画に沿った作業内容が適切か

外国人材を単なる人手不足対策として採用するだけでは、現場運用でずれが生じることがあります。建設業では、採用時から「どの在留資格で雇用するか」だけでなく、「将来どのような技術者・職長・中核人材として育成するか」を考える必要があります。

また、外国人雇用で法令違反があれば、建設業許可を取り消されるリスクがあります。このような刑罰リスクや処分歴リスクが欠格事由になることにも注意が必要です。

技能実習・育成就労では「計画と現場のずれ」に注意

技能実習では、認定された技能実習計画に沿って実習を行う必要があります。育成就労でも、育成就労計画に基づいて、対象分野・業務区分・育成内容に沿った就労を行うことになります。

建設業では、現場が変わることが多いため、次のような点を継続的に確認する必要があります。

確認項目 注意点
作業内容 計画上の職種・作業と実際の作業が一致しているか
作業場所 現場変更後も計画・契約・監理体制と矛盾しないか
指導体制 技能実習指導員・育成就労指導員による指導が行われているか
安全教育 外国人が理解できる言語・方法で安全教育を行っているか
労働条件 賃金、労働時間、休日、社会保険が実態と一致しているか

ここで重要なのは、計画と少し違う作業をしたからといって、直ちにすべてが資格外活動になるわけではないという点です。

まず問題になるのは、技能実習計画や育成就労計画との整合性、監理上の問題、行政処分のリスクです。

ただし、在留資格で認められた活動範囲を超える作業をさせている場合には、資格外活動や不法就労助長の問題に発展する可能性があります。

そのため、建設業者は、現場変更や作業変更があるたびに、在留資格、計画、雇用契約、監理体制の整合性を確認する必要があります。

不法就労助長は「入管だけの問題」ではない

外国人に認められていない活動をさせた場合、会社側には不法就労助長のリスクがあります。

不法就労助長は、外国人本人だけでなく、雇用した会社、あっせんした者、関与した者にも問題が及び得る重大なリスクです。

建設業者にとって特に注意すべきなのは、不法就労助長が単に入管法上の問題にとどまらないことです。

たとえば、次のような影響が考えられます。

・刑事責任を問われる可能性
・技能実習・特定技能等の受入れ継続への影響
・監理団体・登録支援機関との取引への影響
・元請企業や発注者からの信用低下
・公共工事や入札参加への影響
・労働関係法令違反が併発した場合の建設業許可への波及

建設業許可では、拘禁刑以上の刑を受けた場合、一定期間は欠格要件に該当し得ます。また、罰金刑の場合でも、建設業法、建設工事の施工・建設労働者の使用に関する一定の法令、一定の刑法犯等に該当する場合には、欠格要件に該当し得ます。

一方で、不法就労助長罪の罰金刑そのものが、直ちに建設業許可の罰金刑欠格に入ると単純に断定できるわけではありません。建設業許可の罰金刑欠格は、対象となる法令や犯罪が限定されているためです。

もっとも、実務では、不法就労助長だけが単独で問題になるとは限りません。労働基準法、職業安定法、労働者派遣法、建設労働者雇用改善法などの違反が併発すると、建設業許可、行政処分、取引停止に波及する可能性があります。

そのため、建設業者は「入管の問題」と「建設業許可の問題」を分けて考えるのではなく、会社全体のコンプライアンスリスクとして管理する必要があります。

特定技能2号は主任技術者・監理技術者と同じではない

建設分野の特定技能2号は、長期的に日本で就労できる可能性がある在留資格です。建設分野では、複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する班長としての実務経験が求められます。

そのため、特定技能2号外国人は、建設会社にとって将来の中核人材になり得ます。

ただし、ここで注意が必要です。

特定技能2号になったからといって、自動的に建設業法上の主任技術者や監理技術者になれるわけではありません。主任技術者・監理技術者になるには、国家資格や実務経験など、建設業法上の別要件を満たす必要があります。

したがって、建設会社としては、特定技能2号を「現場の中核人材」「班長・職長クラス」として育成しながら、将来的に資格取得や実務経験の蓄積を支援する視点が重要です。

たとえば、次のような管理が考えられます。

・特定技能1号から2号への移行を見据えた実務経験の整理
・建設キャリアアップシステム等による就業履歴の管理
・職長・班長としての経験の記録
・日本語能力、安全管理能力、指導能力の育成
・主任技術者・監理技術者に必要な資格・実務経験の確認
・営業所技術者等との違いを踏まえた人材配置

外国人材を短期的な作業員としてだけ見るのではなく、将来の現場運営を支える人材として育てることが、建設業許可や施工体制の安定にもつながります。

育成就労では「転籍を恐れる会社」より「選ばれる会社」になる必要がある

2027年に開始予定の育成就労制度では、技能実習制度よりも、特定技能への移行を見据えた人材育成の性格が強くなります。

建設業者にとって大きなポイントは、本人意向による転籍が一定の要件のもとで認められる方向であることです。

もっとも、育成就労は自由な転職制度ではありません。転籍には、一定期間の制限、技能・日本語能力、転籍先の要件などが設けられます。また、転籍時の初期費用については、転籍先が転籍元に対して、一定額を就労期間に応じて按分して支払う仕組みが予定されています。

しかし、制度上の制限があるとしても、今後は外国人材がより職場を選ぶ時代になります。

建設業者としては、次のような準備が重要です。

準備項目 内容
待遇改善 賃金、休日、安全衛生、生活環境を整える
日本語教育 現場指示、安全教育、報告相談ができる水準を目指す
技能育成 特定技能1号・2号への移行を見据える
現場フォロー 現場変更時の説明、悩みの把握、相談体制を整える
費用設計 採用費、教育費、転籍リスクを前提に設計する
監理体制 監理支援機関・行政書士・社内担当者の役割を分ける

育成就労では、「辞めさせない」発想だけでは限界があります。外国人材が長く働きたいと思える職場を作ることが、結果として転籍リスクを下げることにつながります。

外国人材が定着しやすい建設会社の特徴

外国人雇用が安定している建設会社には、いくつか共通点があります。

定着しやすい会社 トラブルになりやすい会社
採用前に在留資格と業務内容を確認している とりあえず人手として採用している
現場変更時に作業内容を確認している 現場任せで実態を把握していない
指導者・相談担当者が明確 誰が面倒を見るのか曖昧
日本語・安全教育を継続している 入社時だけ説明して終わっている
監理団体・登録支援機関・行政書士の役割が明確 外部機関に任せきり
将来の特定技能2号・職長候補として育てている 短期的な労働力としてしか見ていない

建設業では、現場が忙しくなるほど、外国人雇用の管理が後回しになりがちです。しかし、実態管理ができていない会社ほど、在留資格、労務管理、安全管理、建設業許可のリスクが重なりやすくなります。

外国人材が定着しやすい会社は、採用前から「どの現場で、どの業務を、誰の指導のもとで行うのか」を整理しています。

監理支援機関・登録支援機関に任せきりにしない

技能実習では監理団体、育成就労では監理支援機関、特定技能では登録支援機関が関与することがあります。

これらの外部機関は重要な役割を担いますが、会社側がすべてを任せきりにしてよいわけではありません。

特に注意すべきなのは、在留資格申請の書類作成です。

監理団体や登録支援機関が、相談対応や資料収集の支援を行うこと自体が直ちに問題になるわけではありません。しかし、在留資格申請書類など、官公署に提出する書類の作成に当たる部分を、行政書士資格のない者が有償で行うと、行政書士法違反となるリスクがあります。

建設業者側も、「外部に任せていたから知らなかった」では済まない場面があります。会社は雇用主であり、実際に現場で指揮命令を行う立場です。

外部機関に依頼する場合でも、次のように役割を整理しておくことが重要です。

関係者 主な役割
建設会社 雇用主として作業内容、労働条件、現場配置を管理する
監理団体・監理支援機関 技能実習・育成就労の監理、指導、確認を行う
登録支援機関 特定技能外国人の支援業務を行う
行政書士 在留資格申請、許認可手続、官公署提出書類の作成を行う
指導員・現場責任者 実際の作業内容、安全教育、日々の指導を確認する

外国人雇用では、外部委託と社内責任の線引きを明確にすることが重要です。

建設業者が確認すべき社内チェックリスト

建設業で外国人を雇用する場合、少なくとも次の点を確認してください。

チェック項目 確認内容
在留資格 実際の作業内容と在留資格が合っているか
業務内容 単純作業、技能作業、専門業務の区別ができているか
技能実習・育成就労 計画と実際の作業内容が一致しているか
特定技能 業務区分、建設特定技能受入計画と実態が合っているか
技人国 現場作業中心になっていないか
現場変更 変更後の作業内容、指導体制、契約関係を確認しているか
労務管理 賃金、労働時間、休日、安全衛生、社会保険が適正か
技術者育成 特定技能2号、職長、主任技術者候補としての育成計画があるか
外部委託 監理団体、登録支援機関、行政書士の役割が明確か
許認可リスク 労働法違反や刑事処分が建設業許可に波及しないか

このチェックは、受入れ前だけでなく、現場変更時、在留期間更新時、特定技能への移行時、育成就労から特定技能へ移行する時にも必要です。

まとめ:建設業の外国人雇用は「許可後の運用」で差が出る

建設業の外国人雇用では、在留資格の申請だけでなく、採用後の運用管理が非常に重要です。

技能実習・育成就労では計画と作業内容の整合性、特定技能では業務区分と受入計画、技術・人文知識・国際業務では専門業務性、建設業許可では営業所技術者等や主任技術者・監理技術者との関係が問題になります。

また、不法就労助長や労働関係法令違反があると、入管法上の問題にとどまらず、建設業許可、元請企業との取引、公共工事、外国人材の継続受入れに影響することがあります。

建設業で外国人材を安定して受け入れるためには、在留資格、建設業許可、労務管理、現場配置、外部機関との役割分担を一体で確認する体制が必要です。

谷島行政書士法人グループでは、建設業許可と外国人雇用の双方に関する手続、社内体制整備、顧問対応を行っています。建設業で外国人雇用を始めたい企業、既に受け入れている外国人の現場配置や在留資格に不安がある企業は、早めに専門家へご相談ください。

よくある質問

Q. 建設業許可があれば、外国人を現場作業員として雇用できますか?

建設業許可があるだけでは足りません。外国人本人の在留資格が、実際に従事する業務内容に合っている必要があります。現場作業であれば、特定技能、技能実習、育成就労などが候補になりますが、業務内容、分野、計画との整合性を確認する必要があります。

Q. 技術・人文知識・国際業務で建設現場の作業はできますか?

原則として、技術・人文知識・国際業務は専門的・技術的な業務を前提とする在留資格です。設計、施工管理、積算、専門的な管理業務などは該当し得ますが、現場作業や単純作業が中心になる場合は、不許可や資格外活動のリスクがあります。

Q. 特定技能2号になれば主任技術者や監理技術者になれますか?

特定技能2号になっただけで、主任技術者や監理技術者になれるわけではありません。建設業法上の技術者になるには、国家資格や実務経験など、別途の要件を満たす必要があります。ただし、建設分野の特定技能2号は班長・職長クラスの経験が求められるため、将来の中核人材として育成する価値があります。

Q. 監理団体や登録支援機関に任せれば安心ですか?

外部機関の活用は有効ですが、任せきりは危険です。会社は雇用主として、実際の作業内容、現場配置、労働条件、在留資格との整合性を管理する必要があります。また、在留資格申請書類の作成など行政書士業務に当たる部分を登録支援機関や監理団体が行うと、行政書士法違反のリスクがあります。

Q. 育成就労では外国人が自由に転職できるようになりますか?

自由な転職制度ではありません。本人意向の転籍は一定の要件のもとで認められる方向ですが、転籍制限期間、技能・日本語能力、転籍先の要件などが設けられます。企業としては、転籍を恐れるだけでなく、待遇、教育、職場環境を整えて定着を図ることが重要です。

 

谷島行政書士法人の建設業者向け外国人雇用顧問サービス

建設業の外国人雇用では、在留資格と建設業等許認可を横断的に理解している行政書士法人は少数です。この点、谷島行政書士法人グループでは、建設業許可と建設現場の外国人雇用を15年以上にわたって経験と理論を持ち合わせております。

顧問であれば、不法就労防止や採用におけるビザの問題、監理支援機関との付き合い方へのアドバイスや手続代理など幅広く対応させていただきます。

ぜひお声がけください。

 

この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士

谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。


- 講師実績
行政書士会、建設やホテル人材等の企業、在留資格研究会等の団体、大手士業事務所、その他外国人の講義なら幅広く依頼を受ける。

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  • 行政対応
  • 外国人材紹介
  • 外国人登録支援機関業務
  • TAKUMI人事

- 資格等

特定行政書士、宅建士、米国MBA、中国語(HSK2級)他


- 略歴等

・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。


- 取引先、業務対応実績一部

・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他

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