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中長期出国や帰国する外国人の在留期間更新申請の不許可リスクと説明資料

2026年06月16日

在留資格一般

中長期出国や帰国する外国人の在留期間更新申請の不許可リスクと説明資料

更新の目安は「決定された在留期間の過半」を超える出国

従来から、1年の内、過半を出国していると、更新不許可リスクが高くなることは外国人にとって常識的な認識です。

それを、出入国在留管理庁は、在留資格「経営・管理」に関するQ&Aで、明確にした文言があります。つまり長期間の出国について一つの具体的な目安を示しています。

それは一般論ですが、決定された「在留期間のうち、累計でその過半を超える期間」について、再入国許可による出国またはみなし再入国許可による出国をしている場合には、正当な理由があるときを除き、在留期間更新の審査において消極的な要素として評価されるとされています。

このQ&Aは「経営・管理」に関するものですが、入管庁の一般的な更新許可ガイドラインでも、長期間にわたる再入国許可による出国は、正当な理由がない限り消極的な要素とされています。

しかし、経営・管理以外でどうなのかという点もあり、そもそも明確な法規定がないことも事実です。「相当性」の判断要素としての解釈はあっても明確なものではありません。

そのため、実務上は、①まずは1年の過半である6か月を超えないこと、もし超えた場合は、②累計期間として、例えば、3年許可なら1.5年を超えない月数であるかを二重の基準とすることが安全です。下記に詳しく解説します。

そうでない場合は正当な理由が事実上必須となります。

なお、「経営・管理」に限らず、就労系在留資格や身分系在留資格でも、長期出国がある場合には慎重な説明が必要です。

① 6か月以上の出国があると、在留期間更新で不利になりえます

在留期間として、累計の過半である上記(例:3年の内1年6か月)を超えていなくても、1年単位でみることが安全です。

したがって、6か月を超えないことが最初の壁となります。

 

② 累計出国期間の考え方

例えば、入管の「経営・管理」の更新についての解釈は以下となっております。

問22 正当な理由なく長期間の出国を行っている場合に関して、具体的な目安はありますか。
答 個々の在留状況に応じて判断することになりますが、一般論としては、決定された在留期間のうち、累計でその過半を超える期間について、再入国許可による出国(みなし再入国許可による出国を含む。)をしている場合には、正当な理由があるときを除き、在留期間更新に係る審査において消極的な要素として評価されることになります。

出典:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」

ここでいう出国期間は、1回の出国だけで判断されるとは限りません。複数回の出国がある場合には、その期間を累計して確認される可能性があります。

たとえば、次のようなケースでは注意が必要です。

決定された在留期間

出国期間の目安

リスクの考え方

6か月

累計3か月超

更新審査で長期出国の理由説明が重要

1年

累計6か月超

更新審査で長期出国の理由説明が重要

3年

累計1年6か月超

日本での活動実態を具体的に示す必要性が高い

5年

累計2年6か月超

日本での生活・就労・事業実態が薄いと判断されるおそれ

ただし、過半を超えたから直ちに不許可になるという意味ではありません。反対に、過半を超えていなくても、日本での活動実態が乏しい場合には問題になることがあります。

重要なのは、出国の理由、出国中の状況、日本での活動との関係、今後も日本で活動を継続する必要性を、資料で説明できるかどうかです。

補足として、在留期間更新許可申請の手続根拠は入管法21条で、対象者は「現に有する在留資格の活動を継続しようとする外国人」とされています。申請時期は原則として在留期間満了前、6か月以上の在留期間がある場合はおおむね3か月前からです。(法務省)

 

「正当な理由」があるかが重要です

長期出国がある場合でも、正当な理由が認められる可能性があります。

たとえば、次のような事情がある場合には、出国の必要性や期間の相当性を丁寧に説明する余地があります。

出国理由

説明の方向性

海外出張・海外拠点対応

日本法人・日本勤務との関係、出張命令、業務内容、帰国予定を示す

親族の介護・看病

親族関係、病状、介護の必要性、滞在期間が長くなった理由を示す

本人の病気・治療

診断書、治療経過、渡航先での治療の必要性を示す

出産・育児

出産時期、産後の事情、家族構成、日本での生活継続意思を示す

災害・感染症・戦争等による帰国困難

航空便、渡航制限、現地情勢など客観的資料を示す

会社命令による海外赴任・研修

日本の雇用契約、給与支払、復帰予定、業務上の必要性を示す

一方で、「海外にいた方が都合がよかった」「日本での活動がほとんどなかった」「会社や学校との関係が形だけだった」という状態では、正当な理由として認められにくくなります。

在留資格ごとに立証しやすいかどうかが異なります

外国人が日本の在留資格を持っていても、在留期間中の大半を海外で過ごしている場合、次回の在留期間更新許可申請で問題になることがあります。

在留期間更新許可申請では、単に在留期限までに申請すればよいわけではありません。現在の在留資格に応じた活動を、日本で継続して行っていたかどうかが確認されます。

そのため、再入国許可やみなし再入国許可を利用して適法に出国していた場合でも、出国期間が長すぎると、「日本で在留資格に応じた活動実態があったのか」という点で消極的に評価される可能性があります。

さらに、これは在留資格ごとにも程度が重くなる傾向があります。例えば、「経営・管理」は比較的、出国の正当事由が認められやすい傾向にありました。これは多数の外国法人の経営等がある外国人の場合、主張・立証しやすいこともあります。

あるいは、就労系でも、「企業内転勤」の出向類型なら、外国法人で業務があると説明・立証もしやすいことになります。

一方で、「技術・人文知識・国際業務」等で完全に国内企業雇用の場合、事情は変わります。通常、国内の在留の活動前提であるからです。

さらに、身分系の在留資格は、重くみられます。

 

在留資格ごとに問題になるポイント

技術・人文知識・国際業務

日本の会社との雇用契約が継続していても、本人が長期間海外にいて、日本での業務実態が乏しい場合には注意が必要です。

特に、海外出張やリモートワークをしていた場合、日本の在留資格で予定されている「本邦において行う活動」といえるのかが問題になり得ます。日本法人の業務として必要な海外出張であったこと、帰国後も日本で勤務を継続する予定であることを説明する必要があります。

経営・管理

経営者本人が長期間海外にいる場合、日本で事業の経営または管理を実際に行っていたのかが問題になります。

事業を従業員や外部委託先に任せきりにしていた場合、経営者としての活動実態がないと判断されるおそれがあります。出国中も経営判断、取引先対応、資金管理、従業員管理などを行っていたことを、会議記録、メール、契約書、送金記録、業務報告書などで示すことが重要です。

家族滞在

扶養者との同居実態や生活実態が問題になることがあります。長期間海外にいた場合、日本で扶養を受けて生活していたといえるのか、今後も日本で家族として生活する予定があるのかを説明する必要があります。

日本人の配偶者等・永住者の配偶者等

婚姻関係そのものだけでなく、同居・交流・扶助の実態が問題になります。長期間別居していた場合には、出国理由、連絡状況、送金状況、今後の同居予定などを説明することが重要です。

定住者

日本での生活基盤がどの程度維持されていたかが問題になります。住居、家族、勤務先、学校、納税、社会保険、帰国予定などを総合的に説明する必要があります。

永住許可申請

生活の本拠が日本かどうかが重要です。自宅用不動産を購入する外国人はこの点を理論上でなく経験上で一部実行する傾向にあります。しかし、購入だけで生活の本拠となるわけではありません。

更新申請で準備すべき資料

長期出国がある場合には、通常の更新申請書類に加えて、次のような資料を検討します(状況に応じて出さないものもあります)。

客観資料

目的

出入国履歴を整理した一覧表

在留期間中の日本滞在日数・海外滞在日数を明確にする

長期出国の理由書

出国理由、期間、帰国が遅れた理由、今後の活動予定を説明する

会社の説明書・出張命令書

業務上の出国であることを示す

雇用契約書・在職証明書・給与明細

日本の所属機関との関係継続を示す

業務記録・会議記録・メール

出国中も日本の活動と関連していたことを示す

医療資料・介護資料

病気、治療、介護などの正当な理由を示す

家族関係資料・送金記録

家族関係や扶養関係の継続を示す

帰国後の勤務予定・事業計画

今後も日本で活動を継続することを示す

その他個別事情の立証資料

 

資料は多ければよいわけではありません。重要なのは、出国理由と在留資格上の活動とのつながりが分かるように整理することです。

また「客観的」であることが重要です。単に感情(「日本のことが好きです」等)や今後の主観的な計画について説明をつくすだけで立証をしていない場合、不許可につながります。不許可後、依頼者がそのような行政書士作成資料を弊社に持ち込まれることも散見されます。

不許可リスクが高くなりやすいケース

次のような場合には、更新申請で慎重な対応が必要です。

・6か月または在留期間の過半を超えて海外に滞在している

・日本での勤務実態、経営実態、生活実態を説明できない

・給与だけ支払われているが、日本での業務実態が薄い

・海外出張という説明だが、出張命令や業務記録がない

・出国理由が家族事情であるにもかかわらず、客観資料がない

・在留期限直前まで海外にいて、申請準備が不十分

・過去の更新申請でも長期出国が問題になっていた

まとめ

長期出国がある外国人の在留期間更新許可申請では、「再入国許可を使っていたから問題ない」とは限りません。

入管審査では、在留資格に応じた活動を日本で継続して行っていたか、長期出国に正当な理由があるか、今後も日本で活動を継続する必要があるかが確認されます。

特に、決定された在留期間のうち累計で過半を超える出国がある場合には、更新申請の前に出入国履歴を整理し、理由書と客観資料を準備することが重要です。

谷島行政書士法人グループでは、就労系在留資格、経営・管理、家族滞在、配偶者系在留資格など、長期出国を伴う在留期間更新許可申請について、出国理由の整理、説明資料の作成、入管への申請取次まで対応しています。長期間海外に滞在していた方や、更新申請に不安がある企業・外国人の方は、早めにご相談ください。

 

 

根拠法令・公表資料
・出入国管理及び難民認定法第21条
・出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」
・出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」

この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士

谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。


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・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。


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